「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)5月27日(土曜日)弐
通巻第7768号
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マクロンのあまりの不人気にルペン待望論が再浮上
フランスも政治混迷が続いている
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どの民主主義国家でも「民主主義」なるものが完全かつ理想的に機能している国はない。欧米は左翼がメディアを牛耳り、よこしまな報道で国民を洗脳し、正論を吐く本物の民主主義者を右翼とさげずんできた。バイデンやヒラリーの巨大な汚職には蓋をして、代わりに重箱の隅をつついて醜聞か事件に仕立て、トランプに対してロシアゲートなどを次々とでっち上げた。
この手法は朝日新聞と同じ。いや世界の左翼に共通の手口である。
子ネズミのようにちょろちょろと舞台を走り回るのはフランスのマクロン大統領。北京の習近平皇帝に会いに行くと大歓待されて有頂天になったか、帰りの飛行機で「台湾問題でわれわれは米国に追随する必要はない」と発言し、西側指導者から酷評された。
ウクライナ戦争でも昨年はモスクワとキエフの間で、廊下鳶を演じたが、道化師かとプーチンが相手にしなかった。
ゼレンスキーはEU諸国でフランスがもっとも援助がすくなく(日本より少額)、武器の提供を殆どしないフランスが何を抜かすかとう顔をしていた。そこでマクロンはG7に訪日を希望していたゼレンスキーにフランス機を提供してご機嫌を取った。
現在、フランスでマクロンの支持率は最低ラインに近く国民連合(旧「国民戦線」)のルペンがリードしている。ルペンの党は地方議会で圧勝を続けている。
もしフランス大統領選が今やり直されたとした場合、マリーヌ・ルペンがマクロンに勝利するとの世論調査の結果がでた。仏BFMテレビの委託で調査会社エラブが行った世論調査では、得票率はルペンが55%、マクロンが45%となったのだ。
この世論調査に慌ててマクロンが言ったのだ。
「もし私たちが国の課題に対応できず、嘘や現実を否定する習慣を持ち込んだ場合、マリーヌ・ルペン氏が(権力の座に)登場するだろう」
マクロン不人気の主因は年金である。フランスの退職年齢を62歳から64歳に引き上げるとういう年金改革は、フランス全土で抗議活動、デモを展開し、現在もおさまりそうにない。5月21日、テレビ出演でルペンは「マクロン氏の改革は結局「完全に失敗」に終わった」と語った。
▲トランプは「アメリカ・ファースト」。ルペンは「フランス・ファースト」である。
ルペンはウクライナ問題でも冷ややかで、この基調は援助削減を唱えるトランプと同じで「フランス・ファースト」である。
さきの選挙でルパンの政党はロシアの銀行から融資を受けた。それはEUの銀行がどこもルペンに資金を貸してくれなかったからだ。
クリミア半島の帰属に関してもルペンの立場はEU主流の左翼や米国のネオコンとはことなり、もともとロシア所属なのだと歴史的事実を挙げる。
「ロシア帝国は 18 世紀にオスマン帝国からクリミアを獲得しました。したがって私は住民投票を全面的に支持します。クリミア住民はロシアとの再統一を目指して、投票によって自由に意思を表明したのであり、完全に合法だった」
ニキータ・フルシチョフが気まぐれでウクライナに譲渡されたものの、その前の60年間は一貫してロシアのものだった。だから、とルペンは付け加えて。「住民投票後にクリミアから逃げた難民はいなかった。
クリミアのロシアへの復帰は「不法併合」ではないとのルペンの主張は、2017年1月にフランスのBFMTVに、2月にはCNNに表明された。
かっとなったゼレンスキー政権はルペンにウクライナへの入国禁止処分を科した。
ゼレンスキー大統領と政権幹部は「一インチも領土の妥協をしない」と豪語して、「クリミアを占領したら、ロシア語を禁止し、ロシアとの 「協力」の疑いがある人物を追放する」と言っている。
或るウクライナ高官は「クリミアに(ウクライナ軍が)入ったらすぐに、クリミアにいるロシア人をすべて根絶しなければならない」と語った。
ルペンの政治姿勢はトランプやデサンティスと近い。
しかし妊娠中絶や同性愛を容認しているが、同性婚には反対である。確固としてカソリックである。
ルペンはまた、反ユダヤ主義的発言を理由に父親を除名した。ムスリム移民の排斥を唱えてはおらず、「フランス社会にふさわしいイスラーム」を求めていくとしている。
ルペンはまた二重国籍の廃止を訴えており、これらのルペンの姿勢はフランスのカソリックや保守派から強く支持されている。
