試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成3300形モハ3311[3312F-3] 新赤電色 (側面窓セル修正,走行部品組込,側面行先方向幕基準表示化施工) ※TOMYTEC製

2019-09-07 21:40:00 | 京成線:3300形
発展性。

TOMYTEC製京成3300形3312F新赤電色(1次車:3312F-3)の第二次整備を開始する。
これまで投入したTOMYTEC製京成形式では何れも側面窓セルの取り外しに難儀している。
当然3300形でも苦戦が予想され入場第一陣は上野寄M1車のモハ3311(3312F-3)とした。


京成3300形モハ3311 1次車 新赤電色(3312F-3)。
※TOMYTEC製。

モハ3311(3312F-3)は非動力車での竣工が決定しており工程数が限られる。
側面見附修正は3500形更新車3520F現行仕様(3520F-4),3532F後期仕様(3532F-2)で深追いし過ぎ出場が遅れる要因となった。
この経緯から3312F-3は最低限の措置とし側面窓セル窓サッシ印刷が行き渡っていない箇所を補修する程度に留める。
なお第一次整備でグリーンマックス製PT-43S形パンタグラフへの換装も行ったためモハ3311の外観はほぼ完成形に達していた。
従って第二次整備は走行部品組込,側面窓セル嵌合爪先端部修正が主工程となる。
このうち一体化を含む床下関連項目はTOMYTEC製品共通仕様へ倣う方針とし構造解析が重点に置かれた。


入工中のモハ3311。

取り敢えずモハ3311を分解したところ上野寄には側面窓セル押え部品が設けられていなかった。
側面窓セルは成田寄妻面窓セルだけで支持される構造に変わり簡略化へ梶を切ったらしい。
その側面窓配置から3300形は3500形3556F(3次車),3592F現行色(6次車)を踏襲するものと考えていた。
やや意表を突かれたが側面窓セルの取り外しは容易くなると予想している。
更にこの仕様変更に拠るものか車体両端の天井部欠き取り幅が短縮された。
そのため屋根板の押し出しには径が細いプラスチックドライバーを用いている。


各部品を固定化した屋根板と床板。

屋根上機器はグリーンマックス製PT-43S形パンタグラフを除き流し込み接着剤で固定した。
特別気になる症状は見られなかったが在籍するTOMYTEC製京成形式に合わせている。
なお第一次整備時に一定の手応えを得られたグリーンマックス製PT-43S形パンタグラフは何も施していない。
一方床下機器部品は枕木方向にぐらつきが発生するなど今一つの嵌合精度であった。
第二次整備には床下機器部品の固定化も工程に含まれており台枠内側から溶着している。
施工はぐらつき防止が名目であり2点固定に留め万が一の台枠交換へ備えた。


爪楊枝で嵌合を解いた側面窓セル。

ここから第二次整備の鍵を握る側面窓セル撤去へと移行する。
片側支持に改められた側面窓セルは妻面窓セルの凸形成形部を突破すれば取り外せそうだった。
ところが妻面窓セル凸形成形部は従来より突き出し量が増やされていた。
偶柱部にニードルを差し込んでも側面窓セルはこの凸形成形部を乗り越えられない。
加えて無理に角度を設けると凸形成形部が折損する危険性が高まると思われた。
そこでニードルから爪楊枝へ持ち替え妻板を撓ませながら凸形成形部との間隔確保に努めている。


車体再現だった側面行先表示器。

強引さは否めない方式だが何とか両側の側面窓セル撤去まで漕ぎ着けた。
3500形までは撤去直前に側面行先表示器部の変形防止策を要しており3300形も同一仕様かと思われた。
しかし3300形用側面窓セルは嵌合を解くと同時にあっさりと脱落している。
意外にも3300形用側面窓セルには側面行先表示器が再現されておらず平面で成形されていた。
側面行先表示器が車体再現に変更されたのは3200形への展開を考慮したものと思われる。
取り外すだけで約10分を要した側面窓セルだが今後に期待を抱かせる作業となった。


組み立てを待つモハ3311。

措置の甘い嵌合爪先端の湯口痕はクラフトナイフで平滑化する。
小傷が多数あるように見えていた側面窓セルだが大半は粘着物質の付着を原因としたものだった。
裏表面双方に謎の粘着物質がこびり付いており除去は時間を掛けて行っている。
多少乱れのある窓サッシ印刷だったが補修には至らず作業は殆ど清掃で占められた。
側面窓セルの組み付けはやはり妻面窓セル凸形成形部の取り扱いが注意点となる。
突き出しが長いため側面窓セルを滑り込ませるには多少無理があった。
結局撤去時と逆の手順を踏み妻面窓セルを妻板ごと外側に湾曲させ嵌合まで持ち込んでいる。




モハ3311(3312F-3:側面窓セル修正,走行部品組込,側面行先方向幕基準表示化施工)。
※TOMYTEC製。


モハ3311新赤電色本線仕様(3312F-2)。
※マイクロエース製。

座席部品と台枠は剛性確保を狙い両端部へ流し込み接着剤を投入し一体化を図った。
また金属車輪には輪心黒色化を施しKS-121非動力台車の見付向上策としている。
[普通 千葉中央]表示が印刷済だった側面行先表示器は諸事情により[普通 ]表示へ変更となった。
基準幕化には青マッキーを用いたが車体再現のせいか上手く[千葉中央]に塗り潰せず斑が残ってしまった。
ただ気になっていた側面窓セル嵌合爪先端の湯口痕が切除され全体の印象は良くなったと感じられる。
ひとまず基本構造を把握できたため所期の目的は果たせたと思う。
モハ3311新赤電色(3312F-3)の竣工を切っ掛けにしたいところだが以後も側面窓セル着脱が壁になるだろう。

京成3300形3312F 1次車 新赤電色 千葉線仕様 回着 (誘導無線アンテナ取付,カプラー・パンタグラフ換装施工) ※TOMYTEC製

2019-09-06 21:58:24 | 京成線:3300形
競合。

TOMYTEC製京成形式は3500形3592F現行色(6次車),3556F朱帯色(3次車)以降リリースが相次いでいる。
200形206F,3500形3520F,3532F,3544F更新車の後を受けて登場したのは3300形3312F,3328Fだった。
マイクロエース製品の独壇場であった3300形にもTOMYTEC製品が進出を果たした。


京成3300形3312F 1次車 新赤電色。
3312F:[3312]-[3311]-[3310]-[3309]。
※TOMYTEC製。

3312F(1次車),3328F(3,4次車)の同時回着で先発入場は3328Fを予定していた。
ところが3328Fは諸事情により返却回送を要したため3312Fと順序が入れ替えられている。
第一次整備はモハ3312,モハ3309への誘導無線アンテナ取付とモハ3311,モハ3310のパンタグラフ換装を軸に据える。
TNカプラーSP化も同時進行とするがモハ3312,モハ3309の運転台側に限り第二次整備へ廻す。
前面は三平面折妻でTNカプラーSPカバーのジャンパ連結器モールドと支障する可能性が高い。
また車体不当沈下発生に対する不安も過り第一次整備での運転台側TNカプラーSP化を見送った。


入工中のモハ3312

丸みを帯びた車体裾は3000形から続いた特徴でTOMYTEC製3300形の美点だと思える。
マイクロエース製3300形,グリーンマックス製3150形に続く新赤電色だがグリーンマックス製3150形寄りに感じられた。
モーンアイボリーを縁取るステンレス飾り帯の乱れは少なかったがさすがに戸当たりゴムモールド部には個体差が伺える。
また側面窓セル嵌合爪先端の湯口痕処理が甘い傾向は全車で確認された。
一部では車体裾からはみ出す車両まで存在し第二次整備時の改善項目に浮上している。
基本構造に変更は見られずさっそく誘導無線アンテナの取付へ取り掛かった。


誘導無線アンテナを取り付けたモハ3312

3300形M2車も屋根板を取り外さずに誘導無線アンテナ取付口が開けられる。
そのため誘導無線アンテナは差し込むのみに留める予定だった。
ところがΦ1.0mmのドリルで開孔した取付口は誘導無線アンテナ取付脚との相性が極端に悪かった。
安定性以前の問題で車体を裏返すと送信用,受信用アンテナとも脱落してしまう。
TOMYTEC製誘導無線アンテナの保管品は折損予備分程度しか確保されていない。
止むを得ず屋根板を取り外し双方とも微量の流し込み接着剤で固定した。




モハ3312 [■ ■ ■ 普通 千葉中央]:誘導無線アンテナ取付,KS-121非動力台車TNカプラーSP対応化施工。

3312Fは[■ ■ ■ 普通 千葉中央]表示が印刷済で千葉線系統充当に適していた。
しかし運行番号表示器は相変わらずの前面窓セル表面印刷であり製品付属ステッカーでは凹凸を防げない。
英字無併記[普通]種別幕はやや小振りな上種別表示器との隙間が目立つ。
行先方向幕も引き込み気味に映りもう少し前進させたいところである。
製品仕様を維持させるか富士川車輌工業製ステッカー再現に変更するか検討したい。
ただ印象把握そのものの印象は悪くなく拘らなければ原形でも通用すると思う。


入工中のモハ3309

モハ3312の次に入場させたモハ3309では当初から屋根板を撤去している。
同一LOT品を用いる限り誘導無線アンテナの嵌合精度は変わらないと予想した。
案の定モハ3309でも誘導無線アンテナの状況は変わらず線路方向でのぐらつきが生じた。
脱落する程ではなかったものの垂直姿勢の維持が難しく溶着固定となった。
TOMYTEC製非動力台車はTNカプラーSPマウント底面と接触する個体が散見される。
そのためKS-121非動力台車のアーノルトカプラーマウントを根元から切除した。


モハ3309 [■ ■ ■ 普通 千葉中央]:誘導無線アンテナ取付,KS-121非動力台車TNカプラーSP対応化施工。

TNカプラーSP対応化は上野寄,成田寄に関わらず同時施工している。
特に3312Fはサックスブルー成形KS-121非動力台車を履いておりアーノルトカプラーマウントが余計に目立っていた。
まだダミーカプラーが残るモハ3312,モハ3309だが床下見附はかなり向上したと思える。
モハ3312は貫通幌座の銀色再現に甘さが見られた一方モハ3309ではライトリムへの塗装が不足していた。
何れも油性ペイントマーカー若しくは油性メタリックマーカーにて補修を施す予定である。
但し失敗すると取り返しのつかない事態に陥るため深追いはしない。


換装を終えたグリーンマックス製PT-43S形パンタグラフ(モハ3311)。

パンタグラフ周りではヒューズボックスと避雷器の色温度が変更された。
ここは3520F,3532F,3544Fからの改善点で各々が存在感を放ち効果的に見える。
重厚な固定式パンタグラフはグリーンマックス製PT-43S形パンタグラフへと交換した。
嵌合精度が低かった200形206F更新車晩年仕様(206F),500形更新車荷電仕様(502F)ではゴム系接着剤併用固定を採用した。
個体差か改善かは不明ながらモハ3311,モハ3310は挿入だけで十分な装着感を得られている。
今のところモハ3310を動力ユニット搭載車に起用する方向だが未確定要素が含まれるためTNカプラーSPを取り付けた。




モハ3312+モハ3311 (3312F:TNカプラーSP化,グリーンマックス製PT-43S形パンタグラフ交換施工)。

仮にモハ3310へ動力ユニットを搭載してもTNカプラーSPは流用が可能である。
二度手間に感じられなくもないが2両単位で完成線へ留置させる関係から入場までの間その役割を果たしてくれるだろう。
なお3312Fで起用した黒色成形密着自動式TNカプラーは全て予備品が充当された。
保管期間が長く既に白濁現象が発症しており歯ブラシでの乾式清掃を行い黒色へ戻している。
これで黒色成形密着自動式TNカプラーSPから長期予備品が消滅した。
モハ3312,モハ3309の運転台側には新規投入品が充てられるため白濁対策は最小限で済むと思われる。




3312F-3 (第一次整備完了)。
※TOMYTEC製。

第一次整備を終えた3312Fは防護無線アンテナ取付が主な外観変化となった。
大幅に規模が縮小されたが初投入のTOMYTEC製3300形であり第二次整備での構造解析を要する。
側面窓セル嵌合爪先端部の湯口痕整形乱れは安全策を採り分解して行うため敢えて軽微な整備に留めた。
その分第二次整備が忙しくなるが先ずは工程数の少ないモハ3311から取り掛かる。
結果如何ではモハ3312,モハ3309の整備にも影響を与えかねず慎重な作業を心掛けたい。
なお3312Fの編成管理番号はマイクロエース製3312F新赤電色(3312F-2)の追番とし3312F-3に決定した。
プロトタイプが被ったのは誤算だったが3312F-2は本線仕様のため完全重複は防げると思う。

京成3300形モハ3354[3356F] 復活青電色 動力ユニット整備(段付加速,騒音改善:摺動抵抗軽減)

