原発問題

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『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~バリケードの先に咲く桜~> ※2回目の紹介

2016-06-09 22:20:38 | 【除染が続く福島での悲劇】

 *『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。2回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

第1章 オフサイトで起きていること

バリケードの先に咲く桜

 2014年4月。

 東京電力福島第一原子力発電所から約7キロメートルにある福島県富岡町の夜の森公園のある夜の森公園のある夜の森地区には、今年も約2000本の桜が咲き乱れた。約2.5キロメートルの道路の両脇に数百本の桜が植えられた桜並木通りは東北地方一の桜のトンネルと言われ、開花時期には毎年福島県内外から多くの花見客が訪れていた。夜の森地区のある富岡町は東京電力福島第一原発事故後、高放射線量のため全町避難が続く。無人となったこの町でも、桜は春を忘れることなく咲き誇っていた。

 だが、この桜をみられるのは約2.5キロメートルのうち約300メートルの区間だけだ。それ以外の区間は高放射線量のため、立ち入り禁止になっている。立ち入り禁止の境界線にはバリケードが設けられ、警察官が常時パトロールをしている。立ち入りできる区間も居住することはできず、かつてにぎわっていた桜並木脇の商店街は無人の町と化し、荒廃が進んでいる。

 それでも、夜の森の桜を懐かしみ、「あの桜を一目みたい」と、花見に訪れる人が後を絶たない。立ち入り禁止区域ほどではないものの、桜並木通り周辺の放射線量は高く、花は車内で観覧するよう注意喚起する立て看板が沿道のあちこちに置かれていた。

 満開となった4月12日、大型の観光バス数台が桜並木にやってきた。福島県内外のの避難先で開花を待ちわびていた富岡町民らにひと目桜を楽しんでもらおうと、富岡町が企画した花見ツアーバスだ。バスはゆっくりと速度を落としながら桜のトンネルの下を通過していった。町民らはバスの車窓から思い思いに桜を眺めていた。隣の乗客と笑顔で話ししながら眺める人、窓に手を触れながら目に焼き付けるように眺める人。

 様々な思いが交錯する中、バスは停車することなくこの場を後にした。下車が許されず、車窓からの風景のみのひとときに、町民らは何を思ったのだろうか。

※続き「第1章 オフサイトで起きていること」バリケードの先に咲く桜 は、

2016/6/13(月)22:00に投稿予定です。

==『リンゴが腐るまで』著書の目次==

第1章 オフサイトで起きていること

バリケードの先に咲く桜

見えない境界線

原発被災者と津波被災者

住宅バブル

「被災者、帰れ」

賠償金の罪

パチンコ、アルコール依存症の真偽

帰れない人、帰らない人

おじいちゃんの米

触れない話題

オリンピックと福島県

アメ玉の限界


第2章 原発と生計

汚染水タンクの森

電源立地地域対策交付金

協力企業

一次下請け企業

孫請け会社

原発技術者


第3章 復興が進まないワケ

放射線と避難者

避難者は戻れるのか

たまるフレコン

第二の沖縄

三流官庁

病める自治体

官庁不在

リンゴが腐るまで

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


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