中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

詞組の構造分類

2010年09月22日 | 中国語
 文法の学習の次のステップとして、今回からは、詞を組み合わせた詞組(連語)の単位での構文の構造について見ていきたいと思います。詞組の構造は、その組合せ関係の違いにより、大きく八つに区分されます。

                       詞組と構文分析
                 一 詞組(連語)の構造分類


 広義から言うと、詞と詞の組合せは詞組(連語)と呼ぶことができる。しかし、詞と詞の組合せは、実詞と実詞の組合せでもよいし、実詞と虚詞をそれぞれ含む組合せでもよい。ここで言おうとしている詞組は狭義のもので、すなわち専ら実詞と実詞が一定の文法上の手段(例えば“虚詞”の使用、“語序”すなわち語順の限定、等)により組合せた言語単位を指す。

 組合せの構造の違いにより、詞組は主に以下のように分類される。

(一)偏正詞組 (修飾構造の詞組)

 二つの部分から成り、前の部分は定語(限定語、連体修飾語)もしくは状語(状況語、連用修飾語)、後ろの部分が中心語である。二つの部分の間は、修飾、被修飾の関係がある。例えば:
     英雄気概
     群衆的智慧
     十分熱烈
     緊張的労働

(二)後補詞組
 二つの部分から成り、後ろの部分は前の部分を補充説明する。例えば:
     干得好
     聴不明白
     去一趟
     高興得跳起来

(三)動賓詞組 (動詞+目的語構造の詞組)
 二つの部分から成り、これらの間には支配、被支配の関係がある。例えば:
     読書
     討論問題
     来了一個人

(四)主謂詞組 (主述構造の詞組)
 二つの部分から成り、これらの間には陳述、被陳述の関係がある。例えば:
     鶏叫
     大家討論
     意志堅強
     笑容満面

(五)連合詞組
 二つ、或いはそれ以上の部分から成り、組成部分の間の関係は、あるものは並列的、あるものは選択的である。例えば:
     調査研究
     偉大而質朴
     今天或明天
     北京、上海和広州

(六)同位詞組
 二つの部分が重ねて用いられ、同一の事物を指す。例えば:
     中国的首都北京
     他們倆

(七)連動詞組
 二つの部分が連続しているが、それらの間には主述、連合、動賓(動詞+目的語)、偏正(修飾、被修飾)、補充等の関係が無いもの。例えば:
     拿筆写字
     走過去開門

(八)兼語詞組
 一つの動賓詞組と一つの主謂詞組が一組になり、動賓詞組の賓語が主謂詞組の主語を兼ねるもの。例えば:
     譲我走
     使他相信

 上記の八種類の他、これ以外の詞組もある。例えば、数量詞組、方位詞組などである。数量詞組は、数詞と量詞から成り、例えば、“三個”、“一百零八条”などである。この種の詞組は、時には更に指示代詞や形容詞が付け加わることがあり、例えば、“這三位”、“這一大塊”のようになる。方位詞組は、例えば“西湖辺”、“開会前”、“長江与黄河之間”である。

 一つの実詞は、ある種の実詞と組み合わすことができるが、別のいくつかの実詞とは組み合わすことができない。これは、それらの間に選択性があるからである。“吃”は“飯”と組合せることができるが、“床”と組合せることはできない。“甜”は“餅”と組合せることができるが、“星”と組合せることはできない。これは語彙の意味の制限を受けているからである。言いかえると、ここでの選択性は語義の上にあると言うこともできる。動詞は名詞と組み合わせて動賓関係を表すことができ、形容詞は名詞と組み合わせて偏正関係を表すことができ、名詞は動詞、或いは形容詞と組み合わせて主述関係を表すことができる。これは構文上の選択である。構文上の選択とは、各種の実詞の順序の範疇の組合せの関係が具体的に現れることを言う。例えば、形容詞は一般形容詞と非述形容詞(“非謂形容詞”、述語になることができない形容詞)に分けられるが、一般形容詞は名詞の後ろに用いて主述関係を構成することができるが、非述形容詞はそれができない。また、量詞は物量詞と動量詞に分けることができ、物量詞が構成する数量詞組は、動詞の後ろで用いて、動賓関係を構成することができる(例:“吃一碗”,“喝両杯”)。動量詞が構成する数量詞組は、動詞の後ろで用いて、後補関係を構成する(例:“跑一趟”、“読一遍”)。このような順序の範疇の選択関係は、中国語の構文の中で重要な地位を占める。

  選択関係を備えた二つの実詞は、一定の順序に基づき配列され、しばしば異なる関係を表す。ここで、三種類の語順の違いを区別しなければならない。それは、ことばの意味(語義)、ことばの活用(語用)、構文の三つである。“名詞+名詞”(偏正関係)の型に於いては、多くの異なる名詞を当てはめることができる。“玻璃窓戸”、“窓戸玻璃”は何れもこの型に属する。これらの意味が異なるのは、機能が同じ詞が入れ替わった結果である。またもう一つ例を挙げると:“你看我”と“我看你”の意味が異なるのは、“A看B”の型の中に異なる詞を入れたからで、構文は一切変わっていない。ここでの語順の変更は語義上のものである。“你哥哥来了嗎?”と“来了嗎,你哥哥?”には異なった色彩がある。後者は話をする人の気持ちが緊張しており、行為そのものが真っ先に意識に浮かびあがったので、真っ先にこう言ったのである。こうした語順の違いはことばの活用(語用)上のもので、人との交流の中で具体的な環境の必要に適応して発生したものである。“客来了”と“来客了”、“雨下了”と“下雨了”のような違いは、構文の問題に属する。ここでは“名詞+動詞”(主謂関係)から“動詞+名詞”(動賓関係)に変わったのである。

 虚詞も構文の関係を表す常用される手段である。偏正詞組の中で用いられる“的”や“地”、後補詞組の中で用いられる“得”、動詞と賓語の間で用いられる“了”、連合詞組の構成部分の間で用いられる“和”、“或”、“而”などがそうである。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年

  以上が、詞組の構文構造の概論です。次回からは、これらの中の代表的な構文について、もう少し詳しく分析をしていきたいと思います。

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2010年夏季ダボス・フォーラムでの温家宝首相講演(全文)(2)