2017-08-16 21:27:45 | 京成線:3300形
一区切。

マイクロエース製京成3300形の動力ユニット整備は最終編成の3356F復活青電色(3356F)を迎えた。
3344F現行色特急成田山号仕様(3344F-3)は3304F現行色特急成田山号仕様(3304F-7)と常時4+4編成(3344F-4)を組む。
出場後に動力車をモハ3303(3304F-7)へ変更し4T化されたため3344F-3は入場を要さない。


京成3300形3356F 復活青電色。
3356F:[3356]-[3355]-[3354]-[3353]。

3356Fは1972年2月に製造された3300形そして3000系列の最終編成である。
製品はマイクロエース製3300形の1stLOTに該当し実車とは真逆の存在と言えよう。
3300形金属バネ台車グループの更新修繕第一陣は3356Fだった。
ちなみにモハ3354+モハ3353は3316F(1次車)より先に竣工している。
全車が健在だった2003年1月の時点でモハ3354+モハ3353は増結用の半ユニットに廻っていた。
しかし不運にも事故廃車となったモハ3330+モハ3329(3356F)に代わりモハ3354+モハ3353が充当された。
この組成変更が運転台撤去車を抜く形で行われた4両編成化時の通番編成組成に大きく作用した。
3356Fはモハ3332+モハ3331が廃車された2007年11月に落成当時の編成へ復帰している。
その後京成100周年記念のリバイバルカラー再現編成に抜擢され青電色を纏った。
2010年6月頃に色地種別幕への交換が行われた後2013年2月を以て運用から離脱している。


誤設定だった色地[普通]種別幕当時の3356F。

試作品やカタログ画像で3356Fには大きな期待を寄せていた。
ところが回着した製品は試作品と全く異なる色温度で目を疑ったと同時に期待は打ち砕かれた。
復活色3編成で一番待ち望んでいた青電色は自分のイメージとは全く異なるものだった。
しかも例によって付属ステッカーに惑わされ色地[普通]種別幕で出場させている。
その後[京成100周年]ステッカー印刷との齟齬に気付き白地[普通]種別幕へ交換までは済ませた。
しかし実車との色温度差が激しく余り稼働率は上がらなかった。
実車の引退から時間が経過したここ数年で違和感が薄れ出番が増え始めている。
ようやく復活青電色に見慣れてきたがTOMYTEC製京成200形206Fのリリースが公表された。
無事導入に至るか微妙な206Fだが色温度次第では動向が変わる可能性があるだろう。


モハ3354 復活青電色(3356F)。

モハ3354は当然動力ユニット整備を行わないまま竣工している。
3356Fはイメージの乖離から出場後の走行距離をなかなか伸ばせなかった。
これが影響したか不明だが低速時に於ける段付加速が激しい。
また同一LOTの動力ユニットに比べギア周り付近から発せられる騒音も大きかった。
今まで施してきた動力ユニット整備で同様の事例は通常の工程で解消に至っている。
モハ3354も症状改善を目指し整備を開始した。


入工中のモハ3354。

動力ユニットの分解後初めに確認したのは導電板の状態ではなくモーターストッパーの有無だった。
京成3300形1stLOT動力ユニットではモーターストッパーの無い個体が存在する。
既にモハ3315現行色中期仕様(3316F-3),モハ3346復活赤電色(3324F)への追設を施した。
モハ3315はKS-121が所要でモハ3310(3312F復活新赤電色:二代目)用動力ユニットを搭載しており1stLOT相当品だった。
現在手元にモーターストッパーの予備品が無く不安を抱いていた箇所である。
幸い灰色成形品のモーターストッパーが目に入り一安心した。


研磨中の導電板。

最大の不安が拭えたところで導電板磨きに着手した。
若干酸化進行が見られたが思いの外状態は良い。
何も手を加えなかった事が幸いしたのかラプロス#4000での研磨は短時間で終了している。
ただ酸化そのものが防げた訳ではなく研磨後は銅粉でユニットカバーが黒ずんでしまった。
クリーナーで拭き上げた後に乾いたクロスで入念に仕上げを行った。


油脂で覆われていたモーター軸。

モーター周りでは黄金色に変色したモーター軸が目に留まった。
軸長の約半分が全周に渡り油脂の幕を被った状態になっている。
モーター単独駆動試験でも回転に渋さが感じられた。
油脂幕はクリーナーを浸けた綿棒が役に立たないほど固着していたため爪楊枝で擦り取った。
モーター軸表面を仕上げた後にモーター軸受への注油を行った。
手動でモーターをゆっくり回転させ油を馴染ませる。
再度の単独駆動試験では渋さが解消されスムーズな回転を取り戻している。


純正グリスが少なかったKS-131動力台車。

モハ3354はKS-131動力台車を履くがモハ3334現行色とは異なり灰色成形品のギアボックスを持つ。
比較的純正グリスが目立ち難い成形色だが実際の投入量も少なかったらしい。
3300形1stLOTの動力台車はKS-121,FS-329Dも存在する。
何れも純正グリスは少量で現在よりも抑えられていたと思われる。
但し残った純正グリスは固形化の進行が激しく除去には苦戦した。


ギアボックスの縁に残る固形化した純正グリス(成田寄)。

ギアボックス内部は比較的綺麗な状態を保っていた。
その代わりスパイラルギアカバーとの嵌合部にはこびり付いた純正グリスが目立つ。
モーター軸と同様にクリーナーを浸した綿棒では歯が立たず爪楊枝で掻き出した。
微妙な段差とRの存在で残滓除去に時間を要したが極細綿棒で取り除いている。


厄介だった動軸ギア清掃(上野寄)。

小ギア類は上野寄用,成田寄用を纏めて清掃するため先送りとした。
動軸ギアはギア谷に純正グリスが固着した状態で残っていた。
モーター軸,ギアボックスでの純正グリス除去で難儀しており初めから爪楊枝を手に取っている。
極細綿棒での清掃は省略し歯ブラシにクリーナーを適宜浸けながら脂塊の除去に至った。


清掃の必要が無いと思えたKS-131動力台車枠(成田寄)。

ロアフレームは脂染みが一切見られなかった。
やはり1stLOT動力台車はグリス投入量が控え目だったと考えて良いだろう。
念のためクロスで拭き上げたが状態の変化は全く起きない。
ロアフレームに限っては清掃そのものが不要だったかもしれない。


純正グリスを除去したギアボックス(上野寄)。

ここまでの経緯から小ギア類はクリーナー浸けを選択し純正グリスの溶解を待つ事にした。
さすがに都合6個のギアを1谷ずつ清掃する気にはなれなかった。
この判断は正しかったらしく純正グリスは呆気なく溶け歯ブラシだけで消え去っている。
先にKS-131動力台車各部の清掃が完了したため上野寄,成田寄共に組み立てた。
清掃前に比べ車輪回転が非常に軽くなった。
固形化した純正グリスがスムーズな動力伝達を出来なくさせていたと思う。


状態の悪さが際立ったスパイラルギア一式。

台車周りではスパイラルギア一式の清掃が最後に廻った。
KS-131動力台車とは打って変わり純正グリスが大量に残っている。
固形化進行度合いは変わらずスパイラルギア押えが金属ギア軸にへばり付く始末だった。
スパイラルギアは金属製が幸いしクリーナーと歯ブラシで輝きを取り戻せている。
一方プラスチック部品は粘り強く純正グリスの除去を行うしか手が無かった。
なおスパイラルギアカバーはスリットへのグリス侵入が殆ど無くクリーナー浸けには至っていない。


整備を終えたKS-131動力台車。

整備前に比べ褐色に変化した箇所が無くなり格段に見映えが良くなったと感じる。
各ギア谷を埋めていた純正グリスは取り除かれ噛み合わせを邪魔する物質が排除された。
この時点で騒音に関してはほぼ解消が予想できた。
主因はスパイラルギアの溝を浅くしていた純正グリスだろう。
動力台車の主ギアに通常よりも大きい上からの圧力が加わったと推測している。


全工程が完了した動力ユニット。

ギアへタミヤ製グリスを添加し動力ユニットを組み立てた。
残る工程は踏面清掃と駆動試験の2項目である。
先ず津川洋行製ホイールクリーナーで踏面清掃を行った。
トラクションタイヤ都合で低速での施工となるが挙動の不自然さは感じられない。
予想通りギア周りから生じる騒音も抑えられていた。
後はスケールスピードでも異常が発生しないか確認するだけである。
試験結果は良好で入場前に気になっていた症状は完全に廃された。
動力ユニット整備後では起動電流が低くなる傾向が強い。
モハ3354も同様で起動加速度が大幅に改善された。
現在でも起動電流の低減は何が要因か未だに掴めていない。
取り敢えず結果が出れば良しとしたい。


動力ユニット整備の切っ掛けとなった3320F-1。

モハ3354の竣工で3356Fが再出場した。
京成線グループのマイクロエース製動力ユニット整備はモハ3342現行色6両編成後期仕様(3320F-1)の故障が契機だった。
京成形式で最大勢力を誇る3300形の整備は全編成への施工を終えた。
しかしマイクロエース製動力ユニット整備自体はまだ先が長い。
以降の入場は経年も考慮しながら進めたい。

京成3300形モハ3334[3344F-2] 現行色 晩年仕様 動力ユニット整備(超低速走行改善:摺動抵抗軽減)

2017-08-07 21:41:48 | 京成線:3300形
鈍足。

動力ユニット整備のためマイクロエース製京成3300形3344F現行色晩年仕様(3344F-2)を入場させた。
3344F-2は3344F現行色の製品仕様を守っている。
上野寄ユニット:FS-329D,成田寄ユニット:KS-131と2種類の台車が混在する組成が特徴である。


京成3300形3344F 現行色 晩年仕様。
3344F-2:[3344]-[3343]+[3334]-[3333]。
※色地種別幕編成。

3344F現行色は都合3編成が投入された。
初代は3320F現行色暫定8両編成(3320F-2)組成が名目で各ユニットは別編成へ分かれた。
二代目は組成順を守りながらも特急成田山号仕様(3344F-3)の種車となりモハ3333を中間組込車化した。
3344F現行色最終投入の三代目は色地[普通]種別幕編成の増強が引き金になった。
3344F-2出場で色地[普通]種別幕編成は3304F現行色晩年仕様(3304F-6),3320F現行色晩年仕様(3320F-4)の3本体制になっている。


モハ3334 現行色 晩年仕様(3344F-2)。

3344F-3は3304F特急成田山号仕様(3304F-7)と常時4+4編成(特急成田山号:3344F-4)を組む。
3344F-4は出場後に動力車偏位防止のためモハ3334を非動力車化しモハ3303(3304F-7)と役割を入れ替えた。
よって動力ユニットを搭載するモハ3334は3344F-2だけの存在で混同はしない。
そのモハ3334は回着整備時に動力ユニット清掃だけを済ませた。
但しこれが余りに中途半端だったせいか徐々にスケールスピードへ達しなくなった。
やがて加減速度まで落ち込んだ挙げ句最大電流でも超低速でしか走行出来ない状態までに陥った。
モハ3334の動力ユニット整備は通常に走らせられる様にする事が最優先課題となる。


入工中のモハ3334。

回着整備の動力ユニット清掃は極簡単なもので導電板研磨と動力台車の過剰グリスを除去しただけである。
動力ユニット清掃は3344F-2出場から3600形までの長きに渡り採用してきた。
3344F-2以外にもスケールスピードに乗れない編成が存在する。
その意味ではモハ3334の動力ユニット整備は今後の試金石となる。


雑な研磨が垣間見える導電板。

動力ユニットを分解すると導電板には激しい磨き斑が残っていた。
如何に雑な措置だったか直ぐに判る。
初期動力ユニット整備施工車よりましだったのはクリーナーでの拭き上げを行っていた事である。
そのため幾何学模様の酸化は防げており再研磨は容易だった。


再研磨を終えた導電板。

整備記録には研磨に何を用いたか記されていない。
現状を見ると少なくともコンパウンドは使用しなかったらしい。
よってマイクロエース製動力車では定番化したラプロス#4000で磨き直した。
導電板の山側は製造ラインで生じたと思われる折り目が存在し海側は清掃時の雑な研磨痕が残る。
それでも磨き斑はほぼ消え去り全体が輝くように変わった。


トルクが弱かったモーター。

ここでモーター単独駆動試験を行った。
すると今まで入場した車両より力強さに欠ける。
超低速走行の第一原因はモーターにありそうだった。
取り敢えずモーター軸受へ注油を行い様子を見る。
駆動試験後でも症状が改善されないようならモーター交換を施す方針とした。


表面的な清掃だけ済ませていたKS-131動力台車。

回着整備ではKS-131動力台車の純正グリス除去がそれなりに行われたらしい。
黒色成形品のギアボックスを持つKS-131動力台車だが純正グリスの塊は見られなかった。
しかしギア類,ギアボックス内は純正グリスで満遍なく覆われている。
更に純正グリスは劣化が進み粘度が高まっていた。
第二の超低速走行要因は純正グリスだと思われる。


全く手入れが成されていないKS-131動力台車内部。

それを示すかの様にギア軸受は純正グリスで埋まりロアフレームまで油脂が進出していた。
粘度が高まった状態ではスムーズな走行は到底望めない。
続けて第三の要因になりかねない集電板の曇りに気付いた。
上野寄,成田寄共に同じ状況で分解整備を行った。


