こんにちは。甲斐田です。
10月2日にカンボジアの少年たちの裸の写真を撮影した日本人男性の有罪判決の記事を紹介しました。
これまでもカンボジアの子どものポルノ写真を撮影した日本人が何人か逮捕されていますが、ブログを読むと、同様のことをして取り締まられることなく日本に帰国した人は数多くいることが想像されます。
昨年、ブラジルで開かれた「第3回子どもの性的搾取に反対する世界会議」では、日本で子どもポルノに関して2つの点において規制がされていないことが全体会議でも名指しで批判されました(注1)。
1つは、日本で、「子ども買春・子どもポルノ禁止法」により、子どもポルノを製造・販売することは禁止されていても、持っていること(単純所持)が禁止されていないということです。この「所持」が禁止されていないのは、主要8カ国(G8)の中では日本とロシアだけです(注2)。
子どもポルノの被害は世界的に深刻な問題になっていますが、日本でも今年上半期の子どもポルノ事件の被害に遭った子どもの数は、218人に上り、過去最高となりました。
ブラジル会議で日本が批判された2点目は、日本で子どもを性的に虐待する画像(マンガ、アニメ、ゲームなどの表現物)が規制されていないことです(アメリカ、ドイツ、フランスではすでに規制)。会議最終日に、「リオ協定」という宣言と行動計画が採択されたのですが、こうしたバーチャル画像に関しても、製造、提供、所持、閲覧などを犯罪と見なすことがその行動計画に盛り込まれました。
また、2009年9月16日に開催された、第12回国連人権理事会では、ブラジル会議のフォローアップの一環として、「児童の売買、児童買春、児童ポルノに関する特別報告者のレポート」が発表されました。
このレポートのなかでは、子どもポルノの定義にバーチャルな画像や18歳以上が演じる擬似ポルノも含まれること、こうした画像を含む子どもポルノの所持・アクセス・閲覧についても処罰化すること、すべてのインターネットのプロバイダーへのブロッキング(注3)の義務化などが提言されています。加えて、インターネットには国境がなく、世界中のすべての子どもを保護するためには、国際的な協力関係の構築が必要であるとレポートでは指摘されています。そのほか具体的な提言として、各国政府に対し、「子どもを搾取するバーチャルな(仮想の)画像や描写を含む子どもポルノの製造、提供、意図的な入手および所持、また、たとえ子どもとの身体的な接触がなくとも、そのような画像の意図的な使用、アクセス、閲覧の処罰化」を含む法律の整備を求めています。
10月3日、カンボジアを公式訪問された岡田外相と、カンボジアで活動するNGOの間で懇親会が開かれました。シーライツは、ほかのNGOとともに岡田外相へメッセージと資料を提出しました。一言メッセージでは、子どもポルノに関する規制強化を新政府に期待していることを伝え、より詳しい資料では、カンボジア政府が人身売買業者など子どもの人権を侵害する加害者を法にのっとって処罰できるように、法の執行力強化において日本政府がさらに支援することを要請しました。鳩山首相の新政権のもと、一日も早く法改正がなされ、カンボジアやほかの国で子どもがポルノの被害に遭うことがなくなることを願っています。
写真は、ブラジル会議でインターネット上の子どもポルノ被害について報告する人々です。©シーライツ
(注1)詳しくは、シーライツ発行の「子ども買春・子どもポルノ・子どもの人身売買をなくすために ~ブラジル会議報告書」をご覧ください。
http://www.c-rights.org/shiryou/book/index.html
(注2)これに対して、日本ユニセフ協会が中心となり、「子どもポルノ問題に関する緊急要望書」の署名活動など「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンを実施しています。シーライツも呼びかけ人・賛同団体としてかかわっています。
http://www.unicef.or.jp/special/0705/index.html
(注3)ブロッキングとは、ネット利用者やNGOから問題サイトの通報を受けて警察がブラックリストを作り、それをもとにプロバイダー各社が接続を遮断する制度。
日本の警察もこの導入を検討している。警察庁の「No!児童ポルノ」ページhttp://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/no_cp/
