中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

詞の分類から見る中国語文法(1)

2010年09月06日 | 中国語
  これまで、語彙学の領域について説明してきましたが、ここからは語法、つまり文法の領域に入ります。文法についても、その基本単位である詞を中心に見ていきます。先ず、詞を文法上の機能に基づき分類します。

                       詞の分類
                   一 詞の文法上の機能

 詞を分類するには、異なった基準を用いることができる。基準の違いは、目的の違いにより決定される。例えば、カテゴリー別に編集するなら、詞の意味により、例えば、天文、地理、動物、植物といったカテゴリーに分ければよい。語彙を研究するなら、詞の語源に基づき、詞を外来詞、方言詞、古語詞などに分ければよい。文法上の詞の分類は、明らかにこれらと異なり、詞が言語構造の中で表わされる類別を指す。文法上で詞の種類を区分する目的は、詞の外部構造との関係を明らかにし、言語の組織的な規律を説明するためである。したがって、分類の基本は、詞の文法上の機能に基づく。

 詞の文法上の機能は、先ず単独で構文(句法)の成分に当てることができるかどうかで表現できる。単独で構文成分に当てることができるのが実詞であり、単独で構文成分に当てることができないのが虚詞である。中国語の中の大部分の詞、例えば“山”、“水”、“工人”、“学生”、“走”、“看”、“討論”、“考慮”、“長久”、“生動”、“整斉”などは実詞であり、“的”、“了”、“嗎”、“吧”、“雖然”、“但是”などは虚詞である。実詞と虚詞は、詞の基本的な類別である。

 詞があることで、私たちは簡単な文を作ることができる。虚詞単独では文を作ることができず、虚詞は実詞に付いてはじめて語句構造の中に入ることができる。例えば、“他認識你”、“你不認識他”は実詞を用いて作った文で、この中には虚詞は含まれていない。虚詞があれば、私たちはこの文の基礎の上に、より多くの意味を表現することができる。一つ目の文に虚詞を加えると、“他認識你的”、“他認識你了”、“他認識你嗎”、“他認識你吧”と言うことができ、意味はそれぞれ異なる。虚詞があると、私たちは二つの文をつなぎ合わして、これに特定の関係を発生させることができる。例えば、“他雖然認識你,但是你不認識他。”まとめると、虚詞を使うと、文の変化は多くなり、表現できる意味もより豊富になるのである。

 実詞の文法上の機能の差異は、詞と詞の組合せ能力の上に現れる。どの詞がどの詞と組み合わすことができ、どのように組み合わさり、組み合わすことでどのような関係を表すのか。どの詞とどの詞は組み合わせることができないのか。ここに、実詞の類別の違いが現れる。

 虚詞の文法上の機能の差異は、その実詞や詞組との関係の上に現れる。どの実詞や詞組と関係を生じることができ、どのような関係が発生するのか。ここに、虚子の類別の違いが現れる。

                  二 各種の実詞とその特徴

(一)名詞
     例:人  山  報紙  文章 同志  理由  和平  任務  積極性

 名詞には、次のような文法上の特徴がある。
1.数量詞を用いて修飾することができる。
 名詞の中には、計量のできる名詞と、計量のできない名詞があり、両者は何れも数量詞を用いて修飾することができる。前者は通常、定量の数量詞で修飾する。例えば、“五架飛机”、“一位工人”のようになる。後者は通常、不定量の数量詞で修飾する。例えば、“一些紙張”、“一種理想”、“一点積極性”のようになる。

2.“不”を用いて修飾することができない

3.介詞の後ろで用いて、介詞構造を作る。
 例えば、“在上海”、“対于同志”、“関于和平”のようになる。

4.通常、主語、賓語(目的語)になる。

 名詞の中で比較的特殊なものは、時間、場所、方位を表す名詞である。
   時間名詞は、例えば、“今天”、“去年”、“従前”。
   場所名詞は、例えば、“近郊”、“北京”、“両側”。

 方位詞には、単純詞と合成詞が含まれる。単純方位詞には、“上、下、前、后、東、西、南、北、左、右、里、外、中、内、間、旁”がある。単純方位詞の前に“以”(以上、以下)を加えたり、“之”(之前、之后)を加えることで、合成方位詞が形成される。方位詞が別の語句の後ろに付く時は、間に“的”を挿入することができない。場所名詞と別の語句が“偏正詞組”、つまり修飾構造を形成する時は、間に“的”を挿入することができる。例えば、“陣地(的)前辺”、“屋子(的)南面”、“上海(的)近郊”のようになる。

 時間名詞、場所名詞、方位詞は、名詞の特徴(例えば、介詞といっしょに介詞構造を形成する、等)を持っているが、これらは通常、動詞を修飾する。このことは、これらが一般の名詞と異なるところである。方位詞はまた、通常、別の詞や詞組の上に付き、時間や場所を表す名詞や詞組を形成する。例えば、“屋里”、“国外”、“長江辺”、“開会前”、“假期当中”、“太平洋以東”、“長江与黄河之間”、“他出国以后”、がそうである。