2010年09月16日 | 中国ニュース
 今回は、前回に続き、9月13日、天津での夏季ダボス・フォーラムでの温家宝首相の講演、その後半部分をお届けします。
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 皆さん、

 国際金融危機の深層での影響は未だ完全に消えておらず、世界経済はまだ安定して成長する良好な循環に入っておらず、システム的、構造的リスクは依然として際立っている。国際金融危機の衝撃に対応した成果を揺るぎないものにし、拡大し、短期的、長期的発展を統一的に計画、配慮し、継続して経済復興を促進すると同時に、経済の構造的な改革を通じ、持続的な発展の為の条件を創造しなければならない。これは世界各国が直面している共同の課題である。中国の経済発展の中にもいくつかの不均衡、不協調、持続不可能な問題が存在する。その主なものは:経済構造が合理的でなく、科学技術の新たな創造能力が十分でなく、資源環境の強化が束縛され、都市と農村の発展のバランスが取れておらず、経済と社会の発展の協調が取れていない。これらの問題は、経済発展の現段階では避けることのできないもので、あるものは体制改革の準備が整っていない為に引き起こされたものである。私たちは短期的な調整政策と長期的な発展政策を有機的に結合し、改革開放の深化と科学発展の推進を有機的に結合し、これらの根が深く、構造的な問題を的確に解決していく。このようにして初めて、中国経済は更に大きく、更に長期に亘り発展することができる。現在と今後の一定期間、私たちは以下のいくつかの点について、重点的に努力していく。

 私たちは内外のバランスの取れた発展を堅持し、内需、とりわけ消費需要拡大の長期間効果のあるメカニズムを打ち立てることに力を入れなければならない。中国には世界でポテンシャルが最大の国内市場があり、市場の潜在能力を十分くみ出し、国内需要を効果的に放出させることは、中国経済を長期間安定して発展させることを促すキーポイントであり、経済を運営する上で、突出した矛盾を解決する重要な道筋でもある。私たちは収入分配制度の改革の推進を加速し、都市住民の収入の国民収入中の比率と労働報酬の初期分配中の比率の向上に努め、より多くの住民が財産性収入を保有できる条件を創造し、早急に収入格差の拡大傾向を転換させ、住民の収入と消費の持続的な増加を促進する。私たちは都市部と農村地域の協調発展の計画を堅持し、積極的で穏当に都市化を推進し、その土地の事情に合わせ、条件を満たした農民工を徐々に都市住民に変え、引き続き新農村建設を加速し、農村のインフラ建設と公共サービスの改善を強化し、引き続き地域発展の総合戦略を実施し、西部大開発と東北地区等の古い工業団地の振興を大いに推進し、中部地区が奮い立つよう促し、内需拡大の新たな原動力の育成に力を入れ、農村と中西部地区の内需増大への新空間を切り開く。同時に、私たちは海外、国内の二つ市場に目を向けることを堅持しなければならない。中国経済は開放型経済であり、我国は輸出大国であるだけでなく、輸入大国でもある。私たちは対外貿易を発展させるが、決して貿易黒字を追求しない。現在、中国はアメリカ、欧州等へは貿易が黒字であるが、日本、韓国に対しては赤字が発生している。加工貿易輸出は黒字だが、一般貿易は赤字である。輸出の回復的な増加はたいへん早かったが、輸入の増加はもっと早い。私たちは、門を閉ざして発展することは不可能だし、そのようなことはあり得ない。私たちは内需を拡大すると同時に、外需を積極的に安定させ開拓し、内外のバランスのとれた発展の実現に努力する。

・長効机制:長期間、制度が正常に運行されることが保証でき、予期した機能が発揮される制度体系。
・釈放 shi4fang4 含有する物質やエネルギーを放出すること。
・因地制宜 yin1di4zhi4yi2 その土地の事情に適した措置をとる。
・崛起 jue2qi3 奮い立つ。決起する

 私たちは新たな創造への推進を堅持し、科学技術の進歩と産業構造の最適化、レベルアップに力を入れる。このことは根本から我が国の資源環境の制約を解決し、国際重要構造の調整と国内消費のレベルアップや新たな変化に適応し、全面気に国民経済発展の質、効果と利益、国家の競争力を向上させ経済の持続可能な発展を促進する戦略上の重点である。私たちは科学技術の新たな創造能力の向上と完全に近代化した産業体系を有機的に統一し、先進技術を用いて伝統産業を改造し、いくつかの自主的な知財権のある、名の知れたブランド、国際競争力のある優良企業を育成し、いくつかの国際レベルにあり、他の手本となる能力を備えた近代化産業群を建設し、我が国が製造大国から製造強国に転換するのを促進する。私たちは未来の科学技術の進歩や新たな傾向をしっかり把握し、政策の支援と計画的な指導を強化し、戦略的な新興産業を積極的に育成、発展させ、新たな基幹産業の形成を加速させ、国の枠を超えた発展に力を入れる。サービス業の対内、対外開放の歩調を加速し、サービス業発展に有利な政策と体制や環境を建設し、サービス業の国民経済の中でのウェイトを向上させる。

 私たちは資源の節約と環境保護を堅持し、資源利用効率と気候変動への対応能力の向上に力を入れなければならない。資源節約と環境保護は我国の基本的な国策である。私たちはエネルギー資源の節約と生態環境の保護に有利な産業構造、生産方式、消費モデルの建設を加速し、人と自然の調和、統一を促進しなければならない。私たちは法律や基準をより一層整備し、目標責任の審査を強化し、循環経済の発展を推進し、全面的に省エネ、節水、土地や材料の節約、資源の総合利用を推進し、各種の自然資源の節約と管理を強化し、総合的な統治、管理を強化し、生態系を保護、修復する。私たちは低炭素排出を特徴とする工業、建築、交通体系の育成に力を入れ、森林の炭素保有量を増加させ、低炭素技術の研究開発を加速させ、モデル化、産業化し、気候変動への対応能力を全面的に増強し、「共同であるが個別の責任」の原則の下、気候変動に対応した国際協力を積極的に展開させる。

