JOHNY’s BLOG

かほりたつあざやかなはなとどめおくおもいをよせる淡雪のふみ

お気に入りの国文学

2006-02-03 16:28:27 | Book
 『国文学』という雑誌2002/6月号
BOOK OFFで見つけたお気に入りです。200円なり。

短歌の争点として語られるところは大体において現状の社会批評になりえている。
官僚主義的、現状追認的、モラルなき社会のなかで短歌はどうあるべきなのか、なにができるのか。
 私はなにもので、わたしは何ができるのか、と問い続けることにしか生の活路は見出せないように思う。ときに私は”何もできない”ということができるというような逆説も含めて人は生きていく、いや、生きていくしかないということもあろう。
 31文字という定型の中にココロが凝縮されていることに惹かれる。
無限とも思える意味の重ね方に、多元的に解釈する読み手の存在。定型を与えられることで言葉は無限の可能性を秘めてくる。

   ー日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係も -
                             塚本邦雄

さらっと読んでしまえばそのまま何事も起きないのだが、この歌が天皇制や日本人のアイデンティティと強く読み込んだものと理解すれば立ち止まらざるを得ない。
時間の軸も重要だ。この歌が読まれた昭和33年と今では読まれ方がまったく異なるだろう。
短歌のおもしろさのひとつである。
                          

                JOHNY

現代短歌史の争点―対論形式による

短歌研究社

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