(二)動詞
     例:走  跑  読  想  研究  完成  保衛  実現  有  是

 動詞には、次のような文法上の特徴がある。
1.副詞“不”或いは“没有(没)”で修飾することができる。
 例えば、“不研究問題”、“没有来”という形で使われる。

2.大部分の動詞は賓語、つまり目的語を伴うことができる。
 例えば、“挑重担”、“幇別人”、“樹立典型”、“発揚民主”という形で使われる。少数の動詞は賓語を伴うことができないが、名詞の後ろで用いて、“主謂詞組”、すなわち主述連語を構成することができる。例えば、“幹部帯頭”、“全廠動手”、“病号休息”のような形である。

3.動詞はしばしば了、着、過、起来、下去を加えたり、その動詞を重ねる(重畳)ことで、“時態”、つまり時制を表す。
 “説了”は完成態(完了相)、“説着”は進行態(進行相)、“説過”は経験態(経験相)、“説起来”は開始態(開始相)、“説下去”は継続態(継続相)、“説説”は嘗試態(試してみること)である。

 重畳方式で嘗試態を表す動詞は、単音の重畳の後、二つ目の音節は軽声で読む。二音の詞をABABの方式で重ねる。例えば、“鍛煉鍛煉”、“研究研究”というようになる。嘗試態は時には時間が短い(一時的、とりあえず)という意味を派生することがあり、本によっては“短時態”と呼んでいる。

4.通常、謂語、つまり述語になる。  

 動詞のうち、比較的特殊なものは、趨勢を表し、可能を表す動詞、及び判断を表す動詞である。趨勢を表す動詞は、“趨向動詞”と略称される。例えば:
     第一組: 来  去
     第二組: 上  下  進  出  過  回  開  起
     第三組: 上来  下去  進来  出去  過来  回去

 第一組では、単独で用いる時は人の位置が着眼点になる。第二組では、人以外の事物や位置が着眼点になる。第三組は、第一、第二組の特徴を兼ね備えている。例えば、単に“来”と言うのは、相手を、話をしている人の位置へ移動させることである。“進来”と言うのは、移動の方向が話をしている人に向っていることを表す以外に、相手を、ある特定の場所に入らせるという意味を含む。趨向動詞の派生義の用法では、このような意味は含まれない。

 趨向動詞は、一般の動詞の特徴を持つ以外に、それらは常に別の動詞や形容詞の後ろで用いられ、この動詞や形容詞の補語に当てられる。例えば、“寄来”、“脱下”、“説出”、“拿過来”、“熱起来”、“暗下去”がそうである。

 可能を表す動詞を助動詞と呼ぶ。例えば:
     第一組: 能  能够gou4  可  可能  可以  会
     第二組: 該  応該  応当  要  敢  肯

 第一組は可能の意味を表し、第二組は義務、願望などの意味を表す。 助動詞は通常、それを用いることで動詞や形容詞を修飾し(この点は副詞と同じ)、時には単独で述語に当てられる(この点は副詞とは異なる)。

 助動詞は“不”を用いて否定することができる(この点は動詞と同じ)。大部分は“不×不”という文型の中で用いて、強調或いは婉曲の語気を表す。第二組の助動詞はこの文型の中で用いて強調の意味を表す。例えば、“你不応該不去”は“你応該去”に比べ、より強調されている。第一組の助動詞はこの文型の中で用いて婉曲の意味を表す。例えば、“不能不相信”は、“能相信”ではなく“応該相信”の意味であるが、語気はやや婉曲的である。“不可不注意”も、“可以注意”ではなく“応該注意”の意味で、これも語気はやや婉曲的である。

 判断を表す“是”は判断動詞と呼ばれる。

(三)形容詞
     例:大  小  高  低  正確  偉大  仔細  生動  艱巨  厳格

 形容詞には次のような文法上の特徴がある。
1.一般に副詞“不”、“很”を用いて修飾することができる。
 例えば、“不冷”、“不驕傲”、“不馬虎”、“很虚心”、“很認真”がそうである。少数の形容詞、例えば“雪白”、“冰涼”、“緑油油”などは、“不”、“很”で修飾することができない。

 いくつかの形容詞は重ねて(“重畳”)使うことができる。形容詞を重ねて使って動詞を修飾する時は、程度を強めることを表す。例えば、“高高地挙了起来”、“細細地看了一遍”がそうである。名詞を修飾する時には、強めや強調の意味が無いだけでなく、却って程度がわずかであることを表す。例えば、“短短的頭髪”、“大大的眼睛”がそうである。

 単音節の形容詞は、重ねて用いる時、二番目の字は軽声にならない。二音節の形容詞が重ねられる形式は、一般にAABB、例えば“干干浄浄”、“仔仔細細”となる。

2.名詞を修飾することができる。
 例えば、“新書”、“大個子”、“虚心的人”というように使うことができる。

3.いくつかの形容詞は、動詞を修飾することができる。 
 例えば、“大嚷大叫”、“快装快卸”と言う。

 形容詞と動詞は、文法上、多くの共通点を持つ。特に直接文を作る述語になることができる。しかし、一部の形容詞は述語になることができず、非述形容詞(“非謂形容詞”)とでも呼ぶことができる。例えば:
     大型  初級  多項  巨額  特等  慢性
     共同  個別  主要  多年生  無記名

 これらの形容詞は“不”を使って否定することができず、あるものは“非”で否定することができる。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年

 先ずは実詞の名詞、動詞、形容詞を見てきました。次回は、引き続き、実詞で残る数詞、量詞、副詞、代詞を見ていきたいと思います。

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