11月29日(土)、拓殖大学で黄文雄氏の講演「台湾」を聞く機会を得た。
午前十時に開始し、第一部 過去 第二部 現在 第三部 未来 で五時までの予定のところ五時二十分頃まで行われた。昼を除き略一人でしゃべり続け、熱く台湾を語った。
3ページにわたるレジメが用意されており全てをここで伝えることは出来ないが、一つだけ、そしてどうしても伝えておきたいこと、それは日本ではメディアが殆ど取り上げていないが、今台湾が「大変な事になっている」と言うことであり、外国のメディアは「第2革命が進行中」、「異星人の対立」とまで報道するほどの内容である。そして今の台湾はくるくる代わる短期駐在型の日本メディアにはなかなか把握しきれないのではと黄氏は述べ、日本での報道が少ない理由を挙げている。
馬英久は今年5月20日に総統になったが、以来親中政策を思うがままに始めたため、就任3ケ月にして激しい反政府デモに見舞われておりそれは現在も続いている。
8月30日 30万人
10月25日 60万人
11月 40万人
いずれも大規模な反政府デモである。
そして学生たちはその後も引き続き台北で「座り込み」を行っており、国民からの指示も受けている。
このデモの要因として挙げられている三つの危機がある。
第一の危機 経済の危機
陳水偏が2000年に総統に就任したが、その年に台湾は約20兆円、2004年に約10兆円と中国への投資が行われており、経済の空洞化が進み台湾国内の経済は悪化してきている。空洞化は技術と人材にも出ており既に100万人が中国に。経済を立て直すと公約した馬は何も手を打てずにおり失業率も上昇。為に、国民の不満はたまり、特にイケメン馬を指示した女性からの反発が大きい。これで三通が進めば更に9兆円が中国に向かい台湾はもっと悪くなるだろう。未曾有の台湾経済崩壊の危機である。
第二の危機 民主主義の危機
20年にわたって培われてきた民主化の成果が脅かされてきている。台湾の香港化であり、主権の危機が叫ばれている。
第三の危機 ファッショ化への危機 司法・公安・メディアの三位一体による支配
司法は国民党の支配下に入った。陳水偏を指示した企業への圧力、倒産。陳水偏の逮捕もその一貫。
公安はこの20年間にない警察の凶暴化、軍事教官の学校配置。
中国によるメディア支配。TVは二社を除いて全て中国資本。活字は自由時報一社だけで、それも圧力を受けている。
国民党はブルーで代表されているが、白色恐怖に代わる藍色恐怖であり、中国再統一に狂奔する歴史革命とまで言われている。
黄氏は台湾の将来を予測するのは難しくなって来ていると言う。
<中国は対台湾に軍事圧力をかけても実行はしないのではないか?台湾の経済が徹底的に悪くなれば都市国家ヴェニスが近代国民国家イタリアを選択したように台湾人も自ら中国との統一を希望すると言うシナリオもあるといい、一方では台湾の民主主義が最終的にはこれを押しとどめるとも>、複雑な胸中を述べていた。
はたして台湾は中国の台湾を貶めるというソフト戦術―第三の国共合作―に落ちてしまうのか?もしそうなれば日本も決定的な影響を受け、米国しだいでは中国の対日包囲網は完了してしまう。
今、台湾から目を離せない!国内はもとより外国メディアの報道にも注視しよう。