杉並の純一郎(3)

2009年12月で68歳に!
先の戦争が一体なんだったのかを今一度勉強し、次の世代に伝えてゆきたい。

北朝鮮問題

2007-11-19 23:09:29 | Weblog

 今回の福田首相の訪米を巡ってメディアは首相がブッシュ大統領にテロ支援国家指定解除に明確な歯止めをかけてこなかったことに対する期待はずれ感とでもいうようなことばかり、言われているが果たして日本はそんなことでよいのであろうか?

 拉致の問題は本当に酷い話だし、その当事者たるご家族の気持ちを思えば、国の頼りなさもどかしさ、何よりも肉親を奪われた悲しさは思うに余りある話だ。
そして、何よりも酷い話は北朝鮮にあるのではなく、日本政府が長い間この問題にふたをして、放置してきたことにある。これは、右左の別なく無く、いや寧ろ左が北朝鮮を擁護してきたことにあるのではないか。

 国際情勢が変化する中で日本が如何にこの問題を解決してゆくのか、自らこの問題を解決するにはどうしたら良いのかを改めて考えてみる必要があろう。決して米国のテロ支援国家指定解除にうろたえて感情的に米国に対立することでは問題は解決しない。

 その前に米朝関係が改善すると言うことが地域にもたらす影響について考えてみよう。
1.半島の非核化
2.半島への中国・ロシアの影響の排除

 大きく言えばこの二つしかなかろう。もちろん、半島の非核化ということも大切なことであろうが、本当に大きいのは寧ろ2番目のほうであり、これが東アジアの安定にもたらす影響力は計り知れないものがあろう。
 もしも、米国が従来どおり中国指導で北朝鮮との交渉を継続していたら、この問題がどう転ぼうと結果として朝鮮半島は中国の支配下に置かれ、隣接するロシアの二国に属国化してゆくことは目に見える。しかし、北朝鮮がこれまで支援を受け続けていた中国の影響力を嫌って米国と直接交渉を希望してきたと言うことに我々は注目しても良い。即ち、韓国に先立ち北朝鮮は「中華思想」の影響を排除すると表明したのに等しい話なのだと解釈出来る。そして、米国陣営が半島に拠点を残せるなら、東アジア中でも日本の安全保障に大きな役割を果たすことになることに着目するべきであろう。もし、反対にロシア・中国が韓国を含め半島を支配することになればどうなるか?1950年の朝鮮戦争当時に韓国が中共軍の支援を受けた北鮮軍に蹂躙されそうになったことを思い出せばよいし、更にさかのぼれば100年前に日本が日本の安全保障のために領土・権益を広げようとしていた中国・ロシアと対峙しなければならなかった時代を思い出せば、いずれの場合も日本が直面する事態の難しさが理解できると言うものだ。
 
 米国にとってアジアにおける北朝鮮問題を解決しておくことが、イラク他中近東地域に集中してゆくためにも必要なことであろうが、この関係改善は日本にとっても大きな利点であることには間違いない。だから、米国に全てを依存しておいて米国が日本の要求を満足させないからといって米国を裏切りとまで言うのは身の程知らずではなかろうか?日本はそんなに偉くはない。

 しかしながら、そうは言うものの拉致問題が残った場合の日本人の感情にも配慮が必要であることは言うをまたない。そして、そのためには日本は独自のゲームプランを持つ必要が出てくる。ならば、米国に頼らぬ自らが満足するゲームプランとはいかなるものになるのだろうか?その対象となることが出来るものは六カ国協議と日朝ピョンヤン宣言になるのではなかろうか?そしてその戦術とは、事態がこのまま推移して、即ち拉致問題に進展が見られぬままに米国がテロ支援国家指定解除に踏み切らざるを得なくなったならば、日本は
1.六カ国協議の場で、拉致が進展せねば日本は北朝鮮支援には応じるわけには行かないと主張し、他国がこれに同意しない場合には孤立・離脱も辞さない。
2.北朝鮮が一番いやがるであろう日朝ピョンヤン宣言を破棄し、日朝関係を白紙に戻してしまう。
3.従来どおり、経済制裁を継続し、日朝間の関係を凍結してしまう。
4.日本国民には国家が主権を侵され国民を拉致されるということは、国家として最も恥ずべき状況であるが、日本はこれを今まで放置してきたに等しい。そしてさらにはその解決を軍事的にはたまたま核開発問題を抱えていた米国の尻馬に乗って自らは外交交渉だけに頼って解決を図ろうとしたのが、その限度にきた。しかし、かと言って武力行使というわけにもいかないから、独自の戦術に変更せざるを得ないと説明するしかなかろう。

 拉致被害者の家族の方々にはつらい話だと思うが、こうすることによって安易な解決を図るよりも、米国に責任を擦り付けるよりも納得していただけ話になるのではなかろうか?恐らく、訪米された家族会は、その確認を得るための旅であることをあらかじめ理解した上でのことに違いない。恐らくメディアが騒ぎ立てる以上に家族会は日米朝の関係を誰よりも深く理解しているに違いないからである。

 私は今このように考えている。