新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ

全国紙の元記者・中村仁がジャーナリストの経験を生かしたブログ
政治、経済、社会問題、メディア論などのニュースをえぐる

政治ジャーナリズムが衝撃を受けた石丸氏のネット選挙

2024年07月08日 | メディア論
  報道の変革が迫られている 2024年7月8日  東京都知事選でテレビ、新聞は小池知事の3選を大きく取り上げています。私は都知事選における最大の注目点は、人口3万人弱の広島県安芸高田市の前市長で、立候補表明時は「その人誰?」の扱いだった石丸伸二氏が、人口1400万人(有権者数986万人)の東京都の知事選で165万票をわずか2か月で獲得、第2位になったことです。    「小池対 . . . 本文を読む

就職人気でまたニトリが1位、新聞・テレビは全滅

2024年04月09日 | メディア論
   学生が読まない、見ない 2024年4月9日  学生の就職人気ランキングの文系総合で、家具・インテリアのニトリが昨年に続き第1位を維持しました。日経新聞と就職情報大手・マイナビが来年3月卒予定の大学生を対象にした調査の結果(3・9万人回答)です。    メガバンク、大手商社、著名メーカーを抑えて、北海道発のニトリがトップに2年連続で躍り出たことは驚きです。国内690店舗、海 . . . 本文を読む

安倍派が自民党離脱・新党結成というエイプリルフール

2024年04月01日 | メディア論
  安倍派追放の屈辱で居直り 2024年4月1日  毎年4月1日は嘘をついていい「4月馬鹿」の日です。新聞をみていたら、やはりそれらしきニュースが見つかりました。「政治資金問題を巡る安倍派幹部の離党処分などを不満として、旧安倍派の最大100人が自民党を離脱し、新党を結成する」というのです。    安倍元首相が死去し、後継の会長が決まらないうちに、政治資金の裏金疑惑が発覚し、安倍 . . . 本文を読む

解散見送りでよかったと言わぬ朝日新聞のやせ我慢

2023年06月20日 | メディア論
   頻繁な国政選挙は財政悪化の元凶 23年6月20日  岸田首相が今国会での解散見送りを表明したと思ったら、メディアはまた自民党のペースに乗せられて「首相は解散カードを温存し、10月に衆院議員の任期の折り返し(2年)迎えることから、解散に踏み切りやすい」などと、解散風をもう書き始めています。    日本の政治ジャーナリズムを担うはずの新聞、テレビの政治部は、もっぱら目先の政界 . . . 本文を読む

「藤井七冠」も喜べない主催社・朝日新聞の経営状態の悩み

2023年06月03日 | メディア論
  紙面は踊れど進む空洞化 2023年6月2日  将棋の藤井聡太竜王(20)が20歳10か月でが渡辺明名人(39)を破り、名人位を獲得、史上最年少で七冠を制覇しました。20歳の青年がこのような偉業を成し遂げられることに多くの国民が喝采しました。    名人戦の主催者は朝日新聞、毎日新聞で、朝日新聞は1面トップ、紙面の大半を使いました。第2面も「進化した将棋AIが盤上の技術を変革 . . . 本文を読む

チャットGPTの衝撃を直視しないと日本の新聞は衰退する

2023年05月21日 | メディア論
  大新聞から個新聞への転換 2023年5月21日  人と会話しているような文書を生成する対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」などに対して、議論が沸騰しています。なかでも紙の新聞に頼っている新聞界の危機感にはただならぬものがあります。    生成AIの技術を駆使すれば、個人の志向、嗜好に合わせた新聞を個人ごとに編集することさえできるようになるに違いない。「大新聞」で . . . 本文を読む

「子どもの日の社説」は子どもに読んでもらう工夫が必要

2023年05月05日 | メディア論
  旧態依然とした社説のスタイルを破ろう 2023年5月5日  私は「子どもの日」(5月5日)を取り上げる社説を書くのなら、子どもが読める工夫をして欲しいと願ってきました。やさしい文章で、子どもが音読できるように、ふり仮名もふってくれるといいと、思ってきました。    新聞の発行部数がどんどん減り、若い世代ほど新聞を読まなくなりました。新聞社は「民主主義を守る社会の公器」と自称 . . . 本文を読む