・森林碳匯 sen1lin2tan4hui4 :英語でForest Carbon Sink。森林の植物が大気中の二酸化炭素を吸収し、それを植物や土壌中に固定し、それにより大気中の二酸化炭素濃度を減少させることを言う。
・共同但有区別的責任:1992年、国連が《国連気候変動枠組条約》を制定した時、192カ国がこの条約を批准した。その中で、全ての国が気候変動への対応義務があることは共同の責任であるが、経済、社会の発展、貧困の解消は全てに優先することであり、各国の経済レベル、気候変動に至った歴史的な責任、現時点での一人当たり排出量の違いを考慮し、「共同であるが個別の責任」という原則が打ち立てられた。

 私たちは経済と社会の協調発展を堅持し、民生の保障、改善と社会の公平、正義の促進に力を入れなければならない。民生の保障と改善は、経済発展の成果を人民全体に享受させることで、経済社会発展の根本的な目的である。人民の生活を基本的に保障し、後顧の憂いを無くすことは、現代の政府の重要な職責である。現在、多くの国家が失業率の高止まりという共同の難題に直面している。中国も相当に厳しい就業情勢に直面している。我国の労働力人口は8億あり、全ての先進国の労働力資源の総和に相当し、毎年新たに人材市場に入ってくる労働力は提供可能な就業ポストをはるかに超え、労働力総量の供給が需要を超えることと、構造的な労働力の不足という矛盾が併存している。私たちは就業の促進を経済社会発展の優先目標とし、より積極的な就業政策を実施し、積極的に就業ポストを開発し、自主創業を奨励し、十分な就業を促進する。私たちは、政府が公共サービスを提供する能力を増強することに力を入れ、比較的完全な、都市も農村もカバーする、持続可能な公共サービス体系を徐々に形成し、社会保障、基本医療衛生等の領域の平均的なレベルを向上させる。住宅問題は経済問題であるだけでなく、社会の安定に影響する重要な民生問題であり、住宅価格の安定化と住宅保障の提供は、各級の政府の重要な責任である。私たちはより一層市場秩序を規範化し、土地、税制、金融政策を整備し、不動産市場の健全な発展を促進する長期的に有効なメカニズムの建設を加速し、投資や投機的な需要を抑制し、市場が通常の商業住宅の供給を増加するよう指導し、低所得者向け住宅の建設を加速し、公共の賃貸住宅を発展させ、合理的な住宅供給構造の形成を促進し、様々なクラスの住宅需要を満足させなければならない。

・高企 gao1qi3 広東語から出たことばで、“企”は“站”の意味。“高企”はある指標が高いレベルで止まって、落ちてこないこと。中性詞(褒義も貶義も無い)。主に金融、株式、物価などで用いる。
・保障性住房:商業住宅(商品性住房)と相対する概念で、政府が低所得者層向けに限定し、規格を落とし、販売価格、或いは家賃を低く抑えた住宅のこと。

  私たちは改革の深化を堅持し、持続可能な発展の動力と活力の増強に力を入れなければならない。中国の発展、進歩は改革、開放に有益であり、中国が富強、民主、文明、調和の現代化目標を実現するには、依然として改革開放に拠らなければならない。私たちは経済体制や政治体制の全面改革を通じ、体制全体がより現代経済発展と社会主義民主政治建設の要求に適応し、より社会公平正義の推進に力があり、より人々の自由と全面的な発展に有利であるようにしなければならない。

 皆さん、

 中国の発展は開放的な発展である。中国の開放は、長期的、全面的で、相互に利益のあるものである。一切の対外開放に有利な政策を、私たちは堅持していかねばらならい。中国は終始、外商投資企業のため、開放、公平の良好な環境を創造することに力を注ぐ。中国は知財権の保護を高度に重視し、既に知財権の保護を国家戦略に高めており、中国はまた世界各国と知財権の交流と対話を進めたいと願っている。ここで、私が重ねて申し上げたいのは、すべての中国の法律に拠り中国で登録された企業は皆中国企業であり、これらが製造した製品はMade in Chinaであり、これらが研究開発し新たに創造した製品は皆Made in Chinaである。中国国内で登録した外資企業は皆、国民待遇を享受する。同時に、中国政府の買付では、外商投資企業も中国資本企業も、中国で生産した製品は一視同仁し、平等に扱う。

 中国の巨大な市場容量、完備したインフラ、完全なサプライチェーンと安定し公平な市場環境は、正に益々多くのグローバル企業を惹きつけ、中国で投資し、事業を開始させている。現在、中国は世界でも外資吸収の最も多い国家の一つで、グローバル・ベスト500社のうち、470社が中国に拠点を置いている。今年7月末までに、中国は累計で1.05兆ドルの外資を吸収し、18年連続で、発展途上国の首位にいる。今年1-7月の我が国の吸収した外商投資は前年同期比20.7%増加した。外商投資企業の中国での全体的な営業状況は良好で、豊かで厚いリターンを取得し、多くの企業で親会社のグローバル業務の成長の輝ける星で、利益の中心になっている。これらのことから、次のことがわかる。中国政府の良好な投資環境を造営する努力は、投資者に認められ、外商投資企業の信頼を呼び起こした。私たちは引き続き渉外経済法律法規と政策を整備し、外商投資企業の興業環境を改善する。私たちは各国の企業が中国の改革、開放のプロセスに積極的に参与することを、心から歓迎し、各種の企業が中国の法律法規を厳格に遵守し、中国で法律に基づき経営し、中国の繁栄、進歩がもたらすチャンスと成果を享受することを希望する。

 ありがとうございました。

【来源】2010年09月13日23:49 人民網 http://politics.people.com.cn/GB/1024/12714707.html

 最後の、外資企業への内国民待遇や、改革開放重視の主張は、9月7日の厦門での国連世界投資フォーラムでの、習近平副主席の基調講演と全く同じです。これについては、9月8日付記事で紹介していますので、そちらをご覧ください。
 持続的成長を維持するため、富の配分、給与レベルの改革、農村問題、地域格差の問題、環境問題、その他、社会が抱える様々な問題を、この時期に成長を維持しながら解決しよう、という意志が、このスピーチを含め、政府首脳の様々な発言から見えるようになってきました。

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2010年夏季ダボス・フォーラムでの温家宝首相講演(全文)(1)

2010年09月15日 | 中国ニュース
 9月13日から天津で始まった、世界経済フォーラムの、夏季ダボス・フォーラムの開幕時、温家宝首相の講演が行われました。ダボス会議での中国要人の講演は、毎回、中国の今後の経済政策に関する重要なメッセージが込められています。今回はどうでしょうか。その全文を2回に分けてご紹介します。尚、用語解説を添付しました。