清掃を終えた動軸ギアと集電板(成田寄)。

相変わらず動軸ギアの純正グリス除去を効率良くする方法が思い浮かばない。
そのためクリーナー,極細綿棒,歯ブラシを用いる従来方式を踏襲した。
見た目より純正グリスの量が多く脱脂は粘り強く行うしかなかった。
一方集電板はクリーナーで瞬く間に曇りが取れている。


悲惨な状態だったギアボックス(上野寄)。

ギアボックスは上野寄の純正グリス量が異様に多かった。
車端側の小ギア軸には清掃で届かなかった白塊が残る。
さすがにこの状態のままクリーナーへ浸ける気にはなれない。
爪楊枝で純正グリスを掻き出した後に成田寄ギアを含めクリーナーへ投入した。
この間にギアボックス内の清掃を進める。
夥しい油脂量に手を焼きなかなか綺麗な樹脂面を取り戻せなかった。
結局最後まで思い描いていた状態に至らないまま終わっている。
ただギアボックスの個体差が影響した可能性もありこれが限界だったかもしれない。


純正グリス除去を行ったギアボックス(成田寄)。

スパイラルギア周りは措置を施した形跡が全く無い。
金属製ギアは純正グリスで保護された状態でクリーナーと歯ブラシによる清掃により直ぐに輝いた。
しかしスパイラルギアカバーはスリット部まで純正グリスが侵入していた。
極細綿棒でさえ届かずクリーナー浸けを選択している。


整備が完了したKS-131動力台車。

動力ユニット組立後に津川洋行製ホイールクリーナーでKS-131動力台車の踏面清掃を行った。
この時点では駆動にぎこちなさが残った。
モーター軸受への注油,ギア類の清掃は施工済でもう打つ手は残されていない。
後は注油とタミヤ製グリスが馴染むのを待つしかなくなった。


全工程を終えた動力ユニット。

通常の駆動試験よりも路線長を4倍とし地道に往復を繰り返した。
その結果徐々に各部への施工が機能し始めたようで先ず起動電流が高まった。
続いて加減速度も回復の兆しを見せている。
後はスケールスピードに達するかだけになった。
10往復以上試験線の往復を続けているうちき少しずつ最高速度が上がってきた。
途中からカウントを中止したため復調までどの程度試験走行させたか判らない。
ようやくスケールスピードを上回る状態に回復した頃には日付が変わっていた。


3304F-6。


3320F-4。

最後の最後で答を得てモハ3334が竣工した。
もう3344F-2を最大電流で走行させる必要は無いだろう。
超低速走行の原因は複合的なものだったと考えている。
駆動試験の結果次第ではモーター交換に進む可能性があった。
これだけでは症状の改善に繋がらなかったと思われ急がなくて良かったと思えた。
とにかく3304F-6,3320F-4と同等の走行性能に引き上げる所期の目的は達成できた。
モハ3334での苦戦は今後の動力ユニット清掃車の整備に役立つと思われる。

京成3300形モハ3342[3344F-1] 現行色 暫定4両通番編成仕様 動力ユニット整備(モーターストッパー追設)

2017-07-27 21:41:31 | 京成線:3300形
終盤。

マイクロエース製京成3300形の動力ユニット整備はあと3編成を残すだけになった。
入場したのは3344F現行色暫定4両通番編成仕様(3344F-1)である。
組み替えにより製品の3344F現行色とは成田寄ユニットの車両番号が異なる点が特徴になっている。


京成3300形3344F 現行色 暫定4両通番編成。
3344F-1:[3344]-[3343]-[3342]-[3341]。

3344F-1は3320F暫定8両貫通編成仕様(3320F-2)と作業を平行しながら組成した。
先ずモハ3334+モハ3333(3344F現行色)を3320F-2へ異動させた。
その代わりにモハ3342+モハ3341(3320F現行色)が3344F-1へ組み込まれている。
上野寄,成田寄ユニットでLOT差があるが台車はFS-329Dで揃う。
LOT間で成形色の異なるクーラーキセはモハ3334(3320F-2)と相互交換し現行LOTに合わせた。
そのためモハ3342は現行LOT並の外観を持つ。


モハ3342 現行色 暫定4両通番編成仕様(3344F-1:現行LOTクーラーキセ化)。


モハ3334現行色暫定8両貫通編成仕様(3320F-2:旧LOTクーラーキセ化)。


モハ3342現行色6両編成後期仕様(3320F-1:原形)。

3320F現行色6両編成後期仕様(3320F-1)にも同一車両番号のモハ3342が組成されている。
モハ3342(3320F-1)は製品仕様を保っており1stLOTクーラーキセが識別点でM1車同士でも混同はしない。
外観だけは現行LOTに近いモハ3342だが動力ユニットはFS-329Dが所要だったため1stLOTに該当する。
種車の3320F現行色は中古製品で回着し未整備のまま竣工させた。
挙動は上野方面行だけ段付加速が激しく[高砂]幕の3344F-1には相応しくない状況だった。
千葉方面行は穏やかに加速しいまいち原因が判らない。
一時期は動力ユニットを反転させ走行させる対策まで採った。
モハ3342の動力ユニット整備では双方向とも滑らかな加速に戻せるか試行する。


入工中のモハ3342。

動力ユニットを分解すると三度モーターストッパーの無い個体に出会した。
モハ3315現行色中期仕様(3316F-3),モハ3346復活赤電色(3324F)に続く3両目でメーカーエラーとは考え難くなった。
何れも3300形1stLOT動力ユニットである。
3200形を含め3300形1stLOT製品以外でこの様な仕様は見られない。
3356F復活青電色(3356F)も1stLOTで3300形最後の動力ユニット整備は不安が待ち構える。


状態の良かった導電板(研磨済)。

導電板は高経年車とは思えないほど綺麗な状態を保っていた。
前オーナーさんはメンテナンスをしっかり行われていたと思われる。
そのためラプロス#4000で磨く時間はこれまでの入場車より大幅に削減された。
研磨による汚れは殆ど生じずクリーナーでの拭き上げも労さずに終えられている。


錆の浮くモーター外殻と変形した海側端子。

一方モーター周りへ目を移すと惨状が露わになった。
錆が生じたモーター外殻を見るのは初でこれには驚いた。
交換も考えたが駆動音が快調だったためひとまずマッキーで塗り潰し様子を見る。
異音を発していればモーター更新を行ったと思う。
モーター軸は油脂が付着し変色していた。
銀色が金色に変わるほどで爪楊枝で纏めた後に綿棒で除去している。


組み込まれた20m級動力ユニット用モーターストッパー。

モーターストッパーが無かったせいか海側のモーター端子が大きく変形していた。
これに加えモーターが台枠内で前後する。
モーターが固定されていないため動力伝達が上手く機能しなかった可能性が高い。
モハ3342にはモーターストッパーが必要不可欠と判断した。
折り良く動力ユニット部品捻出用のジャンク車両を抑えたばかりで早速転用した。
モーターストッパーは20m級動力ユニット用だったがモハ3346で無事嵌め込めた前例がある。
このお陰で不安無くモーターストッパーを挿入出来た。


純正グリスが殆ど残っていなかったFS-329D動力台車。

FS-329D動力台車は上野寄,成田寄共に状態が良かった。
変色した純正グリスはギア谷の極一部に見られるだけである。
但し加速状態が悪く分解清掃を選択した。
動軸車輪踏面は津川洋行製ホイールクリーナーで仕上げる。
そのため集電板を念入りに清掃した。
ギア類は歯ブラシで純正グリスの残滓を払っている。


各部の清掃を終えたFS-329D動力台車(上野寄)。

前オーナーさんは純正グリス除去も施していたらしい。
普段なら主ギアを撤去して行うギアボックス清掃は不要だった。
ただ主ギアの回転がやや重く感じられたため微量のクリーナーを落としている。
同時にギア類の清掃も進め純正グリス残滓は取り除かれた。


純正ギアを存置し清掃したギアボックス(成田寄)。

成田寄FS-329D動力台車も状況は同じだった。
純正グリス残滓の付着度合いも変わらず清掃は捗った。
集電板清掃のため分解した以外は殆ど手間が掛からなかったと言っていい。
走行ランクBの中古製品だったがこの整備状態であれば文句は無い。


集電板,動軸ギア清掃を行ったFS-329D動力台車(成田寄)。

集電板は経年相当の曇りがあった。
これもクリーナーを浸けたクロスで拭き上げると一瞬にして元に戻っている。
FS-329D動力台車はあっと言う間に組立工程に入った。
なおスパイラルギア周りは金属部分を歯ブラシで磨いた以外手を加えていない。


軽度の清掃で済んだFS-329D動力台車。

後は動力ユニットを組み立て津川洋行製ホイールクリーナーで踏面清掃を施すだけになる。
追設したモーターストッパーは絶縁シート,ユニットカバーに干渉しなかった。
モーターの前後動も抑えられ駆動試験に期待が懸かる。
動力ユニット関連の部品は18m級,20m級である程度共通化が図られているらしい。
今後はある程度のマイクロエース製ジャンク動力車を確保する方向である。


整備が完了した動力ユニット。

踏面清掃は上野寄,成田寄台車毎に低速かつ双方向へ回転させている。
モハ3342は上野方面行の加速に難があったがホイールクリーナーによる清掃では解消された。
最後はレール上での駆動試験である。
両台車からの集電と自重の負荷で正常に戻るか見守った。
先に上野方面行へ向かわせた。
すると起動電流が低くなり加速も滑らかになってくれた。
元々加速に問題の無かった千葉方面行も起動電流が下がっている。


無事竣工したモハ3342。

入場前の段付加速が解消されモハ3342が竣工した。
これで動力ユニットを反転させる必要は無くなる。
主因は未装着だったモーターストッパーにあると思われる。
加えて絶縁テープが未貼付のモーターで起動時の台枠内移動を招く原因になっていたらしい。
これらが上野方面行だけを段付加速にさせていたと考えている。

3344F-1は不具合が廃され再出場した。
3344F暫定4両通番編成の千葉線運用実績があったかは掴めていない。
プロトタイプは僅か3日間である。
但し3300形現行色4両編成としては後期仕様に相当するため数少ない[高砂]を存分に活かしたい。

京成3300形モハ3346[3324F] 復活赤電色 動力ユニット整備(騒音改善,モーターストッパー追設)

2017-07-17 21:38:16 | 京成線:3300形
二例目。

マイクロエース製京成3300形金属バネ台車グループの動力ユニット整備は折り返し点を迎える。
3320F現行色3編成(3320F-1,3320F-2,3320F-4)の整備が終了し3324F復活赤電色(3324F)を入場させた。
製品は3320F現行色と同じく3300形1stLOTで経年の高い部類に入る。


京成3300形3324F 復活赤電色。
3324F:[3324]-[3323]+[3346]-[3345]。

更新修繕出場時の3324Fはモハ3324-モハ3323-モハ3322-モハ3321+モハ3329-モハ3330を基本とする6両編成だった。
検査入場都合等で幾度か組成変更が行われ3320F現行色で製品化されたモハ3342+モハ3341を組み込んだ時期もある。
2001年初頭よりモハ3324-モハ3323-モハ3322-モハ3321+モハ3346-モハ3345の組成でほぼ固定された。
その後2008年3月にモハ3322+モハ3321が廃車され飛番の4両編成に改められている。
2次車と4次車での組成になったが台車は全車FS-329Dで揃っていた。
京成100周年記念事業の一環で2009年8月に赤電色へ塗装変更され2013年3月の引退まで走り続けた。


誤って色地[普通]種別幕で出場した当時の3324F。

赤電色の復活は3050形3062F,3200形3298Fに続く3回目で往時を知る人間としては一番親しみのある塗装である。
3062Fは新赤電色から塗装変更したためステンレス帯の縁取りが残りその復活度はかなりのものだった。
現行色を赤電色化した3298F,3324Fはテープでの再現に留まったが雰囲気は掴めていたと思う。
製品は[京成100周年]ステッカーが印刷済で塗装変更当時がプロトタイプとされた。
付属ステッカーに色地[普通]種別幕が印刷されていたため何も考えずにこれを採用した。
しかし[京成100周年]ステッカー剥離は色地種別幕化前の2009年12月頃に行われた。
そのため後日英字併記白地[普通]種別幕へ交換している。


モハ3346 復活赤電色(3324F)。

3324Fは1stLOTにも関わらず安定した走行を示し続けている。
強いて挙げるとすれば当初から駆動音が大きい程度で個体差の範囲だと思っていた。
モハ3346の動力ユニットは未整備で経年が高い事実に変わりない。
多少でも静音化に繋がる事を期待し作業を開始した。
ところが最初に目に飛び込んできたのは通常とは異なる動力ユニットだった。


入工中のモハ3346。

いきなりモーター軸が目に入りモーターストッパーが存在しないと判った。
モハ3315現行色中期仕様(3316F-3)での前例がありこの際はメーカーエラーだと思った。
まさかモハ3346でもモーターストッパーの無い動力ユニットが出現するとは考えてもいなかった。
生産ライン次第でモーターストッパーが嵌め込まれていない個体が存在するのかもしれない。
モーター端子押えを兼ねる部品のためいまいち納得出来ない箇所ではある。
ただモハ3315はモーター底部にテープが貼付されておりモハ3346とは事情が異なると思う。


