中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

詞の分類から見る中国語文法(2)

2010年09月10日 | 中国語
 前回から、中国語の文法について、その基本単位である詞を中心に見ています。詞を文法上の機能から分類すると、実詞と虚詞に分かれることを前回お話しました。また、実詞の具体的な種類として、名詞、動詞、形容詞を見てきました。今回は、続いて、数詞、量詞、副詞、代詞について、見ていきたいと思います。

                二 各種の実詞とその特徴(2)
(四)数詞
     例:零  半  一  二  両  五  八  十  百  千  万  億

 数詞は数量を表す。数量は一つの数詞で表すことができる。例えば、“一”、“五”。また数詞の詞組によっても表わすことができる。例えば、“一千三百五十七”、“四分之一”。

 数詞や数詞詞組は、前に助詞の“第”、“初”を加えて、順序を表すことができる。例えば、“第十五(排)”、“第一二(名)”、“初九”、“初三四”。
  “初”の後ろに付けることのできる数詞は一から十までに限られる。

 数詞や数詞詞組の後ろに“多”、“把”、或いは方位詞“以上”、“以下”を加えることで、概数を表す。例えば、“一百五十多(塊銭)”、“百把(個人)”、“五十(歳)以上”、“三(公尺)以下”。

 数詞と量詞の組合せを数量詞組と呼ぶ。数量詞組は常に別のことばといっしょに組み合わさり、偏正(修飾構造)、補充等の関係を形作る。

(五)量詞
   例:
     第一組:尺  寸  斤  両  公斤  克  畝  公顷qing3  点  些
     第二組:個  只  件  条  根  架  堆  隊  双  副
     第三組:下  次  遍  趟  場  回  番  陣

 第一組は、名詞や形容詞の前(“一尺布”、“両公斤油”、“一尺長”、“両公斤重”)に置き、名詞や形容詞にかかる量詞である。第二組は専ら名詞の前に置き、名詞にかかる量詞である。この二組を“物量詞”と総称する。第三組は、通常動詞の後ろで用い(“看一下”、“説一遍”)、動詞にかかる量詞であるので、“動量詞”と呼ばれる。
 どの量詞が、どの名詞や動詞と使われるかは、一定の習慣がある。この面では、普通話(標準語)と方言の間で顕著な違いがある。普通話で“一把刀”と言うのを、広東語では“一張刀”と言う。普通話で“一輌車”と言うのを、湖南語では“一把車子”と言う。普通話で“一頭牛”と言うのを、上海語では“一只牛”と言う。

  同じ名詞や動詞に使われる量詞は、しばしば複数あるが、量詞ごとにそれぞれ別の意味がある。例えば、“解釈一番”(ひと通り~)は“解釈一下”(ちょっと~)とでは“解釈”の内容が多少異なる。“解釈一遍”(始めから終わりまで)もまた意味が異なる。“一遍”には、“従頭到尾”の意味があるが、“一番”にはそういう意味は無い。

 数詞一と量詞を組み合わせ、繰り返して、“一AA”、或いは“一A一A”の形式にすることができる。こうした繰り返しは、時に“毎一”(皆、それぞれ)の意味を表し、例えば“一個個身強力壮”というように使う。時に“逐一”(一つ一つ、全て)の意味を表し、例えば、“一本本看過書”、“一件一件仔細検査”というように使う。時に“多”の意味を表し、“造起了一幢幢新房子”、“収到一批一批来信”というように使う。

 数量詞組は、名詞を修飾する時、一般に名詞の前に置くが、次のような状況下では、通常、名詞の後ろに置く。一に説明されている語句が比較的複雑で、例えば、“父子両個”、“大小房間一百多間”というような時。二に量詞自身が比較的複雑で、例えば、“毎天出動飛机三十架次”というような時。三に数量の内容が複雑で、例えば、“毎月消耗原材料五十噸至六十噸不等”というような時。この他、目録に記帳や列挙する時には、数量詞組は名詞の後ろに置く。例えば、“白菜三斤、肉一斤”というように書く。

(六)副詞
 副詞の基本用途は、動詞や形容詞を修飾することである。これには、以下の要素が含まれる。
 1.程度を表す。
   例:很、十分、非常、最、太、極、更加、比較、稍微、過于、越発(ますます)、格外。

