原発問題

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『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで> ※57回目の紹介

2016-09-27 22:02:38 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。57回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

 あとがき

(前回からの続き)

 自分の人生を否定されたような気持になったのではないでしょうか。そのやり場のない思いは、姿を変えて東電と国に向かい、理屈ではない言動となって表れることがあるのかもしれません。

 きっと、いろんな人がいるのです。皮算用をしている人もいるのかもしれません。しかし、被災者が東電と国に抱いている憎しみと、背後から襲ってくる放射線から命からがら逃げてきた時の恐怖心は、経験者でなければ真の意味で理解することはできません。この2つが被災者の根源にあり、あらゆるすべてのことにおいて、理屈だけでは解決できない、心の闇となっているということを、覚えておくべきだと思います。

 毎月10万円の精神的賠償による「賠償金漬け」の問題もそうです。いろいろな報道がありましたが複眼的な考察が足りないと思います。被災者の状況は多様です。考えてみれば、強い憎しみを抱き、絶対に許さないと決めている相手から「せめてもの罪滅ぼしに」と差し出されたお金を、人は有効に使うものでしょうか。「相手の目の前で札束を破り捨ててやりたい。それができないのなら、せめて相手が望むものに使ってやろう」。そんな風に思ったりしないでしょうか。(中略)

 今回の原発災害でいえば、当初は放射線が主な要因だったなずの問題が、時間と共に別の問題と絡まり、複雑化しました。放射線の問題を取り除いただけでは解決できなくなってしまいまいました。複雑な連立方程式になる前に、迅速に対処するスキームが災害対応には必要です。

 

 ※「あとがき」は次回に続く

2016/9/28(水)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


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