17代目中村勘三郎の聞き書きです(知っている人も多いと思いますが、現在の18代目の父親です)。
ですから、生い立ちあり、藝談あり、その他、歌舞伎関係のさまざまな種類の内容が、愛嬌のある、例のあの声で蘇ってくるような気がします。
話題で一番多いのが、6代目の尾上菊五郎と、彼と伴に「菊吉時代」をつくった初代中村吉右衛門のこと。
というのは、勘三郎にとって、菊五郎は岳父、吉右衛門は異母兄に当たるからです。
菊五郎と吉右衛門とは、対照的な性格だったようで、本書には、
その点、血縁はないものの、勘三郎の陽気で、どこかお茶目な藝風は、菊五郎譲りという気がします(この藝風、今の勘三郎にも引き継がれているみたい)。
また、触れている分量は少ないのですが、15代目市村羽左衛門の藝風に触れた部分が小生には示唆的でした。
というのは、
その他、笑える歌舞伎の話もあり、なかなか楽しめる1冊でありました。
関容子(せき・ようこ)
『中村勘三郎楽屋ばなし』
文春文庫
定価:428円 (税込)
ISBN9784167457013
ですから、生い立ちあり、藝談あり、その他、歌舞伎関係のさまざまな種類の内容が、愛嬌のある、例のあの声で蘇ってくるような気がします。
話題で一番多いのが、6代目の尾上菊五郎と、彼と伴に「菊吉時代」をつくった初代中村吉右衛門のこと。
というのは、勘三郎にとって、菊五郎は岳父、吉右衛門は異母兄に当たるからです。
菊五郎と吉右衛門とは、対照的な性格だったようで、本書には、
「何によらず、二人は正反対でした。と、その違いが描かれています。
親父さん(=菊五郎)は声はよくなかった。兄(=吉右衛門)は名調子と言われた人でしょう。
親父さんは太ってて、兄はやせている。
親父さんは汗かかずで、兄は汗っかき。
踊りの名人と、踊らない役者。
軽妙洒脱と、謹厳実直……。」
その点、血縁はないものの、勘三郎の陽気で、どこかお茶目な藝風は、菊五郎譲りという気がします(この藝風、今の勘三郎にも引き継がれているみたい)。
また、触れている分量は少ないのですが、15代目市村羽左衛門の藝風に触れた部分が小生には示唆的でした。
というのは、
「何しろ勘平やっても、勝頼やっても、勝元やっても、だいたいおんなじ、ってわけね。つまり何やっても市村羽左衛門、だったんだね。それでお客は大満足なんだからすごいよね。」という藝で、これはカラヤンの指揮振りにぴったりの評価じゃないか、と思ったからですね。やはり、お客さんを相手にする藝能の世界には、同じような人がいるものです。
その他、笑える歌舞伎の話もあり、なかなか楽しめる1冊でありました。
関容子(せき・ようこ)
『中村勘三郎楽屋ばなし』
文春文庫
定価:428円 (税込)
ISBN9784167457013