7章 ダンダングラ 46節~50節から引用。
『46、人間の全身が動物力で満たされ、翻弄されると、そのようになる。
本来は美しく傷一つない肉体も、実際は動物力やその他の(低次の)諸力の単なる道具に完全になり下がってしまう。
47、この影響を被るのは彼自身の自我(Pribadi)だけではない。
というのは、子孫もまたその影響から逃れられないからである。
その結果その人の生活とその子孫にまで本当に大きな害を与えるのである。(注1)
48、現実はこのようであるが、我々人間の多くは依然として、自分の内部自我(Diri Pribadi)についての真実を理解したいとか、意識したいとは思わない。
その結果、多くの男女がハート(Hati)に喜びを与える事柄だけを基準にして結婚している。(注2)
49、それゆえ、本当に望ましくない多くの事が起こる。(注2)
すなわち、多くの人が人間としての地位(Jasmaniレベル)にふさわしくない行動をするようになる。
つまり、真の人間的な性質を欠いてしまうのである。(注2)
従ってこのような人々は、人間としての地位を維持するための完全な基盤であり、またその中心となる人間としてのジワ(Jasmani レベルのJiwa)を全く失っていると言える。
50、その結果、このような人々の中に人間の内的な本質すなわちクジワアン(kejiwaan)を研究する事に関心を持ち理解したいと望む者がいたとしても、その進歩はきわめて遅々たるものとなるであろう。』
8章 キナンティ 1節~6節から引用
『1、これが自分の内部自我(Diri Pribadi)を理解し、それに対する洞察力を得ようという気持ちがないものが被る結果である。
従って、自分の妻と交わりを持つ時に、その意義に気がつくことができない。(注3)
言いかえれば、彼はただ欲望にうながされて妻と交わりを持つのである。
2、当然、その子供たちもこのような過ちの影響から逃れることはできない。(注4)
親と同じ過ちを子供はおのずと繰り返す。
3、このような過ちが子々孫々果てしなく受け継がれてきている。(注5)
それゆえ、このような間違った行為についてもうこれ以上論じない方が良かろう。
なぜなら、親を責めても仕方がないからである。
4、このような過ちがあなた方よりは先に続かない様にすれば、それで充分である。(注6)
そのときあなた方は、これらすべての過ちを正し始める為に自分を準備することができる。
そうすれば将来、望んでもいない力(注:物質力、植物力、動物力)の圧迫から逃れる事ができる。
5、この点で、あなた方の身体は外側の特徴(注:人間という外観上の姿)に合う様に出来る限りうまく修理、改築し始めた家の様なものである。
それはあなた方がやがては人間としての真の地位(Jasmaniレベル)に本当に気がつくようになる為である。
6、こうすることによって、新たな障害にぶつからないかぎり(注:余計な寄り道をしない限り)あなた方は外的(身体的)にも内的(精神的:霊的)にも健康になっていくであろう。』
9章 シノム 24節、25節
『24、これが貪りのナフス(nafsu aluamahナフス アルアマ)にただ身を任せてきた人の誤った行動の結果である。
それゆえ、そのような習性をさけ、動物力があなたの感情を支配し、あなたの進歩の妨げとならないように努めるのが最善である。
25、それに失敗すると、あなたは将来道を見失うばかりか、現在においても動物力の影響をうけ、さらにあなたの子孫のジワJiwaの質を引き下げてしまいかねない。(注1)』
注1 カルマの遺伝について
ダンダングラ 46節、47節とシノム 25節、26節の主張はほぼ同じ内容になっています。
いずれも動物力の衝動に盲目的に従って行動した結果についての警告になっています。
さて当面バパの主張に沿って、生まれてくる子供のジワのレベルについてはその子供の責任を不問とした場合の事になりますが、そうしますと両親の行動によって劣化してしまった内部感覚(Rasa Diri)の状況がそのまま子供に引き継がれる事によってカルマ(内部感覚に蓄積した間違い全て)が子供に引き渡される事になります。
こうして親のカルマが子供に引き継がれ、親の犯した過ちと同様の行動を子供がとる、という事になります。
以上の両親からのカルマの引き継ぎについては「バパの”人間の種( human seed:biji manusia)と誕生論”」で考察しました。<--リンク
以下、要点を引用しておきます。
『・・・・・
さて「人間の種子」が完成する、というのはどういう事でしょうか?