純正グリスが付着していたユニットカバー。

ユニットカバーは上野寄,成田寄の台車上部から端部にかけて純正グリスだらけだった。
両台車には大量の純正グリスが盛られていたのだろう。
一方導電板は経年相当を保っている。
初期整備車では中途半端に手を出したのが裏目に出てしまい研磨が一大作業になっていた。
導電板に関しては未整備車の作業性が上回っている。


純正グリス除去に手を焼いたユニットカバー(上野寄)。

導電板はラプロス#4000で磨くとあっさり真鍮色に戻った。
ここで順番を間違えたのはユニットカバーの純正グリス除去である。
上野寄,成田寄共に複雑な成形部へ純正グリスが入り込んでいた。
これを取り除く際に磨き上げたばかりの導電板へグリスが付着してしまった。
ユニットカバーのグリスを拭き上げた後にもう一度導電板をクリーナーで仕上げている。


やや変色した絶縁シート。

モーター端子部とユニットカバーの間に挟まる絶縁シートもグリス塗れだった。
塩化ビニール製のため清掃自体はあっと言う間に終えた。
しかし長期間に渡り純正グリスが付着していたせいか若干黄色を帯びている。
変色は手の打ちようが無く脱脂だけで済ませた。


純正グリスを拭き上げた台枠。

モーター一式へ手を着ける前に台枠の清掃を行った。
ユニットカバーと同様に台枠も純正グリスで輝いている。
本来は焼付塗装地のはずがグリスでべたべたになっていた。
焼付塗装への影響も心配だった
台枠塗装劣化との因果関係は不明なものの先に措置を取っている。


変形していたモーター端子(海側)。

モーター軸は油脂付着がありクリーナーで除去を行った。
同時に軸受部への注油も施している。
この時海側のモーター端子が変形している事に気付いた。
これはモーターストッパーが無かった影響だと思う。
このまま継続使用するとどの様な影響を及ぼすか分からない。
そこで保管品を漁った。
18m級動力ユニットのモーターストッパー予備品はモハ3315へ転用済だった。
そこで20m級動力ユニットからの捻出を図った。
かつて用途不要になった20m級動力ユニットがあったはずである。


挿入出来た20m級動力ユニット用モーターストッパー。

するとばらばらにされた20m級動力ユニットの塊からモーターストッパーを発見した。
モハ3315では嵌め込みに苦労しモーター一式を取り外している。
モーターストッパーは共通部品だと思われる。
ただ当初からモーターストッパーが未装着だった事実が装着に不安を抱かせた。
海側モーター端子を正規の位置へ戻し少しずつモーターストッパーを差し込む。
すると何の抵抗もなく収まってくれた。
なお20m級動力ユニット用モーターストッパーは黒色成形品だった。
そのため3200形モハ3296(3298F-1,3298F-2,3298F-3)用動力ユニット同等の見付になっている。


純正グリス塗れではなかったFS-329D動力台車。

即モーター単独駆動試験を行い異常が無い事を確認した。
取り敢えず最終工程のFS-329D動力台車整備に移る。
1stLOT製品のため大量の純正グリスが固形化していると考えていた。
ところが実際はその逆でグリスは殆ど残っていなかった。
恐らく台枠やユニットカバーに流出したのだろう。
それを物語るようにスパイラルギア周りには劣化した純正グリスが残っていた。
ギア谷のグリス残滓が目立っていたため歯ブラシで清掃した。
一方スパイラルギアカバー,ギア軸受はクリーナーを浸したクロスで仕上げている。


輝きを取り戻したスパイラルギア(成田寄)。

ギアボックス内の純正グリス残量が多くなく動軸ギアは新たな方式で清掃を行った。
動力台車分解前にロアフレーム裏側のスリット部から歯ブラシでギア谷のグリス残滓を掻き出している。
取り除かれたグリスはギアボックス内に留まる。
何れにせよ分解清掃を行うため不都合は生じない。


ロアフレーム裏側から清掃した動軸ギア。

FS-329D動力台車を分解すると比較的綺麗なロアフレーム内の状況が確認できた。
モハ3346へ注入された純正グリスはギアボックス内に残らなかった思われる。
そのためロアフレームには余りグリスが付着しておらず整備性は高かった。
上記の通り動軸ギアをロアフレーム裏側から手を入れたため清掃に取り掛かった。


分解直後のFS-329D動力台車ロアフレーム側(成田寄)。

事前に動軸ギアの純正グリス残滓の除去を行っており作業は楽に進められた。
グリスの固形化や残量によってはロアフレーム裏側からの清掃も効果があると思う。
今後は各動力台車の状況次第で清掃方式を変えていきたい。
なおロアフレーム,動軸ギアはクリーナー,歯ブラシ,綿棒でグリスを除去した。
ギアボックス側は3ギアを含め微量のクリーナーを垂らした後に歯ブラシで清掃している。


グリス除去を施したギアボックス一式(上野寄)。

元々グリス残量が少なかったお陰で上野寄,成田寄に関わらず快速で作業を終えた。
ギアボックス分解よりも簡易的な工程になったが3ギアの摺動抵抗は大幅に減少した。
騒音の真因が何処かは掴めていない。
ただグリス除去の効果はあると思う。


整備が完了したFS-329D動力台車。

FS-329D動力台車の清掃は純正グリス除去で時間を割かれたユニットカバーとは対照的な経緯を辿っている。
車輪は指で弾くと長く回転し続ける。
今まで行ってこなかったクリーナーを垂らす工程が効いたのかもしれない。
場合によっては主ギアを撤去しない動力台車清掃が増えるだろう。
純正グリスの状態に左右されるため経年の高い動力ユニットに限られるとは思う。
FS-329D動力台車を組み立てタミヤ製グリスを添加した。
動力ユニットを組み上げた後は津川洋行製ホイールクリーナーで踏面清掃を施すのみである。


整備を終えたモハ3346用動力ユニット。

駆動音増大は車体との共鳴も考えられた。
よって駆動試験は車体と嵌合させた後に行っている。
踏面清掃時に低速駆動は把握できたため中速域での駆動音増大解消が試験項目になった。
その結果起動からスケールスピード域まで殆ど駆動音が変わらなくなった。
モーターの回転数に比例し音階が上がるだけで入場前の騒がしさは何処かへ消え去っていた。
モハ3346ではモーターストッパー追設が工程に加わった。
これによりモーター自体の微細動が抑えられたのかもしれない。

モハ3346の竣工で3324Fは再出場した。
これで未整備の1stLOT動力ユニット搭載編成は残り2本まで減少している。
対象は3344現行色暫定4両通番編成仕様(3344F-1),3356F復活青電色(3356F)である。
整備入場は編成管理番号順のため3300形最終入場編成は1stLOT製品の3356Fになるだろう。

京成3300形モハ3342[3320F-4] 現行色 晩年仕様 動力ユニット整備(急加減速改善)

2017-07-12 21:33:04 | 京成線:3300形
気分転換。

マイクロエース製京成3300形3320F現行色晩年仕様(3320F-4)が動力ユニット整備のため入場した。
編成管理番号順に整備を進めているが3320F-3は3320F現行色6両編成後期仕様(3320F-1)を4両編成に組み換え組成している。
3320F-1は整備が終了しているため3320F-4が入場対象になった。


京成3300形3320F 現行色 晩年仕様。
3320F-4:[3320]-[3319]+[3342]-[3341]。

3320F-4は3320F現行色6両編成仕様からモハ3318+モハ3317を脱車し出場した。
当初からモハ3318+モハ3317は3320F現行色暫定8両貫通編成(3320F-2)へ転用する予定だった。
そのため動力ユニットはモハ3318の改番入場時にモハ3342へ移設されている。
プロトタイプは晩年仕様で1stLOT製品が出自ながら色地[普通]種別幕を持つのが特徴である。
実車の晩年はラッピングが繰り返された。
そのため純粋な現行色としては2010年5月~6月の約1箇月間しか該当しない。
但し色地[普通]種別幕編成に仕立てられる製品は3304F現行色,3344F現行色に限られる。
3320F現行色からモハ3318+モハ3317を脱車しただけとは言え貴重な存在になっている。


モハ3342 現行色 晩年仕様(3320F-4)。


モハ3342 現行色 6両編成 後期仕様(3320F-1)。

晩年仕様化はモハ3320,モハ3341への色地[普通]種別幕採用に全てが集約される。
よってM1車は独自の特徴を持たない。
モハ3342の動力車化は3320F-3を兼ねる3320F-1でも施しており同一仕様が2両現れた。
出場時期からモハ3342を動力車に指定したが今なら識別のためモハ3319にしていたと思う。
マイクロエース製京成形式では上野寄M1車に動力ユニットを持つ4両編成が増加した。
その影響もあり今後動力車位置変更を行うかもしれない。


入工中のモハ3342。

モハ3342の動力ユニットはかつてのマイクロエース製品らしさが強く残る駆動状態だった。
電流を上げても動き出さず痺れを切らし更にダイヤルを回すと突然急発進,急加速する。
減速時はこれと全く逆の動きを示し3320F-4は有数の扱い難い編成だった。
先ず動力ユニットの整備履歴を確認するため過去の記録を遡った。
しかしモハ3342の入場記録は全く残っていなかった。
これは3320F-2出場の煽りを受けたのかもしれない。
FS-329D動力台車を履くため1stLOT動力ユニットは確実である。
取り敢えず未整備を前提に作業を開始した。


研磨を終えた導電板。

モハ3334(3320F-2)の整備で起動電流の高い動力ユニットは通電状態が関係するとの考えに辿り着いた。
そのためモハ3342では集電板,導電板,モーター端子を入念に整備清掃する。
導電板は研磨した形跡が無く全体が黄土色に変色していた。
また導電板を止める焼き潰し固定部も大幅に伸びていた。
導電板はラプロス#4000で磨き焼き潰し部の余計な箇所は爪楊枝で剥がした。
焼き潰し部は下手すると固定そのものを無効にする危険性がある。
一度ナイフで不要部を切り離してから剥離を行った。


清掃と注油を行ったモーター軸受部。
 
モーター軸は油脂の固着が激しかった。
クリーナーを浸けた極細綿棒で油脂を取り除き注油を施している。
端子部は特に曇り等は生じていなかった。
しかしモハ3342では通電部を重点的に整備すると決めておりクロスで拭き上げを行っている。
モーター単独駆動試験では低電流から回転する。
但しモーター端子から直接電流を流しているため急加減速の解消に至るかはまだ判らない。


純正グリスが目立たないFS-329D動力台車(上野寄)。

未整備が前提で作業に入っており経年相当の状態と思っていたFS-329D動力台車は比較的まともだった。
記憶にも記録にも残っていないが一応清掃を行ったらしい。
目立つ純正グリスは殆ど見られない。
しかしギア谷には拭き残した純正グリスが付着している。
純正グリスを完全に取り除くためFS-329D動力台車を分解した。


再清掃を行ったギアボックス周り(成田寄)。

純正グリスの残量からギア類のクリーナー浸けは不要と判断した。
動軸ギアを含め歯ブラシを中心に除去を行っている。
拭き残しの純正グリスは固形化が進んでおり比較的早くプラスチック地を出せた。
ここは経年の高い1stLOT製品が見方をしてくれたと思う。
上野寄,成田寄共に集電板はクリーナーを用いクロスで拭き上げた。
若干の曇りが見られたが輝きを取り戻している。


整備を終えたFS-329D動力台車。

ここまで作業を進め何故入場記録が無いか大凡の見当が付いた。
モハ3318から移設した動力ユニットは過剰に盛られた純正グリス除去だけに留められたらしい。
当時の入場を考えると未整備若しくは清掃(純正グリス除去)の何れかを選択していたはずである。
モハ3342は後者に該当したと予想する。
その純正グリス除去も爪楊枝で浚う大雑把な内容で記録に遺すまでも無いと考えたのだろう。
だからこそギア谷に純正グリスの残滓が見られたのだと思う。


重点清掃対象になったスパイラルギア周り。

純正グリス除去は見える範囲だけ施す軽微なものだった。
スパイラルギア周りも同様に措置しためカバーを外すと茶色の純正グリスがこびり付いていた。
この影響を受けたせいか清掃を行ったはずのスパイラルギアは既に変色していた。
スペーサーの回りも悪く走行抵抗になっていた可能性が高い。
スパイラルギアカバーの純正グリスは捲れるように剥がれてくれた。
しかしギアストッパー部は強固に付着したまま残ってしまい爪楊枝で掻き出した。
スパイラルギアは従来方式を踏襲しクリーナー,極細綿棒,歯ブラシで磨き直している。


