*『リンゴが腐るまで』著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。9回目の紹介
『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-
著者 笹子美奈子
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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介
第1章 オフサイトで起きていること
オリンピックと福島県
(前回からの続き) 最終処分場ではなく、あくまでも中間貯蔵施設であるという位置づけについても、住民は納得しなかった。国は「30年以内に福島県外に最終処分場を造り、中間貯蔵施設に保管した放射性廃棄物はすべて搬出する。中間貯蔵施設の敷地は元の状態に造成し直して地権者に返還する。きちんと法制化もする。中間貯蔵施設には福島県内で出た放射性廃棄物のみを保管し、福島県外のものはけっして持ち込まない」と説明した。だが、それがいかに現実性に乏しい話であるかは、住民も重々承知していた。
「双葉町に中間貯蔵施設ができたならば、これは最終処分になっちゃうんです。最終処分場に。そんな掘り起こして県外に持ってってなんてできないと思いますよ」
「30年後に福島県外に持っていきますなんて、どこが受け入れるんですか。結局は持っていくところがなくて、ここに置きましょうってなるに決まってるんですよ。そのとき、30年後、必ず法律の改正をしないで施行しますなんて保障はどこにもありません。そうでしょう。誰が保障するんですか。あなた方の一人一人の誰かが保障するんですか。答えてみろ。指定廃棄物だって、持ってくとこなければ、結局ここにくるんじゃないですか。違うんですか。福島県内のものしか受け入れませんて、今は言ってますよ、今はね、今は。しかし、時間は流れます。人も変わります。そしたら、考え方も変わるんです。30年もたったら。誰が保障するんですか。国は責任持ってやりますと言うが、その国が一番信用できないんですよ」
もう一つ大きく懸念されたのが、中間貯蔵施設の建設地から外れた住民の扱いだ。
※「オリンピックと福島県」は、次回に続く
2016/6/28(火)22:00に投稿予定です。