地福寺ブログ

地福寺は、宮崎県延岡市の山あいにある曹洞宗のお寺です。
永代供養のご相談も承ります。

秋のお彼岸

2012-09-26 10:11:41 | 周囲の自然
すっかりと秋めいてきました。
もう朝夕は肌寒さを感じるようになりましたね。

今年のお彼岸では、いくつかのお寺で彼岸会法要の際の法話をさせていただきました。
私本来の手際の悪さもあって、昨年までとは違う忙しさとなり、
すっかりブログの更新ができませんでした。
お楽しみにされている皆さま、申し訳ございません…。

さて、8月末の落雷からこちら、
いろいろとご紹介したい事もありましたが、
いつのまにやら、周りはすっかり秋。

9月19日の彼岸入りには、永代供養塔のご供養をさせていただき、
9月22日の中日は彼岸法要を厳修致しました。
毎年、この時期に顔を出してくれるヒガンバナが今年もキレイです。


人間がデザインしても、こんなに凝った形にはなかなかできないのでは?
良く見ると、本当に手の込んだ(?)花ですね。自然はすごいナァ…。


撮影したのは彼岸あけの25日でしたが、この日は見事な秋晴れでした。



お彼岸とは、
苦しみや悲しみの人間の世界(此岸)から、
そのようなものが無い、仏様の世界(彼岸)へ、
渡っていこうという気持ちを新たに起こす、
大切な7日間です。

「幾山河 越えさり行かば寂しさの 終(は)てなむ国ぞ 今日も旅ゆく」

宮崎が生んだ有名な歌人、若山牧水の歌です。

あとどのくらい山や川を越えれば、寂しさの無い国にたどりつけるのだろうか?
そんなことを思いながら、今日も旅をしている。

そんな牧水の心が表現された歌ですが、しかし牧水はもう分かっていました。
どこまで行っても、そんな国はない。
寂しさを自分のものとして、その場その場で生きていくのだ、
という牧水の境地が一緒に詠まれた歌です。

牧水は、昭和三年九月十七日、まさに秋の彼岸の頃に四十三歳でこの世を去ります。
そのとき、牧水の妻、喜志子(きしこ)さんは、牧水の棺に手紙をさし入れました。

「往き往きて彼岸に往きて、彼岸に到達せる覚(さとり)」

旅に生きた牧水でしたが、最後は彼岸へ渡ってほしい、という妻・喜志子の願いと同時に、
共に同じ時間を生きたことへの感謝が込められた手紙でした。



牧水は、全国を歩いても、歩いても、彼岸の国はどこにも無かった。
しかし、毎日の苦しみ、悲しみを、しっかりと見つめる中にこそ、
心が安らぐ彼岸の国を見つけ出したのではないでしょうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