整備を終えた動力ユニット。

最後にギアボックス内へタミヤ製グリスを添加し動力ユニットを組み立てた。
間違い無く集電板,導電板,モーター端子には手を入れた。
通電系統の整備に漏れが無い事を再確認し駆動試験を行った。
結果は大成功だった。
入場前は電流ダイヤルを半分以上回した時点で急加速していた。
それが嘘のように低速から立ち上がるように変わっている。
減速時の急停止も消え去り安定した駆動を示す。
車体嵌合後も共鳴等は生じず万全の状態に至ったと思う。

モハ3342の竣工で3320F-4は再出場した。
これで扱い難さは払拭された。
急加減速は段付加速や加速度的低下等より質が悪い。
せっかくの3300形現行色晩年仕様を活かしきれずにいたが今後は活躍の場が広がるだろう。

マイクロエース製動力ユニットの急加減速は初期~中期製品特有の症状だと思っていた。
しかし素人作業でもある程度の回復は見込めるらしい。
まだ急加減速を示す編成が残るため通電系統整備の検証を続ける方向である。

京成3300形モハ3334[3320F-2] 現行色 暫定8両貫通編成仕様 動力ユニット整備(加速度改善)

2017-07-05 21:23:57 | 京成線:3300形
過多。

マイクロエース製京成3300形の動力ユニット整備は2次車以降の金属バネ台車グループに突入した。
3320F現行色6両編成後期仕様(3320F-1)は故障が響き実質3300形系列入場の第1編成になった。
そのため金属バネ台車グループでは3320F現行色暫定8両貫通編成仕様(3320F-2)が整備第一弾となる。


京成3300形3320F 現行色 暫定8両貫通編成仕様。
3320F-2:[3320]-[3319]-[3318]-[3317]+[3336]-[3335]-[3334]-[3333]。

3320F-2組成は3344F現行色リリース告知が発案の基になった。
先行して3320F現行色6両編成を2本投入しモハ3318+モハ3317を脱車した。
各々モハ3336,モハ3335(方転)へ改番し3344F現行色の導入を待った。
2両を組み替えるだけで組成できると考えていたがクーラーキセの成形色が変わり躓いている。
3320F現行色出自車が6両を占めたためモハ3334,モハ3333を1stLOTクーラーキセへ交換し見附を揃えた。
なおモハ3318+モハ3317を抜かれたモハ3320+モハ3319,モハ3342+モハ3341は3320F現行色晩年仕様(3320F-4)化され健在である。


モハ3334 現行色 暫定8両貫通編成仕様(3320F-2)。

動力車は操配都合によりKS-131付動力ユニットしか使用できずモハ3334を指定した。
モハ3334は7号車で動力位置偏位が激しいのが弱点である。
出来ればFS-329D付動力ユニットを用いモハ3335を動力車化するのが理想だった。
3320F-2の種別,行先表示は[快特 成田]で牽引比率が高く今の所は問題ない。
将来的には動力車位置変更を行いたいがFS-329D付動力ユニット調達が難しく当分先になるだろう。


入工中のモハ3334。

モハ3334の外観は1stLOTに近いが交換したのはクーラーキセだけで実質3344F現行色LOTである。
3320F-2の出場を急いだ煽りで動力ユニットは製品状態のまま竣工し全く手が入っていない。
当たり外れの大きい3304F現行色,3344F現行色LOTの動力ユニットで余り期待せずに整備を開始した。
分解するとまずまずの状態に見えた。
導電板は多少の曇りが出ていたが激しい酸化を覚悟しており拍子抜けしている。
ところがこの曇りが厄介者でなかなか輝きを取り戻せなかった。


研磨中の導電板。

研磨用のラプロス#4000は2度交換した。
3枚目も表面がぼろぼろになるまで磨き続けている。
そのためユニットカバーと導電板はラプロスの滓と銅粉で汚れてしまった。
銅粉の付着が激しくクリーナーで表面を拭いクロスで徹底的に仕上げている。
次にモーター廻りの整備に移った。
これまでは動力台車を先に清掃してきた。
しかしタミヤ製グリスの添加でロスを生じさせている事に気付き順番を変更している。


注油のみを行ったモーター廻り。

入場前の3320F-2は起動が遅い上に加速が悪かった。
3300形唯一の[快特]で登場機会も多い。
走行距離が伸びているため注油を施している。
3304F現行色,3344F現行色LOTの動力ユニットは状態に応じて注油を行う方針だった。
1次車グループでは大半の車両で注油を行っており3300形動力車は全て注油を工程に組み込む。
駆動状態以外には気になる箇所は無くモーター廻りの整備は直ぐに終えられた。


純正グリスだらけだったKS-131動力台車。

未整備で出場させたためKS-131動力台車への純正グリス過剰投入は折り込み済みだった。
予想外な事に純正グリスはまだ当初の粘性を保っておりギア類は光り輝いていた。
これでは手の施しようが無い。
ギアボックス内の3ギアはクリーナー直行としスパイラルギア及び動軸ギアを手作業で清掃する。
3ギアがクリーナーに浸かっている間にKS-131動力台車の各部清掃を進めた。


クリーナーに投入された3ギア2セット。

KS-131動力台車の分解中にビニール手袋は純正グリス塗れになってしまった。
予想より純正グリスの流出が激しく台車枠のロアフレームまで達している。
上野寄,成田寄共に集電板にも曇りが見られ完全分解した。
曇りのある集電板は珍しかったがクリーナーとクロスだけで元の状態に回復している。


純正グリス溜まりのあるロアフレーム(上野寄)。

動軸ギアは極細綿棒へクリーナーを浸し1山毎に純正グリスの除去を施した。
歯ブラシでの清掃は定番化しているものの一度では綺麗にならずクリーナー清掃を含め2回行っている。
さすがに純正グリス粘度までは計算に入っていなかった。
むしろ固形化が進んでいると思っていたため手を煩わせる要因になっている。


清掃を終えたロアフレーム側一式(成田寄)。

ギアボックス清掃に入る前には3ギアの純正グリスが溶解していた。
先にギア類の拭き上げを行い手早く仕上げた。
クリーナー浸けを選択しただけあり時間を要した動軸ギアとは対照的な工程になっている。
動軸ギアも効率的な方法を選びたいが軌間幅の調整に苦しむのを恐れ手が出せない。
分解せずに動軸ギアの純正グリスを溶解させる方式を見出したいところである。


組み立てたギアボックス。

ギアボックス内は大量の純正グリスが残っており始めに爪楊枝で掻き出した。
その後クリーナーと綿棒を併用し細部まで清掃を施している。
金属製スパイラルギアはプラスチック製ギアよりも手入れがし易い。
純正グリスが谷に残らないよう歯ブラシで削ぎ落とした。
一方スパイラルギアカバーは純正グリスが集電板を通すスリットまで進出していた。
先に3ギアを引き揚げたクリーナーへ浸け溶解を待った後に拭き上げている。


清掃を終えたKS-131動力台車。

純正グリス除去に手を焼いたが無事に各部の清掃を終えた。
組立後のKS-131動力台車は車輪の回転が軽くなり摺動抵抗軽減を感じ取れている。
既にモーター廻りへの注油は終了しているためこのままタミヤ製グリスを添加し動力ユニットを組み上げた。
仕上げに津川洋行製ホイールクリーナーで踏面清掃を行い全工程を終えた。


整備を終えたモハ3334用動力ユニット。

駆動試験の結果は良好だった。
加速度が低かったモハ3334だが整備後は軽やかに加速し起動電流も低くなった。
起動電流の高い動力ユニットは一連の整備で大半が解消されている。
詳細は不明だが導電板の状態に左右されるのかもしれない。


TNカプラーSP化を見送った3320F-2 (モハ3335+モハ3334)。

モハ3334が竣工し3320F-2が再出場した。
3320F-2は組成経緯から18A17列車をプロトタイプにしている。
貴重な3300形8両貫通編成の[快特]でTNカプラーSP化の候補にも挙がっていた。
しかし急遽密着式TNカプラーSPが所要となった上に手持ちでは7両分を賄えない。
今回はKATOカプラーのまま存置したが何れはTNカプラーSPへ交換する予定である。

京成3300形モハ3315[3316F-3] 現行色 中期仕様 動力ユニット整備(起動改善,モーターストッパー追設)

2017-07-01 21:47:45 | 京成線:3300形
不良品。

マイクロエース製京成3300形3316F現行色中期仕様(3316F-3)の動力ユニット整備を迎えた。
3316F-3は組成弾力性を高めるため動力車をモハ3314からモハ3315へ振り替えたばかりである。
回着整備時にモハ3314の動力ユニット整備を施したがモハ3315としては初整備になった。


京成3300形3316F 現行色 中期仕様。
3316F-3:[3316]-[3315]-[3314]-[3313]。

モハ3314時代の動力ユニット整備は中期整備施工に該当する。
まだ導電板研磨にはコンパウンドを使用していた。
コンパウンドでの磨き上げ自体は効果が得られた。
しかし仕上げの技量が足りず逆に導電板を汚す結果を招いた。
現在ではラプロス式に取って代わられている。


モハ3315 現行色 中期仕様(3316F-3)。

モハ3315の入場を前に過去の記録(モハ3314)を確認した。
一応台車清掃,タミヤ製グリス添加まで施されているらしい。
しかし当時と現在では清掃方法が大きく変わっており整備内容に疑問を抱いた。
そのため初回整備入場車と同等の心構えで整備を行う。


入工中のモハ3315。

3316F-3はタミヤ製グリス添加の効果か至ってスムーズな稼働を示していた。
負荷が増加する3304F現行色中期仕様(3304F-3)との2+4編成,4+2編成組成でも安定感は変わらない。
モーター周りの状況は良好な部類に入ると思っていた。
しかしとんでもないメーカーエラーが待ち構えていた。


コンパウンドの残るユニットカバー。

動力ユニットを分解すると茶色に変わった導電板が目に入った。
ユニットカバーの導電板スリットには乾燥したコンパウンドが入り込んでいる。
当然拭き上げも甘く変色に至った。
やはりコンパウンド式は自分に合わない。
亜流だがラプロス式に変更して良かったと思える。
先ずクリーナーでコンパウンドの除去に着手した。
過去に入場した旧動力ユニット整備車と同じく乾燥していたコンパウンドがクリーム状に変わる。
これを拭っているうちに導電板が輝き出してしまった。
妙な作用で導電板磨きが並行する珍展開になっている。


コンパウンド除去中のユニットカバー。

クリーム状に戻ったコンパウンドの除去は厄介だった。
クリーナーは必要最低限に留め綿棒で根気強く被膜を拭った。
導電板スリットに入り込んだコンパウンドは爪楊枝を差し込み除去する空間を確保している。
モハ3314の清掃ではコンパウンドを山盛りにしたらしくかなり奥まで侵入していた。
導電板が分岐する箇所に近く綿棒は使えない。
ユニットカバー側のコンパウンドは爪楊枝で掻き出し極薄のクロスで清掃を施している。


研磨を終えた導電板。

中途半端に磨き出された導電板は従来通りラプロス#4000で再研磨を行った。
クリーナーで粉末を落とした後にクロスで拭き上げた。
この際再びコンパウンドの被膜が表れないかを仔細に確認している。
どうやら無難に除去を行えた模様で最初の関門は乗り越えられた。


状態が良く見えたKS-121動力台車。

KS-121動力台車は3312F復活新赤電色(二代目→3312F新赤電色)からの転用品である。
3300形では1stLOTに該当するが初回整備で純正グリスはほぼ取り除かれていた。
この[ほぼ]が曲者で各ギア類の谷には純正グリスと思われる茶色の物質が残る。
この状態でタミヤ製グリスを添加してしまったためギア類は再清掃を余儀なくされた。


純正グリスを除去したスパイラルギア。

純正グリスの拭き残しが如実に現れたのはスパイラルギアだった。
特に成田寄のギアは谷の輝きが鈍くなっていた。
クリーナーと歯ブラシで清掃を行い全てを真鍮色に戻している。
KS-121動力台車のギア類もスパイラルギアの状態に近い。
動軸ギアまで清掃し直さなければならなかった。
作業開始前に考えた通りKS-121動力台車は分解清掃に至っている。


再清掃を行ったKS-121動力台車。

各ギアは歯ブラシでの清掃が中心となった。
今では歯ブラシ起用が当たり前になっている。
谷に残った純正グリス除去は歯ブラシのお陰で順調に進められた。
ただ初回整備時の施工も作業進捗向上に寄与したと思われ無駄ではなかったと思う。


存在しないモーターストッパー。

3300形1stLOT動力ユニットのため状態に関わらずモーター軸受への注油を行う。
ところがいきなりモーター軸が目に入り戸惑った。
本来あるはずのモーターストッパーが嵌められていない。
ここで初回整備(モハ3314)の記録を見直した。
たまたま分解直後の動力ユニットを俯瞰で記録してあった。


当初から欠品していたモーターストッパー(モハ3314)。

この時点からモーター軸が露出しており最初からモーターストッパーが無かった事になる。
これでも安定した走行を示せるらしい。
ただ将来的な不安を拭うため部品取用動力ユニットからモーターストッパーを捻出した。
しかしどの角度からでもモーターストッパーを受け入れてくれない。
恐らくメーカーの製造ラインではモーターストッパー装着を諦めたのだろう。