           好転する情勢を堅持し、持続的成長を推進しよう
            ― 2010年夏季ダボス・フォーラムでの講話
              中華人民共和国国務院総理 温家宝
                     2010年9月13日

 尊敬するクラウス・シュワブ会長、
 尊敬するご来賓の皆さん:

 最初に、第四回夏季ダボス・フォーラムの開催にお祝いを申し上げる。来賓の皆さんのご来訪を歓迎する。世界経済が緩やかに回復している大切な時に、今回のフォーラムは「持続可能な成長の推進」をテーマに、未来の発展の道を探ることは、たいへん的を得ており、重要な現実的意義を持っている。私は今回のフォーラムの円満なる成功をお祈りする。

・針対zhen1dui4=対准:焦点。針対性很強:たいへん的を得ている

 過去2年、極めて困難で、複雑な状況下、中国は世界で率先して経済の上昇回復を実現し、経済の安定・比較的迅速な発展を維持した。このことは私たちが全面的に一括計画を実施した結果である。国際金融危機の衝撃が最もひどかった時に、我が国の経済成長は一度大幅に下降し、多くの企業が生産停止や半ば停止の状態に置かれ、倒産した企業もあり、多くの労働者が失業し、多くの農民工が故郷に帰った。私たちがタイミングよく一括計画を実施したことにより、2009年第2四半期より、経済成長の下降傾向は迅速に転換し、この年の成長は9.1%、今年上半期の成長は11.1%であった。都市の就業は絶えず増加し、住民の収入は引き続き増加し、社会は調和、安定を維持した。自分で経験したことでないと、その難しさはわからない。13億の人口を抱える国では、一定の経済成長速度がないと、十分な就業を実現することができず、人民の福祉の向上も絵空事になってしまう。一括計画の実施の成果は、当面の経済成長と社会の安定を維持しただけでなく、より重要なことは、中国経済発展の良い情勢を維持し、現代化のプロセスが巨大な外部からの衝撃により紆余曲折が出現することがなかったことであり、その意義は重大で深遠である。

夏季ダボス・フォーラム:世界経済フォーラム(World Economic Forum)はジュネーブに本部を置く非営利団体で、毎年1月末にスイスのダボスで年次総会が開催され、選ばれた知識人やジャーナリスト、トップ経営者や国際的な政治指導者が一堂に会し、世界が直面する重大な問題について議論する。2007年から、中国で「ニュー・チャンピオン年次総会(Annual Meeting of the New Champions、通称:サマーダボス)」を発足させた。9月に開催されており、昨年は大連、今年は天津で開催される。

・一攬子計画yi1lan3zi ji4hua4 一括計画。様々な政策を一度に統括的に実施すること。
 “一攬子”は、なにもかもごちゃまぜにすること。
・和諧 he2xie2 調和

事非経過不知難 自分で経験したことでないと、その難しさはわからない。
【出典】陸遊の詩、“書到用時方恨少;事非経過不知難”より。

・空話 kong1hua4 空論
・勢頭 shi4tou2 情勢・進程 jin4cheng2 進んでいく道。コース。プロセス
・波折 bo1zhe2 紆余曲折

 国際金融危機へ対応する中で、私たちは終始、経済発展方式の転換と経済構造の調整の推進を高度に重視してきた。この二年間、国内需要、とりわけ消費の経済成長への牽引作用は引き続き強まり、2009年の社会消費品小売総額の実質成長は16.9%で、1986年以来の最高の増加となり、今年になってこの情勢は継続し、上半期の実質成長は昨年同期と基本的に同率を維持した。産業構造のレベルアップは加速し、今年の前半7か月は、ハイテク産業の成長率が前年同期比で17.7%となり、一定規模以上の工業の成長率は0.7%増加した。インフラ建設は強化され、2008年8月1日、我が国初の完全に独自の知財権を保有する、世界一流のレベルの高速鉄道、京津城際鉄道が開通、開業し、全工程の所要時間はわずか30分で、二つの直轄市を一つの都市であるかのように結びつけた。昨年12月26日に開通、開業した武広高速鉄道(武漢-広州)は、現在世界で最も営業距離が長く、速度の最も速い高速鉄道である。省エネ、排出削減、環境保護は着実に推進され、昨年小型火力発電2617万キロワットの運転を停止し、旧式の製鋼生産1691万トン、製鉄生産2113万トン、セメント生産7416万トンの生産能力を淘汰し、今年9月末以前には更に旧式の製鋼生産825万トン、製鉄生産3000万トン、コンクリート生産9155万トンの生産能力を淘汰し、第11次五ヶ年計画の前半4年でGDP当たりのエネルギー消費累計は15.6%下降した。地域発展の協調性は強化され、2009年、中部地区、西部地区の大規模工業の生産増加額と成長率はそれぞれ全国平均を1.1%、4.5%上回り、今年上半期の中部地区は全国平均を3.1%上回り、西部地区は全国平均並みを維持した。中西部地区の全国規模以上の工業の生産増加額に占める比率は2008年同期の38.1%から38.3%に上昇した。より重要なことは、私たちは全体から、及び戦略的なレベルから、経済発展を加速する方式の転換と経済構造の調整を全ての部署に対して行った。これらは全て、我が国経済の長期安定、健全発展に対し、重要な推進機能を果たした。

・城際鉄路: 都市近郊鉄道。人口の稠密な都市圏や都市で、計画に基づき建設された高速の旅客輸送専用路線システム。特徴は、相対的に短距離の公共交通機関を建設すること。既に完成しているのは、京津(北京-天津)、昌九(南昌-九江)、滬寧(上海-南京)。建設中は武咸(武漢-孝感、黄石、咸寧、黄岡)、成渝(成都-重慶)、湖南(長沙-珠洲、湘潭)。

