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安倍元首相の「国葬」
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有本香
【有本香の以読制毒】安倍元首相の「国葬」めぐり「前例がない」官邸内 に抵抗勢力も 世界中の弔意に応える「おくり方」を
参院選中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相を称賛する声が国内外で絶えな い。外務省には、弔問を希望する世界各国からの連絡が殺到し、対応に追 われている。岸田文雄政権は今秋にも、各国要人らが参列できる大規模な 葬儀を予定しており、国民から高まる「国葬」を求める声を受けて、近く 決断するとみられる。岸田首相は「安倍元首相の遺志を継ぐ」と明言し た。「憲法改正」や「防衛力強化」を成し遂げるためにも、抵抗勢力に屈 してはならない。ジャーナリストの有本香氏が迫った。
今日14日、安倍元首相の「初七日」を迎える。初七日の法要はすでに、告 別式と同日12日の午後に行われたが、故人が「三途の川」のほとりにたど り着く日は、今日とされる。
改めて、日本国のため生涯闘い続けた偉大な宰相であり、人間的にも極め て尊敬する方であった安倍さんに、深い感謝を申し上げ、衷心よりご冥福 をお祈りいたしたい。
命日のひと月前の6月、安倍さんは、2月に他界した石原慎太郎元都知事 のお別れの会の発起人代表を務め、次のように語っていた。
「本当にさびしい思い。石原慎太郎がいない世の中、つまらなくなるなぁ と…」
いま、筆者含む多くの日本人が、本当にさびしく、心細い思いでいる。
安倍晋三のいない日本は今後どこへ行くのか─。そんな不安すら感じている。
今週初め、蒸し暑い平日にもかかわらず、奈良市の事件現場や、通夜・葬 儀の行われた東京・芝公園の増上寺、永田町の自民党本部前などに設けら れた献花台には、長蛇の列ができた。出棺の時刻には増上寺前が鈴なりの 人だかりとなり、自民党本部前の献花はいっとき、6時間待ちと伝えられた。
どれほど愛された宰相だったか。初七日前から、死者にむち打つようなこ とを言っているのは、大メディアと「アベガー」だけだ。安倍さんに、 戻ってきてこの光景を見てもらいたいと思う。
一方で、皆が安倍さんに頼り過ぎたとも思う。仮に、現政権が暴走したと しても、どこかで安倍さんが止めてくれるはず。そんな気持ちが常にどこ かにあった。
「総理を退任されたあとも、ことあるごとに『安倍は何と言っている?』 と各国首脳が漏らしたことに、私は日本人として誇らしい気持ちを持った」
12日の葬儀で、自民党の麻生太郎副総裁が読んだ弔辞の一説だ。国民のみ ならず、世界が頼りにした宰相。その人の「おくり方」をめぐって、いま 議論が起きている。
私は11日、増上寺で行われた通夜に参列したが、そこには、「世界の安 倍」を実感させられる景色があった。
同盟国の米国からは、ジャネット・イエレン財務長官と、ラーム・エマ ニュエル駐日大使の姿があった。ジュリア・オールボトム駐日英国大使 は、焼香の列で私の前に並んでおられた。ほかにも、各国の大使、米軍関 係者、台湾からは?清?副総統、そして忘れてならないのだが、安倍さん と夫人の昭恵さんが長く心を寄せてきた、ウイグル人、チベット人の姿も あった。
当初、「身内だけで行う」と報じられた通夜に、2500人もの人が訪れた。 この人数もさることながら、私はむしろ、弔問客の「多様さ」に感心し た。世界の権力者から、迫害の被害者まで、誰とでもフラットに対話する 安倍さんの「真価」を見た思いである。
とはいっても、この通夜は、安倍家が営んだ私的なもの。「日本」を挙げ ての「おくる儀式」ではない。
12日時点で、259カ国・地域・機関から計1700件以上の弔意が届いたと外 務省が明らかにしている。この数も驚きだが、数だけが問題ではない。米 国や英国、インドなど、そうそうたる各国首脳らが心のこもったメッセー ジを寄せ、各国の公的機関では半旗を掲げた。橋や民間の高層ビルに、安 倍さんを悼むイルミネーションが現れ、米誌『TIME』は急遽(きゅう きょ)、安倍さんを表紙に掲げた。
★岸田首相は腹を決めた?!