 2.状況を表す。
   例:親自、互相、肆意(力を尽くす)、竭力、大力、大肆(躍起になって)、相継、陸続、悄悄、緊。

 3.時間、頻度を表す。
   例:立刻、正在、馬上、已経、曾経、常常、剛、永遠、漸漸、忽然、才、便、就、又、再三、頓時、暫且、仍旧、依然、終于、一直、一向、始終。

 4.範囲を表す。
   例:都、総、統統、也、僅僅、只、一共、全部、総共。

 5.否定を表す。
   例:不、没、没有、未、別。

 6.語気を表す。
  例:難道、究竟、也許、偏偏、莫非、豈、大概。

 副詞の主要な文法上の機能は、動詞や形容詞を修飾することだが、主な賓語(目的語)となる名詞を修飾することはできない(この点が形容詞と異なる)。程度副詞は主に形容詞を修飾し、“対他很了解”のように、動詞を修飾することもある。状況副詞は、動詞を修飾する。語気副詞は通常、全文を修飾する。その他は、動詞を修飾することも形容詞を修飾することもあり、大部分がこの二つの機能を兼備している。

  副詞の中には、連結機能があり、動詞、形容詞、或いは詞組、フレーズをいっしょに組合せることができる。例えば、“越做越好”、“又酸又苦”、“既有現代化工業,又有現代化農業”というようにすることができる。

(七)代詞
 代詞は実詞や詞組に取って替わる(代替)ものである。ここで言う“代替”とは、その全体の機能から言っている。細かく言うと、いくつかの代詞の主要機能は代替であり、いくつかの代詞の主要機能は疑問であり、いくつかの代詞の主要機能は指点、ある事物を指し示すことである。

 役割の違いから、代詞を三つに分類する。つまり、人称代詞、疑問代詞、指示代詞である。
   ◆ 人称代詞: 我、你、他、自己、別人、大家、人家、等。
   ◆ 疑問代詞: 誰、哪、哪儿、多会儿、几、几時、多少、怎麼、怎様、怎麼様、等。
   ◆ 指示代詞: 這、那、那儿、這会儿、那会儿、那麼些、這様、這麼様、那麼様、等。

 これら三種類の代詞の関係は、下記のようになっている。

              疑問代詞        指示代詞         人称代詞

 人、或いは事物 :  誰、什麼、哪     這、那                我、你、他

 場所        :  哪儿、什麼      這儿、那儿

 時間         :  多会儿、几時     這会儿、那会儿          
                                什麼(時候)       這(時候)、那(時候)

 数量          :  几、多少        這麼些、那麼些

 性質、状態、    :  怎麼、怎様     這麼、那麼、這様、那様
 程度              怎麼様       這麼様、那麼様


 注意すべきは、三種類の代詞は、必ずしも特定の人や事物を指す必要はないことで、これが代詞の“虚指”用法である。

 “你一言,我一語”、“你望着我,我望着你”と言う時、ここでの“你”、“我”は特定の人を指さない。これは、人称代詞の虚指用法である。“看看這,瞧瞧那”と言う時の“這”、“那”も特定のものを指さない。これは指示代詞の虚指用法である。

 疑問代詞の虚指用法はもっとよく見かける。例えば:
     (1)有了朋友的幇助,什麼也難不倒我們。
     (2)這些話,我記得誰説過来着。
     (3)哪儿都可以去嗎?

  これらの文の疑問代詞は何れも疑問を表さない。例(1)の“什麼”には、“任何困難、任何敵人、任何東西”の意味がある。例(2)の“誰”は、確定できない、とある人物である。例(3)は疑問文だが、文中の“哪儿”は単に“任何地方”の意味である。

 この他、“跳他一個痛快”、“吃他一個飽”の中の“他”は虚指で、しかもこうした虚指は人を指すという役割を失い、単に語気を強める働きがあるだけである。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年

 以上が、文法上の機能から見た、実詞の分類と、その特徴です。次回は、虚詞を見ていきます。

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世界投資フォーラム(厦門)での習近平副主席の基調講演(全文)