 私たちは、積極的な財政政策、適度に緩やかな貨幣政策を実施し、その刺激は未だ嘗て無いもので、同時にまた財政金融リスクを比較的うまくコントロールした。この二年、我が国の財政赤字と国債の発行規模は、それぞれGDPの3%以内、及び20%前後にコントロールした。銀行の資産品質とリスク防御能力は向上し、現在の資本充足率と不良貸付率はそれぞれ11・1%、及び2.8%で、何れも安全な範囲内に置かれている。私たちは財政金融領域の潜在的リスク、とりわけ地方政府の融資プラットフォームの債務リスクを冷静に意識している。この問題は根が深く、しかも最近リスクが強まっている。私たちは既に表に出て地方政府の融資プラットフォーム企業管理の関連方策を強化し、正にそれを急いで実行しようとしている。突然やってきた国際金融危機の衝撃に直面し、私たちが従来のやり方を超えた措置を採ることは必要なことであった。これらの政策措置は積極的な役割を果たすが、同時にいくつかのマイナスの影響をもたらすことは避け難い。大切なことは、これらの影響を、受け入れることのできる範囲内に抑えることである。この角度から言うと、私たちは比較的うまく政策措置とその弊害の関係を処理し、全体で見ると、その効果はすばらしいものだった。

・前所未有 qian2suo3wei4you3 未だ嘗て無い
・突如其来 tu1ru2qi2lai2 突然やってくる
・興利除弊 xing1li4chu2bi4 有利な事業を興し、弊害を取り除く

 中国が実施した一括計画は、本国の経済安定と比較的速い成長を維持しただけでなく、世界経済の復興にも重要な貢献を行った。主要先進国の経済がマイナス成長に陥った時、中国など発展途上大国の経済が迅速に安定を取り戻し比較的速い成長を維持し、世界は国際金融危機に打ち勝つ自信が極めて大きくふくらみ、世界経済に力強い成長エネルギーを提供した。2009年、中国は1兆56億ドルの輸入を実現し、年間の貿易差益は1020億ドル減少した。本年の前半7か月で、中国は7666億ドルの輸入を実現、これは前年同期比で47.2%もの増加であり、貿易差益は前年同期比で226億ドル減少した。このことは、中国経済の成長が、グローバル企業に重大な発展のチャンスを提供し、主要な経済体や周辺国家に大量の重要を創造し、世界経済復興の重要なエンジンになっていることを表している。

 結論として、短期的に見ても、長期的に見ても、実体経済の領域から見ても、財政金融の領域から見ても、私たちが国際金融危機に対応して採った一括計画と政策措置は中国の実際の状況にマッチし、タイミングが良く、有力で、有効であり、現代の人々を幸せにし、後代の人々に利益を残し、世界を幸福にする、正しい選択であった。現在、中国経済の情勢は成長速度が比較的速く、構造が次第に最適化し、就業は引き続き増加し、物価は基本的に安定しているという良好な局面にある。第2四半期以降、いくつかの主要経済指標の成長速度が下落に転じたのは、主に基数の影響と、自発的に調整制御した結果である。私たちは、引き続き経済を安定して比較的速い成長を維持する自信があり、条件があり、能力がある。私たちは経済の安定と比較的速い成長の維持、経済構造の調整、インフレ予測の管理をうまく処理することをマクロ調整の中心とすることを堅持し、安定政策をマクロ調整の基調とし、政策の連続性、安定性、調整・制御を強める焦点性、融通性を維持し、より一層すばらしい情勢を揺るぎないものとし、発展させていく。

【来源】2010年09月13日23:49 人民網 http://politics.people.com.cn/GB/1024/12714704.html

 以上の講演内容で、“事非経過不知難”(自分で経験したことでないと、その難しさはわからない)は、応用の利くことばではないかと思います。中国は人民元のレート対策を十分に行わず、他国の犠牲の上に、経済成長の利益を享受していると、一部の批判があるが、そうではないのだ、という意味を込めて使われているようですが、同様に、自分が苦労してやっていることで、なかなか周りの理解が得られないようなケースで、使えるのではないかと思います。

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中国の伝統菓子・麻花(マーホア)の歴史

2010年09月13日 | 中国グルメ(美食)

 今回は、麻花(マーホア)という小麦粉の生地を油で揚げた菓子を取り上げたいと思います。これは、小麦粉を使って作った菓子類では、歴史の最も古いものだと思います。日本に奈良時代に伝わった唐菓子も、同じ種類に属するものでしょう。本文では、このお菓子の歴史から、後半には、天津名物で、中国内では天津土産として必ず買われる、“大麻花”について、ご紹介します。

                     寒具から麻花まで

 長江の北方にも南方にも、“繖子(サンズ)[注1]や“麻花”(マーホア)というお菓子があり、サクサクとした食感の麻花、蜜麻花、芝麻(ゴマ)麻花から、独特の風格のある(“別具一格”)天津十八街の什錦加餡大麻花まで、様式はそれぞれ異なり、味も様々である。“繖子”、麻花は中国の古い食品である。“繖子”は古くは“寒具”と称し、戦国時代の屈原の《楚辞・招魂》の中にも記載があり、後世の劉禹錫、蘇東坡もその美味を賞賛し、詩に詠んでそれを称えた。“寒具”とはどのような食べ物だったのだろうか。明の人、李時珍は、《本草綱目》の中で、こうはっきりと書いている。「寒具とは“繖”を食することなり。モチ米と小麦粉に、塩を少し入れ、紐状に伸ばし、ひねって輪っかのような形にし、口に入れるや雪を踏むようにもろく砕ける。」

[注1] “繖(糸偏でなく食偏)san3子”。《新華字典》には、油で揚げた食品とある。以降、“繖子”と表記する。

 民間の伝説によれば、寒具の起源は春秋時代に遡る。2600年余り前、晋の献公の息子の重耳は継母の迫害から逃れる為、国外を何年も流浪した。一度は途中、衛国を通った時、重耳とその随行者は襲われて殺されそうになり、荒れ果てて一軒の人家も無い(荒無人煙)所まで逃げた。重耳が腹一杯食事を食べることのできない(“食不果腹”)時、付き従っていた介子推は主人に忠誠を尽くす(“忠心耿耿”)為、自分の膝の肉を割き、それを煮てスープにし、彼の飢えをしのがせた。重耳はたいへん感動し、将来自分が王に即位したら必ず重臣に取り立て、ほうびを与えようと言った。後に、重耳は本当に即位し、晋の文公になったが、論功行賞でどうしたことか介子推の存在を忘れてしまった。しかし介子推は恨み事も言わず、こっそりと家族と綿山に隠居した。

