AC通信 No.881 (2022/02/01)
AC 論説No.881 ウクライナ問題はバイデンの失敗
前号で書いたようにウクライナの緊張はバイデンが作り出したといえる。バイデンは中間選挙に向けて
世界のリーダーであることを見せようとして、米軍を派遣する意図があるとか、ロシアがウクライナに
侵攻するからアメリカは軍隊を派遣すると述べた。ところがロシアはウクライナに侵攻する意図はない
と言い、アメリカの軍部も戦争はしないと主張している。戦争しないなら軍隊を派遣する必要はない、
ウクライナに武器弾薬を提供する必要もない。
先月27日、ウクライナのゼレンスキー大統領は売電を電話で一時間ほど討論した。ホワイトハウスは電
話会談は友好的で有益だったと発表したが、CNNはゼレンスキー大統領がバイデンの軍隊派遣やロシア
の脅威宣伝に反対したと報道した。ゼレンスキーはウクライナに明らかな戦争の脅威はない、キエフの
町に戦車が走って居るわけでもないと述べたと書いた。ゼレンスキーは米露の覇権闘争の生贄になるの
反に対である。ゼレンスキーは戦争になったらウクライナが戦場になって大損傷を受ける。バイデンが
でっち上げたウクライナ緊張は迷惑だと言ったのである。
それでもバイデンは31日に国連安保理でロシアがウクライナ国境付近に12万の軍隊を配置して軍事訓練
を行なって居るのは「危険」だと主張して諸国の同意を求めた。国連安保理でロシアのウクライナ侵攻
の「可能性」に同意してロシアの撤兵をを求め、経済制裁に同意させようとしている。
安保理でロシア側はバイデンの軍隊派遣を無謀な恫喝と譴責し、ロシアはNATOの東方進出に反対する、
ウクライナのNATO加盟に反対だがウクライナに侵攻しないと述べた。ロシアもアメリカも戦争はしない
と言って居るのにアメリカは軍隊を派遣すると言って居る。安保理がロシアを譴責してもロシアの原油
とガスに依頼しているEU諸国は経済制裁に同意できない。アメリカはロシアと戦争はできないし、経済
制裁もできないのだ。
国民に強いリーダーを示すつもりでも国内の反応はかなり冷淡だ。上院はバイデンの軍隊派遣を議会で
討論するとしている。アメリカ大統領は国会の同意なく戦争を始めることはできない。バイデンには軍
隊を派遣する大義名分がないからウクライナの「要請」が必要だがゼレンスキーは拒否した。米軍は
NATOの軍隊として派遣しなければならない。ウクライナはNATOに加盟していないからNATOがウクラ
イナに派兵する大義名分がない。
バイデンは8500人を東欧に派遣すると言ったけれど実際に派遣したのではない。ペンタゴンはバイデン
の軍隊派遣に反対である。ペンタゴンのJohn Kirby報道官は「バイデンの命令は待機命令であって派遣命
令ではない。軍隊を派遣する前に色々な方法を検討する必要がある」と述べた。ミリー参謀長もバイデ
ンの軍隊派遣に反対で「戦争になったら双方の損害は途方もなく甚大なものになる。ウクライナ問題は
政治的に解決すべきである」と述べてバイデンの先っぱしりを批判した。オースチン国防部長も戦争に
なる理由がないと述べた。
ロシアは自国の領内に軍隊を集結させている。それに引き換えバイデンは自国と関係のない所に8500人
の軍隊を派遣すると恫喝したのだ。バイデンはウクライナの大統領に圧力をかけてウクライナに軍隊を
駐屯させたいがゼレンスキーは拒否した。アメリカには軍隊を派遣する大義名分がない。殊にバイデン
はすでに駐ウクライナ大使館を撤去したからウクライナのアメリカ国民を保護すると言う大義名分も無
くなった。
アメリカはこれまで一貫してNATO名義で軍隊派遣をしてきたのである。NATOの存在意義がなくなった
後もNATO名義でネオコンの民主主義侵略を続けしてきたのである。
そもそもNATOは1949年のスターリンの時代に作られた欧州と米国の連合軍である。NATOの目的とは
「第二次大戦のあとに起きた、強力な共産主義連盟の増大と拡張から同盟国の自由を保護するため」に
設置されたものである。あの時から70年も経ってスターリンはすでに死亡し、ゴルバチョフのおかげで
ソ連は解散した。そして旧ソ連の国々が独立を果たし、東西ドイツも統一した。
この時点でNATOは解散すべきだったのにNATOは解散しなかった。NATOと言っても主力は米軍であ
る。そしてアメリカはソ連が崩壊した後、「民主主義を諸国に広めると言う目的」で解体されたソ連の
近隣諸国を民主化させ、ポーランド、バルト3カ国、ルーマニア、バルカン半島諸国などがNATOに加盟
してロシア包囲網を完成させたのである。この上にウクライナとグルジアがNATOに加盟すればロシア包
囲網は完成する。だからプーチンにとってはウクライナのNATO加盟は絶対に譲歩できない。