2010年09月08日 | 中国ニュース
 国連貿易開発会議、略称UNCTADは、発展途上国の経済開発促進と南北問題の経済格差是正の為、国連が設けた会議。タイ人のスパチャイ・パニチャパック氏が事務局長を勤めています。世界投資フォーラムは2年に1度開催されることになっており、第1回は、2008年にアフリカのガーナで開催され、アフリカの地位強化につながりました。

 その第2回が、厦門で開催され、ポスト胡錦涛の最有力候補と言われ、昨年12月に来日された習近平副主席が基調講演を行いました。

 中国はポスト胡錦涛、ポスト温家宝をにらみ、国際会議で次の国家主席、首相候補に積極的にスピーチをさせており、今年はじめのダボス会議では、李克強国務院副首相にスピーチをさせています。

 この会議で、習副主席はどのようなスピーチを行ったか。その全文が人民網に掲載されたので、内容を見ていきたいと思います。

        習近平 「国連貿易開発会議第2回世界投資フォーラム」
                 開幕式での基調講演(全文)
                   2010年9月7日 厦門
               中華人民共和国 副主席 習近平

尊敬するスパチャイ事務局長、
ご来賓の皆さん、

 国連貿易開発会議の第2回世界投資フォーラムは9月6日から9日まで、活力に溢れた中国厦門経済特区で行われる。厦門経済特区の設立30年での持続的で迅速な発展は、発展開放型経済の正しさを証明し、広範に外資を吸収し、互いにメリットのある協力関係を展開する重要性を物語っている。ここに、私は中国政府と人民を代表し、今回のフォーラムの開会に、熱烈な祝福を贈りたい。フォーラムに出席される各国の国家元首、政府首脳、要人、関連する国際組織の代表、及び1000名あまりのビジネス界の精鋭の皆さんを心から歓迎する。

 2008年に国連貿易開発会議が初めての世界投資フォーラムを発起し主催したことは、世界投資環境の改善、投資協力の促進に、積極的な作用を発揮した。今回のフォーラムは、「投資と持続的発展」をテーマに、世界各国、特に発展途上国が、国を跨いだ投資を導入し、経済発展を促進するという普遍的な願望に順応し、国連の一千年発展目標の実現の推進を有利に進めるだろう。ここに、私は謹んで、長期に亘り発展途上国の利益の維持、促進の為、重要な貢献をしてきた国連貿易発展会議に崇高な敬意を表したい。

皆さん、

 現在、国際社会の共同の努力の下、世界経済は、国際金融危機の暗い影から次第に脱却し、復興に向け歩みだしたが、復興の基礎は強固でなく、歩みは均衡がとれておらず、大きな不確定性が存在している。中国は、国際金融危機の衝撃に対応する過程の中で、改革開放を堅持し、互いに利益を得、共に勝利する開放戦略の実施を堅持し、通用している国際経済規則に基づき市場参入を拡大し、貿易自由化と投資利便化を推進し、経済発展方式の転換の加速を堅持し、国内需要の拡大に力を入れ、住民消費を増加させ、主体的で、制御可能で、漸進的であるという原則に基づき、人民元の為替レート形成メカニズムの改革を穏やかに推進した。2009年、中国が吸収した外資は900億US$の規模に達し、世界第二位に位置している。今年上半期、中国で新たに承認された外資の投資企業は1.2万社あり、実際に使用した外資は514億ドルで、前年同期比でそれぞれ19%と21%増加した。中国域内の投資者は世界111の国と地域に直接投資を行い、非金融性の対外直接投資は178億米ドルに達し、前年同期比で44%増加した。このことにより、中国経済は国際金融危機の衝撃下、率先して回復、好転を実現するのに重要な基礎を築き、世界経済復興にも積極的に貢献した。

