東電役員、引責辞任後は天下り 値上げ説明担当ら2人
福島第1原発事故を受けて6月下旬に引責辞任する東京電力の役員のうち、高津浩明たかつ・ひろあき常務(59)と宮本史昭みやもと・ふみあき常務(57)が辞任直後にグループ企業の社長に就くことが22日、分かった。
高津氏は電気料金値上げに理解を求めるためメディアにも登場。値上げ論議が始まったばかりの中での「天下り」に、利用者側からは「責任を取ったことにならず、開いた口がふさがらない」(全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長)などと批判の声も出ている。
東電で「お客さま本部長」を務める高津氏は6月27日に辞任し、翌28日に東京証券取引所1部上場の電力機器メーカー、東光電気の社長に就任する。システム企画部長などを務めた宮本氏は、通信事業などを手掛ける日本フィールド・エンジニアリング(東京)のトップに転じる。東電は一連の人事について「本人の経験や識見を考慮した上で各社からの就任要請に基づくもので、当社としても了承した」と説明している。
政府は、原子力損害賠償支援機構を通じて7月25日に東電を実質国有化する。賠償や廃炉には巨額の費用が必要となるため、東電に対しグループ会社との取引を大幅縮小するなどのリストラを求めている。今後、辞任した他の役員も天下りする可能性があり、阿南事務局長は「グループ会社整理の流れと逆行し、事故が起きていないかのような認識の甘さだ」と指摘している。
中国新聞 '12/5/23