台枠から撤去したモーター一式。

モーターストッパーを取付けるためモーター一式を撤去した。
これにより苦手なユニバーサルジョイント組み付けが工程に加わる。
過去の整備で片側だけ撤去すればモーター一式を取り外せると判っていたのは不幸中の幸いだった。
上野寄のユニバーサルジョイントを外し台枠とモーター一式を分離している。


モーター底部に貼付された謎のテープ。

モーターを確認すると成田寄の底部にメンディングテープのようなものが貼られていた。
これまでモーター一式を撤去した機会は多くないもののこの様な措置は見たことが無い。
理由が不明なままテープを剥がし台枠に戻した。
すると手動でもモーター軸が引っ掛かり回らなくなってしまった。
どうやらモーター外殻に変形があるらしくテープで誤魔化したと思われる。


3200形LOTの予備品を起用したモーターストッパー。

モーターストッパー取付までには迂回を繰り返した。
先ず3200形1stLOT動力ユニットのモーター一式を転用しようとした。
しかしモーターに貼付されている絶縁テープが分厚く取り外せないまま終わった。
次に台枠を含めて3200形用動力ユニットへの更新に着手した。
ところがKS-121動力台車の旋回が極端に悪くなってしまい取り止めている。
この作戦失敗は台枠の仕上げが異なっていたためだと思われる。
3200形用動力ユニットは艶消し処理で被膜が厚い。
僅かな厚みの違いにより3300形用KS-121動力台車を受け付けなかったと推測される。


絶縁シート位置に影響しないモーター。

結局復旧にはモハ3315用動力ユニットの全部品を流用した。
モーター底部のメンディングテープはコイルに支障しない幅まで狭め再貼付した。
テープは変形したモーター外殻を補う役目を担っていたらしい。
敢えてテープを残し台枠との絶妙な角度を維持させている。
この時モーター軸受への注油を施した。
ユニバーサルジョイント組み付けに苦労したが何とかモーター一式を台枠に滑り込ませた。


通常品同等になったモハ3315用動力ユニット。

モーター底部のテープ貼付が効果を発揮したらしくモーターストッパーはスムーズに嵌め込めている。
モーターストッパーは3200形用1stLOT動力ユニットから転用した。
絶縁シートも正規の高さとなりモーターストッパー追設の影響は出ていない。
当然ユニットカバーも支障なく嵌合を図れ駆動試験を迎えた。
結果次第ではKS-131付動力ユニットで更新を施すしかなくなる。


駆動試験を待つモハ3315。

モハ3315は起動電流がやや高めだった。
試験線に電流を流し始めると直ぐに動力ユニットが稼働してくれた。
何が幸いしたのか判らない。
しかし起動が早まったのは間違いない。
加減速のスムーズさは入場前と変わらずモーターストッパー追設を強行した甲斐があった。
最後に共鳴確認のため車体と嵌合させ駆動試験を行った。


忘れずに取付けたTNカプラーSP(成田寄)。

散々苦労した動力ユニットは何事も無かった様に試験線を走行してくれた。
最後まで油断できなかったが良好な答が得られている。
なおTNカプラーSP装着車は動力ユニット整備後には取付忘れを繰り返して来た。
モハ3315でも車体嵌合時に確認し2連続で失念を防げた。
まだTNカプラーSP装着車が存在するが今後は大丈夫だろう。

予想外のメーカーエラーに苦戦したが
モハ3315の竣工に至った。
3316F-3の出場により3300形1次車全編成の動力ユニット整備が完了している。
今回の収穫は3200形1stLOT動力ユニット台枠と3300形用動力ユニット台枠の互換性である。
徐々に部品を供出している部品取用動力ユニットだが台枠転用先が限られると判明した。
場合によってはKS-131付動力ユニットも部品取用としての活用を考えた方が良いかもしれない。

※記事訂正:モーターストッパー有無は個体差の可能性有。

京成3300形モハ3314[3316F-1] 新赤電色 クロスシート試作車 動力ユニット整備(経年対策)

2017-06-17 21:26:29 | 京成線:3300形
異色。

動力ユニット整備のためマイクロエース製京成3300形3316F新赤電色クロスシート試作車(3316F-1)が入場した。
初出場時は4両編成千葉線仕様としたが実車の運用に倣いモハ3310+モハ3309新赤電色(3312F-1)を増結し6両編成(3316F-2)化した。
この際モハ3316の種別幕をマイクロエース製英字無併記[普通]幕から富士川車輌工業製[特急]幕へ改めた。
現在3000系列新赤電色グループ唯一の[特急]でクロスシート試作車組成も相俟って特色のある編成になっている。


京成3300形3316F 新赤電色 クロスシート試作車。
3316F-1:[3316]-[3315]-[3314]-[3313]。

3316F-2が基準編成でモハ3313は先頭に立たない。
そのため簡易的な中間組込対応化を施し貫通幌取付,ライトユニット撤去を行った。
また元モハ3264新赤電色(部品取車)と行先方向幕窓セルを振替え基準幕の青味が強いセルを組込んでいる。
種別表示器は縛りが無く富士川車輌工業製ステッカーの[]幕を起用し独自の雰囲気を持つ。
その後モハ3312+モハ3311新赤電色(3312F-1)との増結にも対応させ随時2+4+2編成(3316F-3)も組めるよう深化した。
モハ3316は先頭車を兼ねるためライトスイッチをOFFに切り替えるだけで8両編成対応としている。


モハ3314 新赤電色 クロスシート試作車(3316F-1)。

3316F-1の外観は[クロスシート試作車]ステッカー再現以外の特徴は無いに等しい。
4種のクロスシート配置を各々再現した座席部品がこの製品の売りと言えよう。
しかし室内灯を使用しておらずその特色が判り難かった。
2次に渡りクロスシート背摺へ色挿しを行い少しでもロングシート車との差別化を図った。
動力車のモハ3314は背摺が低く編成中では一番目立ちにくい存在に甘んじている。


入工中のモハ3314。

マイクロエース製3300形グループで3316F-1は高経年車に入る。
よってある程度の劣化は予想できていた。
3000系列唯一の[特急]と言う事もあり比較的出番は多い。
その割には動力ユニットからの異音も無く順調に稼働していた。
固形化が進んだ純正グリス除去が中心になると考えていたが実際には異なる展開が待っていた。


絶望的な酸化度合いの導電板。

動力ユニットを分解するとどす黒く変色した導電板が現れた。
加えてユニットカバーが油に塗れており唖然としている。
取り敢えずクリーナーで油脂を落としたがこのまま作業を進める気になれなかった。
どうしてもユニットカバーに広がる油が気になる。
通常とは順番を変えKS-121動力台車から整備を開始した。


純正グリスの少ないKS-121動力台車。

KS-121動力台車はギアも含め全てサックスブルーの成形品である。
劣化した純正グリスの状態が判別し易い色合いだが予想に反して目立った塊は見られなかった。
ギアボックス内壁こそ薄い純正グリスの幕に被われていたもののサックスブルーが隠れるほどではない。
台車枠や動軸ギアも同様で面食らった。


清掃を終えたKS-121台車枠と動軸ギア。

いまいち納得できないままKS-121動力台車の清掃に着手した。
先ず台車枠と動軸をばらし僅かに残る純正グリスを除去している。
台車枠はクリーナー,動軸ギアはクリーナー+極細綿棒+歯ブラシであっと言う間に清掃を終えた。
この時点でも油塗れのユニットカバーに納得が行かずモーター周りの点検に移行した。
モーター軸に油脂付着を発見したが固形化が進んでおり油流出とは関係無いらしい。


モーター軸を被っていた油脂。

但し油脂付着量はこれまで整備してきた動力ユニットに比べて非常に多かった。
一度では取り除けず一旦モーター軸上で寄せ集めた後に極細綿棒で掬う様に除去した。
LOTが古いため入場前の状態に関わらず注油を行っている。
元々稼働状態が良かったせいかモーター単独駆動試験での変化は全く感じられなかった。


グリス除去を行ったギアボックス周り。

モーターの駆動状況を確認し再びKS-121動力台車の整備に戻った。
前途の通り純正グリス残量が少なくギアのクリーナー浸けは行っていない。
ギアはクリーナーを浸した極細綿棒で大方のグリスを落とした後に歯ブラシで仕上げている。
ここでKS-121動力台車を組み上げスパイラルギア部を確認した。
するとスパイラルギアカバー内側に劣化した純正グリスの塊が残っていた。
ユニットカバーを油塗れにした原因はここにあったと思われる。
既に固形化していたが粘度が低いままであればユニットカバーへの進出は防げなかっただろう。


整備を終えたKS-121動力台車。

ユニットカバーに付着した油脂の原因がほぼ絞れたため導電板磨きに入った。
導電板は過去に入場した動力車でも見られない程酸化が進行し最悪な状態だった。
磨き始めはラプロス#4000の目が瞬く間に詰まり使い物にならなくなった。
都度裁断したラプロスを用いているが片側だけで4回も取り替えを強いられている。
またユニットカバーの背摺に色挿しを施しているため塗料にビニール手袋が当たらない様気を配る必要もあった。
色挿しには枕カバー:油性ペイントマーカー,デコラ:ガンダムマーカーを採用した。
ガンダムマーカーは耐性が低く作業効率を極端に下げる要因になってしまった。


磨き出し中の山側導電板。

それでも少しずつ導電板は輝きを取り戻し始めた。
途中で海側と山側を比較したがその差は歴然としている。
なお導電板長手方向の両端は細帯状に曇りが残り磨き上げまでかなり時間が掛かってしまった。
最後にクリーナーで拭き上げるとは言え出来る限り状態を上げたい。
約20分を要しながらも納得の行く仕上がりを迎えた。


整備を終えた動力ユニット。

導電板以外は比較的状態が良く整備前後で大きく変わった雰囲気を得られなかった。
津川洋行製ホイールクリーナーでの踏面清掃時も低速からスムーズに立ち上がっている。
結果的にモハ3314の動力ユニットは導電板の状態が極端に悪かっただけに留まった。
モーター軸の油脂付着も稼働具合には影響を及ぼしておらず試験走行も順調にクリアした。
モハ3314新赤電色の動力ユニットはモハ3310現行色中期仕様(3304F-4)でも使用している。
純正グリス量はほぼ同等で2編成が回着した3316F新赤電色クロスシート試作車は共に当たりだったらしい。


剥がれなかったクロスシート背摺部色挿し。

導電板研磨に苦労したが気を付けたクロスシート背摺の色挿しは全て残ってくれた。
ユニットカバーは何度も持ち替えた。
枕カバー再現に油性ペイントマーカーを用いたのが奏功したと思う。
心配された窓側のデコラ再現もよく持ち堪えてくれた。
目立たないながらも数少ないアピールポイントである。
所有車両では珍しいクロスシート車で差別点を傷めずに済んだのは収穫と言えよう。




3316F-2 (4+2編成)。

モハ3314の竣工で3316F-1が再出場した。
再び3312F-1との4+2編成に復帰しモハ3313は編成の中間に封じ込められている。
傾いた[]幕が気になったがライトレンズを固定しており修正には一手間を要する。
今回は見送りとするが折を見て改善したい。

京成3300形モハ3310[3304F-2] 現行色 中期仕様 車体更新,モーターカバー交換 (元モハ3302 車体転用)

2017-06-15 21:40:48 | 京成線:3300形
一新。

マイクロエース製京成3300形モハ3310現行色中期仕様(3304F-2)の車体更新に着手する。
モハ3310は車体塗装の傷みが激しかった。
種車はモハ3318(3320F現行色)で3304F現行色,3344F現行色とはアクティブシルバーの色温度も若干異なっている。


京成3300形3304F 現行色 中期仕様(4+2編成)。
3304F-4:[3304]-[3303]-[3302]-[3301]+[3310]+[3309]。

3300形は3304F現行色,3344F現行色からクーラーキセが明灰色成形品に変更された。
モハ3310へ改番される前はモハ3306現行色前期仕様とし3308Fに組み込む予定だった。
この際クーラーキセを現行LOTへ交換し極力外観差が出ないようにしている。


モハ3310 現行色 中期仕様(3304F-2)。

更に遡るとモハ3335現行色後期仕様(3320F-2)に辿り着く。
海側側面の腰板帯はモハ3335時代に剥がれてしまったものである。
完全修復出来るだけの技量が無くマッキーでの簡易的な措置しか採れなかった。
その他の印刷類も劣化が進み現状維持が課題になっていた。
しかしモハ3302現行色回着で車体更新の目処が立った。
既にモハ3302の車両番号標記印刷消去を終えており早速モハ3310を入場させた。


入工中の元モハ3302,モハ3310。

主工程はインレタ転写である。
その前にモーターカバーの交換を行った。
現行LOTのモーターカバーは色挿しの無い旧LOT品に比べプラスチック厚が薄い。
モハ3310として竣工するまでに各種部品を遣り繰りした。
この間に海側の抵抗器部分が真っ二つに割れてしまい流し込み接着剤で溶着を図った。
亀裂はほぼ目立たなくなり一定の強度も得られた。
その代わり必ず山側から取り外す必要が生じている。
3300形内での取扱いを統一するため元モハ3302のモーターカバーと振替えた。