10月2日にカンボジアの少年たちの裸の写真を撮影した日本人男性の有罪判決の記事を紹介しました。
これまでもカンボジアの子どものポルノ写真を撮影した日本人が何人か逮捕されていますが、ブログを読むと、同様のことをして取り締まられることなく日本に帰国した人は数多くいることが想像されます。
昨年、ブラジルで開かれた「第3回子どもの性的搾取に反対する世界会議」では、日本で子どもポルノに関して2つの点において規制がされていないことが全体会議でも名指しで批判されました(注1)。
1つは、日本で、「子ども買春・子どもポルノ禁止法」により、子どもポルノを製造・販売することは禁止されていても、持っていること(単純所持)が禁止されていないということです。この「所持」が禁止されていないのは、主要8カ国(G8)の中では日本とロシアだけです(注2)。
子どもポルノの被害は世界的に深刻な問題になっていますが、日本でも今年上半期の子どもポルノ事件の被害に遭った子どもの数は、218人に上り、過去最高となりました。
ブラジル会議で日本が批判された2点目は、日本で子どもを性的に虐待する画像(マンガ、アニメ、ゲームなどの表現物)が規制されていないことです(アメリカ、ドイツ、フランスではすでに規制)。会議最終日に、「リオ協定」という宣言と行動計画が採択されたのですが、こうしたバーチャル画像に関しても、製造、提供、所持、閲覧などを犯罪と見なすことがその行動計画に盛り込まれました。
また、2009年9月16日に開催された、第12回国連人権理事会では、ブラジル会議のフォローアップの一環として、「児童の売買、児童買春、児童ポルノに関する特別報告者のレポート」が発表されました。
このレポートのなかでは、子どもポルノの定義にバーチャルな画像や18歳以上が演じる擬似ポルノも含まれること、こうした画像を含む子どもポルノの所持・アクセス・閲覧についても処罰化すること、すべてのインターネットのプロバイダーへのブロッキング(注3)の義務化などが提言されています。加えて、インターネットには国境がなく、世界中のすべての子どもを保護するためには、国際的な協力関係の構築が必要であるとレポートでは指摘されています。そのほか具体的な提言として、各国政府に対し、「子どもを搾取するバーチャルな(仮想の)画像や描写を含む子どもポルノの製造、提供、意図的な入手および所持、また、たとえ子どもとの身体的な接触がなくとも、そのような画像の意図的な使用、アクセス、閲覧の処罰化」を含む法律の整備を求めています。
10月3日、カンボジアを公式訪問された岡田外相と、カンボジアで活動するNGOの間で懇親会が開かれました。シーライツは、ほかのNGOとともに岡田外相へメッセージと資料を提出しました。一言メッセージでは、子どもポルノに関する規制強化を新政府に期待していることを伝え、より詳しい資料では、カンボジア政府が人身売買業者など子どもの人権を侵害する加害者を法にのっとって処罰できるように、法の執行力強化において日本政府がさらに支援することを要請しました。鳩山首相の新政権のもと、一日も早く法改正がなされ、カンボジアやほかの国で子どもがポルノの被害に遭うことがなくなることを願っています。
写真は、ブラジル会議でインターネット上の子どもポルノ被害について報告する人々です。©シーライツ
(注1)詳しくは、シーライツ発行の「子ども買春・子どもポルノ・子どもの人身売買をなくすために ~ブラジル会議報告書」をご覧ください。
http://www.c-rights.org/shiryou/book/index.html
(注2)これに対して、日本ユニセフ協会が中心となり、「子どもポルノ問題に関する緊急要望書」の署名活動など「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンを実施しています。シーライツも呼びかけ人・賛同団体としてかかわっています。
http://www.unicef.or.jp/special/0705/index.html
(注3)ブロッキングとは、ネット利用者やNGOから問題サイトの通報を受けて警察がブラックリストを作り、それをもとにプロバイダー各社が接続を遮断する制度。
日本の警察もこの導入を検討している。警察庁の「No!児童ポルノ」ページhttp://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/no_cp/