杉並の純一郎(3)

2009年12月で68歳に!
先の戦争が一体なんだったのかを今一度勉強し、次の世代に伝えてゆきたい。

男の扶養意識後退!

2010-03-07 11:16:44 | Weblog


 産経は特集で<未来予想図―「選択的夫婦別姓を問う」上・中・下>を取り上げた。と、言ってもまだ今日は「中」までだ、明日恐らく「下」が出るんだろう!
 私が興味を持ったのは「中」であるが、とりあえず「上」に何が書いてあるのか簡単に説明しよう。「上」も十分ビックリだから知っておく必要はある。
▼上▼
紙面には「ほころぶ家族の絆」「お父さんだけ違う姓」とある。
 ・将来生まれてくる子供の姓をどちらにするか。結婚前に決める必要がある。(結婚に至るまでが大変になる)
 ・夫婦別姓は親子別姓である。何人子供がいても子供の姓は皆どちらかひとつ。一度決めたら変えられない。(表札が二つ出る?)
 ・別姓の民法改訂には「非嫡出子差別の禁止」がうたわれ、突然現れた愛人の子供に遺産は平等に配分しなければならない。(中小企業を継いだ処へそんな子供が現れ、例えば半分渡すことになれば会社倒産も有り得る)
< 日本社会は結婚すると、夫婦が同姓となり支え合いながら生きてゆく。この大きな原則が脅かされている。推進者は婚外子差別や家族の多様性など様々な不都合・不満が解消される、社会への影響は少ないと説明するが、同姓家族と別姓家族が混在する社会が私たちに何をもたらすのか?「未来予想」をしてみたい> と結語する。
▼中▼
紙面には「自立からすれ違い」「米の教訓 扶養意識後退」
 「(米国では)1960年代からフェミニズムの影響で、男性からの経済的自立で女性は自由を得ると言う生き方が吹聴され、夫婦別姓や事実婚を推奨する運動が盛んだった」
あるアメリカ人夫婦の場合。
 「何故夫婦別姓にしないといけないのか」と尋ねた夫に私は「夫婦でも独立した人間でいたい」と答えた。夫は納得いかない顔をしたが認めてはくれた。
  長女の出産後、妻は育児と仕事で忙しく夫婦の会話は少なくなった。
  一軒家の購入を夫に相談すると「君は、僕と一生を共にする気がないから結婚しても旧姓のままだし、離婚しても暮らせるよう仕事を続けているんだろう。夫婦共有の財産など後で困らないか。やめよう」
  返す言葉が無かった。別姓選択が、夫と一緒に見られるのが嫌だったのは間違いなかったからだ。
  夫は次第に外での飲酒が増え趣味に夢中に。浪費を注意した妻に、「夫婦でも独立した人間で有りたいと言ったのは君だよ。自分で稼いだ収入を自分の為に使って何が問題なのか。」

  「米国では、女性が社会的自立を目指し仕事をするようになった半面、“妻と子供を扶養するのは男性の責任だ”という意識が急速に薄れた」
  「女性の社会的進出が子育ての外注化を生むなかで、男性が家族を扶養する責任を感じなくなっていった。離婚・未婚の母の増加が家族と言う基盤を失って苦しむ子供たちが急増した。」
  「ペンシルベニア州立大ポール・アマト教授は“安定的な結婚を1980年の水準まで上昇させれば、停学の子供50万人、非行・暴力に走る子供20万人、心理療法を受ける子供25万人、喫煙する子供25万人、自殺思考の子供8万人、自殺未遂の子供2万8千人、それぞれ減らせる”と警鐘を鳴らした。」
  「家族の絆」より「個人の意向」を優先する社会―。これが何をもたらしたのか。米国の女性たちは教訓を得つつある。「(米国女性は)過去25年間で初めて女性の就労率が下降し、女性の86%が“仕事よりも家庭が大事だ”と思っている」(2002年3月12日付USA TODAY)
     米国価値研究所の調査結果による離婚と事実婚についての主な代償
      ・離婚や未婚、再婚した家族で育った娘が未婚の母になる率は3倍に増加
      ・離婚した女性とその子供の30%が貧困に陥っている
      ・親が離婚した子供は両親が揃った家庭で育った子供に比べて、社会人に
       成った時、失業率や経済的な困窮が増加している
      ・母子又は父子家庭で育った子供は、結婚している家の両親の家庭で育った子供に比べ2倍の確率で30代初めまでに実刑を受けている
       (アメリカ価値研究所編「独身者は損をしている」明成社刊から)