政治的介入の有無の検証なき放送法の議論は不毛

2023年04月04日 | メディア論
  核心を外した国会審議と新聞社説 2023年4月4日  総務省が2014-15年に作成した放送法に関する行政文書を巡り、政治的公平性の解釈が変更されたのか、政治的圧力がかかったのか、文書は捏造だったのかなどが曖昧のまま、国会は後半に入りました。    岸田首相や総務省が「解釈の変更ではなく、補充的な説明だ」というのも、妙な表現です。放送法第4条の運用が変わり、放送局に対する新 . . . 本文を読む

新聞・テレビは政治的公平性における圧力の有無を検証せよ

2023年03月16日 | メディア論
  本質的な問題の議論が必要 2023年3月16日  放送法の政治的公平性(第4条)の解釈と政治的な経緯を巡り、安倍政権時代に作られた総務省文書が波紋を広げています。与野党が対立し、高市氏の議員辞職要求、首相官邸からの圧力の有無、総務省文書の真偽、杜撰な文書管理などに争点が拡散し、本質的な問題が霞んでしまっています。    結論から言えば、「当事者である放送局側がこの問題をどう . . . 本文を読む

「安倍晋三回顧録」で語らなかった日本経済の国際的地位の下落

2023年02月21日 | メディア論
  袋小路にはまったアベノミクス 2023年2月21日  「安倍晋三回顧録」が発売1週間で15万部というベストセラーになっています。「憲政史上、最長政権はこうして作られた」、「36時間にわたる未公開インビューの全記録」と本の帯にあります。    安倍氏は強固な保守・右派勢力の支持を受け、死後も安倍神話にすがって政治勢力を維持したい政治家、勢力は歓迎する本でしょう。右翼雑誌が安倍 . . . 本文を読む

日経は「日銀総裁人事の誤報」の検証記事の掲載を

2023年02月14日 | メディア論
  昨年末には消えていた「雨宮総裁」 23年2月14日  政府は14日、植田和男氏ら3人の正副総裁案を国会に提示しました。直前になって日経が「日銀総裁、雨宮氏(日銀副総裁)に打診。政府は与党と最終調整」(6日)と、スクープ風の記事を掲載しました。    新聞が「最終調整」と書く時は「これで決まり」と確信した時に限ることが多い。異次元緩和政策が転換点に差し掛かっている時の総裁人事 . . . 本文を読む

日銀総裁人事でまた大誤報をやった日経の焦り

2023年02月11日 | メディア論
  再三「雨宮副総裁の昇格」の失態 2023年2月11日  異次元緩和政策の転換がかかった日銀新総裁に植田和男氏(元・東大教授)が就任することが決まりました。事前の予想に全く挙がっていなかった金融政策の代表的学者で、サプライズ人事となりました。    岸田政権として、アベノミクス・異次元金融緩和に区切りをつけていく姿勢を暗示するには、いい人選になりました。日銀審議委員を7年やり . . . 本文を読む

中国の経済減速を心配する日本メディアに落胆する

2023年01月20日 | メディア論
  中国報道に必要な総合的視点 2023年1月18日  「中国人口減61年ぶり」、「経済成長率は2・9%に失速」など中国経済の不振をメディアは大々的に報道しています。私は中国経済の減速、人口減少は歓迎すべき変化と考えているのに、メディアは「経済回復に不安」、「構造改革が急務」とか、懸念ばかりしているのです。    中国経済に対する日本メディアの報道にいつも、違和感を覚えています . . . 本文を読む

新聞・テレビ報道がつまらなくなってきたのには訳がある

2023年01月16日 | メディア論
  ニュースの発掘力が低下 2022年1月16日  新型コロナの感染が始まってから丸3年になり、第8波が進行しています。感染拡大に反比例するかのように、マスメディアの報道、特に新聞報道がこの3年で急につまらなくなってきたように思います。    以前から指摘されていたマスメディアの基礎疾患に新型コロナによる疾患が重なり、経営上、編集上の病が重症化してきているのです。   . . . 本文を読む

ジャーナリズムと無縁の会長が6代続くNHK人事は異常

2022年12月06日 | メディア論
  報道をコントロールしたい政治的思惑 2022年12月6日  NHKの経営委員会が日銀元理事の稲葉延雄氏(72)を次期会長に任命(23年1月就任)することを決めました。企業経営者だった外部人材がこれで6人連続で会長に就任するのは異常です。政権側も認めざるをえない内部人材が育っていないとは情けない。    ビール、鉄道、商社、銀行、そして今回は日銀からとなり、いずれもジャーナリ . . . 本文を読む