源平の史跡を訪ねて

全国いたるところにある源氏と平家の史跡を訪ねています。少しだけ源氏物語の史跡も紹介しています。

息子にもらった命:知盛

2006-02-18 01:12:34 | 一の谷の合戦
【 平家物語 知章最後その2 】

父:知盛をかばって知章は戦い、身代わりとなって討ち死にしました。

知盛は、名馬に乗っていたので海上を二十余町泳がせ宗盛の船にたどりついた。船には馬を乗せる余地がなかったので渚へ追い返した。馬は、主人との別れを惜しんでいたが、船の方を振り返り二、三度いなないて陸に上がった。この馬は、もとは院の秘蔵の名馬であった。

新中納言は、大臣(平家の棟梁:宗盛)の前に来て
「知章に先だたれ、太郎も討たれた。どこの親が子が討たれるのを助けずに逃げるでしょう。わが身のこととなると命は惜しいものと思い知らされました。しかし、本当にはずかしいことです」さめざめと泣かれた。大臣はこれを聞いて
「武蔵守知章が、父の命にかわられたのはけなげなことだ。腕もきき、心も剛毅で、よい大将軍であられた人なのに、息子:清宗と同じ年の十六であったな」
その座に居並んでいた平家の侍たちは、みな鎧の袖をぬらしたのであった。