伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

カポーティ

2008年04月10日 | 映画
レンタルビデオ店の更新の知らせが来た。
無料で借りられるので、「カポーティ」という映画を見た。
前から見てみたかった映画だ。

以前にトルーマン・カポーティという作家の作品を
読んだ覚えはあるのだが、
タイトルも、その内容も思い出せない。
読んだことにならない。
一般的には「ティファニーで朝食を」の作家として有名だ。
その彼が、
「冷血」という作品を書いた時の顛末を映画化したものだ。

「冷血」については、小説を読んでないばかりか、
映画化された映画も見ていない。
確か、トニー・カーティスが主演して、
イメージチェンジだと騒がれた作品だと思う。
殆どヒットしなかったと思うが。


「冷血」が実際にあった殺人事件に取材した作品、
ということは何となく知っていた。

おそらく、
この小説は日本の佐木隆三などが手がけるノンフィクション小説(?)
の先駆けと言えるのではないだろうか。

佐木隆三(例によって字が確かでない…)も、
殺人犯人を主人公にしたり、
殺人事件のノンフィクションを書いたりしている。
家田しょうこ(字分からず)の極妻なども
広い意味でこのようなジャンルの小説と言えるのではないだろうか。

映画の中で、出版関係の人が
「まったく新しい小説の誕生だ、
この小説が発表されたら凄い評判になるだろう、革命的な作品だ」
みたいなことを言うのだが、
当時(1964年ころ?)には、こうしたジャンルの作品は珍しかったのだろう。


映画では、殺人犯人を取材するうちに、
様々な問題に直面して葛藤するカポーティが描かれてゆくが、
その中で、打算的で狡猾で、
「死刑」というイベントさえ自分の名声に利用しようとする
カポーティのいやらしさが、だんだん炙り出されてゆく。


映画の最後に、
カポーティはこの小説「冷血」を完成させたあとは、
一作の小説をも完成させることなく、
アルコールに溺れて約20年後に死んだという字幕が出る。

確かにこのような体験をした人なら、
その人が少しでも誠実な人間性を持ち、
繊細な芸術家としての気質を持つならば、
そうならざるを得ないだろうなと思った。

もし彼がこのあともバリバリ仕事をして、
「冷血」などなかったかのように平然として小説をどんどん書いていたら、
その方が怖い。
その方が「冷血」だと思う。

カポーティは多分、自分のいやらしさに気がついた。
いやというほど、そのことを思い知らされた。
だからもう書けなかった。
そういうことではないかと思った。




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