源平の史跡を訪ねて

全国いたるところにある源氏と平家の史跡を訪ねています。少しだけ源氏物語の史跡も紹介しています。

越中前司最後

2006-02-09 02:37:26 | 一の谷の合戦
【 平家物語 越中前司最後 】

越中前司盛俊は、山の手の侍大将であったが、今は逃げることもできないと馬をとどめて敵を待っていると源氏方の小平六則綱(こへいろくのりつな)が良い敵を見つけたと追ってきて、組みつき馬から落ちた。則綱は、盛俊に抑えられ首を切られようとした。
則綱 「卑怯です、降伏した者の首を切ろうなどとは」
盛俊 「それでは助けよう」
    そして、二人は畔に腰掛けて休息した。そこへ、武者一騎が来た。
則綱 「あれは、人見の四郎と申す者です。気にすることはありません」
盛俊は、近づいてくる敵をじっと見つめていた。そのすきに、則綱は、「えい」と叫んで盛俊の胸板を突き、水田に仰向けに倒した。そして、盛俊の刀を抜き三度刺して首をとった。則綱は、太刀の先に首を刺し高くさしあげ、
「平家の侍越中前司盛俊を、猪俣の小平六則綱が討ち取ったぞ」
と大声をあげた。

※盛俊はちょっとした油断をつかれ、助けてやった則綱に卑怯にもだまし討ちされてしまった。戦闘の非情さが書かれているが、盛俊にとっては不覚のいたりだったろうと思われる。