新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ

全国紙の元記者・中村仁がジャーナリストの経験を生かしたブログ
政治、経済、社会問題、メディア論などのニュースをえぐる

円安による税収増=インフレ税を歓迎する政府

2024年07月02日 | 経済
  投機を呼ぶのは政府・日銀側 2024年7月2日  1㌦=160円が防衛ラインだと思っていたら、あれよあれよと、161円台まで円安が進みました。市場関係者から「1㌦=200円もありうる」という声まで聞かれます。プラザ合意(1985年)の時の235円のレベルに言及する人もおります。    林官房長官は1日、「為替市場はしっかり注視し、過度な変動には適切な対応をとる」と発言しまし . . . 本文を読む

異次元金融緩和の最終的な出口は2、30年先か

2024年06月16日 | 経済
   国債減額は出口の入り口 2024年6月16日  日銀は金融政策決定会合で、長期国債の買い入れを減らしていく方針を決め、7月に規模を決めることにしました。その規模は「市場参加者の意見を確認しながら計画を作る」、「1-2年程度の減額計画を決める」と、植田総裁は述べるにとどめました。慎重というか、市場への地ならしというか、自信がないのでしょう。    新聞は「マイナス金利の解除 . . . 本文を読む

日本経済は八方塞がりで身動きに苦しむ

2024年04月25日 | 経済
  「新しい資本主義」は空念仏 2024年4月25日  円安が止まらず25日、1㌦=155円台後半にまで下落、株価も3万8000円割れの大幅安になりました。日銀が25、26日の金融政策会合で0・25%程度、緊急に金利を引き上げ、財務省が為替介入(円買い・ドル売り)すれば、一時的に円安は止まるとしても、その効果は限定的でしょう。    あまりにも長期にわたる金融緩和・財政拡充策の . . . 本文を読む

1㌦=155円に政府の本音は「円安のほうが心地よい」

2024年04月19日 | 経済
  「断固たる措置」は口先だけ 2024年4月19日  円安が進むたびに、財務省は「行き過ぎた投機的動きには断固たる措置をとる」と強調してきました。財務省所管の為替介入というげんこつ(断固たる措置)を振り上げたものの振り下ろさないのです。    政府がけん制する「投機的動き」を誘っているのは、日本の超低金利です。日本で資金を調達して海外など運用すれば、儲けることはたやすい。自国 . . . 本文を読む

円安投機を招いているのは政府・日銀の不用意な言動

2024年03月28日 | 経済
  市場は疑心暗鬼の状態がよい 2024年3月28日  日銀が異次元金融緩和の枠組みを転換したのを、あざ笑うかのように円相場は27日、1㌦=152円目前まで下落(28日は寄り付き151円30銭)し、34年ぶりの円安水準を記録しました。    鈴木財務相は「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに断固たる措置をとる」と発言し、政府関係者も「投機的な動きがある」と指摘しています。 . . . 本文を読む

異次元金融緩和策の本当の出口は2、30年先か

2024年03月20日 | 経済
  たどり着いたのは出口の入り口 2024年3月20日  日銀は、2013年から始めた大規模金融緩和政策の骨格を修正しました。植田総裁は「大規模な金融緩和は役割を果たした」としつつ、「緩和的な環境は維持する」と、矛盾するような発言をしました。    アベノミクス、黒田・前総裁の金融政策の遺産があまりにも大きく、一気に正常化できない。そう言いたかったのです。「自分がやる金融政策は . . . 本文を読む

米国のシンボル・USスチール買収は日鉄経営陣の浅慮

2024年03月15日 | 経済
政治リスクの懸念を軽視 2024年3月15日  日本鉄鋼メーカー、日鉄による米国のシンボルともいえるUSスチールの買収は案の定、トランプ、バイデン両氏の反対で暗礁に乗り上げました。日鉄の経営陣が政治問題化のリスクを甘くみた結果でしょう。    日鉄が2兆円という巨費を投入するというので驚きました。今の流れからすると、すでに政治問題化しており、買収が成功するか否か、大統領選の影響を . . . 本文を読む

