わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
頂門の一針 6471号
頂門の一針 6471号
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LGBT法案 欠けた女性保護
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【阿比留瑠比の極言御免】
もともとはLGBTなど性的少数者への理解増進を図る目的だったが、条文の表現が強められたことで、深刻な弊害を生みかねないと懸念される法案について10日、注目すべき発言があった。法案を推進する公明党の山口那津男代表が政府与党連絡協議会後に記者団にこう語ったのである
「何としても(5月19日に始まる広島)サミット前に合意形成し、理解増強法の成立を図るべきだ。自民党の中では一部に異論を主張する人もいるが、おそらく、合意形成が近づいているのではないか」
[期限区切る愚]
これについて、同性愛者であることを公表しているが、拙速な理解増進法制定には慎重な立場をとる松浦大悟。元民主党参院議員はこんな見方を示す。
「山口氏のコメントを見ると、法案はやると決まりそうだ。22日からは性的少数者への理解を求める最大の祭典、東京レインボープライドが都内で始まるが、そこに法案に期待を示すエマニュエル駐日米大使が来てあいさつし、背中を最後に一押しするのではないか。大使は昨年もこのイベントに参加していた」
だが、「伝統文化や社会が変わってしまうことへの理解が追いついていない」(松浦氏)なかで、サミット前と期限を区切って法案成立を急ぐのはおかしい。
6日の本紙「正論」欄で島田洋一福井県立大名誉教授が指摘したように、肝心の米国では民主党提出のLGBT差別禁止法案は共和党が反対のため成立の見込みはない。反対理由は1.女性に対する保護を切り崩す2.差別の定義が曖昧で、信仰や思想の自由を脅かす─などだが、これは日本でも同じことである。
現行LGBT法案には、「差別は許されない」という文言があり、これが訴訟の乱発を招くと懸念されている。また、自らの性を自身で決める「性自認」を絶対視しているため、それを利用した性犯罪の温床になりかねないと指摘される。
山口氏をはじめ、与野党の理解増進法案推進派が。LGBT運動の活動家らの声には熱心に耳を傾ける一方、こうした常識的な当事者の意見を無視か軽視しているのは理解し難い。
[人権と人権の衝突]
折しも5日には、女性の権利保護を目指す「女性スペースを守る会」や性同一性障害の人たちでつくる「性別不合当事者の会」など4団体が都内で記者会見している。拙速な法案審議を避けるよう岸田文雄首相に求める共同要望書を送付したことを明らかにした。
4団体のメンバーは同日、国会内でLGBT理解増進を担当する森雅子首相補佐官とも面会し、法案に「性自認」と書き込むことに慎重な意見を伝えている。
法案推進派は、理解増進法ができても、心は女性でも身体は男性のままの人が女性浴場に入るようなことは起きないと根拠不明の主張をしているが、性別不合当事者の会の森永弥沙氏は面会後、記者団に語った。
「銭湯に行くときだけ、(出生時の性別と自認する性が異なる)トランスジェンダーになる男は今でも、いっぱい観測している。(法案が成立したら)男女で区分けしたスペースの意味がなくなる」
浴場だけでなく、女性用トイレ、更衣室などで問題が多発すればどうなるか。ある人の人権と別の人の人権は、時に衝突する。それを調整、緩和する議論はまともにされていない。
法案推進派の「善意」は疑わないが、善意の行為がよい結果を生むとは限らない。社会学者のマックス・ウェーバーいわく「政治のイロハ」である。
LGBT法案 欠けた女性保護
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【阿比留瑠比の極言御免】
もともとはLGBTなど性的少数者への理解増進を図る目的だったが、条文の表現が強められたことで、深刻な弊害を生みかねないと懸念される法案について10日、注目すべき発言があった。法案を推進する公明党の山口那津男代表が政府与党連絡協議会後に記者団にこう語ったのである
「何としても(5月19日に始まる広島)サミット前に合意形成し、理解増強法の成立を図るべきだ。自民党の中では一部に異論を主張する人もいるが、おそらく、合意形成が近づいているのではないか」
[期限区切る愚]
これについて、同性愛者であることを公表しているが、拙速な理解増進法制定には慎重な立場をとる松浦大悟。元民主党参院議員はこんな見方を示す。
「山口氏のコメントを見ると、法案はやると決まりそうだ。22日からは性的少数者への理解を求める最大の祭典、東京レインボープライドが都内で始まるが、そこに法案に期待を示すエマニュエル駐日米大使が来てあいさつし、背中を最後に一押しするのではないか。大使は昨年もこのイベントに参加していた」
だが、「伝統文化や社会が変わってしまうことへの理解が追いついていない」(松浦氏)なかで、サミット前と期限を区切って法案成立を急ぐのはおかしい。
6日の本紙「正論」欄で島田洋一福井県立大名誉教授が指摘したように、肝心の米国では民主党提出のLGBT差別禁止法案は共和党が反対のため成立の見込みはない。反対理由は1.女性に対する保護を切り崩す2.差別の定義が曖昧で、信仰や思想の自由を脅かす─などだが、これは日本でも同じことである。
現行LGBT法案には、「差別は許されない」という文言があり、これが訴訟の乱発を招くと懸念されている。また、自らの性を自身で決める「性自認」を絶対視しているため、それを利用した性犯罪の温床になりかねないと指摘される。
山口氏をはじめ、与野党の理解増進法案推進派が。LGBT運動の活動家らの声には熱心に耳を傾ける一方、こうした常識的な当事者の意見を無視か軽視しているのは理解し難い。
[人権と人権の衝突]
折しも5日には、女性の権利保護を目指す「女性スペースを守る会」や性同一性障害の人たちでつくる「性別不合当事者の会」など4団体が都内で記者会見している。拙速な法案審議を避けるよう岸田文雄首相に求める共同要望書を送付したことを明らかにした。
4団体のメンバーは同日、国会内でLGBT理解増進を担当する森雅子首相補佐官とも面会し、法案に「性自認」と書き込むことに慎重な意見を伝えている。
法案推進派は、理解増進法ができても、心は女性でも身体は男性のままの人が女性浴場に入るようなことは起きないと根拠不明の主張をしているが、性別不合当事者の会の森永弥沙氏は面会後、記者団に語った。
「銭湯に行くときだけ、(出生時の性別と自認する性が異なる)トランスジェンダーになる男は今でも、いっぱい観測している。(法案が成立したら)男女で区分けしたスペースの意味がなくなる」
浴場だけでなく、女性用トイレ、更衣室などで問題が多発すればどうなるか。ある人の人権と別の人の人権は、時に衝突する。それを調整、緩和する議論はまともにされていない。
法案推進派の「善意」は疑わないが、善意の行為がよい結果を生むとは限らない。社会学者のマックス・ウェーバーいわく「政治のイロハ」である。
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