地福寺ブログ

地福寺は、宮崎県延岡市の山あいにある曹洞宗のお寺です。
永代供養のご相談も承ります。

しだれ桜 親子三代

2013-03-29 10:16:48 | 周囲の自然
先日は、妻がブログを更新してくれていました。
手際の悪さでは天下一品の副住職ですから、本当にありがたいです。

その中に書かれていました。しだれ桜の親子の話ですが、
実はもうひと世代ありました。孫のしだれ桜さんがいます。
今回は、特別に大きめの写真で掲載しちゃいましょう(笑)。


これは、本堂横にある、お母さんしだれ桜を下さった方(すでに他界されています)の息子さんから、頂いたものです。
この方が他界される前に、本堂横のしだれ桜が満開になったのをご覧になり、
「あと何本か継いでいるから、持ってきますよ」と言われつつお亡くなりになってしまいました。
故人となってしまわれた施主のその言葉を、ご家族の皆さんがしっかりと引き継いで、植樹して下さったものです。







そこから見下ろすようにして、祖母(祖父?)のしだれ桜。


祖母の向こうには、お母さんのしだれ桜も見えますね。







そして、いちばん枝を伸ばしている、お母さん桜。






曇り空のはっきりしない天気の元で撮影したので、
ちょっと「さくら色」が綺麗に出ていないかもしれません。
この時期のこうした天気を「花曇り」とも言います。
春の季語だそうです。
「花冷え」という言葉もありますねえ。
ちょうど今日みたいな、肌寒い日のことを指す言葉です。
日本人と桜は、切っても切れない関係なんですね。

今年は、さくらさん3人とも頑張ってますねぇ~♪


もちろん、咲いた後は散りゆく運命。
儚い命である点は、人も、桜も、同じだと、教えられる季節です。




「曇天に水面明るき花筏」 貫野 浩



そして、新しい命が芽生える春でもあります。







修行道場には、木板(「もっぱん」と言います)という道具がかけられています。
それは、朝に夕に、山内にいる雲水たちに来客を知らせたり、
食事や入浴の合図を送るために叩かれるものです。
その木板には、このような言葉が書かれています。

「生死事大 無常迅速 各宣醒覚 謹莫放逸」
その意味は…

生きることや死ぬことを突き詰めて考えることはとても大事なことである、
時間は一瞬たりとも留まらずに、足早に過ぎ去っていくから、
各々、よくこのことを心に留めなさい。
決してのんびりと過ごしていてはいけない。

桜がもうすぐ咲きそうだ…と思っていたのは、つい数週間前のこと。
その桜も、あとは散るばかりになっています。
桜は、その時の命を、美しい花に託して役割を果たしましたが、
自分はその数週間の間に何ができただろう…?

おりしも、春は出会いと別れの季節。
過ぎる時間の早さを実感する節目の季節です。

この1年は、このひと月は、この1日は、
無為に過ごしてはいないだろうか…?

花曇りの下、桜を撮影しながら考えるひとときでした。