令和五年(2023)5月27日(土曜日)弐
通巻第7768号
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マクロンのあまりの不人気にルペン待望論が再浮上
フランスも政治混迷が続いている
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どの民主主義国家でも「民主主義」なるものが完全かつ理想的に機能している国はない。欧米は左翼がメディアを牛耳り、よこしまな報道で国民を洗脳し、正論を吐く本物の民主主義者を右翼とさげずんできた。バイデンやヒラリーの巨大な汚職には蓋をして、代わりに重箱の隅をつついて醜聞か事件に仕立て、トランプに対してロシアゲートなどを次々とでっち上げた。
この手法は朝日新聞と同じ。いや世界の左翼に共通の手口である。
子ネズミのようにちょろちょろと舞台を走り回るのはフランスのマクロン大統領。北京の習近平皇帝に会いに行くと大歓待されて有頂天になったか、帰りの飛行機で「台湾問題でわれわれは米国に追随する必要はない」と発言し、西側指導者から酷評された。
ウクライナ戦争でも昨年はモスクワとキエフの間で、廊下鳶を演じたが、道化師かとプーチンが相手にしなかった。
ゼレンスキーはEU諸国でフランスがもっとも援助がすくなく(日本より少額)、武器の提供を殆どしないフランスが何を抜かすかとう顔をしていた。そこでマクロンはG7に訪日を希望していたゼレンスキーにフランス機を提供してご機嫌を取った。
現在、フランスでマクロンの支持率は最低ラインに近く国民連合(旧「国民戦線」)のルペンがリードしている。ルペンの党は地方議会で圧勝を続けている。
もしフランス大統領選が今やり直されたとした場合、マリーヌ・ルペンがマクロンに勝利するとの世論調査の結果がでた。仏BFMテレビの委託で調査会社エラブが行った世論調査では、得票率はルペンが55%、マクロンが45%となったのだ。
この世論調査に慌ててマクロンが言ったのだ。
「もし私たちが国の課題に対応できず、嘘や現実を否定する習慣を持ち込んだ場合、マリーヌ・ルペン氏が(権力の座に)登場するだろう」
マクロン不人気の主因は年金である。フランスの退職年齢を62歳から64歳に引き上げるとういう年金改革は、フランス全土で抗議活動、デモを展開し、現在もおさまりそうにない。5月21日、テレビ出演でルペンは「マクロン氏の改革は結局「完全に失敗」に終わった」と語った。
▲トランプは「アメリカ・ファースト」。ルペンは「フランス・ファースト」である。
ルペンはウクライナ問題でも冷ややかで、この基調は援助削減を唱えるトランプと同じで「フランス・ファースト」である。
さきの選挙でルパンの政党はロシアの銀行から融資を受けた。それはEUの銀行がどこもルペンに資金を貸してくれなかったからだ。
クリミア半島の帰属に関してもルペンの立場はEU主流の左翼や米国のネオコンとはことなり、もともとロシア所属なのだと歴史的事実を挙げる。
「ロシア帝国は 18 世紀にオスマン帝国からクリミアを獲得しました。したがって私は住民投票を全面的に支持します。クリミア住民はロシアとの再統一を目指して、投票によって自由に意思を表明したのであり、完全に合法だった」
ニキータ・フルシチョフが気まぐれでウクライナに譲渡されたものの、その前の60年間は一貫してロシアのものだった。だから、とルペンは付け加えて。「住民投票後にクリミアから逃げた難民はいなかった。
クリミアのロシアへの復帰は「不法併合」ではないとのルペンの主張は、2017年1月にフランスのBFMTVに、2月にはCNNに表明された。
かっとなったゼレンスキー政権はルペンにウクライナへの入国禁止処分を科した。
ゼレンスキー大統領と政権幹部は「一インチも領土の妥協をしない」と豪語して、「クリミアを占領したら、ロシア語を禁止し、ロシアとの 「協力」の疑いがある人物を追放する」と言っている。
或るウクライナ高官は「クリミアに(ウクライナ軍が)入ったらすぐに、クリミアにいるロシア人をすべて根絶しなければならない」と語った。
ルペンの政治姿勢はトランプやデサンティスと近い。
しかし妊娠中絶や同性愛を容認しているが、同性婚には反対である。確固としてカソリックである。
ルペンはまた、反ユダヤ主義的発言を理由に父親を除名した。ムスリム移民の排斥を唱えてはおらず、「フランス社会にふさわしいイスラーム」を求めていくとしている。
ルペンはまた二重国籍の廃止を訴えており、これらのルペンの姿勢はフランスのカソリックや保守派から強く支持されている。