伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

偉人の年収・漱石編

2024年02月18日 | 夏目漱石
NHK Eテレで放送されている「偉人の年収 How much?」
という番組がことのほか面白い。

始めはタイトルだけを見て、
古今東西の有名人の収入を勘ぐる少し下衆な番組なのかなと思っていたが、
偉人の生涯そのものも紹介しつつ、そこから彼らの年収を探ってゆき、
これまであまり明らかになって来なかった偉人のエピソードを
いろいろ散りばめていて面白い番組なのだった。


案内役の谷原章介も落ち着いていて好感度がある。
アシスタントの山崎怜奈という若い女性も、
意外と素直で頷ける指摘をしている。
30分の短い番組だが、
要領よく偉人たちの生涯を分かりやすく紐解いていく。

先日、夏目漱石の回を見たら、面白くて何度も見てしまった。


偉人の年収 How much?
お金を切り口に半生をたどると偉人の生き方が見えてくる!
https://www.nhk.jp/p/ts/9R81KLVMWP/


偉人の年収 How much? 文豪 夏目漱石
https://www.nhk.jp/p/ts/9R81KLVMWP/episode/te/PWP1KV7ZXK/
文豪 夏目漱石
初回放送日: 2024年2月12日

教科書に載るような偉人たちはいくら稼いでいたの?
お金を切り口に半生をたどると、偉人の生き方や人生観が見えてくる!
今回は、明治の「文豪」夏目漱石です!猫も登場!

「坊ちゃん」「吾輩は猫である」「こころ」などを執筆し
日本の「国民的作家」と呼ばれる夏目漱石。
しかし青年時代、家族の反対で文学の道を諦め、
英語教師となった。
ところがロンドン留学後、専業作家に転身。
当時の収入を探ると漱石の確かな生き方が見えてくる!
漱石が文学の世界に残したものとは?
なぜ尊敬されるのか?猫も登場し真相に迫る。
今野浩喜演じるロンドンの漱石や妻との関係、
谷原章介、山崎怜奈の鋭い指摘にも注目!



NHKプラス
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2024021211276




夏目漱石はとても好きだから大体のことは知っているつもりだった。
が、番組を見たら、知らないことばかりが紹介されていてかなり驚いた。
というより、漱石に関して深いことは何も知らなかったのだ…。
知っているつもりになっていただけだったのだ(´・ω・`)

まず漱石が英語を志したのは兄の影響だったこと(兄の勧め)、
明治の文明開化の元でこれからは英語の時代だと思われていたこと、
そのため英語を学んだ。
そうだったのか、と今さら知った。がくぜん。

漱石が英語が優秀な成績だったことは知っていた。
だから英国へ留学した。
その留学時に神経衰弱にかかり、
おかしくなったことばかりが漱石を語る時に強調されて来たが、
番組ではこの英国留学体験がのちの漱石の作家生活に
多大な影響があり貢献をしたことが語られていた。

もちろん正岡子規との友情も取り上げられていた。
有名な話なのでこれはもちろん知っていた。
英国留学中に子規主催の「ホトトギス」に請われて漱石は
「自転車日記」などの随筆(エッセイ?)を寄せていたことも。


漱石は英国から帰って東京帝国大の教授になるが、
子規死後、
後を継いだ高浜虚子に「ホトトギス」に何か書くことを勧められ、
書いた作品が「吾輩は猫である」だったことは番組の紹介通り。

始めは一回で完結だった「猫」が好評だったため連載になったのも、
番組どおり。

番組ではその「猫」の初版本(複製かな?)や、
そのほかの漱石本の初版本がずらりと並べられていて羨ましかった笑
とくに「吾輩は猫」は欲しい!
すごく欲しい!
と思ってしまった。
レプリカでいいから、複製でいいから出版して欲しい。。
「吾輩は猫」を収録した「ホトトギス」まで並べられていた。
よだれが出るほど欲しい(>_<)。




やがて漱石は教授を辞め、文筆一本で作家として生きていくことにする。
朝日新聞に入社するが(知っていた)、
帝大の教授が教授の職を投げ打って在野に下るということは、
それほど前例がなかったことなので世間がかなり驚いたと聞いている。

番組ではその時(朝日に入社することを決めた時)、
読売新聞からも同時に引きがあったと紹介していた。
そのことはまったく知らなかった…。
朝日だけでなく読売からも勧誘があったらしい。
そして高い給料を提示した朝日の方に入社を決めたのだという(笑。

漱石が当時、帝大の教授のほか、
高校や明治大学でも講師を勤めていたことは知らなかった。
知らないことが多かった。

弟子たちと木曜会を開くことになったエピソードを紹介していて、
それはうれしかった。


入社した朝日新聞に朝日文芸欄を立ち上げたことも有名である。
弟子たちに運営を任せたことも。
その後、弟子たちによってゴタゴタがあり、
文芸欄を廃止したことは漱石も弟子たちも書き残している。


漱石が日本に印税制度を定着させたことは知っていたが、
そのほかに本の装丁にもこだわり、
それまでは日本の本といえば和綴じの草紙だったものを、
背表紙のついた装丁のきれいな現在の単行本の形を
最初に定着させたその人だったというのは知らなかった。

漱石によって日本の単行本の形式が形作られたのだ。

漱石が英国に留学した時、彼が目にした西洋の本が、
背表紙のある、本棚に立てて並べ収納するタイプだった。
それは日本にはなかったもので、
漱石は英国で見た英国式の洋書の形を取り入れた。
漱石が日本で洋書スタイルを取り入れた最初の人だったのだ。
このエピソードはまったく知らなかった、
どおりで漱石の本は装丁が凝っていて素敵だと思っていたら。


印税制度も漱石が英国に留学した時に目にしたもので、
作家が作家として自立して食べてゆけるようにと、
印税を出版社に要求した。
日本に印税が定着したのも漱石の働きかけによるものだった。

おかげで漱石と漱石一家は印税で暮らしてゆけるようになった(はず)。
番組では漱石の年収が莫大なものだったことを紹介していたから、
よほど印税収入が多かったはず。
朝日からの給料と足して、年収も多くなったのだ。


漱石死後、奥さんの鏡子が金遣いが荒くなったことは、
漱石の弟子たちが残したエピソードでうかがえる。
漱石の印税ががっぽり💦入って来たからだろう。
鏡子夫人は金払いが良く、
自分自身も高価なものをどんどん買い、着飾っていたそうだ。

弟子たちは鏡子夫人の金遣いの荒さを知っていたから、
苦々しく思い、そのため夫人を悪妻呼ばわりしたのかも。
一時はそのため鏡子夫人=悪妻説が通っていた。
自分たちも鏡子夫人の恩恵を受けていたのに、
漱石を神のように慕い、信者のようだった弟子たちにしてみれば、
漱石死後の夫人の振る舞いには疑問を感じていたのかも。
近年ではおおらかな人だった、と、夫人の擁護もあるようだ。
(漱石がまだ高校教師だったころはつましい暮らしをしていたようだし)


そんなわけで漱石は49歳という若さで胃病で死んだ。
あの老成した姿から自分より年下のうちに亡くなった事が信じられないが。

明治という価値観が大きく変わった時代に、
文筆で身を立てる道筋を作った人物としても
偉大な人だったのだということを今さらに実感した。


番組内でそれぞれの偉人に扮してなり切っている今野浩喜という人の、
これまでの偉人エピソードを集めたもの


見逃し配信をしています(NHKプラス) 今野浩喜のなりきり偉人伝
https://www.nhk.jp/p/ts/9R81KLVMWP/movie/


定本 漱石全集 別巻 漱石言行録




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