伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

愛し、恋し、江戸絵画━細見美術館

2023年09月11日 | 展覧会・絵
久しぶりに展覧会へ行って来た。

左京区・岡崎にある私設美術館・細見美術館へ行ったのだ。
開館25周年ということで、記念展を開いていた。
細見美術館が所蔵する作品をずらりと並べた展示会だった。






私設美術館の細見美術館は美術館の構造が独特で、
一階で受付をすると階段で地下へ降りてゆく。
床面積は小さいが地下3階ほどあり、
展示室を全部見るには地下へどんどん降りていかなくてはならない。

足を痛めていた時は階段が降りられなかったので、
前回の展覧会(「琳派の扇絵と涼の美」)も泣く泣く諦めた。


足がだいぶ良くなって来たので、もう階段を降りられるだろうと思い、
細見美術館の開館25周年記念、
「愛し、恋し、江戸絵画 ━若冲・北斎・江戸琳派━」展へ
早速行って来たのだった。





まだ足はぎくしゃくしていたものの、何とか降りることは出来た。


細見美術館は若冲を始めとして琳派もコレクションにあるので、
小さな美術館だが、とても好きな美術館なのだ。





細見美術館
https://www.emuseum.or.jp/

https://www.emuseum.or.jp/exhibition/ex082/index.html
開館25周年記念展I
愛し、恋し、江戸絵画 ― 若冲・北斎・江戸琳派 ―






今回の展示品は細見美術館所蔵の代表作といえるものばかりだった。
入ってすぐに伊藤若冲の「糸瓜群虫図」があった。


細見美術館の代表作ともいえる若冲作品だ。
淡彩で彩色が美しい。
よく見ればヘチマは虫に食われていたり、
葉も虫食いがあって半分枯れていたりして、
決してよい描写をしているのではないのに、
その色合いさえ美しい。
ツルはあり得ない曲がり具合で、先端にバッタを乗せているが、
他にカタツムリやカマキリなども描かれており、
昆虫図鑑のような趣がある。
多分、それ(図鑑)を目指したのではないかと、
今回見て改めて思った。



若冲の絵は他にこれも細見の売りである「雪中雄鶏図」もあった。
それ以外にも細見が所有する若冲作品が網羅されていて、
開館25周年に相応しい作品揃えだった。


「雪中雄鶏図」は久しぶりに見たが、
鶏は絵に描く対象としては決して美しい生き物とは言えない
(と自分は思う)。
が、若冲はその彩色と繊細な筆遣いで
本物の鶏よりももしかしたら美しく見せている。
背景の若冲独特のねばっこい雪の白さとの対比で
少ない色合いながら鶏の造形を色彩で際立たせている。
夢のように美しいのだ。
改めて若冲の色使いの美しさにため息が出るほどだった。

若冲作品はそのほか、細見の所蔵する
「花鳥図押絵貼り屏風」
「瓢箪・牡丹図」
「仔犬に箒図」
「鼠婚礼図」
などなど
おなじみの作品が勢ぞろいしていた。


次に多いのが鈴木其一(すずき・きいつ)で
其一といえばエキセントリックな作風だと思い込んでいたが、
基礎はしっかりしていて抱一に弟子入りしていただけあって、
琳派の作風も継承している。
展示品はいずれも大人しめで、やまと絵風のものもあった。



その中で「朴に尾長鳥図」は
葉っぱに琳派特有の大胆なたらしこみ画法を用いていて、
その大胆さが目を引いた。

他には持ち歩きのためか、とても小さな絵図巻(巻物)が
印象に残った。
多分携帯用なのだろう。
「四季歌意図巻」というもので4巻で一対のものだった。

春・夏・秋・冬と描き分けていて、
それぞれ中央に歌聖を置く。

業平、柿本人麻呂、西行、・・・などが主人公として
四季の風景の中に描かれている。
琳派風の粋で精細な逸品だった。


其一の作品展示は多かったが、
酒井抱一は思ったほど展示が多くなかった。

抱一好きの自分は少しがっかりしたのだが、
なんと、
大好きな「白蓮図」が展示されていて、有頂天になった\(^o^)/
この作品一つだけでも抱一ファンとしては満足だった。



白蓮が細く長い茎から一輪、清楚な風情で咲いている。
蓮の大きな葉はその花をまるで守るように後ろで支えている。
画面下にも葉が添えてある構図がとても粋だ。
抱一らしい簡潔でしかも上品で、美しい墨絵だ。
葉の中央に描かれている茎は、描いたのではなく、
葉を描いた時の塗り残しだそうだ。


そして琳派の絵によくある描き表装の作品もステキだった。
(掛け軸のバック・表装部分にわざと絵を描く技法)

其一の派手な描き表装の作品もあったが、
鈴木守一という画家の「業平東下り図」


琳派で好まれた在原業平の東下りの図を軸の中心に据えつつ、
周りを四季の草花で華やかに彩る。
いかにも琳派好みの上品で粋な作品だった。


もうひとつ目が吸い寄せられたのは尾形乾山の向付(むこうづけ)。
「錆絵牡丹唐草文向付」という名前の、
5客一組の小ぶりのお皿(向付)セットで、
四角形で上に向かって開いているデザイン。
土そのままの黄土色の下地に茶色で彩色してある。

乾山特有のデコラティブな文様を一客ずつ手描きで彩色している。
一見すると5客とも同じ文様だが、
よくよく見ると一客ずつ微妙に文様が違う。
わざとではなく、手描きなので細部が違ってくるのだろう。
いや、或いは一客ずつわざと文様を違えているのかもしれない。
乾山のことだから。
その違いを探してみるのも面白かった。
乾山の焼き物は分かりやすくてしかも楽しい。
見られてすごくよかった。





久しぶりに見に行った展覧会。
心が躍り、気持ちもうきうきと晴れやかになった。
展覧会は楽しい。
足も治り、自由に行けるようになったから、
これからはどんどん展覧会へ出かけてみたい。




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