モーターカバーを交換したモハ3310用動力ユニット。

現在ではモーターカバーの交換も手慣れた。
そのためモハ3310の修復済モーターカバーの撤去のみに注意を払っている。
修復済モーターカバーも着脱方式に注意を要するが使用可能な状態ではある。
そこで3200形の旧LOTモーターカバー装着車へ転用する事にした。
自分にしては上程度の修復具合でモーターカバー交換後も外観の変化は感じ難い。




[[モハ331][0]]。

モハ3310への改番は使い残しの古インレタを起用したが失敗だった。
[モハ331]+[0]の組合せで難易度は低い。
しかし古インレタの劣化がかなり進行しており夥しい転写糊が標記部以外にも付着してしまった。
古インレタ2枚のうち経年の高い方を用いたが裏目に出た。
ここは少々計算が狂い改番後の[モハ3310]は非常に見難い標記になっている。
今後転写糊の除去を進めていくがその状況次第では再転写を行うかもしれない。
その場合は今回の古インレタ起用を避けるようにしたい。


車体更新を終えたモハ3310 (元モハ3310,新モハ3310)。

元モハ3310のモーターカバーは3200形への転用に備え装着を見送っている。
最終的には旧LOTモーターカバーに交換され予備車となる。
3300形の予備車は初登場で有効な存在になるだろう。
ただ貴重な[K'SEI]CIマークインレタが無用になってしまったのは勿体なかった。
現在では転写対象が存在しないものの将来の打撃にならない事を願いたい。




モハ3310(車体更新,モーターカバー交換)。

車体更新を終えモハ3310が竣工した。
現行LOTの車体に載せ替えたためアクティブシルバーの色温度が変わった。
これによりモハ3309現行色(3304F-2←モハ3333)との差異も解消されている。
色温度の揃わないユニットはモハ3310+モハ3309だけだった。
それだけにモハ3302現行色の導入は効果的だったと言える。




モハ3310+モハ3309 (3304F-2:モハ3310 車体更新)。

部品都合で半ユニットのみの存在だが3304F現行色中期仕様(3304F-1)の牽引を務める。
3304F-1は4Tでモハ3310+モハ3309は欠かせない戦力である。
モハ3310の傷んだ腰板帯,側灯,靴刷等は払拭され他編成と遜色ない仕上がりに至っている。
なお3304F-1は3304F現行色を英字無併記[普通]種別幕,旧行先方向幕ステッカーにて中期仕様化した。




モハ3301+モハ3310 (3304F-2:モハ3310 車体更新)。

LOT違いによるアクティブシルバーの色温度差はモハ3301+モハ3310でも生じていた。
モハ3310の車体更新により3304F-2は全車現行LOTで統一され見附が向上している。
老朽化の目立っていたモハ3310の車体更新は懸案だった。
予期せぬセットバラし品登場だったが恵まれていたのかもしれない。

京成3300形モハ3302 現行色 回着 (車両番号剥離,スライダー印刷補修施工) ※モハ3310[3304F-2]車体更新種車

2017-06-14 21:32:32 | 京成線:3300形
今更。

セットバラし品のマイクロエース製京成3300形モハ3302現行色が回着した。
現在3300形はある程度のバリエーションが揃い増備を中断している。
その矢先に3304F現行色のセットバラし品が現れた。


京成3300形モハ3302 現行色(動力車)。

3304FはFS-361を履く1次車で台車交換をせずに改番可能な編成は3308Fのみに限られる。
その3308Fは現行色前期仕様(3308F-1)の1編成が在籍している。
4両編成の現行色中期仕様,後期仕様,晩年仕様は3304F,3320F,3344Fで各々出場させた。
現状では各プロトタイプを増強する強力な理由が乏しく3308Fの追加投入は見送られた。
仮に台車がKS-121であれば事情は変わっていたと思う。


入工中のモハ3302。

このタイミングでモハ3302現行色を導入したのは車体更新と動力ユニット確保が名目となった。
車体はモハ3310現行色中期仕様(3304F-2)の車体更新に用いる。
モハ3310は改番を繰り返した上に埃混入部の修正を図ろうとした際腰板帯を剥がしてしまった。
所有する3300形では屈指の状態が悪い車体でこれの改善を行う。


[モハ3302]。

[モハ3302]の車両番号標記印刷は来る改番に備え除去する。
久し振りの爪楊枝式印刷消去でやや感覚を失っていた。
更にいくら印刷を擦っても全く剥がれる気配がしない。
3304F現行色,3344F現行色LOTは標記剥離に苦戦した記憶が無い。
中には車両番号が浮いた状態の個体も存在した。
経年で印刷が定着する仕様なのかもしれない。


[モハ3302]。

急いて印刷被膜を傷めても損をするだけである。
考えてみると3298F復活赤電色(3298F-3)の印刷剥離も時間を要した。
3298Fリバイバル開運号(二代目)を種車としたが開運号関連の印刷は強固でなかなか除去できなかった。
この時もある程度経年が進んだ製品に手を着けた。
作業当時を思い出し銀印刷が崩れ始る事を待ちながら爪楊枝で擦り続けた。
そして一箇所が剥がれると一気に[モハ3302]が崩壊し始めた。
待ちに待った瞬間である。
それと同時に爪楊枝式印刷消去の感覚も蘇ってきた。
多少爪楊枝の角度を寝かさないと車体印刷断面に引き掛からず剥離できない。
海側で感覚が戻り山側はスムーズに車両番号標記消去を終えた。


僅かに印刷掠れのあるスライダー。

検品時から把握していた要修正点はPT-43形パンタグラフのスライダーの印刷だった。
1箇所だけスポット状に剥離しており油性ペイントマーカーで補修を行った。
3304F新赤電色(3304F-1),3316F新赤電色クロスシート試作車(3316F-1)では印刷自体が無く全面的に塗り潰した。
しかしモハ3302はメーカー印刷の大半が残っておりこれを活かす方向とした。
そこでモハ3312,モハ3309新赤電色(3312F-1)の通過標識灯枠印刷補修時と同様の手法を採っている。


目立たなくなったスライダー印刷剥離部。

爪楊枝の先に油性ペイントマーカーのインクを乗せスライダーの印刷剥離部に当てる。
これを数回繰り返し黒点の様な箇所を埋めた。
油性ペイントマーカーとメーカー印刷の色温度が異なるため若干の違和感は残る。
しかし遠目では十分に誤魔化せる状態になったと思う。
少なくとも3304F-1,3316F-1よりは上回った。
3312F-1で通過標識灯枠印刷補修を行っていなければ直接ペン先を当てていただろう。
印刷剥離は遠回りしたが印刷補修は施工直後で不幸中の幸いだった。


珍しく状態の良かったパンタグラフ周り。

3304F現行色,3344F現行色LOTはパンタグラフや配管取付に問題のある車両が多かった。
スライダー塗装剥離こそあったもののPT-43形パンタグラフに傾きは無く取付脚はパンタグラフ台に接していた。
配管の取り回しは通常通りで避雷器のぐらつきも生じていない。
導入編成の大半で修正を要したがLOTは変わらないはずでいまいち納得が行かない。
それだけ個体差の大きい製品だったのだろう。


[3302]のまま残る妻面。

車両番号は側面のみ消去したため妻面には[3302]が残っている。
3300形改番車での共通措置であり元モハ3302もこれに倣った。
走行時に視認できる確率は限り無く低いと思う。
フォントサイズの合致するインレタが存在しない事から車体転用後も種車を物語る箇所になる。




元モハ3302現行色(車両番号消去)。

元モハ3302の第一次整備を終えた。
これでモハ3310の車体更新準備は整えられた。
なお動力ユニットは未整備のままとした。
計画では休車状態が続くマイクロエース製3200形3212F試験塗装色ホワイト編成へ転用予定である。
3212Fは4T化に加えモハ3209の前面塗装状態が酷く一時は廃車候補にも挙げられた。
劣悪な塗装は手が着けられない状態に陥っている。
しかし3200形8M車グループの在籍数が少なく我慢を選択した。
現在は3300形の動力ユニット整備を進めている最中でモハ3210(3212F)電装時に同時進行させたい。

京成3300形モハ3310[3312F-3] 復活新赤電色 動力ユニット整備(異音改善:3200形LOTスパイラルギア化)

2017-06-13 21:43:47 | 京成線:3300形
気動車。

マイクロエース製京成3300形動力ユニット整備入場は5編成目の3312F復活新赤電色(3312F-3)を迎えた。
3312F-3はマイクロエース製3300形の最古参グループに属する。
同時リリースされた3300形4種では唯一の1次車で同一LOTの先陣を切る事になった。


京成3300形3312F 復活新赤電色。
3312F-3:[3312]-[3311]-[3310]-[3309]。

京成100周年記念事業の1つとして青電色,赤電色,新赤電色の3塗装が3300形で再現された。
製品は[京成100周年]ステッカーが印刷済で実車に則すと2009年9月~2009年12月頃までの短期間がプロトタイプになる。
背表紙の製品イメージラベルは色地種別幕でこれは[京成100周年]ステッカーが剥がされた後に採用された。
珍しい箇所にエラーが存在する珍品だと思う。


モハ3310 復活新赤電色(3312F-3)。

3312F新赤電色(3312F-1)は3316F新赤電色クロスシート試作車(3316F-1)増結専用で4T化されている。
動力車は3316F-1に頼るため3312F-1は入場を要さない。
モハ3310現行色中期仕様(3304F-2)は2両口だったが3312F-1は編成単位であり3316F-1より3312F-3を先行させた。
回着時からモハ3310の動力ユニットはいまいち調子が良くなかった。
駆動状態は悪くないものの気動車の様な騒音を発しており長らく気になっていた。
個体差の可能性も否めないが整備を機に原因を追求する。


入工中のモハ3310。

動力ユニットを分解し真っ先に確認したのはKS-121動力台車の回転具合である。
すると上野寄がやや重く成田寄より状態が悪そうだった。
異音は台車付近から生じているため今回の重点整備項目とする。
導電板は経年に対し余り進行していない様に感じられた。
全体的にくすんでいるものの極端に酸化した箇所は見られなかった。
試しにクリーナーで吹き上げたが全く状況は変わらずラプロス#4000を手に取っている。


空振りに終わったクリーナーによる導電板磨き。

一見では中程度に見られた導電板だが各所に指紋が点在していた。
くすみに埋もれてその存在に気付けなかったらしい。
何れにせよラプロスで研磨するため除去される。
順調に磨き上げを進めていたが台車用導電板と分岐する箇所にも指紋があった。
この部分は導電板が細く研磨に神経を使う。
台車用導電板との接触部は浮いているため攻め切れず完全に落とせなかった。
この箇所以外の指紋はほぼ除去出来ている。


僅かに残る指紋。

動力ユニットは回着時から全く手を施していない。
そのためKS-121動力台車は純正グリスで変色していると思っていた。
ところが予想に反し投入量が少なく比較的綺麗な状態を保っており拍子抜けしている。
異音発生には純正グリスが関係していると考えていたがこの予想は外れた。


高経年には見えないKS-121動力台車。

台車周りが疑わしい事実に変わりはなく先にモーター周りの整備に着手した。
モーター単独駆動試験では多少の引っ掛かりこそ生じたものの気になる異音は出ない。
この引っ掛かりは注油で解消されスムーズな回転に回復した。
またモーター軸の油脂付着も無くこちらも良好だった。


問題無かったモーター周り。

モーター周りに異常が無い事を確認しKS-121動力台車の清掃作業に着手した。
これまで両側台車を同時進行で清掃を進めてきたがモハ3310に限り1台車毎の整備に変更する。
上野寄,成田寄台車の状態をより詳細に確認するためでここは時間を割く事にした。
清掃は回転が重かった上野寄から開始している。


分解したKS-121動力台車(上野寄)。

組み上がった状態ではギアの噛み合わせに異常は伺えなかった。
純正グリス除去は手作業で行いクリーナー浸けは見送っている。
各種ギアは爪楊枝と歯ブラシで清掃を行いながらギア山の変形等を確認を行った。
しかし全ギアとも崩れ等の異常は見られず終いだった。
そのため純正グリス除去を終え次第組み上げている。


純正グリス除去を行ったKS-121動力台車(上野寄)。

純正グリス除去の効果が高かったらしく上野寄KS-121動力台車は車輪の回転が軽くなった。
エアーダスターで埃を払ったところ風力を受けた車輪が暫く回転し続ける程まで回復している。
先ず上野寄KS-121動力台車は摺動抵抗を下げられた。
同様の手順で成田寄KS-121動力台車の清掃を行った。


磨き上げたスパイラルギア(成田寄)。

上野寄と違いスパイラルギアの谷に純正グリスが固着していた。
ギアが金属製のためクリーナーを浸した歯ブラシで直接削ぎ落としている。
台車側のギアは磨耗等も無かった。
組み上げた後の車輪回転も上野寄の同等になり摺動抵抗の軽減と両台車の均等化を図れたと思う。


