*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史
「第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。2回目の紹介
福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。
本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。
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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村」の紹介
前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※1回目の紹介 <ホットスポット>
NHK全国ニュースで報じられなかった「飯舘村計画避難説明会」
さて、その飯舘村で4月16日、政府の「計画的避難」説明会が開かれた。地元紙の『福島民友新聞』はその模様をこう報じている。
政府の方針で村の当局が報道陣に退席を求めた(政府説明会を取材しようと駆けつけた報道陣を、政府は村の当局に命じて会場から締め出そうとした)。
これに反発した村人たちが「公開」を求め、報道陣はそのまま取材を続けることが出来た(飯舘村の村人たちは、「報道の自由」を守ってくれたのだ)。
同じく福島の地元紙、『福島民報』も、こう報じている。
「冒頭、福山副長官の説明が終わった段階で、政府方針で村が報道陣を退出させようとすると、会場から『こういうことはオープンでやれよ』『生の声を聞いてもらえ』と怒号が飛び、急遽、すべて公開されることが決まる一幕もあった」
『民友』によれば、福山哲郎官房副長官に、村のある農民はこう宣言した。「地域を守るため、絶対避難しない」
『民報』によれば、「最大限の努力という言葉だけではだめだ」と村人は言った。
結局、政府の「計画避難」の方針は、飯舘村の村民から拒絶されたわけだ。
福島の準地元紙とも言うべき東北ブロック紙の河北新報(本社・仙台)も、説明会での、こんなシーンを報じている。
「地域を守るために避難するつもりはない。罰則はあるのか」年配の男性が語気を荒らげた。福山副長官が「ありません」と答えると、男性はその後の言葉を遮り、会場を後にした。
しかし、考えてみれば、こうなるのも当然のことだ。飯舘村は人口6000人の農村である。
村人は土に生きてきた。土を耕し、家畜を飼い、作物を育てて生きて来た。土地を離れて生きて行けない人達なのだ。いきなり「計画避難」と言われ、同意できるわけがない。
それでは、飯舘村での「計画避難説明会」を、公共放送であるNHKは、どう伝えたか?
NHKのサイトでまず、当日の全国ニュース「原発関連情報」を覗き、チェックすることにした。
ない、見当たらない・・・飯舘村での政府説明会は、NHKの全国ニュースとして全国に報じられていなかったのだ。
そこで、NHKの福島放送局のサイトで検索してみたが、これもない。地元のことだから、少なくともローカル・ニュースにはなっているはず、と念のため、グーグルで検索したら、福島ローカルのニュースで流れていた。
飯舘村民が官房副長官に要請 東京電力福島第一原子力発電所の事故で「計画的避難区域」に指定される見通しの福島県飯舘村で説明会が開かれ、住民側は出席した福山官房副長官に対して村に戻れるよう国が放射性物質を土壌から取り除いてほしいと要請しました。
「民有」「民報」の記事にあるような「村民の激しい怒り」が伝わって来ないNHKローカルの「政府に要望ニュース」だが、これがなぜ、全国ニュースにならなかったか疑問は残る。飯舘村の放射能汚染及び計画避難は、平和な山村が「死の灰」を浴び、村民がまるごと土地を捨ててて脱出しなければならないという、瑞穂の国・日本の歴史始まって以来の、深刻かつ重大な問題である。
地元のニュースとしては地域限定で辛うじて報じられたが、公共放送=NHKの全国ニュースでは報じられなかった「飯舘村計画避難説明会」。
これまた「中央」と「現地」の「報道落差」を示す一例と言えるだろう。
※続き「第2章 飯舘村」は、8/6(木)22:00に投稿予定です。
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