「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)2月25日(日曜日)
通巻第8149号
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副大統領にダークホース。民主党批判の急先鋒、ヒラリーを提訴した行動派
トゥルシー・ギャバード元下院議員はヒンズー教徒のサーファー
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サウスカロライナ州はニッキー・ヘイリーの地盤である。何しろ彼女は、この州の知事を務めた。共和党予備選にトランプ逆転の意気込みで臨んだ。だが、出身地盤ですらニッキーは予備選で敗れるだろう。事前世論調査でもトランプ支持が75%、ニッキーは僅か17%、圧倒的にトランプが強い。
スーパー・チューズディを待たずとも、共和党の候補者選びの決着はついた〔もともとトランプ圧勝は既成事実だったが〕。
ニッキーは現時点でスーパー・チューズディ〔3月5日、15州で一斉に予備選、あるいは党員集会〕までは戦うとしているが、ウォール街と軍事産業からの献金も枯渇状態に近い。撤退は時間の問題だろう。
そこで俄かに衆目の的となったのが、トゥルシー・ギャバード元下院議員〔ハワイ選出。元は民主党〕だ。
彼女は共和党大会に突如登壇し、ドナルド・トランプを称賛し、同時に権力欲にしがみつき、泥沼におちいった民主党は「民主主義の敵だ」とこき下ろした。トゥルシー・ギャバードは嘗て民主党全国委員会副委員長をつとめた。しかし党予備選における「不正行為」に抗議して辞任した。
ヒラリークリントンが彼女をロシアのスパイ呼ばわりしたことに激昂し、5000万ドルの損害賠償を提訴した(後日、取り下げた)。
トゥルシー・ギャバード元下院議員は舌鋒鋭く嘗て所属した党を批判する。「民主党はエリート主義的な戦争屋だ。あらゆる問題を人種差別化している」。
2月23日、彼女はワシントンで開催された「保守政治活動会議」(CPAC)で講演し「民主党エリートと『ワシントンに棲息する泥沼生物』〔バイデン政権と民主党議員ら〕は権力への飽くなき渇望に駆り立てられている」と非難した。
トゥルシー・ギャバードは「複数の州がトランプ氏を投票から外そうとする試みや、11月の投票に先立ってトランプ氏に有罪判決を下そうとする検察」を非難した。トランプ氏のニューヨークでの事業に対する最近の判決は「明らかに政治的動機に基づく打撃だ」と述べ、次を続けた。
「トランプ前大統領は将来に対する心からの愛と懸念、そしてアメリカ国民への気遣いに溢れ、その強さと立ち直りを生み出す戦士だ。バイデン大統領はいずれ崩壊するだろう」
▼民主党批判の急先鋒
トゥルシー・ギャバードは米陸軍予備役中佐であり、現役軍人のときはイラクとクエートでの実戦経験がある。2013年から2021年まで下院議員を4期務めた。米領サモア生まれでヒンズー教徒を公言しており、インドのモディ首相の手腕と高く評価している。父親のマイクはハワイ州上院議員〔反対に共和党から民主党へ鞍替え〕。彼女はハワイパシフィック大学卒、ホノルル市議会、ハワイ州議会下院銀を経験し、2016年には民主党の大統領選挙予備選にも名乗りを上げ、ヒラリーと激論を繰り返した。その後、トランプと面会した。TPP反対などで意見が
一致した。
彼女は2022年に民主党を離党し、民主党をぼろくそに批判した。
「民主党は『臆病なウォークネス』(人種差別や格差是正などを声高に叫ぶ左翼活動家)に支配されている。戦争を挑発するエリート集団になった。『ウォークネス』はあらゆる問題で反白人的人種差別を煽り、国家を分裂させています。合衆国憲法に正式に書かれた『神から与えられた自由を積極的に傷つけ、信仰や霊性を持つ人々に敵対的であり、警察を悪者扱いし、法律を遵守するアメリカ国民を犠牲にしても、犯罪者を守り、『国境開放』を信奉しているのです」。
WOKEはWAKEの過去形(「めざめた」)
その上で、ギャバード前議員は「とりわけ現在、彼らはかつてない核戦争の危機に我々を引き込んでいるのです」と指摘し、民主党の外交方針を批判した。