本当の姿が見えにくい「史上最高値の株価」の虚実

2024年02月23日 | 経済
  筆頭株主が日銀という奇形な市場 2024年2月23日  株価が3万9000円台をつけ、34年ぶりに最高値を更新しました。4万円超えの強気論も浮上しています。全国紙はどこも1面トップの扱いで、日経新聞の1面は紙面のほぼ全部を占める「全段ぶち抜き」、関連記事に何ページも割く力の入れようです。    日経は「ついに天井を突き抜けた。もはや『バブル後』ではない。株価は上がらないもの . . . 本文を読む

インフレ率を加味した「史上最高値の株価」は5万7千円のはず

2024年02月16日 | 経済
  3万8900円の実質価値は2万700円 2024年2月16日  日本の株価が34年前につけた史上最高値3万8915円の圏内にまで高騰しました。過去34年間の平均インフレ率0・6%を加味すると、実質的な最高値は5万7000円になるはずです。チャットGTPに質問しましたら、そういう回答でした。そこまで高騰しないと、通貨価値が同等にならない。    株価は景気動向、インフレ率、企 . . . 本文を読む

そこまで書くのか日経新聞の「相場あおり運転」を憂う

2024年01月11日 | 経済
  証券業界紙的な体質の修正を 2024年1月11日  日本の株価が9日に33年ぶりの高値、終値は3万3763円をつけました。11日も3万5000円の高値でした。年内には1989年12月のバブル期の史上最高値3万8915円を更新すると、はやす声も聞かれます。    能登の大地震災害、羽田空港の航空機衝突事故、国会議員の相次ぐ逮捕と、暗いスタートを切った2024年にとって、株高は . . . 本文を読む

世界的規模の高負担時代における国家予算のあり方

2023年12月23日 | 経済
  何もかも政府頼みだから危機が来る 2023年12月23日  政府は総額112兆円もの来年度予算案を決めました。2年連続で110兆円台を超え、6年連続で100兆円を超えることになりました。異次元金融緩和はやっと「出口の入り口」にたどり着いたようです。予算編成を見ていると、財政は先進国最悪の状態からの「脱出」、「出口」はまだまだ先です。    いつ起きても不思議ではない大震災が . . . 本文を読む

大規模金融緩和を修正しても経済停滞は止まらない

2023年12月17日 | 経済
  アベノミクスでぬるま湯に浸かった 23年12月17日  日銀は18、19日に金融政策決定会合を開き、10年以上続く大規模金融緩和(異次元緩和)政策の方向転換をさらにどう進めるか議論します。植田総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言(12月7日)した直後の会合です。「本当に本気なの」と注目されています。    安倍派の裏金疑惑で政局が大混乱しているので . . . 本文を読む

異次元緩和の出口を黙殺した黒田・前総裁の「私の履歴書」に失望

2023年11月30日 | 経済
  日本経済の国際的地位の低下も無視 2023年12月1日  黒田東彦・日銀前総裁が11月、日経新聞の人気コラム「私の履歴書」に登場し、驚かされました。「退任後、1年も経たないのに登場したのは異例すぎる」、「巨額の国債発行を日銀のファイナンス(大量購入)で助長したつけは大きい」、「円の通貨価値(ドル建て)が円安で下落し、日本経済の国際的な地位の低下を招いた」など、論点はたくさんありました。 . . . 本文を読む

財政金融の共同作業なくして異次元緩和の出口なし

2023年11月03日 | 経済
  反対方向を向いている政府と日銀 2023年11月3日  日銀が金融政策決定会合で、長期金利の1・0%超えを容認することを決めました。7月に続く長短金利操作(YCC)の修正で、市場関係者は「徐々に異次元金融緩和の出口に向かう」とみています。    朝日新聞に1面トップのそで見出しが「また緩和修正」でした。まづいことをしているような印象を与える。よくない見出しです。「修正」の繰 . . . 本文を読む

中東危機再来なのに経産省が石油部をなくしていた拙速

2023年10月27日 | 経済
  エネルギー政策の主柱が脱炭素化では 2023年10月27日  イスラエルとイスラム組織ハマスが激突し、中東危機で世界が激震に襲われています。今年は第4次中東戦争を契機(1973年10月)とする第1次石油危機からちょうど50年あたりにます。石油危機が再現し、物価高騰、経済停滞が再来するのかが懸念されています。    第1次石油危機の時は、通産省(現経産省)はタイミングよくその . . . 本文を読む