 晋の文公は人々の不満の声の中で、ある日ふと介子推のことを思い出した。そこで自ら人を連れ四方へ彼の足取りを捜した。やがて綿山に到ったが、介子推は避けて会おうとしなかった。晋の文公は気持ちが焦るあまり、山に火を放ち、介子推が無理やり山から出てくるように迫った。しかし、思いもかけないことに、介子推は決して意志を変えることなく(“堅定不移”)、最後には、樹を抱いて山火事の中で焼け死ぬとも、出て晋の文公に会わぬことを選んだ。晋の文公は、感動と悲しみ、憐れみの気持ちが交錯し、大火を責め、国中に命じて介子推の命日の前三日間は火を使うことを禁じた。人はどうして炊事を止めることができるだろうか。しかし人々は良い方法を思い付いた。この日の数日前に、保存のきく、変質しない食べ物を油で揚げて作っておけば、食事をするのに都合がよい。これが、それ以降俗に言われる寒具である。寒食節も、このことに由来する。

 宋の人、庄季裕は、《鶏肋編》の中で寒食節の細かい内容について記録している。
 飯麺餅餌(飯は米、それ以外の麺、餅、餌は何れも小麦で作った食品)の類は皆、(寒食節の三日間のうちの)二晩の備えである。キビ粉を蒸して甘い団子を作り、切って日干しすると、もっと長く保存できる。松の枝に棗糕(ナツメ入りの小麦菓子)を挿して門の上の横木に付けたものを、“子推”と呼び、何年も置いたものは、口の中のできものを治すことができると云われた。

 寒具は、最初は米粉を使っていたが、後に小麦粉が使われるようになり、製作の中で砂糖を加えたり蜜を混ぜたりして甘いお菓子にしたり、塩を加えて塩辛い食べ物にし、味の種類は絶えず豊かになっていった。今日に至り、“繖子”の名は南方でも北方でも昔と変わらず聞くことができるが、人々がもっと好きなのは、“繖子”から発展した各種の麻花で、“繖子”も次第に麻花の品種をざっと挙げた時のその一種と見做されるようになってしまった。

 “繖子”の作り方は、先ず、ミョウバン、炭酸ソーダ、赤砂糖(漂泊していない砂糖)、キンモクセイの花などを温水で溶かし、小麦粉を加えてかき混ぜ、小麦粉が練って柔らかくなったら、一個一個小さくちぎり、ゴマを貼り付け、二本の細い紐状にしたものをより合わせ、何回か巻いたら、一本か二本の頭の部分を挟んでいっしょにして、油を熱した鍋で揚げる。揚げる時には火加減と“繖子”の形に注意し、紐と紐がくっつかないよう注意する。黄金色に揚がった“繖子”は甘い香りがして、サクサクとして壊れやすく、たいへん美味しい。この他、内蒙古の羊油(で揚げた)“繖子”、青海省の蜜“繖子”も、少数民族地区の特色あるお菓子である。

 脆麻花、芝麻麻花は、昔の北京のお菓子で最も人気のあるものだった。砂糖を混ぜた小麦でできた脆麻花は、三本の麺をより合わせ、長さは12センチ前後、通常の揚げ油の温度の六、七割の、低温の油で揚げて、一本、一本の間が多少緩んで動くぐらいになったら、揚げ上がりである。芝麻麻花は、小麦粉を小さくちぎった時にゴマをつける。更に、芙蓉麻花は、麻花が油で揚がった後、漂白した小麦粉と白砂糖を混ぜたものの上を転がして、砂糖の層を作るので、独特の風味がある。よく見かける麻花の作り方に、“倒三股”、“縄子頭”などがある。縄子頭麻花は、両手で麺を押えながら左右両端をより合わせ、両端を持ち上げて繋げて輪にすると、より合わせた力で、麺は勝手によじれて麻花の形になる。最後につなげて輪にした両端を軽くいっしょに押さえつける。

 麻花を揚げるのには要領がわかっていないといけないと言うなら、麻花はほとんど芸術作品を作っているかのようであるが、それなら、それより一頭地を抜いている(“高人一等”)天津大麻花のことを言わないといけない。現在に到るまで、短期間、天津に来たことのある外地の人にとって、天津の何の印象が最も強いかを聞いてみたら、その中の多くの人が、口を開くや、大麻花と言うだろうと思う。

 1920年代の初頭、河北省滄州出身の劉八が、天津東楼で麻花店を開いた。店では範桂才、範桂林の兄弟が店員をし、麻花作りの技術を学んでいた。劉八はたいへん細心で頭がきれ、麻花の材料の配合、加工技術、製品の食感、外形などにたいへん気を配り、彼が揚げる麻花は風味豊かで、たいへん人気があった。十数年語、劉八の麻花店は、種々の原因で廃業した。範桂才、範桂林の二人は、1936年前後にそれぞれ麻花を商う小さな店を開き、店の名は桂發成、桂發祥と言った(民間資本を吸収して公私共営を行う時に、二店は一つに合併して桂發祥になった)。兄弟二人は頭の回転が速く、彼らはこれまで学んできた技術と自分の理解や知識を完全に理解(“融会貫通”)していたので、作られた麻花は更に甘く香ばしく、サクッとした口当たりで、お客は絶えることがなかった(“盈門”)。麻花店の住所(旧住所)が東楼十八我街付近であったので、人々は俗に“十八街麻花”と呼んだ。

  十八街の麻花には、“花理虎”、“縄子頭”などの種類があり、その製造過程は独特で、厳格である。麻花は一般に酥餡条、麻条、白条が組み合わされている。酥餡条は、熱した油と小麦粉でパイ生地を作り、更に胡桃の実、青梅、キンモクセイ、青紅絲、閩姜、ゴマなどを餡に使ったものである。白条は、砂糖液を小麦粉の生地に揉み込んだものである。同時に一部の白条にゴマを貼り付けたものが麻条である。酥条、麻条、白条をいっしょにねじり合わせて様々な模様にし、これを麻花の白地(油で揚げる前の状態)とする。油で揚げる時は、落花生油を用い、油の温度は二百度前後に調整し、弱火にして充分に火を通す。鍋の中で麻花は三十分以上の時間をかけて揚げられ、出来上がった黄金色の麻花の上には、更に氷砂糖をかけ、青紅絲や南瓜の種の仁などを散らす。