彼女の言い分にはロシア擁護のスタンスが強く繁栄されており、この点ではインドのモディ首相に近い。トランプもプーチンとは相性があうが、決してロシア擁護派ではない。
さてトランプの副大統領選びはニッキー・ヘイリーの可能性が高いと小誌は予想するが、スーパー・チューズディでの票の出方次第では、このトゥルシー・ギャバードを選ぶこともあり得る状況となった。
第一に副大統領は女性か、少数民族。彼女はこのふたつの条件を満たしている。
第二に政治的スタンスで民主党攻撃の勢いがよい。かつて民主党だったカーク・パトリックが外交で民主党を批判していたことに注目し、レーガンは国連大使にえらんだように、あるいはトランプ前期にはニッキーを国連大使と任命したように、副大統領から漏れても国連大使の席が待っているように観測できる。
第三に彼女の難点はロシア擁護のスタンスが強く、この点を、もし副大統領候補となると、民主党や左翼メディアから痛罵される懼れがある。
ギャバードのユーチューブチャンネルは下記。
https://www.youtube.com/channel/UCBTNyrZoiTweJ1PZsJgdWTA
彼女の著作は下記
https://www.amazon.com/Love-Country-left-Democratic-Party/dp/1684514851/ref=sr_1_1?dib=eyJ2IjoiMSJ9.J-CYwfL5AH2zY7Ta4zAf-jkG2CNr79QPIplGXEyVTX5689qPbbvPm6C61aX-sZoUzVR72fOMCGCCQ-qFhmZTPDSS8ZIdE_vkSJt03FDu3K-2oRNTICBNnV2wl5yeDi_Zt9IC3ifURvkvJzT9HbSRp4P0G-9BfmT6JHtmuhat_UO0FTgz37-RmyiYlsq3_9KQMLx7--lx1Ue6PlFlg1F4J4chrnsv2TPLbDa_gPCeIK0.0z33yW4uzQ3r5WX-5fA_tqJ1ydQL21FSvydn6xw7enA&dib_tag=se&keywords=Tulsi+Gabbard&qid=1708747643&sr=8-1
令和六年(2024)2月25日(日曜日)
通巻第8149号
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副大統領にダークホース。民主党批判の急先鋒、ヒラリーを提訴した行動派
トゥルシー・ギャバード元下院議員はヒンズー教徒のサーファー
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サウスカロライナ州はニッキー・ヘイリーの地盤である。何しろ彼女は、この州の知事を務めた。共和党予備選にトランプ逆転の意気込みで臨んだ。だが、出身地盤ですらニッキーは予備選で敗れるだろう。事前世論調査でもトランプ支持が75%、ニッキーは僅か17%、圧倒的にトランプが強い。
スーパー・チューズディを待たずとも、共和党の候補者選びの決着はついた〔もともとトランプ圧勝は既成事実だったが〕。
ニッキーは現時点でスーパー・チューズディ〔3月5日、15州で一斉に予備選、あるいは党員集会〕までは戦うとしているが、ウォール街と軍事産業からの献金も枯渇状態に近い。撤退は時間の問題だろう。
そこで俄かに衆目の的となったのが、トゥルシー・ギャバード元下院議員〔ハワイ選出。元は民主党〕だ。
彼女は共和党大会に突如登壇し、ドナルド・トランプを称賛し、同時に権力欲にしがみつき、泥沼におちいった民主党は「民主主義の敵だ」とこき下ろした。トゥルシー・ギャバードは嘗て民主党全国委員会副委員長をつとめた。しかし党予備選における「不正行為」に抗議して辞任した。
ヒラリークリントンが彼女をロシアのスパイ呼ばわりしたことに激昂し、5000万ドルの損害賠償を提訴した(後日、取り下げた)。
トゥルシー・ギャバード元下院議員は舌鋒鋭く嘗て所属した党を批判する。「民主党はエリート主義的な戦争屋だ。あらゆる問題を人種差別化している」。
2月23日、彼女はワシントンで開催された「保守政治活動会議」(CPAC)で講演し「民主党エリートと『ワシントンに棲息する泥沼生物』〔バイデン政権と民主党議員ら〕は権力への飽くなき渇望に駆り立てられている」と非難した。