その人の魂(Jiwa)は夫と妻の合一の時に「完成した人間の種子に宿るもの」と説明されています。(8月22日1959 バパ)
ですので魂(Jiwa)以外で両親から子供に引き継がれるものは、魂が宿る前に「人間の種子」の内容になっている事が必要です。
まずは先祖から伝わる代々のカルマ(Karma)が父親と母親から子供に引き継がれます。
これは両親の内部感覚の中に存在する誤りを合わせたものになります。
(これは「両親の内部感覚を平均した状況の内部感覚が子供に引き継がれる」ということと同じです。
こうして子供には先祖代々の誤り、カルマ(Karma)が引き継がれてゆく事になります。)
次に物質力から人間力にいたる基本的な4つの諸力が父親と母親から引き渡されます。
二人の諸力の特徴に差がある時はその平均的な所が子供に渡されることになります。
そうしてこの4つの諸力によって子供の中に人生を渡ってゆくのに必要となる4つのナフスnafsuが生まれることになります。
・・・・・』
注2
『その結果、多くの男女がハート(Hati)に喜びを与える事柄だけを基準にして結婚している。
49、それゆえ、本当に望ましくない多くの事が起こる。
すなわち、多くの人が人間としての地位(Jasmaniレベル)にふさわしくない行動をするようになる。
つまり、真の人間的な性質を欠いてしまうのである。』
上記の文章は結局
①多くの男女がハート(Hati)に喜びを与える事柄だけを基準にして結婚している。
ので
②真の人間的な性質を欠いてしまうのである。
と主張している事になります。
しかし①と②の間に直接の因果関係はない様に思われます。
もっというならば、基本的にはジャスマニレベルの男女が結婚する以外に子供がジャスマニである可能性はないのです。
そうすると、結婚する当事者同士のジワJiwaのレベルが問題なのであって、①が問題なのではないことになります。
但し、この忠告はすでにジャスマニレベルに到達している当事者については非常に重要になります。
(一般的には当事者がジャスマニレベルに到達しているのかどうか、という事は不明な事ではありますが、何らかの事情でそうである事が分かった、としましょう。)
そのような当事者は結婚相手がまずはジャスマニレベルにある、と言う事が希望すべき第一条件となります。
この場合には①のような基準で結婚相手を決めるのはお勧めできず、バパの忠告が有効になります。
しかしながら現状はそのような理想的な結婚はほとんど起こらない、というのがバパの見立てでもあります。
第11章 アスマランダーナ 34節
『・・・しかし実際には、きわめて多くの人々が、外見は人間であっても、内部にジャスマニ、つまり人間力をまだ持っていない。・・・』
つまり仮に運良く当事者がジャスマニレベルにあったとしても、その結婚相手を探し出す、というのはこれまた至難の業になる、というのが今の状況の様です。
(ところで上記の様に、ある人がどのレベルにあるのか、というのは外見からは分かりません。
そして、相当長くおつきあいすればある程度は見えてくるでしょうが、通常はそれほど長い時間をかける事はできません。
そうして、それゆえにインドではカースト制を、目に見える階級が魂のレベルを示すと決めたのであります。
しかしながら、バラモンの職にあるものが本当に高貴な魂をもっているのかどうかは定かではない、というのが現実の様に思われます。)
ーー>以下(注7)に続く。
ちなみにそれゆえにバパは「協会内部に結婚相談所を開設する事」を提案されたと思われます。
しかしながら、そのアイデアは実現には至らなかった模様です。
注3
『従って、自分の妻と交わりを持つ時に、その意義に気がつくことができない。
言いかえれば、彼はただ欲望にうながされて妻と交わりを持つのである。』
さて、そうではないような仕方での性的合一については「バパの結婚と礼拝の論」で語っておりますので、そちらをご確認ねがいます。<--リンク
しかしながら、そのような「性的合一が礼拝にまで高められる」為には、まずもって男女のお互いの性器官がラティハンによって浄化されなくてはならない、と言うのが結論になります。
そうして、そのような状況になる為には、その男女はすでにジャスマニレベルに到達している必要がある、という事になるのです。
注4
『2、当然、その子供たちもこのような過ちの影響から逃れることはできない。
親と同じ過ちを子供はおのずと繰り返す。』
さて、ジャスマニに到達していない両親から生まれた子供は、残念ながらジャスマニレベルになっていません。
そうであれば、両親が行ってきたような「性的合一の仕方」以外にそれらの子供達が行える方法はありません。
バパは「礼拝に至っていない性的合一は誤りだ」としてそれを「過ち」といいます。
バパの観点からすればそうなのでありましょうが、しかしながらそれは今の人類にとっては相当にハードルが高い様に思われます。
注5
『3、このような過ちが子々孫々果てしなく受け継がれてきている。』
バパによればこれが人類が抱えているカルマのそもそもの元凶となります。
注6
『4、このような過ちがあなた方よりは先に続かない様にすれば、それで充分である。』
あなた方はラティハンによってまずはジャスマニレベルに到達しなさい。
そうして、それから礼拝にまで高められた性的合一によって子供を持ちなさい、というバパの無理難題であります。
さて、1952年に受けられた「スシラ ブディ ダルマ」ではバパはそのように言いましたが、なかなか現実はそうはいかない様でした。
それで32年後の1984年には、「せめてこうしなさい」という、以下の様な忠告をトークでしておられます。
April4月21日, 1984 - Bapak
『・・・・・
それはアラジンAladdinの(魔法の)ランプの物語のようなものです - ランプをこする人は悪魔の住居に吸い込まれます。
なぜ?