 十八街麻花は使う材料の配分が正確で、例えば半斤の重さの麻花を揚げる時は、油四両、白砂糖二両五銭、氷砂糖半両を使う。麻花は小麦粉を発酵させる酵母、パイ生地に練り込む油、炭酸ソーダなどの面でも少しも疎かにせず(一絲不苟)きちんとした要求があり、また状況を見ながら随時変化させた。十八街の麻花は、酵母は大きく膨らむ強いもので、生地は硬すぎず柔らかすぎず、炭酸ソーダは強すぎず弱すぎず、パイ生地に使う油は多すぎず少なすぎず、火力は弱すぎず強すぎず、このようにして初めて品質を同じに保つことができ、香り、甘さ、サクサク感、歯ざわり、色つや、外観が一つ一つすばらしい。製造技術が精緻であるので、十八街桂發祥の麻花は数か月置いても味や香りが抜けることがなく、油が回って柔らかくなってしまうことがなく、変質しないという優位性を持っており、その名声は長きにわたって続いており、国内だけでなく海外でも歓迎されている。

【出典】由国慶編著《追憶甜蜜時光―中国糕点話旧》百花文藝出版社 2005年

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詞の分類から見る中国語文法(3):虚詞の分類と特徴

2010年09月12日 | 中国語
 前回まで、二回に分けて、詞の文法上の機能分類の中で、単独で構文成分に当てることのできる、実詞について見てきました。今回は、単独で構文成分に当てることのできない、虚詞について、その機能と、種類について見ていきたいと思います。

                    虚詞の機能と類別

 中国語の詞は欧米言語のような形態変化が無く、多くの文法上の意味は、虚詞により表現される。虚詞は詞の形態変化に比べ、その用法はそれほど固定されていない。“工人和農民”は、“工人農民”と言うこともでき、ここでの“和”はあっても無くてもよいかのようである。“我們已経発表了意見了”の一番目の“了”を削除しても、意味は変わらない。これを見ると、人々は、中国語の虚詞の使用は弾力性があり、使うかどうかは文法構造上の必要から決められているのではなく、修辞上の選択に基づくのだと思いがちである。しかし実際は、中国語の虚詞の用法は、弾力性のある面もあるが、固定的な面もある。文法面から、主に後者の状況について説明したい。例えば、“工廠、商店和農場、牧場”と言う時の“和”にはグループを分ける機能があり、決して有っても無くてもよいのではない。また、“吃了飯開会”と言う時の“了”は省略することができない。“了”を省くと、文の構造が変わってしまい、別の意味になってしまう。

 虚詞の数量はあまり多くないが、使われる頻度はたいへん多い。虚詞を掌握し使用するには、各種の虚詞の文法上の特徴を理解しなければならない。それらとどの実詞(詞組を含む)につながりが発生し、どのようなつながりが発生したのか。この他、虚詞一つ一つの具体的な用法を理解しなければならない。

 虚詞の基本的な機能は接続と付着であり、接続されたり付着されるのは各種の実詞や詞組である。虚詞と実詞の間の関係の違いにより、下記のような区分ができる。

(一)接続詞(連詞)
 接続詞(連詞)の機能は接続である。接続する成分から見ると、あるものは詞や詞組、あるものは文(分句:クローズ)である。接続の方式から見ると、あるものは連合関係(結合関係)、あるものは偏正関係(修飾関係)にある。どの連詞も必ず一定の成分と接続し、一定の関係を表す。下記は、通常見かけるものを表にしたものである。

 A:和、跟、同、与、及、    詞、或いは詞組の接続     B:而 ①
   而、并、或、或者   ―――――――――――――― 
            
      連合関係                                 偏正関係
      を表す                                    を表す 

 C:不但……而且                                     D:因為……所以
   或者……或者     ――――――――――――――     雖然……但是
   与其……不如               文の接続         如果、即使、除非

  注①:ここの“而”は“而且”の意味ではなく、A組の“而”とは異なる。またいくつかの“而”は文(分句)を接続するが、それは“反而”(C組に属す)、或いは“然而”(D組に属す)の簡略形式である。

 上の表から次のことがわかる:A組とC組は異なり、B組とD組は異なる。これらの接続の成分は異なる。A組とB組は異なり、C組とD組は異なる。これらの表す関係は異なるものとして区別される。例えば、A組の“和”は、“李白和杜甫”というように使い、接続するのは二つの名詞である。また、“目前的形勢和我們的任務”というように使え、接続するのは二つの詞組である。表しているのは結合関係(連合関係)である。D組の“因為……所以”は、“因為天気冷,所以河水結了冰”のように使い、接続する二つの文の間には、修飾関係(偏正関係)がある。同じ接続詞でも、複数のグループに属するものがある。例えば、“聡明而勇敢”の“而”はA組に属し、“為推広普通話而努力”の“而”はB組に属す。

 同じグループの接続詞でも、用法上の違いがある。A組を例に取ると、“和”、“跟”、“同”、“与”、“及”は一般に名詞を接続し、“并”、“并且”は一般に動詞を接続し、“而”、“而且”は一般に形容詞か動詞を接続する。“或”、“或者”は各種の詞を接続することができ、結合する成分の間に選択関係があることを表す。

 “和”、“跟”、“同”は、口語の色彩が濃く、“与”は、多少文言の色彩を帯び、通常、比較的鄭重な場面で使われる。“及”が接続する成分は並列関係であるが、表現する意味の上には軽重の区分がある。したがって、“××及其他”では“及”を用い、“和”は使わない。

 “而”は形容詞を接続する時は単純な結合を表す。例えば、“簡単而朴素”のように使う。動詞を接続する時は、前後の意味を含むことができる。例えば、“分而食之”、“一哄而散”のように使う。時には正反両面の意味を接続することがあり、“公而忘私”というように使う。“而”の動詞を接続する用法は、文言の様式のなごりである。

