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『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※10回目の紹介 <「いま直ちに危険性はない」と言われたら>

2015-08-19 22:00:00 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。10回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※9回目の紹介 <国民を欺くNHKの飯舘報道>

  「いま直ちに危険性はない」と言われたら・・・

 3月25日、米国のワシントンで、「チェルノブイリ」事故の際、ゴルバチョフ書記長のアドバイザーを務め、被曝者のその後について追跡調査を続けている、ロシア科学アカデミー会員のアレクセイ・ヤブロコフ氏が記者会見した。

 日本の文科省が「直ちに退避が必要なレベルではない」と言った2日後のことである。会見の内容を紹介しよう。

 ヤブロコフ氏は「チェルノブイリ」事故はすでに2世代にわたって深刻な後遺症を残しており、影響は今後、最低でも5世代(合わせて7世代)にわたって続く、と警告。

 その上で「フクシマ」について、「我々はこれまで起きたことのない何ものかを目の当たりにし続けている」「日本における人的な犠牲者の数は(チェルノブイリ)をはるかに上回るものになり得る」と語った。

 理由についてヤブロコフ氏は、「フクシマ」の場合、①(1機だけが爆発したチェルノブイリと違って)複数の炉の多重事故であり、②それもプルトニウムを燃料とする炉を含んだ多重事故であり、③200キロ圏内に3000万人が生活する人口密集地域での多重事故であるーの3点を挙げた。

 ヤブロコフ氏はさらに、「フクシマの状況について、私は楽天的になれない。特に危険なのはプルトニウムが放出され、人体が呼吸で吸い込んだ時だ。高い可能性で癌を引き起こす」と警告。

 「フクシマ」の放射性物質の放出について、その深刻さを過小評価してはならない」として次のように語った。

 「もしも『いま直ちに危険はない』(と当局者が言うの)を聞いたら、なるべく遠くに、なるべく速く逃げなさい

 これは少なくとも、3月末段階の「飯舘村」をめぐる状況ではないか?

 20~30キロ避難圏で被災者が置かれた状況ではないか?

 「いま直ちに危険はない」ーこれは日本政府がこれまで繰り返し語って来た「直ちに健康被害はありません」と同じことだ。

 会見に同席した「ビヨンド・ニュークリア」の専門家、シンディー・フォルカーズさんは、「被曝に安全な基準」はないと語っていたが、「チェルノブイリ後の25年間」が辿った、これまでの経過は、「いま直ちに危険はない」がどれほど危険なものかを明確に示すものだろう。

 ヤブロコフ氏に従えば、こうなる。

 こんど枝野長官が「直ちに健康被害はありません」と言ったら、私たちとしては一目散に、安全な場所に逃げるのが最も懸命な策になるわけだ。

 とにかく逃げろーこのヤブロコフ氏の警告は、私たちにとって、とてつもなく重い。

 ヤブロコフ氏のワシントンでの会見は、記者との質疑応答のかたちで進められた。その模様を「Cスパン」のビデオで観ていたら、日本人とおぼしき記者が英語で質問を始めた。

 頼もしいな、と思いながら聞いているうちに気付いた。その記者は日本のメディアのワシントン特派員ではなかった。韓国人の記者だった。

第2章 飯舘村」の紹介は、本日で終了します。

引き続き第3章 NRC秘密報告」の紹介を始めます。8/20(木)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


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