さらに、英国のエリザベス女王が天皇陛下に哀悼文を送り、ローマ教皇も 弔意を表した。
この壮大な「お悔やみ」に応えない日本でいいのか。国民の間で「国葬」 を望む声が日に日に高まっている。戦後の「国葬」といえば、主権回復を 果たした吉田茂元首相の一例のみ。安倍さんの国葬について「前例がな い」と反対する?抵抗勢力?が官邸内にあり逡巡したものの、岸田文雄首 相は腹を決めたという情報がある。
前例なき、憲政史上最長の政権。外交手腕により、世界から頼られた日本 国首相という存在にも前例はない。
前例なき世界に挑み続けた安倍元首相。岸田首相が、その「志を継ぐ」と 仰せなら、前例なき「国葬」の成功こそ、最良の一歩にふさわしいのでは ないか。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生 まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国 際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に 『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬 舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国 紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。
著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の 真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本 史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。
安倍元首相の「国葬」
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有本香
【有本香の以読制毒】安倍元首相の「国葬」めぐり「前例がない」官邸内 に抵抗勢力も 世界中の弔意に応える「おくり方」を
参院選中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相を称賛する声が国内外で絶えな い。外務省には、弔問を希望する世界各国からの連絡が殺到し、対応に追 われている。岸田文雄政権は今秋にも、各国要人らが参列できる大規模な 葬儀を予定しており、国民から高まる「国葬」を求める声を受けて、近く 決断するとみられる。岸田首相は「安倍元首相の遺志を継ぐ」と明言し た。「憲法改正」や「防衛力強化」を成し遂げるためにも、抵抗勢力に屈 してはならない。ジャーナリストの有本香氏が迫った。
今日14日、安倍元首相の「初七日」を迎える。初七日の法要はすでに、告 別式と同日12日の午後に行われたが、故人が「三途の川」のほとりにたど り着く日は、今日とされる。
改めて、日本国のため生涯闘い続けた偉大な宰相であり、人間的にも極め て尊敬する方であった安倍さんに、深い感謝を申し上げ、衷心よりご冥福 をお祈りいたしたい。
命日のひと月前の6月、安倍さんは、2月に他界した石原慎太郎元都知事 のお別れの会の発起人代表を務め、次のように語っていた。
「本当にさびしい思い。石原慎太郎がいない世の中、つまらなくなるなぁ と…」
いま、筆者含む多くの日本人が、本当にさびしく、心細い思いでいる。
安倍晋三のいない日本は今後どこへ行くのか─。そんな不安すら感じている。
今週初め、蒸し暑い平日にもかかわらず、奈良市の事件現場や、通夜・葬 儀の行われた東京・芝公園の増上寺、永田町の自民党本部前などに設けら れた献花台には、長蛇の列ができた。出棺の時刻には増上寺前が鈴なりの 人だかりとなり、自民党本部前の献花はいっとき、6時間待ちと伝えられた。
どれほど愛された宰相だったか。初七日前から、死者にむち打つようなこ とを言っているのは、大メディアと「アベガー」だけだ。安倍さんに、 戻ってきてこの光景を見てもらいたいと思う。
一方で、皆が安倍さんに頼り過ぎたとも思う。仮に、現政権が暴走したと しても、どこかで安倍さんが止めてくれるはず。そんな気持ちが常にどこ かにあった。
「総理を退任されたあとも、ことあるごとに『安倍は何と言っている?』 と各国首脳が漏らしたことに、私は日本人として誇らしい気持ちを持った」
12日の葬儀で、自民党の麻生太郎副総裁が読んだ弔辞の一説だ。国民のみ ならず、世界が頼りにした宰相。その人の「おくり方」をめぐって、いま 議論が起きている。
私は11日、増上寺で行われた通夜に参列したが、そこには、「世界の安 倍」を実感させられる景色があった。
同盟国の米国からは、ジャネット・イエレン財務長官と、ラーム・エマ ニュエル駐日大使の姿があった。ジュリア・オールボトム駐日英国大使 は、焼香の列で私の前に並んでおられた。ほかにも、各国の大使、米軍関 係者、台湾からは?清?副総統、そして忘れてならないのだが、安倍さん と夫人の昭恵さんが長く心を寄せてきた、ウイグル人、チベット人の姿も あった。
当初、「身内だけで行う」と報じられた通夜に、2500人もの人が訪れた。 この人数もさることながら、私はむしろ、弔問客の「多様さ」に感心し た。世界の権力者から、迫害の被害者まで、誰とでもフラットに対話する 安倍さんの「真価」を見た思いである。
とはいっても、この通夜は、安倍家が営んだ私的なもの。「日本」を挙げ ての「おくる儀式」ではない。
12日時点で、259カ国・地域・機関から計1700件以上の弔意が届いたと外 務省が明らかにしている。この数も驚きだが、数だけが問題ではない。米 国や英国、インドなど、そうそうたる各国首脳らが心のこもったメッセー ジを寄せ、各国の公的機関では半旗を掲げた。橋や民間の高層ビルに、安 倍さんを悼むイルミネーションが現れ、米誌『TIME』は急遽(きゅう きょ)、安倍さんを表紙に掲げた。
★岸田首相は腹を決めた?!
さらに、英国のエリザベス女王が天皇陛下に哀悼文を送り、ローマ教皇も 弔意を表した。
この壮大な「お悔やみ」に応えない日本でいいのか。国民の間で「国葬」 を望む声が日に日に高まっている。戦後の「国葬」といえば、主権回復を 果たした吉田茂元首相の一例のみ。安倍さんの国葬について「前例がな い」と反対する?抵抗勢力?が官邸内にあり逡巡したものの、岸田文雄首 相は腹を決めたという情報がある。
前例なき、憲政史上最長の政権。外交手腕により、世界から頼られた日本 国首相という存在にも前例はない。
前例なき世界に挑み続けた安倍元首相。岸田首相が、その「志を継ぐ」と 仰せなら、前例なき「国葬」の成功こそ、最良の一歩にふさわしいのでは ないか。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生 まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国 際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に 『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬 舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国 紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。
著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の 真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本 史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。
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