わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
頂門の一針 6444号
頂門の一針 6444号
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総務文書「上司の関与」の闇
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【阿比留瑠比の極言御免】
放送法の政治的公平に関する平成27年の総務省の行政文書をめぐり、当時、総務相を務めていた高市早苗経済安全保障担当相に対する立憲民主党の執拗(しつよう)な攻撃が続く。高市氏は自身の言動が記された4枚の文書は不正確だと内容を否定するが、立民側は「役人が嘘をついて文書を書く理由はほぼない」(泉健太代表)などと反論し、議論は平行線をたどってきた。
特に、27年2月13日に総務官僚が高市氏に対して行ったという放送法の「レク(説明)」に関しては、高市氏はレクの存在自体を認めておらず、当初は捏造(ねつぞう)という表現も使っていた。
[メモ書き換えか]
今月13日の参院予算委員会では、この点について総務省の小笠原陽一情報流通行政局長が、大臣レク文書の作成者への聞き取り調査結果を踏まえてこう述べた。
「約8年前の記憶が定かでないが、日頃、確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経て、文書が残っているのなら、同時期に大臣レクが行われたのではないかと認識しているということだった。2月18日に大臣レクがあった可能性が高いと考えられる」
ただ、小笠原氏は自ら続けて「文書に記載されている内容が正確か否かを現時点で答えることは困難だ」との留保も置いた。
そして13日夜、この問題を取材していたところ、ある政府高官からこんな衝撃的な指摘を受けた。
「今日の国会で、総務省局長が『文書が残っているなら』の前に『上司の関与を経て』とつけていただろう。あれは記録者が最初に作ったメモを、上司が原形をとどめないほど書き換えたことをにじませたものだ。そんなことが何度かあったらしい」
もし、総務官僚がメモや覚書の類であろうと、行政文書を何らかの意図を持って改竄(かいざん)したのだとすると、これは捏造と言っていい。問題の焦点は、立民が狙う高市氏の進退ではなく、総務省の行政文書の信憑(しんぴょう)性自体が問われる。刑事事件にも発展しかねない。
[「役所の論理」で動く]
実際、翌14日の衆院総務委員会での松本剛明総務相の歯切れは悪かった。
立民の大築紅葉氏が「総務省が文書を捏造するはずがない。捏造した可能性はないと考えているか」とただしたのに対し、松本氏はやはり「上司の関与を経て」という言葉を用いた上で、こう言葉を濁した。
同席者の間でも内容についての認識が必ずしも一致していない。まだ確認中で、捏造であるかどうか私が今、申し上げることはできない」
この大臣レク文書では、高市氏が「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」などと語ったことになっているが、高市氏はいずれも否定している。
レクには記録者を含め6人が同席したと記載されているが、そのうち少なくとも高市氏を含む3人はこのようなレクは受けていないという点で一致している。
また、高市氏本人の発言記録であるのに文書の配布先は総務審議官、官房長、局長、と多数指定されながら、大臣室は除外されるなど不自然さは否めない。
平成30年3月16日には、当時の安倍晋三首相からこんな言葉を聞いた。森友学園問題をめぐり、安倍氏は財務省の忖度(そんたく)を招いたと批判されていたが、安倍氏自身は事務方のトップである杉田和博官房副長官にこう言われたのだという。
「申し訳ないが総理、役人には総理がどうなろうとどうでもいいんです」
役所は数年で代わる首相や閣僚よりも、役所の論理とニーズで動く。
総務文書「上司の関与」の闇
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【阿比留瑠比の極言御免】
放送法の政治的公平に関する平成27年の総務省の行政文書をめぐり、当時、総務相を務めていた高市早苗経済安全保障担当相に対する立憲民主党の執拗(しつよう)な攻撃が続く。高市氏は自身の言動が記された4枚の文書は不正確だと内容を否定するが、立民側は「役人が嘘をついて文書を書く理由はほぼない」(泉健太代表)などと反論し、議論は平行線をたどってきた。
特に、27年2月13日に総務官僚が高市氏に対して行ったという放送法の「レク(説明)」に関しては、高市氏はレクの存在自体を認めておらず、当初は捏造(ねつぞう)という表現も使っていた。
[メモ書き換えか]
今月13日の参院予算委員会では、この点について総務省の小笠原陽一情報流通行政局長が、大臣レク文書の作成者への聞き取り調査結果を踏まえてこう述べた。
「約8年前の記憶が定かでないが、日頃、確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経て、文書が残っているのなら、同時期に大臣レクが行われたのではないかと認識しているということだった。2月18日に大臣レクがあった可能性が高いと考えられる」
ただ、小笠原氏は自ら続けて「文書に記載されている内容が正確か否かを現時点で答えることは困難だ」との留保も置いた。
そして13日夜、この問題を取材していたところ、ある政府高官からこんな衝撃的な指摘を受けた。
「今日の国会で、総務省局長が『文書が残っているなら』の前に『上司の関与を経て』とつけていただろう。あれは記録者が最初に作ったメモを、上司が原形をとどめないほど書き換えたことをにじませたものだ。そんなことが何度かあったらしい」
もし、総務官僚がメモや覚書の類であろうと、行政文書を何らかの意図を持って改竄(かいざん)したのだとすると、これは捏造と言っていい。問題の焦点は、立民が狙う高市氏の進退ではなく、総務省の行政文書の信憑(しんぴょう)性自体が問われる。刑事事件にも発展しかねない。
[「役所の論理」で動く]
実際、翌14日の衆院総務委員会での松本剛明総務相の歯切れは悪かった。
立民の大築紅葉氏が「総務省が文書を捏造するはずがない。捏造した可能性はないと考えているか」とただしたのに対し、松本氏はやはり「上司の関与を経て」という言葉を用いた上で、こう言葉を濁した。
同席者の間でも内容についての認識が必ずしも一致していない。まだ確認中で、捏造であるかどうか私が今、申し上げることはできない」
この大臣レク文書では、高市氏が「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」などと語ったことになっているが、高市氏はいずれも否定している。
レクには記録者を含め6人が同席したと記載されているが、そのうち少なくとも高市氏を含む3人はこのようなレクは受けていないという点で一致している。
また、高市氏本人の発言記録であるのに文書の配布先は総務審議官、官房長、局長、と多数指定されながら、大臣室は除外されるなど不自然さは否めない。
平成30年3月16日には、当時の安倍晋三首相からこんな言葉を聞いた。森友学園問題をめぐり、安倍氏は財務省の忖度(そんたく)を招いたと批判されていたが、安倍氏自身は事務方のトップである杉田和博官房副長官にこう言われたのだという。
「申し訳ないが総理、役人には総理がどうなろうとどうでもいいんです」
役所は数年で代わる首相や閣僚よりも、役所の論理とニーズで動く。
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