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新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ

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硬膜下血腫で緊急手術

2013年12月25日 | 社会

  入院体験記                                

                  2013年12月25日

 

 「猪瀬知事、今が辞め時」(12月12日付け)を書いた後、次のブログの準備をしていたところ、頭部の異変で緊急入院をしました。精神的にずしーんと不意打ちを食らった感じで、3ヶ月くらいは病人状態になり、かなり長期間、ブログはお休みかなと、術前、術後の、意識がもうろうとしている中で思いました。すごいですね、医療技術の進歩は。ブログの読者には、わたしの年齢に近いひとが多いでしょうから、参考にと思い、体験記を書くことにしました。

 

 21日、話しぶりが急に遅くなり、異様な状態に気づいた家人に連れられ、毎月通っているかかりつけの循環器内科の医院に行きました。家から徒歩で数分、自分の足で歩き、医院の待合室のイスに腰を下ろしたそうです。そうです、というのは、その記憶がプッツリ切れているからです。意識はあっても、自分の行動の記憶が消えているのです。不思議なことですね。

 

 医師も異常にすぐ気づき、はじめは脳梗塞の疑いをもったそうです。専門病院に緊急入院すべく、あちこち電話をかけてくれました。土曜日のことでもあり、すぐには見つかりません。何ヶ所か、掛け合っていただいた結果、立川市の昭和記念公園そば、災害医療センターという大きな総合病院の脳神経外科に運びこまれました。頭部をMRI,CTで映像検査したところ、「硬膜下血腫」との診断です。聞くだけで、ぞっとしてくる恐ろしげな病名です。

 

 頭蓋骨の直下にある硬膜に血管からにじみ出た血が固まりをつくり、脳を圧迫しているということです。退院前に見せてもらった映像では、左側部からの出血がひどく、真上からみた脳の中心線が反対側へ3分の一ほどずれているのです。「頭蓋骨に直径1・5㌢の穴を開け、管を挿入し、血腫を抜きます」。これは大変なことになったと思った記憶はあります。わたしの不安を見透かしたように医師は「簡単な手術ですよ。すぐに終わります。安心してください」と、やさしく声をかけてくれました。局部麻酔をしたので、治療中の記憶はここで消えます。しばらくして「無事、手術は終わりました」の医師の声で記憶が再開します。

 

 手術の準備に入ったのは午後4時半ころ、終わったのは6時ころです。実質的な手術の時間は、わずか30分です。その晩は、同じ日に緊急手術をした患者4、5人と一緒に緊急搬送室のようなところで、看護師に容態を常時、監視されながら過ごしました。わたしより、ずっと重篤な患者もおられ、「血圧が極度に低下し、心配だ」とのささやきが聞こえてきます。こちらも生きた心地がしなくなります。術後の疲れから、眠りに落ち込もうとすると、隣の患者さんの容態がよくないことを知らせるコールが鳴り、「ポーン、ポーン、ポン」とひっきりなしです。

 

 朝までの12時間以上、眠いのにほとんど眠れなかったと思います。看護師さんに何度「今、何時ですか」と聞いたことでしょうか。「9時です」。まだ9時なんだ。また聞きます。「今、何時ですか」。「10時です」。まだ、10時なんだ。これほど朝が待ち通しかったことはありません。カーテンが開かれ「朝ですよ」。ここで映像チェックが再びなされ、「大丈夫です。安心してください」。静かな別室に移され、何時間が熟睡しました。

 

 病名は恐ろしげでも、頭部の出血としては、処置は比較的、簡単で、しばらく大事をとって再発を防げば、後遺症もでないそうです。頭部に穴を開けた後の痛みも2日で消えました。実際に、退院した25日に自宅で早速、このブログを書いています。入院したのも、21日から25日までで、4泊5日にすぎません。とうぶん、週一回、通院して診察を受けることになっています。

 

 入院体験記を書こうと思ったのは、高齢者によく起こる症状だからです。血液を固まりにくくするファーファリンなどを常時、服用している高齢者は、特に要注意だそうです。ファーファリンを飲んでいると、ちょっとした打撲で出血が起きます。手足は内出血の様子が、できたアザなどで分るのに対し、頭部の様子は自分では見えません。わたしは不整脈によって血栓ができないように、4,5前から医師の指導の下で、ワーファリンとバイアスピリンを毎日、飲んでいます。ほとんどの薬にはよい作用と、悪い副作用があり、抗血栓薬の場合、始末に悪いのは打撲による内部出血、それも頭部の出血です。

 

 「どうも変だな」と思ったことが何度かありました。硬膜下血腫が少しづつ進行している兆候はありました。今から思うと、そう思えるのであって、その時は、体に異変が起きているとは想像もしません。体は警告を発していても、そのときは軽視してしまうのは、人間の常です。次回のブログで、そのことを報告したいと思います。治療に成功したからといって、非日常的環境の中に置かれ、さすがに、今晩は疲れてきたので、これで就寝します。

 

 

 

 

 

 

 



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