みなさんこんにちは、平野です。
国際子ども権利センター支援によるHCCのプロジェクト地、プレイベン州コムチャイミア郡での収入向上プログラム(家畜銀行)の進捗報告を通じて、“最”貧困層への支援につい考える3回連載シリーズですが、今回で第3回となりました。最後となる今回は、“最”貧困層支援の難しさについてお話したいと思います。
【この子に豚は・・・】
いくつかの家族に豚支援を断られた(昨日付けブログご参照ください)我々は、村の有力者たちの推薦を得て、いくつかの家庭を廻りました。支援の条件には、学校に行っている少女がたくさんいることや、家畜を一切持っていないことなどが含まれますが、状況が状況なので、細かい部分は条件に合致しない家庭も紹介されました。
そんな中、こんな家庭環境の少女の家を訪問しました。お母さんは既に他界、お父さんはシェムリアップで仕事、お兄さんも同地で建設労働のため、68歳と76歳の祖父母と暮らしている12歳の少女です。学校は辞めておらず、貧しさという意味でも、条件と合います。しかしHCCスタッフは「この子に豚を育てるのは無理だ」。年老いた祖父母との3人暮らしの中で、家事のすべてをこなしながら豚まで彼女が育てるのは、確かに無理があるのでしょう。
【持たざるものはさらに・・・】
“最”貧困層、とは最も助けを必要としている”人たちです。そしてそういう人たちへのアクセスこそ最も難しいのです。さまざまなNGOが、農業技術指導や、家畜銀行、職業訓練などの貧困削減プログラムを実施しています。その際、最も助けを必要としているから、と闇雲に最貧困層の人々を集めたらどうなるでしょう。豚を持たない人に豚飼育トレーニングを?文字の読めない人にレジメを?そこまで来る手段もお金もない人を職業訓練所で待つ?村で実施したとしても、いざとなったら誰も来ない。他の村人に聞くと「出稼ぎに行ったよ」。そんなことも起こりかねません。
結局のところ、多くのNGOが「毎回参加できること」「読み書きができること」「教わった事を実行に移せること」などを参加の条件としています。その結果、最貧困層はNGOの支援からさえ疎外されてしまいかねないのです。これまでお伝えしてきたSBPN(School Based Prevention Network=学校ベースの人身売買防止ネットワーク)も、学校に通っている生徒を対象にしています。このことは、貧しくて学校にも通えない子どもはどうなるのか、という問いにつながってしかるべきでしょう。
それぞれのNGOが、それぞれによかれと思ったやり方で一生懸命活動しています。それでもなお、最貧困層の支援はこれほどまでに難しいものです。
(この項終わり)
※写真は動物シリーズ第3弾で、最も美しい動物、人間の子どもです(大きくて美しくないのも混じっていますが)。
国際子ども権利センター支援によるHCCのプロジェクト地、プレイベン州コムチャイミア郡での収入向上プログラム(家畜銀行)の進捗報告を通じて、“最”貧困層への支援につい考える3回連載シリーズですが、今回で第3回となりました。最後となる今回は、“最”貧困層支援の難しさについてお話したいと思います。
【この子に豚は・・・】
いくつかの家族に豚支援を断られた(昨日付けブログご参照ください)我々は、村の有力者たちの推薦を得て、いくつかの家庭を廻りました。支援の条件には、学校に行っている少女がたくさんいることや、家畜を一切持っていないことなどが含まれますが、状況が状況なので、細かい部分は条件に合致しない家庭も紹介されました。
そんな中、こんな家庭環境の少女の家を訪問しました。お母さんは既に他界、お父さんはシェムリアップで仕事、お兄さんも同地で建設労働のため、68歳と76歳の祖父母と暮らしている12歳の少女です。学校は辞めておらず、貧しさという意味でも、条件と合います。しかしHCCスタッフは「この子に豚を育てるのは無理だ」。年老いた祖父母との3人暮らしの中で、家事のすべてをこなしながら豚まで彼女が育てるのは、確かに無理があるのでしょう。
【持たざるものはさらに・・・】
“最”貧困層、とは最も助けを必要としている”人たちです。そしてそういう人たちへのアクセスこそ最も難しいのです。さまざまなNGOが、農業技術指導や、家畜銀行、職業訓練などの貧困削減プログラムを実施しています。その際、最も助けを必要としているから、と闇雲に最貧困層の人々を集めたらどうなるでしょう。豚を持たない人に豚飼育トレーニングを?文字の読めない人にレジメを?そこまで来る手段もお金もない人を職業訓練所で待つ?村で実施したとしても、いざとなったら誰も来ない。他の村人に聞くと「出稼ぎに行ったよ」。そんなことも起こりかねません。
結局のところ、多くのNGOが「毎回参加できること」「読み書きができること」「教わった事を実行に移せること」などを参加の条件としています。その結果、最貧困層はNGOの支援からさえ疎外されてしまいかねないのです。これまでお伝えしてきたSBPN(School Based Prevention Network=学校ベースの人身売買防止ネットワーク)も、学校に通っている生徒を対象にしています。このことは、貧しくて学校にも通えない子どもはどうなるのか、という問いにつながってしかるべきでしょう。
それぞれのNGOが、それぞれによかれと思ったやり方で一生懸命活動しています。それでもなお、最貧困層の支援はこれほどまでに難しいものです。
(この項終わり)
※写真は動物シリーズ第3弾で、最も美しい動物、人間の子どもです(大きくて美しくないのも混じっていますが)。