伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

つながる琳派スピリット・神坂雪佳展

2022年05月19日 | 展覧会・絵

神坂雪佳(かみさか・せっか)の名前がメインでつく展覧会へ行くのは
2度目である。


京都出身の神坂雪佳は明治・大正・昭和を通じて活動した画家・図案家で、
絵画や工芸にも手腕を発揮した。

江戸時代の琳派に私淑し、宗達に始まる琳派風を取り入れた作品を多く手掛けた。

京都に住み、京で発展した光悦村に憧れ、琳派の作風を受け継いだ。


近年、脚光を浴びる存在となり、
こうして単独の展覧会も開かれるようになった。


ただ今回の展覧会は琳派の宗達や光琳などの作品も少しずつ展示され、
琳派の流れをざっと俯瞰出来るようになっていた。

琳派が好きなのでその流れをくむ神坂雪佳も以前、初めて見た時に
気に入ったので、今回も出かけて行った。




京都・左京区岡崎のロームシアター京都の向かいにある
個性的な私設美術館、細見美術館で開催されていた。

細見美術館はそれほど大きくない美術館だが、
地下へと降りてゆく構造がユニーク。


トマトカード提示で定価1500円が1200円に割引。



細見美術館
https://www.emuseum.or.jp/



琳派展22
つながる琳派スピリット 神坂雪佳
https://www.emuseum.or.jp/exhibition/ex076/index.html

会期:2022年4月23日(土) - 6月19日(日)
【前期】4月23日(土) - 5月22日(日) 
【後期】5月24日(火) - 6月19日(日)





まず神坂雪佳が影響を受けた琳派の画家たち、
宗達や光琳、そして抱一の作品が少しずつ並んでいたのが
予想外でなかなかうれしかった。


宗達と本阿弥光悦のコラボ作品もちょっぴり。

そして宗達の可愛い犬の絵や、抱一の小粋な団扇など、
少しだけだが琳派の作風を辿ることが出来た。




雪佳は図案家で、ヨーロッパへ装飾美術を学びに渡欧したという。
そこではジャポニズムが流行中で雪佳は改めて
日本美術の良さを再認識したようだ。

琳派に傾倒して、絵画も注文を受け、描いたようである。


明らかに光琳の燕子花図を模したような作品も描いていた。



光琳の燕子花図もパターン化されているが、
かなり図案化されていてどことなく可愛らしいのが雪佳らしい。


雪佳で一番有名な代表作「金魚玉図」も展示されていた。
もちろんこの図が展覧会の最大の呼び物だ。
細見美術館の所蔵でもある。

金魚を真正面から描き、どこかユーモアが感じられる。




そして版画集「百々世草(ももよぐさ)」から「狗児」
これは愛らしい犬図として金魚玉図に次いで有名かもしれない。
明確な線で描かれた品のある図だと思う。





・養源院にある宗達の板絵でデフォルメされた白象図にそっくりの
象図があり、宗達研究のためかもしれないと思うととても興味深かった。
宗達始め、琳派の影響がここでもはっきり分かる絵だった。




工芸家としての雪佳作品も多数展示されており、
琳派風の流線型の向付などは、まさに琳派風の模様を
そのまま器に移したようなしゃれたデザインで、
実用も重視した琳派の作風をそのまま正当に受け継いだかのようで、
タイトルにもある、琳派スピリットに溢れていると思う。




図案も展示され、雪佳のおおらかでいながらも
斬新でもあるデザイン感覚がよく分かる。




雪佳が図案を描いた菓子皿が展示されていたが、
ユーモアに満ちた絵柄ではあるのに、
それがちゃんと器の形として成り立っているのに面白味があり、
さすがの力量を感じる。


こうした作品で図案を描き、工芸家とコラボした作品が多数あり、
それを思うと雪佳はまさしく明治から大正・昭和にかけて
琳派の系譜を正当に受け継ぐ、琳派精神の継承者であり、
琳派が時を超え、明治の時代にそのまま息づいているような、
それでいて新しい息吹を吹き込んだような、
生活の中のデザインとして、琳派の精神が脈々と息づいているのを感じた。


雪佳は弟ともコラボして数々の工芸品を生み出した。
そのことも尾形光琳と尾形乾山の兄弟を思い起こさせる。


雪佳は本阿弥光悦の洛北・鷹峯の光悦村に憧れを抱いていたようである。
言うまでもなく、光悦村は当時の芸術家が集い創作活動を行う拠点となった。
雪佳にはその光悦村の様子を光悦を主人公にして描いた古風な図もあった。




それでも雪佳が琳派の真似をしている、というわけではなく、
工芸や身の回りの細々したものをデザインしていれば、
ごく自然に先達に近づいてしまったというべきなような気がする。


もちろん琳派への限りないリスペクトがあり、憧れがあり、
受け継ぎたい気持ちはあったと思うけれども。



以前に見た神坂雪佳の展覧会とはまったく違う作品が多数展示され、
雪佳の多彩な面に触れた展示会であった。


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