カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

救える命を救いたい

2009年01月06日 16時27分03秒 | Weblog
突然ですが、クイズです。
日本で119に電話をかけて救急車が到着するまでの平均時間は何分でしょう?(答は最後)

今日はカンボジアの救急車についてです。私のプノンペン生活では移動と運動の為に自転車を買い、どこに行くにも自転車です。自転車の走る道は、車・バイクと同じ道路です。「危なくないの?」と思われる方いらっしゃるかもしれません。これが本当に危ないんです。常々心配しているのが多発している交通事故です。プノンペンでの道路は大通りだったら大体舗装されています。信号も以前に比べてだいぶ増えたそうです。舗装された道路には車線がかかれています。ところが、「赤信号=止まる」と理解している人は多くないようです。また、進行方向に関係なく、逆走も当たり前です。一方で、自転車で登校する子ども達や、有価物拾い(いわゆるくず拾い)で道端を歩く子ども達、物売りや物乞いの子ども達が目立つのは、車が走り、私も走る同じ路上です。気を付けていても、相方の不注意で事故に遭う時には遭ってしまうかもしれません。カンボジアにも救急車は走っていますが、担架を載せただけの患者輸送車でシステムも技術も適切でないために、「救命」が行える現状ではないそうです。以下、ある人からカンボジアの救急事情について聞いた話です。

 病院まで搬送するガソリン代(消防車に関しては水代も)を前払い出来なければ、緊急時に呼んだ救急車・消防車は帰ってしまうというのです。実際に、搬送されずに亡くなってしまう人は多いと聞きました。事故に遭って、2次災害で荷物をひったくられるなんていう事もあるそうです。払うお金のない人は、助からないという事でしょうか。命よりもお金なんだと思いました。仮に病院まで辿り着いても、医療設備が整っておらず、タイやベトナムの病院に移送されることが多いようです。その移送中に命を落とす人は多くいるのではないでしょうか。要は、きちんとした医療サービスを受ける前に、亡くなられる方が多いのです。日本で事故に遭っても助かる命が、ここでは助からない(助かる可能性が低い)という現実があります。加えて、救急車があるのは大都市のみ。人口1400万のうち、8割は救急車すら存在しない農村地域で生活しています。

カンボジアの新聞Khmer Newsによると昨年11月に報告を受けた交通事故数は計52回、(うち8回が飲酒運転によるもの)交通事故の多くは夜間に多発しているそうです。これらの事故によって、65台のバイク、23台の車、4台のトラックがダメージを受け、被害者数は、女性4人・男性13人が死亡、重傷54人、軽傷31人でした。(参考:Khmer News.Com: http://www.khmernews.com/view/traffic-accidents-kill-17-last/2434/)カンボジアの交通事故死亡率はASEANの中でワースト1位と言われています。その約70%がバイクによる事故、次に多いのが歩行者、そして、次が自転車による事故だそうです。

先日、カンボジア救急システム構築支援と救急システム改善の為に、2007年よりカンボジア政府やその他団体と連携を取りながら活動しているNPO法人TICO(Tokushima International Cooperation)による「救える命を救いたい―カンボジア国救急システム構築支援事業―」という勉強会に出席し、TICOがいるから事故に遭っても安心だと、ふと思いましたが、その前に事故に遭わないように(他人を巻き込んだ事故を起こさないように)気を付けようと思います。

クイズの答:約6分

TICOが実施している2つの事業「命を守るプロジェクト・貧困層の人々のための命を守るセーフティーネット強化事業」と「救助および救急搬送システム構築事業」については、こちらからご覧頂けます。
参照①:http://ticoftof.exblog.jp/8099221/   参照②:http://www.tico.or.jp/ 

写真は、自転車に乗って、信号待ちをしている際に撮影したものです。