誰が「民主主義を使った侵略者」であるかは明らかである。自国の権益でもなく自国の安全保障問題で
もないアメリカがウクライナ民主化に固執する必要な全くない。EU諸国はロシアの侵略を恐れる必要は
ないし、最近は脱炭素や温暖化が進んでEU諸国はロシアのエネルギー源に頼る必要がある。つまりEUは
ロシアとの戦争も経済制裁も反対である。つまりバイデンののウクライナ恫喝は国内の賛成も得られな
いしEU諸国も反対である。
トランプ時代の国防部副長官だったRobert Wilkieはロシアに対する経済封鎖は予期した効果はないし、
ロシアへの経済制裁は中露友好を推進させて中国とロシアを敵に回すことになると述べた。アメリカと
EUがロシアに経済制裁を強行すればロシアは欧州に向けるはずだった石油とガスを中国に売るからロシ
アにとって損はない、もしも金融取引禁止を実施すればロシアは中国を経由した金融取引を進めるから
損害はほとんどない。その代わり米国、日本と諸国が取引禁止で受ける影響は大きいと述べた。
アメリカはポーランドやバルト3カ国など旧ソ連の連邦国を民主化させたが、それらの国々をNATOに加
盟させてロシア包囲網を作る必要は全然ないのだ。ロシアが旧ソビエト諸国を取り返して新ソビエト連
邦を作ることはない。強引に民主化した国をNATOに加盟させて米軍を駐留させ、ロシアを監視する必要
はどこにもない。イソップの北風と太陽である。ロシアを敵視するよりも友好関係を作ってロシアと共
に中国の覇権拡張に対処すべきだ。
中国のGDPはロシアの十倍である。中国の脅威はロシアの十倍以上なのにバイデンはウクライナ問題で
ロシアと敵対して中露友好を促進する愚策を続けている。アメリカが旧ソビエト連邦諸国を民主化させ
て居る間に、中国は「戦狼外交」でアジアに進出し、台湾の武力侵攻を主張し、南シナ海のセイシェル
諸島を占領して軍事基地を作り、一帯一路で鉄道をアジアから欧州まで伸ばし、アジア諸国から中南
米、中東諸国、アフリカ諸国に軍事基地を確保したのである。
中国はなぜ米露のウクライナ緊張に沈黙を守って居るのか。中国がバイデンの失策を見逃すはずはな
い。あと数日すれば北京で冬季オリンピックが開催され、プーチンが北京で習近平と会談する。この会
談の後ロシアと中国が友好条約を締結して軍事外交両面で合作を強化させ、アメリカに敵対するのはほ
ぼ確実だろう。
AC 論説No.881 ウクライナ問題はバイデンの失敗
前号で書いたようにウクライナの緊張はバイデンが作り出したといえる。バイデンは中間選挙に向けて
世界のリーダーであることを見せようとして、米軍を派遣する意図があるとか、ロシアがウクライナに
侵攻するからアメリカは軍隊を派遣すると述べた。ところがロシアはウクライナに侵攻する意図はない
と言い、アメリカの軍部も戦争はしないと主張している。戦争しないなら軍隊を派遣する必要はない、
ウクライナに武器弾薬を提供する必要もない。
先月27日、ウクライナのゼレンスキー大統領は売電を電話で一時間ほど討論した。ホワイトハウスは電
話会談は友好的で有益だったと発表したが、CNNはゼレンスキー大統領がバイデンの軍隊派遣やロシア
の脅威宣伝に反対したと報道した。ゼレンスキーはウクライナに明らかな戦争の脅威はない、キエフの
町に戦車が走って居るわけでもないと述べたと書いた。ゼレンスキーは米露の覇権闘争の生贄になるの
反に対である。ゼレンスキーは戦争になったらウクライナが戦場になって大損傷を受ける。バイデンが
でっち上げたウクライナ緊張は迷惑だと言ったのである。
それでもバイデンは31日に国連安保理でロシアがウクライナ国境付近に12万の軍隊を配置して軍事訓練
を行なって居るのは「危険」だと主張して諸国の同意を求めた。国連安保理でロシアのウクライナ侵攻
の「可能性」に同意してロシアの撤兵をを求め、経済制裁に同意させようとしている。
安保理でロシア側はバイデンの軍隊派遣を無謀な恫喝と譴責し、ロシアはNATOの東方進出に反対する、
ウクライナのNATO加盟に反対だがウクライナに侵攻しないと述べた。ロシアもアメリカも戦争はしない
と言って居るのにアメリカは軍隊を派遣すると言って居る。安保理がロシアを譴責してもロシアの原油
とガスに依頼しているEU諸国は経済制裁に同意できない。アメリカはロシアと戦争はできないし、経済
制裁もできないのだ。
国民に強いリーダーを示すつもりでも国内の反応はかなり冷淡だ。上院はバイデンの軍隊派遣を議会で
討論するとしている。アメリカ大統領は国会の同意なく戦争を始めることはできない。バイデンには軍
隊を派遣する大義名分がないからウクライナの「要請」が必要だがゼレンスキーは拒否した。米軍は
NATOの軍隊として派遣しなければならない。ウクライナはNATOに加盟していないからNATOがウクラ
