試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成3300形モハ3334[3344F-2] 現行色 晩年仕様 動力ユニット整備(超低速走行改善:摺動抵抗軽減)

2017-08-07 21:41:48 | 京成線:3300形
鈍足。

動力ユニット整備のためマイクロエース製京成3300形3344F現行色晩年仕様(3344F-2)を入場させた。
3344F-2は3344F現行色の製品仕様を守っている。
上野寄ユニット:FS-329D,成田寄ユニット:KS-131と2種類の台車が混在する組成が特徴である。


京成3300形3344F 現行色 晩年仕様。
3344F-2:[3344]-[3343]+[3334]-[3333]。
※色地種別幕編成。

3344F現行色は都合3編成が投入された。
初代は3320F現行色暫定8両編成(3320F-2)組成が名目で各ユニットは別編成へ分かれた。
二代目は組成順を守りながらも特急成田山号仕様(3344F-3)の種車となりモハ3333を中間組込車化した。
3344F現行色最終投入の三代目は色地[普通]種別幕編成の増強が引き金になった。
3344F-2出場で色地[普通]種別幕編成は3304F現行色晩年仕様(3304F-6),3320F現行色晩年仕様(3320F-4)の3本体制になっている。


モハ3334 現行色 晩年仕様(3344F-2)。

3344F-3は3304F特急成田山号仕様(3304F-7)と常時4+4編成(特急成田山号:3344F-4)を組む。
3344F-4は出場後に動力車偏位防止のためモハ3334を非動力車化しモハ3303(3304F-7)と役割を入れ替えた。
よって動力ユニットを搭載するモハ3334は3344F-2だけの存在で混同はしない。
そのモハ3334は回着整備時に動力ユニット清掃だけを済ませた。
但しこれが余りに中途半端だったせいか徐々にスケールスピードへ達しなくなった。
やがて加減速度まで落ち込んだ挙げ句最大電流でも超低速でしか走行出来ない状態までに陥った。
モハ3334の動力ユニット整備は通常に走らせられる様にする事が最優先課題となる。


入工中のモハ3334。

回着整備の動力ユニット清掃は極簡単なもので導電板研磨と動力台車の過剰グリスを除去しただけである。
動力ユニット清掃は3344F-2出場から3600形までの長きに渡り採用してきた。
3344F-2以外にもスケールスピードに乗れない編成が存在する。
その意味ではモハ3334の動力ユニット整備は今後の試金石となる。


雑な研磨が垣間見える導電板。

動力ユニットを分解すると導電板には激しい磨き斑が残っていた。
如何に雑な措置だったか直ぐに判る。
初期動力ユニット整備施工車よりましだったのはクリーナーでの拭き上げを行っていた事である。
そのため幾何学模様の酸化は防げており再研磨は容易だった。


再研磨を終えた導電板。

整備記録には研磨に何を用いたか記されていない。
現状を見ると少なくともコンパウンドは使用しなかったらしい。
よってマイクロエース製動力車では定番化したラプロス#4000で磨き直した。
導電板の山側は製造ラインで生じたと思われる折り目が存在し海側は清掃時の雑な研磨痕が残る。
それでも磨き斑はほぼ消え去り全体が輝くように変わった。


トルクが弱かったモーター。

ここでモーター単独駆動試験を行った。
すると今まで入場した車両より力強さに欠ける。
超低速走行の第一原因はモーターにありそうだった。
取り敢えずモーター軸受へ注油を行い様子を見る。
駆動試験後でも症状が改善されないようならモーター交換を施す方針とした。


表面的な清掃だけ済ませていたKS-131動力台車。

回着整備ではKS-131動力台車の純正グリス除去がそれなりに行われたらしい。
黒色成形品のギアボックスを持つKS-131動力台車だが純正グリスの塊は見られなかった。
しかしギア類,ギアボックス内は純正グリスで満遍なく覆われている。
更に純正グリスは劣化が進み粘度が高まっていた。
第二の超低速走行要因は純正グリスだと思われる。


全く手入れが成されていないKS-131動力台車内部。

それを示すかの様にギア軸受は純正グリスで埋まりロアフレームまで油脂が進出していた。
粘度が高まった状態ではスムーズな走行は到底望めない。
続けて第三の要因になりかねない集電板の曇りに気付いた。
上野寄,成田寄共に同じ状況で分解整備を行った。


清掃を終えた動軸ギアと集電板(成田寄)。

相変わらず動軸ギアの純正グリス除去を効率良くする方法が思い浮かばない。
そのためクリーナー,極細綿棒,歯ブラシを用いる従来方式を踏襲した。
見た目より純正グリスの量が多く脱脂は粘り強く行うしかなかった。
一方集電板はクリーナーで瞬く間に曇りが取れている。


悲惨な状態だったギアボックス(上野寄)。

ギアボックスは上野寄の純正グリス量が異様に多かった。
車端側の小ギア軸には清掃で届かなかった白塊が残る。
さすがにこの状態のままクリーナーへ浸ける気にはなれない。
爪楊枝で純正グリスを掻き出した後に成田寄ギアを含めクリーナーへ投入した。
この間にギアボックス内の清掃を進める。
夥しい油脂量に手を焼きなかなか綺麗な樹脂面を取り戻せなかった。
結局最後まで思い描いていた状態に至らないまま終わっている。
ただギアボックスの個体差が影響した可能性もありこれが限界だったかもしれない。


純正グリス除去を行ったギアボックス(成田寄)。

スパイラルギア周りは措置を施した形跡が全く無い。
金属製ギアは純正グリスで保護された状態でクリーナーと歯ブラシによる清掃により直ぐに輝いた。
しかしスパイラルギアカバーはスリット部まで純正グリスが侵入していた。
極細綿棒でさえ届かずクリーナー浸けを選択している。


整備が完了したKS-131動力台車。

動力ユニット組立後に津川洋行製ホイールクリーナーでKS-131動力台車の踏面清掃を行った。
この時点では駆動にぎこちなさが残った。
モーター軸受への注油,ギア類の清掃は施工済でもう打つ手は残されていない。
後は注油とタミヤ製グリスが馴染むのを待つしかなくなった。


全工程を終えた動力ユニット。

通常の駆動試験よりも路線長を4倍とし地道に往復を繰り返した。
その結果徐々に各部への施工が機能し始めたようで先ず起動電流が高まった。
続いて加減速度も回復の兆しを見せている。
後はスケールスピードに達するかだけになった。
10往復以上試験線の往復を続けているうちき少しずつ最高速度が上がってきた。
途中からカウントを中止したため復調までどの程度試験走行させたか判らない。
ようやくスケールスピードを上回る状態に回復した頃には日付が変わっていた。


3304F-6。


3320F-4。

最後の最後で答を得てモハ3334が竣工した。
もう3344F-2を最大電流で走行させる必要は無いだろう。
超低速走行の原因は複合的なものだったと考えている。
駆動試験の結果次第ではモーター交換に進む可能性があった。
これだけでは症状の改善に繋がらなかったと思われ急がなくて良かったと思えた。
とにかく3304F-6,3320F-4と同等の走行性能に引き上げる所期の目的は達成できた。
モハ3334での苦戦は今後の動力ユニット清掃車の整備に役立つと思われる。

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