トゥルシー・ギャバードは「複数の州がトランプ氏を投票から外そうとする試みや、11月の投票に先立ってトランプ氏に有罪判決を下そうとする検察」を非難した。トランプ氏のニューヨークでの事業に対する最近の判決は「明らかに政治的動機に基づく打撃だ」と述べ、次を続けた。
「トランプ前大統領は将来に対する心からの愛と懸念、そしてアメリカ国民への気遣いに溢れ、その強さと立ち直りを生み出す戦士だ。バイデン大統領はいずれ崩壊するだろう」
▼民主党批判の急先鋒
トゥルシー・ギャバードは米陸軍予備役中佐であり、現役軍人のときはイラクとクエートでの実戦経験がある。2013年から2021年まで下院議員を4期務めた。米領サモア生まれでヒンズー教徒を公言しており、インドのモディ首相の手腕と高く評価している。父親のマイクはハワイ州上院議員〔反対に共和党から民主党へ鞍替え〕。彼女はハワイパシフィック大学卒、ホノルル市議会、ハワイ州議会下院銀を経験し、2016年には民主党の大統領選挙予備選にも名乗りを上げ、ヒラリーと激論を繰り返した。その後、トランプと面会した。TPP反対などで意見が
一致した。
彼女は2022年に民主党を離党し、民主党をぼろくそに批判した。
「民主党は『臆病なウォークネス』(人種差別や格差是正などを声高に叫ぶ左翼活動家)に支配されている。戦争を挑発するエリート集団になった。『ウォークネス』はあらゆる問題で反白人的人種差別を煽り、国家を分裂させています。合衆国憲法に正式に書かれた『神から与えられた自由を積極的に傷つけ、信仰や霊性を持つ人々に敵対的であり、警察を悪者扱いし、法律を遵守するアメリカ国民を犠牲にしても、犯罪者を守り、『国境開放』を信奉しているのです」。
WOKEはWAKEの過去形(「めざめた」)
その上で、ギャバード前議員は「とりわけ現在、彼らはかつてない核戦争の危機に我々を引き込んでいるのです」と指摘し、民主党の外交方針を批判した。
彼女の言い分にはロシア擁護のスタンスが強く繁栄されており、この点ではインドのモディ首相に近い。トランプもプーチンとは相性があうが、決してロシア擁護派ではない。
さてトランプの副大統領選びはニッキー・ヘイリーの可能性が高いと小誌は予想するが、スーパー・チューズディでの票の出方次第では、このトゥルシー・ギャバードを選ぶこともあり得る状況となった。
第一に副大統領は女性か、少数民族。彼女はこのふたつの条件を満たしている。
第二に政治的スタンスで民主党攻撃の勢いがよい。かつて民主党だったカーク・パトリックが外交で民主党を批判していたことに注目し、レーガンは国連大使にえらんだように、あるいはトランプ前期にはニッキーを国連大使と任命したように、副大統領から漏れても国連大使の席が待っているように観測できる。
第三に彼女の難点はロシア擁護のスタンスが強く、この点を、もし副大統領候補となると、民主党や左翼メディアから痛罵される懼れがある。
ギャバードのユーチューブチャンネルは下記。
https://www.youtube.com/channel/UCBTNyrZoiTweJ1PZsJgdWTA
彼女の著作は下記
https://www.amazon.com/Love-Country-left-Democratic-Party/dp/1684514851/ref=sr_1_1?dib=eyJ2IjoiMSJ9.J-CYwfL5AH2zY7Ta4zAf-jkG2CNr79QPIplGXEyVTX5689qPbbvPm6C61aX-sZoUzVR72fOMCGCCQ-qFhmZTPDSS8ZIdE_vkSJt03FDu3K-2oRNTICBNnV2wl5yeDi_Zt9IC3ifURvkvJzT9HbSRp4P0G-9BfmT6JHtmuhat_UO0FTgz37-RmyiYlsq3_9KQMLx7--lx1Ue6PlFlg1F4J4chrnsv2TPLbDa_gPCeIK0.0z33yW4uzQ3r5WX-5fA_tqJ1ydQL21FSvydn6xw7enA&dib_tag=se&keywords=Tulsi+Gabbard&qid=1708747643&sr=8-1
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