人間自身の間違いのために。
なぜこれはすべて起こるのですか?
思考、感情心、思考心を間違った方法で使っているからです。
これが、バパがあなたにある事を伝えたい理由です。
バパが最近ジャカルタ外のメンバーに言ったことですが、ここ(チランダ)でも繰り返す価値があります。
少なくとも、他の人を傷つけたり傷つける心や意欲を持たないでください。
復讐感や憎しみをはるかに少ないように。
これは絶対に許可されていません。
神聖なコーランの詩では、それは言われています。
イスラムの人は、別のイスラム教徒に対して嫌悪感や復讐感を感じてはいけません。
恨みの気持ち、恨みの抱きしめ、復讐の意志は、その気持ちを持っている人が、復讐する人、場所、物に、つまり、彼が憤慨しているまさにそのような人へと肉体化(incarnated)されることを意味します。
これが現実です。
あなたが男であり、あなたが結婚していて、あなたの妻が妊娠して子供を孕んでいる場合、あなたが誰かを憎むようになったら、あなたに生まれる子供は、あなたが嫌う人のようになります。
はい。あなたが軽蔑する人が知的で親切で美しいものであっても、(あなたが持つ子供は)知的ではなく、親切ではなく、善良でもありません。
そのように登録されます。
そしてこれ(間違い)はすべて人間自身が作り上げたものです。
・・・・・』
そうして、以上の様な忠告は「スシラ ブディ ダルマ・6章の1 カルマについて」で取り上げたジャワの伝統のなかにある、「人は努力をすることによって、良い子孫を得る事ができる」というものと同等のレベルのものに見えます。
この詳細については「それはGumelaring Jagad(宇宙の重層性)です」の第44節を参照願います。<--リンク
注7(注2からの継続)
ジャスマニレベルの人が何故そんなに少なくなるのか、ということの計算に基づく数学的な考察ですが、長くなりますのでページを改めて記述する事にします。<--リンク
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PS
以上の内容に関連したカルマKarmaについての記事にはこちらからも入れます。<--リンク
そこには自分を中心に前後7代にわたっての霊的なつながり、リンクの事も述べられています。
そうして、そのような霊的なリンクについてはスシラ ブディ ダルマの中でも一部は言及されています。
8章 キナンティ 6節~9節から引用(前述キナンティ章の続き)
『6、こうすることによって、新たな障害にぶつからないかぎり(注:余計な寄り道をしない限り)あなた方は外的(身体的)にも内的(精神的:霊的)にも健康になっていくであろう。
7、あなたがそのようであれば、たとえ親の過ちを正そうという気持ちがあなたに全然なくても、親の内面の本質も(親の生死にかかわらず)おのずから影響を受けるであろう。
8、別の言い方をすれば、親が望むと望まないとにかかわらず、あなたが進歩すれば間違いなく、あなたの両親も恩恵を受ける。
つまり、期せずして彼らの状態も良くなるのである。
9、従って子供が両親を高い段階に引き上げる事が出来る、と言う事は本当の事である。
そうなれば親が子供の真の自我(Diri Pribadi)の成長を妨げることはもはやなくなる。』
ここの部分のスシラ ブディ ダルマの記述は「子供が出家した事による孝徳が親に伝わる」という仏教の話と通じるものがあります。
連載「スシラ ブディ ダルマ」にはこちらから入れます。<--リンク
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