 私にはこの「男の扶養意識減退」の記事を読んで思い当たることが有る。
 1993年生まれの精神分析者、岸田秀氏の話であり、氏の言った冗談として受け止められかねない「性的唯幻論」である。氏の著作の表紙にはこうある。
< 人間は本能が壊れた動物である。従って性交も本能では出来ない。人類は基本的に不能である。しかし不能のままでは人類は絶滅する。不能を克服するため人類は本能でなく幻想に頼らざるを得なかった。人類において性にまつわる一切は幻想であり、文化の産物なのである。>

 これだけ読んでもなんだか良くわからないだろうが、記憶をたどれば本を読んで解ったことは以下のようなことであり、そのことは世間一般の理解・常識とは離れているかもしれないが、極めて納得できるものである。
 
 動物の中で人間だけが道具を使い、火を使い、言葉を話すことを通じて、その他の動物が手に入れることが出来ない安全を常時手に入れることになった。人間以外の動物はもっとも安全な時期に子作り・子育てを行い、これに発情期がリンクしているが、人間はこの束縛から自由になり、季節に関係なく何時でも子作り・子育てが出来るようになる。そしてそのことが人間だけが発情期に関係なく性行為をするということを可能にした。氏はこのことを「本能が壊れた」と表現しているようだ。そしてこの性行為の分化が男を奔放にしてしまい、子供に責任を持たない無責任な男を、しまりのない堕落した親父たちを作り出してしまった。これではいけないと、氏によればここで立ち上がったのは女であると言うのだが、当時の社会は何とか男を責任ある立場にさせようと努力した。そして、清純だとか、処女だとか、金が無い男は家庭を持てない、等と言いながら、女が簡単に男の手に入らないようにしてその価値を高めた。そして、そのことの歴史の積み重ねが男社会を作り出した。氏によれば現在の男社会を作り出したのは女であると。

 どちらがこの男女の関係を作り出したかどうかが、問題ではないという指摘もあろうが、もし女が作り出したということならば、現代の女の自立・独立・男女平等は自らがかって作り上げたものを否定し新たな男女関係を作り出そうとしているとも、受け止められる。
 だが、そこで興ることはであろうことは男が再び昔日の無責任状態に戻り、父親としての責任を放棄しかねない、と言うことを意味しないのだろうか?

 最近、政府が検討している「選択的夫婦別姓法」、関連の「非嫡出子相続権の拡大」に関して女性を守るものとして支持(特に女性の)が多いように思われるが、全くそんなことは期待できない。非嫡出子の権利拡大は愛人創りの薦めであり、夫婦別姓制は子孫への責任の放棄であるから扶養意識は希薄化し、家族は間違いなく崩壊してゆく。
 男の立場に立てば、女を求めて放浪し、子供手当を養育費に充てて、女に子孫繁栄の責務を全て押しつけてしまう。女は自らに価値を創出し、これまで家族を維持する責任を男に負わせていたのを、子供産むことから始め女が家庭に全て責任を持つという世界を作り直そうと言うのだろうか?だとすれば、草食男子の存在もこの流れにある事は間違いなかろう。

 私には、そんなことが良い社会を作り出すとは思えない。

 上記米国での報告に見るように、家庭を大切にすることを選択するならば、そしてその選択は正しいと思うが、何れにせよ男女どちらかが家庭を守る必要がある。そして男が子供を産むことが出来ないことを考えれば、男が野に出て餌を漁り、女が家庭と子供を守る、その方が私には合理的な方法に思えるのだが??
 所詮、男女は対立すべき対象ではないのだ。男女揃わないと家庭は出来ず、子供も生まれない、育たない。子育ては片親が片手間に可能なほど簡単ではない。まして子供の教育期間はますます長くなっている。子供など要らないと言う男女もいるが、人間はもう一つの本能までも破壊し、人間社会を終焉させようと言うのだろうか?