伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

親鸞

2010年05月14日 | 本・書評
五木寛之の「親鸞」がちょっと前に発売された。

これは、北海道から沖縄(?)まで、
全国の地方新聞に連載されていたものを加筆訂正した、
「2500万読者を熱狂させた」
新聞連載を単行本化したものだ。


今回、WEBサイトで上巻全部を無料で読めるようになったと
新聞記事に書いてあった。
そこで、ずっとアップし損ねていたこの記事を今回上げてみよう。





母が親鸞ファンなので、
毎日の新聞の連載を楽しみにしていたのだったが、
単行本になったらそれも買って来てくれと言うので、
買いに行った。

私はむしろ毎日の連載についていたイラストが楽しみだったので、
単行本になり、
そのイラストがまったくなくなってしまったのが悲しい。
山口晃という面白い作風の人が書いていたイラストだ。

山口晃はこちら



六角堂のてっぺんに雪だるまがいたり、
病床の恵心尼(親鸞の奥さん)がカーディガンを羽織っていたり、
親鸞が歩く街角に電線と電柱があったり…。
そんなイラストが面白かった。

ブルータスにも時々イラストを書いていて、
どこかで似たような絵を見たなとバックナンバーを見てみたら、
伊藤若冲特集のブルータスに、
若冲の一生というすごろくを描いているのが山口晃だった。
その時実に達者なマンガ家だなあと思っていたら、
画家であったらしい。
狩野派などの古い技法を再現するのがすごく上手なのに、
マンガチックで、現代の風俗が当たり前のように出て来たり、
面白い画家だ。


↓さて大山崎というのも、面白い


それはさておき、五木寛之の親鸞は、終わった時にえっ?と思った。
えっ、これで終わり?
おそらく、
全国の2500万読者も同じような突っ込みを入れただろう。
親鸞が、まだ親鸞と名乗ることなく、
越後へ流される所で終わってしまう。

親鸞はとても長生きしたので(90歳くらいまで?)、
流されてからが波乱万丈の人生の始まりで、
エピソードにも事欠かないというのに、
何だこの中途半端な終わり方は。

私は、連載の始め、
親鸞が8歳のままなかなか成長しないので、
きっと2、3年くらいのスパンでの連載なのだろうと思っていたのだが、
1年で終わってしまった。
1年では長い親鸞の生涯を書ききれないのだ。


それでも連載が終わった時、五木は大変な感慨があったらしく、
ものすごい達成感を感じたというようなと感想を述べていた。
いつか命があれば続きを書きたいとも述べていたが、
これは当然、書かなくてはならないだろう。こ
んな中途半端な終わり方をしたのならば。


五木の「親鸞」は、言ってみれば非常にあざとい作り方で、
悪役がはっきりしていて、
法然の弟子のうちの二人が親鸞の敵役として活躍(?)する。

保護されているはずの親鸞の奥さんをいつの間にか拉致したり、
あまりにも都合の良い暴れ方をする。
そんなあからさまなことをしたら法然上人にばれるのではないか、
よく法然が黙っているものだと
連載中は何度も一人で突っ込みをしていたが、
それでも新聞小説の連載など普段はあまり読まない私が読んでいたのだから、
五木氏のストーリーテリングというか、
話の進め方が上手だと言っていいのだろう。


ほかにも、後白河法王の隠し子の何とかいうのが意味ありげに登場して、
意味ありげに活躍するのだが、でもその落ちがなかったような。。
あの人はどうなったの?
後白河法王も出て来る割にはいつの間にか死んでるし。

六角堂で親鸞が観音の夢を見るエピソードは
もっとあからさまに性的なものになると思っていたのに
肩透かしだったし、
恵心尼との結婚に至る過程にもあまり納得が出来なかった。
親鸞が、どうしても女が欲しい、
女なしでは生きていけないのよと悶えるくだりが欲しかった。

というわけで、
私は必ずしも「親鸞」を無条件に賞賛する気持ちはないのだが、
でも、何度も言うがイラストが良かった。
母は連載中に新聞を切り抜いて前部持っていると言うから、
ウチには山口氏のイラストを全部確保してあるのだ。
それだけは母の快挙である。




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