沖縄・台湾友の会

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こなた習近平が尊敬する思想家はマルクスと毛沢東である    かたやプーチンが尊敬してやまないのはソルジェニツィン

2024-02-16 15:23:36 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)2月14日(水曜日)弐
        通巻第8132号 
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こなた習近平が尊敬する思想家はマルクスと毛沢東である
   かたやプーチンが尊敬してやまないのはソルジェニツィン
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 習近平が尊敬する思想家はマルクスと毛沢東である。習のまわりを囲む御用学者らは毛沢東思想礼賛のカチカチの共産主義者だ。欧米に留学し近代経済学や国際金融を学んで,多少は中国の経済『改革』を進めてきた改革思考のブレーンは不在となった。朱容基も、李克強も居なくなった。周小川も易鋼も退官し、そして胡春華も閑職に飛ばされた。

 一方、ロシアのプーチン大統領が尊敬してやまないのはアレクサンドル・ソルジェニツィンである。
 ソルジェニツィンはゴルバチョフ、エリツィン、プーチンの三人の指導者とそれぞれ別個に懇談したが、もっとも共鳴した政治家は、じつはプーチンだった。そしてプーチンもソルジェニツィンの考え方に深く共鳴し、尊敬していた。

 ノーベル文学賞受賞の作家にして哲学者の残した言葉をプーチン大統領はよく演説に引用する。
「彼の心、魂、思考は祖国への痛みと尽きることのない祖国愛で満たされていました。こうした感情が彼の創作活動の原動力となったのです」とプーチン大統領は、2018年にソルジェニツィンの記念碑除幕式で演説している。
「彼は何百万人もの人々を苦しみや厳しい試練に陥れた「全体主義体制」と(純朴な)「ロシア人」とを明確に区別した。20世紀のロシアが産んだ社会政治思想家である。その知的遺産が今日までロシア政治に影響を与えている」

 代表作は『イワン・デニーソヴィチの一日』で、実際にソルジェニツィンは、8年間強制収容所で過ごした。労働収容所や外国への亡命生活で何年も過ごし、共産主義イデオロギーに幻滅し、ロシアナショナリズムとキリスト教正教会の価値観に強い関心を抱く。

ソルジェニツィンは土着の愛郷心と魂を重視する宗教への回帰を訴えた。ソ連指導部に対し、共産主義イデオロギーを手放し、国内の発展を妨げる世界中の左翼政権への支援をやめるように呼び掛けた。

「私たちの国は、国民の内的、道徳的、健全な発達を考慮して導かれるべきです。私たちは女性を、お金を稼ぐための強制労働、特にバールやシャベルから解放すべきです。学校教育と子供の育成を改善する。土壌、水域、ロシアの自然全体を保護し、都市の健康な生活を回復しなければなりません」

この共産党指導部への公開書簡のため、1974 年 2 月、ソルジェニツィンは逮捕され、「大反逆罪」と「ソ連の市民権」を剥奪された。ソルジェニツィンは西側諸国を放浪し、1976年に米国バーモント州に定住した。

▼ソルジェニツィンの葬儀にはプーチンもメドベージェフも参列した

国家の独立を維持し、ロシアとその国民の利益を守ることが、ソルジェニツィンの創作活動の重要なテーマとなった。
やがてペレストロイカの雪解けが訪れ、ソルジェニツィンは市民権を回復、1994年、ロシアに帰国した。2008年にモスクワで死去。享年89歳だった。
葬儀にはプーチン、メドベージェフにくわえてロシア科学アカデミー会長、ロシア科学院学長らが参列した。何千人もの一般の人々が花束を捧げた。

2022年のヴァルダイ・フォーラムで演説したプーチン大統領は、「西側諸国は新植民地主義と一極性によって『盲目』になっている」としたソルジェニツィンの言葉を引用した。
西側諸国の外交政策に対するソルジェニツィンの批判は時間の経過とともに強まるばかりだった。

ソルジェニツィンは米国が複数の国を占領していると非難した。
「ボスニアでは9年間、コソボとアフガニスタンでは5年間、そしてイラクでは3年間。こうした状況が続いているが、現地の状況は長期化するのは確実だ」
彼はまた、東欧での軍事的プレゼンスを拡大し続け、同国を南から包囲し続ける米国にとって、ロシアはいかなる脅威にもなっていないと指摘した。
それは「『小さな自由』であり、大きな意味での『自由』を風刺したものにすぎません。責任や義務感のない自由です」とソルジェニツィンは1975年にフランスのジャーナリストとのインタビューで語った。

ソルジェニツィンにとって、道徳的発達は、事実上、社会的、政治的問題と切り離せない価値であり、義務感や個人の責任は、現代の西洋の思想家や指導者の中では信じられていない。

プーチンの演説の言葉の端々、その行間に秘められているのはソルジェニツィンの思想なのである。
 毛沢東とマルクスの幻惑に浸り,全体主義に盲進する短絡的な習近平とプーチンを同列に論じるのは基本的な誤謬といえる。


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