(二)介詞
 通常、見られる介詞には、次のようなものがある。
1.対象、範囲を表す。
   例:対、対于、関于、譲、教、比、同、給、為

2.根拠、よりどころを表す。
   例:在、根据、依照、凭、遵照

3.目的、手段、方式を表す。
   例:為、為了、為着、按照、以、通過

4.時間、場所を表す。
   例:自、自従、当、往、朝、沿、在、向、于、順着、沿着、由

 介詞には、以下の文法上の特徴がある。

1.単独で述語にならない。たとえ名詞を伴っても述語にならない。これは介詞の動詞と異なるところである。例えば、“去”は動詞であり、“我去北京”で文になる。“従”は介詞であり、“我従北京”では文にならない。必ず“我従北京来”などと言ってはじめて、文として完全になる。現代漢語の介詞は、大部分が古代の動詞が変化したもので、いくつかの詞は動詞と介詞の両方の機能を併せ持っている。例えば:

          動詞               介詞

  在:   他今天不在家。       我在黒板上写了几個字。
  為:   我為誰?為大家。      大家為此表示高興。
  比:   我們比比看。         你比我高。
  到:   火車到站了。         他到半夜才睡覚。

2.介詞は通常、名詞、代詞、動詞(主に名詞)の前に付き、介詞構造を形成する。 介詞構造の用途は、動詞或いは形容詞の修飾語を作ることである。例えば、“為人民服務”の中の“為人民”は介詞構造で、“服務”を修飾する。“通過鍛煉有了進歩”の中の“通過鍛煉”は介詞構造であり、“有了進歩”を修飾する。
 介詞構造が直接名詞を修飾することは比較的少ない。名詞を修飾する介詞構造の後ろには、助詞“的”を用いなければならない。例えば、“対于天体的認識”のように使う。

3.“在”、“向”、“于”、“到”、給、“自”等は直接、動詞或いはその他の詞語の後ろに付着し、この構造全体で、一つの動詞に相当する。
 例えば、“落在我們的肩上”、“好在大家都知道”、“走向勝利”、“習慣于這様做”、“勇于実践”、“走到目的地”、“献給人民”、“来自五大洲”がそうである。

(三)助詞
 助詞の共通の特徴は、詞や詞組に付着し、一定の付加的な意味を表す。助詞はたいてい軽声で発音する。

 “的”、“地”、“得”は構造助詞で、口語では“de”と発音する。
 “的”は詞や詞組の後ろに付着し、その前の詞や詞組が定語(限定語、連体修飾語)であることを表す。例えば、“人民的中国”、“推広普通話的経験”のように使う。
 “地”は詞や詞組の後ろに付着し、その前の詞や詞組が状語(状況語。連用修飾語)であることを表す。例えば、“迅速地前進”、“仔仔細細地調査”、“異乎尋常地熱烈”のように使う。
  “得”は動詞や形容詞の後ろに付着し、その後ろの詞や詞組が補語であることを表す。例えば、“干得起勁”、“説得清清楚楚”、“紅得十分可愛”のように使う。

 助詞の“的”は、また詞や詞組の後ろに付着し、それらと合わせて「“的”字構造」の名詞句を形成する。例えば:
   (1)岸上的田里,烏油油的便都是結実的羅漢豆。
   (2)触目的是一張旧照片,很不調和地和這些精致東西放在一起。

 “的”は結合詞句(“連合詞組”)の後ろに付着し、“等等”の意味を表す。例えば、“弄点糖儿豆儿的”、“買些文具什麼的”がそうである。

  “着”、“了”、“過”は時態助詞で、これらの主な機能は動詞の後ろに付着し、時態を表すことである。

 “着”は進行態を表し、動作が進行していることを指す。例えば、“他大声地説着話”。或いは、動作の結果が持続していることを指す。例えば、“屋里点着灯”。
  “了”は完成態を表し、動作が既に完了していることを指す。例えば、“他到了北京”。
  “過”は経験態を表す。例えば、“他到過北京”。

 この他にもいくつか助詞があり、例えば、“們”、“所”、“似的”、“来”、“把”、“初”、“第”などがある。

  “們”は通常、人を指す名詞(一般に二音節の名詞)の後ろに付着し、“群”の意味を表す。“群”は数量を計算できない、或いははっきりしない多数のことで、これと相対するのは、数量を数え、明確にした多数である。例えば、“同志們”と“×位同志”は相対する。したがって、“們”を使う時は、その前に定数を表す数詞や量詞を使うことができない。“全体同学們”と言うことはできるが、“三個学生們”と言うことはできない。“們”が人称代詞の後ろに付く時も、“群”の意味を表す。

  “所”は通常、動詞の前に付着し、「“所”字構造」を形成し、「“所”+動詞」で一つの名詞に相当する。例えば、“所見”、“所聞”。いくつかの「“所”字構造」は別の名詞の修飾にだけ用いられ、この名詞は意味の上では前の動詞の支配する対象である。例えば、“所読的書”、“所提的意見”がそうである。

  “似的”は通常、詞や詞組の後ろに付着し、この詞や詞組に描写させる作用を持つ。例えば、“花園似的城市”、“石頭似的站在那儿”、“那小孩象野馬似的”のように使う。

 助詞の“来”、“把”は通常、数詞や量詞の後ろに付着し、概数を表す。例えば、五里来路、二十来人、百来斤米、斤把米、千把人のように使う。“把”の前には、百、千などの数詞しか現れない。“十多個人”の“多”も助詞である。

 助詞の “第”は数詞、或いは数詞句(数詞詞組)の前に付着し、“初”は一から十までの数詞の前に付着し、それぞれ順番を表す。

(四)語気詞
   例: 的  了  嗎  呢  吧  啊
 語気詞の機能は、文全体の末尾に付着し、語気を表すことである。

(五)嘆詞(感嘆詞)
 嘆詞、つまり感嘆詞は、感嘆や応答を表す詞である。例えば、“唉”、“呀”、“喲”、“哎喲”、“喂”、“嗯”、“唔”がそうである。これらの詞の文の中での位置は、比較的融通が利くが、通常は他の実詞と特定のつながりが発生することはなく、一般の構文上の成分にもならないが、これらは単独で文になることもできるので、虚詞ではあるが、特殊な詞に分類される。

(六)象声詞(擬声語。擬音語)
 声や音に似せた詞である。例えば、“乒乓”(ping1pang1:爆竹を鳴らしたり、銃弾を発射する「パンパン」という音)、“嘩啦”(hua1la1:物が落ちる、「がらっ」という音。水が流れ落ちる、「ざあっ」という音。)、“叮当”(ding1dang1:金属や磁器がぶつかり合う、「ちりんちりん」という音)がそうである。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年

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