HARRY POTTER and Philosopher's Stone (J.K.ROWLING著)より
今回は単語の出だしにつけるun-を使った表現をご紹介します。
~Dursleyさんの奥さんの妹について言及されているシーンより~
・・・because her sister and her good-for-nothing husband were
as unDursleyish as it was possible to be.
引用文の前半はこの「ゆっくりハリー・ポッター」シリーズの(1)でご紹介した表現です。
as で挟まれた単語 unDurselyish が今回のポイントです。
まずは少しだけ文法の説明を♪
このas ~ as を使った表現、
~の部分には形容詞、もしくは副詞の原形(もとの形)がきます。
そして、形容詞か副詞のどちらを入れるかは
その文章のメインの動詞の種類で決めます。
メインの動詞の部分(ここではwereです)に
be動詞しか見当たらない場合は形容詞、
動作を表す一般的な動詞(~ing, ~edの形も含む)があれば
副詞を使います。
ここではwere(be動詞)しか見当たりませんので
形容詞であるunDurselyishが使われています。
が、このunDurselyish、
辞書で調べても載っている単語ではありません。
???
何故か。
それは造語だからです。
よく見ると真中にDurselyさんの名前が使われています。
そして、最後に-ishと。
この-ish はとても便利な接尾辞(単語の最後に付く語)で
(すべての単語に対応できるというわけではありませんが)
単語の後ろにこれを付けるだけで『~っぽい』という
形容詞に変化させることができます。
私がこれまでに面白いなと思った-ishを使った表現は
時間の後に-ishを付けて
five o'clockish
「5時くらい」という意味の表現で、
ファイブ オクロッキッシュと読みます。
分解すると、five o'clock 5時(ちょうど)
(*ちょうどの時間にしかo'clockは使いません)にishが付いています。
さて、引用文に使われていた表現
unDurselyishですが、
Durselyさんの名前にishがついて『Durselyさんっぽい』と
いう意味を表しています。
「~っぽい」は「~らしい」とも訳せます。
そしてここではDurselyさんの奥さんの妹夫婦のことを
説明していますので、
ここで使われているDurselyという名前は
Durselyさん一人についてではなく、
Dursely家の人々のことを指しています。
それらを合わせてDurselyishを訳してみると
「ダーズリー家の人間らしい」というような意味になります。
そして、さらに原文の表現ではここにun-が加わっています。
un-は『~ではない』という否定を伝える接頭辞(単語の出だしに付く単語)です。
happy (幸せ)の反対語はunを付けてunhappy(不幸せ)
believable(信じられる)にunが付いてunbelievable(信じられない)と
いう形と同じです。
ということは、、、
unDurselyishで「ダーズリー家の人間らしくない」と言う意味になりますね。
ここから先の引用文の表現は少し難しい文法が使われていますが、
簡単にいうと
as ~ as it is possible to be. とは
「~がそうなれる限りそうだ」ということを伝えていて
「全く~だ!」「とても~だ!」と~の部分にくる単語を強調する表現です。
ここまでのポイントを合わせて引用文を訳してみると、、
・・・because her sister and her good-for-nothing husband were
as unDursleyish as it was possible to be.
「・・・なぜなら彼女の妹とその何の役にも立たない夫は、
全くダーズリー家の人間らしくないから」
という風になりますね。
ちなみにハリーポッターのお話では、
今回引用した文章の前に
ダーズリーさんの奥さんが、
自分に妹がいることを隠しているということが書いてあります。
ダーズリー家の人はまともだと考えている奥さんの
その妹とその夫は、奥さんの意見では全くダーズリー家に
そぐわないすごくおかしな人間だということを伝えているのでしょうね。
解説が長くなりましたが、
今回のポイント、un-を使って
「~らしくない」という表現を活用してみます。
まず、「あなたらしい」という時の表現は、
It's like you. を使います。
ここでは「らしい」をlikeで伝えていますので
likeにunをつけて言うと、
It's unlike you.
「あなたらしくない」という表現になります。
このIt's unlike ~. の構文は色々応用が利きます。
unlikeの他に
unDurselyishのように
名前の前にunを付けてしまう大胆な(?!)活用法もあります。
この間 アメリカのドラマ、NCISを見ていた時のこと、
いつもと様子が違うトニーのことを心配した仲間たちが話していた会話の中で
It's so un-Tony.
(すっごくトニーらしくない)
という表現が使われていて面白いな♪と思いました。