「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)9月21日(火曜日)
通巻第7062号
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北朝鮮が巡航ミサイル? 加えて潜水艦発射にも成功したって?
韓国海軍は潜水艦から初のミサイル発射実験に成功
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巡航ミサイルというのはジェットエンジンで飛ぶ。AIが記憶する地図を元に位置を自己測定しながら、海面すれすれを高度50メートル前後で飛翔し、相手のレーダーに補足されないシロモノ。米軍のトマホークが有名だろう。1000キロ離れた洋上の空母から、アフガニスタンの山奥のアルカイーダ基地を爆撃して、世界が注目した。不発弾を中国はアフガニタンから購入し、分解し、部品をひとつひとつ研究した。
というわけで、巡航ミサイルは米、露西亜、中国のほか英国や北欧諸国、韓国が保有している。日本は公明党と野党が反対してきたため、研究開発予算がようやく認められた程度。自力開発を目指している。
北朝鮮は9月15日に巡航ミサイル発射実験に成功し、1500キロの目標に達したと発表した。本物だとすれば驚異的だが、産業の裾野がない、インフラが整っていない産業構造の脆弱な国で、自力で巡航ミサイルを生産できたのか。不思議である。
同じ頃発表された映像では、鉄道レールを助走用に用いての弾頭ミサイル発射があり、このときのものではないかと言われる。
鉄道レースを活用して長距離弾頭を撃ったのは旧満州で、ソ連の侵略を前にして日本軍が活用したことがある。
また北朝鮮が水中の潜水艦から発射したミサイル実験に成功したとし、陸からもミサイル発射を行い日本海に着弾したとした。
潜水艦発射ミサイルは高度の技術が必要であり、海面までの浮揚エンジン、海面から大にエンジンを吹かして空中に打ち上げるのだから、SLBM保有という発表には基本的な疑念がのこる。
2015年に北朝鮮が成功したと豪語した「KNー11」(北極星1号)は、写真を分析した結果、ニセモノと判明している。
第一に海面に水しぶきがあがっていないこと。
第二に、近くに浮き桟橋を曳航していたのが写真の端っこに映っていた。
第三は、潜水艦が遠くに浮き上がっていた。
つまり浮き桟橋から打ち上げて写真を合成しただけ。その潜水艦もつぎはぎだらけだった。
▼韓国海軍の潜水艦ミサイル発射成功は本当だ
さて潜水艦発射ミサイル実験に成功したと、こんどは韓国が発表した。
韓国海軍初の3000トン級潜水艦で、大宇造船で建造され、この八月に就航したばかりである。
この潜水艦には垂直型の六つの発射口がある。
しかも、この潜水艦は、「鳥山安昌浩」(トサン・アンチャンホ)と命名された。安昌浩は、上海天長節爆弾事件(1932年4月29日、虹口公園の式典で民間人多数が死傷)に関与したテロリストである。
主犯格は金九。金九の大きな銅像はソウル南山公園に佇立している。
安は日本語が流暢だった。鳥山は彼の号で、ソウル市内には鳥山公園と、安昌浩記念館がある。韓国は反日テロリストを次々と英雄とした。
韓国がSLBMを保有したことは軍事専門家の間で常識とされ、米、英、露西亜、中国、仏蘭西、印度に続いて韓国は七番目と自慢した。
このリストに注目あれ、北朝鮮が入っていない。韓国軍も北のSLBM保有を認めていないのだ。SLBMは、パキスタンも射程450キロの発射に成功したとの報道がある。
韓国海軍は3000トン級の潜水艦をあと九隻保有し、合計78発のSLBMを配備する。玄武2Bとされるミサイルは射程500キロ。
加えて韓国海軍は、1900億円を投じて軽空母を建造し、2033年までに実戦配備につける計画がある。
令和三年(2021)9月21日(火曜日)
通巻第7062号
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北朝鮮が巡航ミサイル? 加えて潜水艦発射にも成功したって?
韓国海軍は潜水艦から初のミサイル発射実験に成功
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巡航ミサイルというのはジェットエンジンで飛ぶ。AIが記憶する地図を元に位置を自己測定しながら、海面すれすれを高度50メートル前後で飛翔し、相手のレーダーに補足されないシロモノ。米軍のトマホークが有名だろう。1000キロ離れた洋上の空母から、アフガニスタンの山奥のアルカイーダ基地を爆撃して、世界が注目した。不発弾を中国はアフガニタンから購入し、分解し、部品をひとつひとつ研究した。
というわけで、巡航ミサイルは米、露西亜、中国のほか英国や北欧諸国、韓国が保有している。日本は公明党と野党が反対してきたため、研究開発予算がようやく認められた程度。自力開発を目指している。
北朝鮮は9月15日に巡航ミサイル発射実験に成功し、1500キロの目標に達したと発表した。本物だとすれば驚異的だが、産業の裾野がない、インフラが整っていない産業構造の脆弱な国で、自力で巡航ミサイルを生産できたのか。不思議である。
同じ頃発表された映像では、鉄道レールを助走用に用いての弾頭ミサイル発射があり、このときのものではないかと言われる。
鉄道レースを活用して長距離弾頭を撃ったのは旧満州で、ソ連の侵略を前にして日本軍が活用したことがある。
また北朝鮮が水中の潜水艦から発射したミサイル実験に成功したとし、陸からもミサイル発射を行い日本海に着弾したとした。
潜水艦発射ミサイルは高度の技術が必要であり、海面までの浮揚エンジン、海面から大にエンジンを吹かして空中に打ち上げるのだから、SLBM保有という発表には基本的な疑念がのこる。
2015年に北朝鮮が成功したと豪語した「KNー11」(北極星1号)は、写真を分析した結果、ニセモノと判明している。
第一に海面に水しぶきがあがっていないこと。
第二に、近くに浮き桟橋を曳航していたのが写真の端っこに映っていた。
第三は、潜水艦が遠くに浮き上がっていた。
つまり浮き桟橋から打ち上げて写真を合成しただけ。その潜水艦もつぎはぎだらけだった。
▼韓国海軍の潜水艦ミサイル発射成功は本当だ
さて潜水艦発射ミサイル実験に成功したと、こんどは韓国が発表した。
韓国海軍初の3000トン級潜水艦で、大宇造船で建造され、この八月に就航したばかりである。
この潜水艦には垂直型の六つの発射口がある。
しかも、この潜水艦は、「鳥山安昌浩」(トサン・アンチャンホ)と命名された。安昌浩は、上海天長節爆弾事件(1932年4月29日、虹口公園の式典で民間人多数が死傷)に関与したテロリストである。
主犯格は金九。金九の大きな銅像はソウル南山公園に佇立している。
安は日本語が流暢だった。鳥山は彼の号で、ソウル市内には鳥山公園と、安昌浩記念館がある。韓国は反日テロリストを次々と英雄とした。
韓国がSLBMを保有したことは軍事専門家の間で常識とされ、米、英、露西亜、中国、仏蘭西、印度に続いて韓国は七番目と自慢した。
このリストに注目あれ、北朝鮮が入っていない。韓国軍も北のSLBM保有を認めていないのだ。SLBMは、パキスタンも射程450キロの発射に成功したとの報道がある。
韓国海軍は3000トン級の潜水艦をあと九隻保有し、合計78発のSLBMを配備する。玄武2Bとされるミサイルは射程500キロ。
加えて韓国海軍は、1900億円を投じて軽空母を建造し、2033年までに実戦配備につける計画がある。