父のふるさと「沖永良部島」の太平洋戦争末期の日常を描いた小説です。
父は、戦時中は本土(鹿児島県指宿あたり?)に疎開していて、島にはいなかったのですが、
戦時中の島の様子が描かれていて、興味深く読むことができました。
空襲は日常茶飯事で、沖縄本島への艦砲射撃の音を聞きながら暮らし、沖縄の次はえらぶ(沖永良部島)だと
聞かされたり、米軍上陸に備える様子、米軍機に追われる特攻機を何度も目撃したり、島には沖縄本島からの
脱走兵が来たり、特攻機が不時着したり、大人目線では、暗く厳しい戦時中ではあるものの、
小説の中の主人公は、浜に流れ着く米軍の食糧を拾いにいったり
(地元民は毒が入っていると恐れて拾わないが、主人公は鶏に食べさせて毒が無いのを確認してから食べてた)、
米軍機からの攻撃は、自分の真上に行ってからは撃たれる心配は無いとか、知恵を活かして生き生きと暮らしていて、
文中は、島言葉(沖永良部の方言)があふれていて、ここが私のルーツなんだと島の風景を想像しながら読みました。
私が沖永良部島に行ったのは、1度だけですが、見知った地名も出てきたので、文中の島言葉にてこずりながらも
楽しく読めました。
「この世界の片隅に」のように、戦時中の一般市民の生活の喜怒哀楽がちりばめられてるお話でした。