試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成3300形モハ3342[3320F-4] 現行色 晩年仕様 動力ユニット整備(急加減速改善)

2017-07-12 21:33:04 | 京成線:3300形
気分転換。

マイクロエース製京成3300形3320F現行色晩年仕様(3320F-4)が動力ユニット整備のため入場した。
編成管理番号順に整備を進めているが3320F-3は3320F現行色6両編成後期仕様(3320F-1)を4両編成に組み換え組成している。
3320F-1は整備が終了しているため3320F-4が入場対象になった。


京成3300形3320F 現行色 晩年仕様。
3320F-4:[3320]-[3319]+[3342]-[3341]。

3320F-4は3320F現行色6両編成仕様からモハ3318+モハ3317を脱車し出場した。
当初からモハ3318+モハ3317は3320F現行色暫定8両貫通編成(3320F-2)へ転用する予定だった。
そのため動力ユニットはモハ3318の改番入場時にモハ3342へ移設されている。
プロトタイプは晩年仕様で1stLOT製品が出自ながら色地[普通]種別幕を持つのが特徴である。
実車の晩年はラッピングが繰り返された。
そのため純粋な現行色としては2010年5月~6月の約1箇月間しか該当しない。
但し色地[普通]種別幕編成に仕立てられる製品は3304F現行色,3344F現行色に限られる。
3320F現行色からモハ3318+モハ3317を脱車しただけとは言え貴重な存在になっている。


モハ3342 現行色 晩年仕様(3320F-4)。


モハ3342 現行色 6両編成 後期仕様(3320F-1)。

晩年仕様化はモハ3320,モハ3341への色地[普通]種別幕採用に全てが集約される。
よってM1車は独自の特徴を持たない。
モハ3342の動力車化は3320F-3を兼ねる3320F-1でも施しており同一仕様が2両現れた。
出場時期からモハ3342を動力車に指定したが今なら識別のためモハ3319にしていたと思う。
マイクロエース製京成形式では上野寄M1車に動力ユニットを持つ4両編成が増加した。
その影響もあり今後動力車位置変更を行うかもしれない。


入工中のモハ3342。

モハ3342の動力ユニットはかつてのマイクロエース製品らしさが強く残る駆動状態だった。
電流を上げても動き出さず痺れを切らし更にダイヤルを回すと突然急発進,急加速する。
減速時はこれと全く逆の動きを示し3320F-4は有数の扱い難い編成だった。
先ず動力ユニットの整備履歴を確認するため過去の記録を遡った。
しかしモハ3342の入場記録は全く残っていなかった。
これは3320F-2出場の煽りを受けたのかもしれない。
FS-329D動力台車を履くため1stLOT動力ユニットは確実である。
取り敢えず未整備を前提に作業を開始した。


研磨を終えた導電板。

モハ3334(3320F-2)の整備で起動電流の高い動力ユニットは通電状態が関係するとの考えに辿り着いた。
そのためモハ3342では集電板,導電板,モーター端子を入念に整備清掃する。
導電板は研磨した形跡が無く全体が黄土色に変色していた。
また導電板を止める焼き潰し固定部も大幅に伸びていた。
導電板はラプロス#4000で磨き焼き潰し部の余計な箇所は爪楊枝で剥がした。
焼き潰し部は下手すると固定そのものを無効にする危険性がある。
一度ナイフで不要部を切り離してから剥離を行った。


清掃と注油を行ったモーター軸受部。
 
モーター軸は油脂の固着が激しかった。
クリーナーを浸けた極細綿棒で油脂を取り除き注油を施している。
端子部は特に曇り等は生じていなかった。
しかしモハ3342では通電部を重点的に整備すると決めておりクロスで拭き上げを行っている。
モーター単独駆動試験では低電流から回転する。
但しモーター端子から直接電流を流しているため急加減速の解消に至るかはまだ判らない。


純正グリスが目立たないFS-329D動力台車(上野寄)。

未整備が前提で作業に入っており経年相当の状態と思っていたFS-329D動力台車は比較的まともだった。
記憶にも記録にも残っていないが一応清掃を行ったらしい。
目立つ純正グリスは殆ど見られない。
しかしギア谷には拭き残した純正グリスが付着している。
純正グリスを完全に取り除くためFS-329D動力台車を分解した。


再清掃を行ったギアボックス周り(成田寄)。

純正グリスの残量からギア類のクリーナー浸けは不要と判断した。
動軸ギアを含め歯ブラシを中心に除去を行っている。
拭き残しの純正グリスは固形化が進んでおり比較的早くプラスチック地を出せた。
ここは経年の高い1stLOT製品が見方をしてくれたと思う。
上野寄,成田寄共に集電板はクリーナーを用いクロスで拭き上げた。
若干の曇りが見られたが輝きを取り戻している。


整備を終えたFS-329D動力台車。

ここまで作業を進め何故入場記録が無いか大凡の見当が付いた。
モハ3318から移設した動力ユニットは過剰に盛られた純正グリス除去だけに留められたらしい。
当時の入場を考えると未整備若しくは清掃(純正グリス除去)の何れかを選択していたはずである。
モハ3342は後者に該当したと予想する。
その純正グリス除去も爪楊枝で浚う大雑把な内容で記録に遺すまでも無いと考えたのだろう。
だからこそギア谷に純正グリスの残滓が見られたのだと思う。


重点清掃対象になったスパイラルギア周り。

純正グリス除去は見える範囲だけ施す軽微なものだった。
スパイラルギア周りも同様に措置しためカバーを外すと茶色の純正グリスがこびり付いていた。
この影響を受けたせいか清掃を行ったはずのスパイラルギアは既に変色していた。
スペーサーの回りも悪く走行抵抗になっていた可能性が高い。
スパイラルギアカバーの純正グリスは捲れるように剥がれてくれた。
しかしギアストッパー部は強固に付着したまま残ってしまい爪楊枝で掻き出した。
スパイラルギアは従来方式を踏襲しクリーナー,極細綿棒,歯ブラシで磨き直している。


整備を終えた動力ユニット。

最後にギアボックス内へタミヤ製グリスを添加し動力ユニットを組み立てた。
間違い無く集電板,導電板,モーター端子には手を入れた。
通電系統の整備に漏れが無い事を再確認し駆動試験を行った。
結果は大成功だった。
入場前は電流ダイヤルを半分以上回した時点で急加速していた。
それが嘘のように低速から立ち上がるように変わっている。
減速時の急停止も消え去り安定した駆動を示す。
車体嵌合後も共鳴等は生じず万全の状態に至ったと思う。

モハ3342の竣工で3320F-4は再出場した。
これで扱い難さは払拭された。
急加減速は段付加速や加速度的低下等より質が悪い。
せっかくの3300形現行色晩年仕様を活かしきれずにいたが今後は活躍の場が広がるだろう。

マイクロエース製動力ユニットの急加減速は初期~中期製品特有の症状だと思っていた。
しかし素人作業でもある程度の回復は見込めるらしい。
まだ急加減速を示す編成が残るため通電系統整備の検証を続ける方向である。

この記事についてブログを書く
« 京成3500形モハ3556[3556F] 3... | TOP | 京成3500形モハ3556[3556F] 3... »