イナに派兵する大義名分がない。
バイデンは8500人を東欧に派遣すると言ったけれど実際に派遣したのではない。ペンタゴンはバイデン
の軍隊派遣に反対である。ペンタゴンのJohn Kirby報道官は「バイデンの命令は待機命令であって派遣命
令ではない。軍隊を派遣する前に色々な方法を検討する必要がある」と述べた。ミリー参謀長もバイデ
ンの軍隊派遣に反対で「戦争になったら双方の損害は途方もなく甚大なものになる。ウクライナ問題は
政治的に解決すべきである」と述べてバイデンの先っぱしりを批判した。オースチン国防部長も戦争に
なる理由がないと述べた。
ロシアは自国の領内に軍隊を集結させている。それに引き換えバイデンは自国と関係のない所に8500人
の軍隊を派遣すると恫喝したのだ。バイデンはウクライナの大統領に圧力をかけてウクライナに軍隊を
駐屯させたいがゼレンスキーは拒否した。アメリカには軍隊を派遣する大義名分がない。殊にバイデン
はすでに駐ウクライナ大使館を撤去したからウクライナのアメリカ国民を保護すると言う大義名分も無
くなった。
アメリカはこれまで一貫してNATO名義で軍隊派遣をしてきたのである。NATOの存在意義がなくなった
後もNATO名義でネオコンの民主主義侵略を続けしてきたのである。
そもそもNATOは1949年のスターリンの時代に作られた欧州と米国の連合軍である。NATOの目的とは
「第二次大戦のあとに起きた、強力な共産主義連盟の増大と拡張から同盟国の自由を保護するため」に
設置されたものである。あの時から70年も経ってスターリンはすでに死亡し、ゴルバチョフのおかげで
ソ連は解散した。そして旧ソ連の国々が独立を果たし、東西ドイツも統一した。
この時点でNATOは解散すべきだったのにNATOは解散しなかった。NATOと言っても主力は米軍であ
る。そしてアメリカはソ連が崩壊した後、「民主主義を諸国に広めると言う目的」で解体されたソ連の
近隣諸国を民主化させ、ポーランド、バルト3カ国、ルーマニア、バルカン半島諸国などがNATOに加盟
してロシア包囲網を完成させたのである。この上にウクライナとグルジアがNATOに加盟すればロシア包
囲網は完成する。だからプーチンにとってはウクライナのNATO加盟は絶対に譲歩できない。
誰が「民主主義を使った侵略者」であるかは明らかである。自国の権益でもなく自国の安全保障問題で
もないアメリカがウクライナ民主化に固執する必要な全くない。EU諸国はロシアの侵略を恐れる必要は
ないし、最近は脱炭素や温暖化が進んでEU諸国はロシアのエネルギー源に頼る必要がある。つまりEUは
ロシアとの戦争も経済制裁も反対である。つまりバイデンののウクライナ恫喝は国内の賛成も得られな
いしEU諸国も反対である。
トランプ時代の国防部副長官だったRobert Wilkieはロシアに対する経済封鎖は予期した効果はないし、
ロシアへの経済制裁は中露友好を推進させて中国とロシアを敵に回すことになると述べた。アメリカと
EUがロシアに経済制裁を強行すればロシアは欧州に向けるはずだった石油とガスを中国に売るからロシ
アにとって損はない、もしも金融取引禁止を実施すればロシアは中国を経由した金融取引を進めるから
損害はほとんどない。その代わり米国、日本と諸国が取引禁止で受ける影響は大きいと述べた。
アメリカはポーランドやバルト3カ国など旧ソ連の連邦国を民主化させたが、それらの国々をNATOに加
盟させてロシア包囲網を作る必要は全然ないのだ。ロシアが旧ソビエト諸国を取り返して新ソビエト連
邦を作ることはない。強引に民主化した国をNATOに加盟させて米軍を駐留させ、ロシアを監視する必要
はどこにもない。イソップの北風と太陽である。ロシアを敵視するよりも友好関係を作ってロシアと共
に中国の覇権拡張に対処すべきだ。
中国のGDPはロシアの十倍である。中国の脅威はロシアの十倍以上なのにバイデンはウクライナ問題で
ロシアと敵対して中露友好を促進する愚策を続けている。アメリカが旧ソビエト連邦諸国を民主化させ
て居る間に、中国は「戦狼外交」でアジアに進出し、台湾の武力侵攻を主張し、南シナ海のセイシェル
諸島を占領して軍事基地を作り、一帯一路で鉄道をアジアから欧州まで伸ばし、アジア諸国から中南
米、中東諸国、アフリカ諸国に軍事基地を確保したのである。
中国はなぜ米露のウクライナ緊張に沈黙を守って居るのか。中国がバイデンの失策を見逃すはずはな
い。あと数日すれば北京で冬季オリンピックが開催され、プーチンが北京で習近平と会談する。この会
談の後ロシアと中国が友好条約を締結して軍事外交両面で合作を強化させ、アメリカに敵対するのはほ
ぼ確実だろう。
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