整備を終えたKS-121動力台車。

ここで動力ユニットを組み上げ走行試験を行った。
好結果を期待していたが異音は全く解消されておらず落胆した。
各摺動部の状態は向上しタミヤ製グリスも塗布済である。
何処が異音の発生源か全く判らない。
ただ相変わらず台車付近から生じている事実だけは同じだった。

こうなると切り分けていくしかなくなる。
予備品のKS-131付動力ユニットを持ち出し各部品を入れ替え原因を潰しに掛かった。
KS-131付動力ユニットにKS-121動力台車を取り付けると異音が消え去った。
一方モハ3310用動力ユニットにKS-131動力台車を装着しても不具合は生じなかった。
ここで得られた答は部品同士の相性である。
台車付近から異音を発するためスパイラルギアが怪しいと考えた。
新たなスパイラルギアは部品取用のFS-361擬付動力ユニットから供出した。


救世主となった3200形LOTスパイラルギア。

この動力ユニットは3200形元モハ3262(元3240F現行色→モハ3266)に搭載されていたはずである。
モハ3209試験塗装色(ホワイト)の電装解除時に部品取用に廻った。
部品取用動力ユニットからは塩化ビニール製絶縁シートに続く転用となる。
3240F現行色と3312F復活新赤電色のリリースには間があり部品嵌合に不安があった。
しかし基本部品に変更は無い模様で3300形用動力ユニットにも適合してくれた。


KS-121動力台車を取り付けた動力ユニット(3200形LOTスパイラルギア化)。

KS-121動力台車は従来通りの嵌合を保てている。
ユニットカバーも不都合無く装着され動力ユニットが組み上がった。
そして二度目の走行試験でようやく異音が生じなくなった。
やはりギアには各々相性があった模様でモハ3310では悪い方に出たらしい。
なおモハ3310で使用していたスパイラルギアはKS-131動力台車装着時に異常が出なかったため予備品とする。
相手を選ぶスパイラルギアでありFS-361擬付動力ユニットへ組込み緊急予備用とする。

何とも予想外な異音の原因たった。
部品同士の組合せ次第ではこの様な事態も起き得るのだろう。
答が出るまで遠回りしたが新たな対処方法を会得出来たと思う。
モハ3310は根本原因を払拭し竣工した。
異音により3312F-3は走行距離を伸ばさないようにして来た。
再出場後は制限が廃されたため同時期がプロトタイプの編成と離合する機会が増えるだろう。

京成3300形モハ3301[3304F-1] 新赤電色 運転台側通過標識灯枠印刷補修施工,英字無併記[普通]種別幕交換

2017-06-07 21:20:07 | 京成線:3300形
的中。

マイクロエース製京成3300形3304F新赤電色モハ3301(3304F-1)は予定より遅れて入場した。
モハ3304(3304F-1)で運転台側通過標識灯枠の印刷剥がれを発見し修正を施した。
二度の改番を経たモハ3301も同様の症状があるかもしれないと思い真っ先に確認している。


京成3300形モハ3301 新赤電色(3304F-1)。

答は初めから余り期待していなかった。
改番はモハ3304,モハ3301とも同一方式で行っており印刷剥離があるものと考えた。
予想通り運転台側通過標識灯枠印刷の一部が失われていた。
モハ3304では修正に大幅な時間を要した。
そのためモハ3301では先に通過標識灯枠の修正を終えてから種別幕交換に移る。


入工中のモハ3301。

通過標識灯枠の印刷剥離はモハ3304より激しかった。
側面寄に加え天面も銀色が無くなっている。
現行色なら余り目立たないが新赤電色では見逃せない。
再び油性ペイントマーカーでの補修に着手した。
爪楊枝でインクを浚う方法はモハ3304に倣う。
修正を繰り返した反省を活かし予めインクをペン先に集約し適量を取り易くした。
通過標識灯天面への色挿しはインクを乗せた爪楊枝を回転させながら塗料を広げている。
奇跡的に一発で助士側通過標識灯枠印刷に近い幅を塗布出来た。


油性ペイントマーカーで補修した運転台側通過標識灯枠。

課題は側面寄の補修である。
通過標識灯枠のモールドが細くインクを乗せるのが難しい。
インク量を誤ると通過標識灯レンズまで侵出する可能性もあった。
側面寄は欲張らずに少しずつ銀挿し部を伸ばす方式とした。
その甲斐あってモハ3304より短時間で通過標識灯枠の修正を終えた。
今考えると通過標識灯レンズを撤去しペン先を直に当てた方が良かったとも思える。
余り再発してほしくない症状だが止むを得ない機会に陥った場合には試すのも一手だろう。


種別幕を取り付けた貫通扉。

今回の入場目的はあくまで富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕化である。
すっかり通過標識灯枠補修に重点が置かれてしまった。
気持ちを切り替えて種別幕交換に取り掛かった。
通過標識灯枠補修前に種別幕の撤去を済ませておいた。
ちなみにモハ3301は原則通り微量のゴム系接着剤でステッカーベースが固定されていた。
そのため貫通扉は傾斜することなく撤去が行えている。
富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕はモハ3304入場時に切り出しており準備は万端である。
撤去した種別幕ベースからマイクロエース製ステッカーを剥離し富士川車輌工業製ステッカーを貼り直した。
車体への取付は大凡の平行合わせに注意するだけとなる。




英字無併記[普通]種別幕を交換したモハ3301。

ゴム系接着剤は種別表示器部に塗布した。
種別幕は固着する前に平行合わせを行わなければならない。
接着剤量が少ない分固着も速い。
ここだけは焦らず急いで作業に当たった。
ゴム系接着剤は上下2点止めである。
種別幕交換前のモハ3304は珍しい措置であり今後苦労する事は無いと思う。




モハ3301 点灯試験[B17 普通 千葉中央]:富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕化。


モハ3308 点灯比較[B17 普通 千葉中央]:旧ライト基板交換済。

点灯試験の結果も良好でモハ3304はもちろんモハ3308現行色前期仕様(3308F-1)とも同等に仕上がった。
種別幕交換を終えモハ3301も竣工した。
3308F-1が契機になった富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕化は全車寄り道を伴う作業になった。
ただ交換後の3304F-1,3308F-1を見ると英字無併記[普通]種別幕の存在感が増しその手応えを得られている。
加えてモハ3304,モハ3301の運転台側通過標識灯枠印刷剥離にも気付けなかっただろう。




3304F-1 (富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕化,運転台側通過標識灯枠補修)。

モハ3301の竣工で3304F-1は再出場を迎えた。
3308F-1でも感じたが富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕の方が実車の雰囲気に近い。
3300形新赤電色は3312F-1,3316F-1が在籍している。
両編成とも[特急]種別幕ではあるが富士川車輌工業製ステッカーを採用しており統一も図れた。


3312F-1,3304F-1 (富士川車輌工業製種別幕)。

これで在籍する3300形からマイクロエース製英字無併記[普通]種別幕車が全廃された。
当初から富士川車輌工業製ステッカーを採用していれば良かったと思える。
しかし近場では入手が難しい事情もあった。
姿を消したマイクロエース製英字無併記[普通]種別幕だが十分に中継ぎの役目を果たしてくれた。
一方英字併記[普通]種別幕はマイクロエース製ステッカーが主力になっている。
こちらの交換は富士川車輌工業製ステッカーの残数もあり現在は計画していない。




3304F-2 (4+2編成)。




3308F-2 (4+2編成)。

なお3304F-1再出場で3308F-1との4+2編成も復活した。
グリーンマックス製3150形の新旧混色編成組成を休止している影響により出番は増えると思う。
3304F-1,3308F-1同士の離合も行えるため活躍の場を広げたい。

京成3300形モハ3304[3304F-1] 新赤電色 英字無併記[普通]種別幕交換,運転台側通過標識灯枠印刷補修施工

2017-06-06 21:16:50 | 京成線:3300形
想定外。

マイクロエース製京成3300形3304F新赤電色(3304F-1)が種別幕交換のため入場した。
3304F-1はモハ3303の動力ユニット整備に始まりモハ3302もパンタグラフスライダー金色化で続いた。
今回モハ3304,モハ3301の種別幕交換で短期間のうちに全車が入場に至る。


京成3300形3304F 新赤電色。
3304F-1:[3304]-[3303]-[3302]-[3301]。

3304F-1は車体更新で保留車となった元3312F新赤電色に種車とした。
当時英字無併記[普通]種別幕は製品付属のマイクロエース製にする方針だった。
改番入場時も躊躇することなくマイクロエース製ステッカーを起用している。
この後マイクロエース製英字無併記[普通]種別幕が不足し富士川車輌工業製を用いた。
潮流が変わり3304F-1も3308F現行色前期仕様(3308F-1)に合わせ富士川車輌工業製ステッカーへ変更する。
結局マイクロエース製英字無併記[普通]種別幕は消滅に向かう。


モハ3304 新赤電色(3304F-1)。

種別幕交換はモハ3304から開始した。
3308F-1同様種別幕用のプラ板ステッカーベースは再用する。
しかし富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕は2両分しか残っていない。
切り出しを誤ると3304F-1の出場が遅れる。
これさえ乗り越えれば問題ないと思っていた。


入工中のモハ3304。

先ず種別幕の撤去に取り掛かった。
ステッカーベースさえ傷めなければ良い。
何時もの感覚で種別幕を押し込んだところ貫通扉が斜めになった。
種別幕は微量のゴム系接着剤で固定しているはずである。
位置を変えながら種別幕を押してもその度に貫通扉が外れてしまう。


傾斜する貫通扉。

前面窓セルの傾斜を招く恐れのある貫通扉撤去は避けたかった。
しかしいくら挑んでも種別幕は強固に貼り付いたまま残る。
このままでは埒が明かない。
止むを得ず貫通扉を撤去して種別幕を剥がした。
種別表示器部を確認すると波を打つようにゴム系接着剤が塗布されていた。
モハ3312時代の[特急]からモハ3304への改番時に[普通]へ格下げした際の作業を端折ったと思われる。
これが強固な取付を引き起こし種別幕だけを押し込めなくしていたらしい。


ゴム系接着剤が夥しく残る種別表示器部。

それにしてもこの量は多過ぎである。
今度はゴム系接着剤の除去に苦戦した。
種別表示器部全周に渡り接着剤が塗布されていた上に厚みがある。
ゴム系接着剤の残滓除去は爪楊枝を用いるしかなく少しずつ剥がしていった。
途中で爪楊枝を交換するほど塗り込められていた。
モハ3304ではステッカーベース側にゴム系接着剤を塗布したのかもしれない。
幸い貫通扉,種別表示器を傷めず残滓除去を終えた。
ここはゴム系接着剤の強味と言えよう。


原形に復帰した種別表示器部。

モハ3304用の富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕は失敗無く切り出せた。
これでモハ3301用を確保できた。
失策予防のためこの後モハ3301用の種別幕も切り出している。
ここまで来れば種別幕交換は無事終えられるだろう。
再用したステッカーベースに英字無併記[普通]種別幕を貼付し車体へ取り付けた。
今度こそゴム系接着剤は微量とし万が一のステッカー破損及び劣化に備えている。


銀挿しを施した運転台側通過標識灯枠。

ところが車体を組み立てた時点で異変に気付いた。
運転台側通過標識灯枠の側面寄印刷が失われている。
モハ3316新赤電色(二代目)をモハ3312へ改番した際は入念にマスキングを施したはずである。
前面の[3316]消去はラプロス式で行い擦過面積を最小限に留めたつもりだった。
二度の改番でマスキングテープの糊に印刷が持って行かれたのかもしれない。
このままでは締まりに欠けるためシルバーの油性ペイントマーカーで修正を行った。




モハ3304 [B17 普通 千葉中央]:種別幕交換,運転台側通過標識灯枠修正施工。

修正箇所が繊細で油性ペイントマーカーのペン先は当てられない。
そこでインクを爪楊枝で浚い通過標識灯枠へ乗せる方式とした。
塗料が速乾性で浚ったインクが少ないと銀挿しに至らない。
逆に多過ぎると斑になり枠の形状が崩れてしまう。
斑になったインクはゴム系接着剤除去用の爪楊枝で直ぐに拭き取り再度色挿しに入る。
これを何度も繰り返しようやくそれなりの見附に戻せた。




モハ3304 点灯試験[B17 普通 千葉中央]:富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕交換施工。


モハ3305 点灯比較[B17 普通 千葉中央]:3308F-1(旧ライト基板交換施工車)。

通過標識灯枠の修正に時間を要し点灯試験を行う頃には日付を跨いでいた。
モハ3308,モハ3305(3308F-1)に続き種別幕交換だけの作業だったはずが大掛かりな展開に変わってしまった。
細部の修正は自分が苦手とする分野である。
無駄に時間ばかり費やしてしまうため何とか技量を向上させたい。

点灯試験の結果は3308F-1と変わらない。
3304F-1と随時併結する3308F-1を旧ライト基板化した理由はここにあった。
4+2編成(3304F-2,3308F-2)時も編成前後で点灯色温度が異なる事態を防いでいる。
その代わり黄味を帯びる弱点も付いて来てしまった。
LEDチップ打ち替えの技量も工具も無く白色点灯化は厳しいだろう。