  対外開放の基本国策を堅持し、確固不動に開放型経済を発展させ、共に利益を得、共に勝利する開放戦略を実施することは、改革開放で30年あまり中国経済が持続し且つ快速に発展した成功経験である。企業誘致して資本を導入し、優良な資本を選び、「資金の導入」と「知識の導入」を結合することは、中国の対外開放の重要な内容である。2010年7月までで、中国に設立された外商投資企業は累計で69.8万社、実際に使用された外資は1兆500億米ドルに達した。現在、中国の22%の税収、28%の工業生産増加量、55%の輸出入金額、50%の技術導入、約4500万人の就業人口は、外商投資企業の貢献によるものである。対外開放、外資吸収は、互いに利益を得、共に勝利できるものである。中国から言えば、継続した外資の吸収は、国家の現代化建設に必要な資金、先進的な技術、貴重な管理経験と多くの国際化人材を提供した。外商投資企業にとって言えば、満足できる投資回収を勝ち取ることができ、多くの外商投資企業は、親会社のグローバルでの事業の成長の希望の星、利益の中心となった。国連貿易開発会議の最新の調査にも示されている通り、現在中国は依然として全世界で最も魅力的な投資の主催国である。

 近年になって、中国は対外開放の段階的特徴を全面的に把握し、内外が連動し、相互利益、共に勝利し、安全で高効率の開放型経済体系を完成させるという要求に基づき、実践の中での成功経験を総括し、「導入してきた」ものと「打って出ていく」ものをより良く結合させ、対外投資と協力の方式を生み出し、企業の研究開発、生産、販売等の面での国際化経営の展開を支援してきた。2009年末までに、中国は域外で、全部で1.3万社の企業を設立し、域外企業の資産総額は1兆米ドルを超え、対外投資残高は2457億米ドルに達し、投資地域は世界で177の国と地域に及ぶ。現在、中国は各種形式の対外投資協力を加速推進しており、中国の多国籍企業を育成発展し、実力ある企業が国際的な販売ネットワークを構築するのを支援し、域外のインフラ建設協力を強化し、対外労務協力を規範化発展させ、域外の経済貿易協力地区建設を積極推進し、我国の生産能力の過剰、内需不足の矛盾を緩和し、国内産業の転換を促し、関連製品とサービスの輸出を率先垂範させている。

 中国は開放型経済を推進する過程で、各種の方式で発展途上国が自主発展能力を増強し、民生を改善し、南北格差が縮小することを支援してきた。例えば、中国は国際通貨基金に500億米ドルを増資し、資金を後進国に優先的に使うよう明確に要求してきた。100億米ドルの中国―ASEAN投資協力基金を設立し、ASEAN諸国に150億米ドルの貸付支援を行い、地域経済や金融情勢の安定化を促した。上海協力機構の他の構成国に100億米ドルの信用貸付を行い、アフリカ諸国に100億米ドルの優遇貸付を行い、アフリカの重債務国と最後進国の債務を免除した。全ての中国と国交のある後進国の95%の製品の輸入関税免除待遇を徐々に進め、発展途上国の国際金融危機の衝撃を緩和し、就業圧力を軽減し、経済情勢を安定化させる支援を行った。今後、私たちはより多くの中国企業に「打って出」させ、発展途上国との協力を強化し、誠心誠意、発展途上国が経済発展能力を発展させる支援を行っていく。

皆さん、

 中国は過去も、現在も、将来も、国際と国内の二つの市場、二つの資源をうまく利用し、外資導入と対外投資により、対内では科学発展と、調和のとれた発展を促進し、対外では平和発展、協力発展を堅持の長期戦略方針を堅持する。中国の開放型経済の弛まぬ発展に伴い、外資企業の中国投資は必ずやより幅広い空間とより豊かなリターンをもたらすことになるだろう。現在、中国は幅広い外商投資企業がより開放された、より最適な投資環境を作るべく積極的に努力している。

 第一に、引き続き開放的で透明な法律環境を建造することに努める。中国社会主義市場経済は、法治経済である。中国の投資環境には、公開透明な法律の保障がある。改革開放の30年来、中国は既に前後四回、《外商投資産業指導目録》を修正し、毎回の修正はより一層の市場参入範囲の拡大と外資構造の最適化を重点にしてきた。2001年に中国がWTOに加入して以来、外資の吸収に関する法律を絶えず改善ずることを通じ、政策決定の透明度を増加させ、行政行為を規範化し、タイムリーに発展計画、産業政策、参入基準、産業動向等の情報を発布し、投資環境の透明化と利便化を効果的に推進した。最近、中国は又《外資の利用をより一層うまく行う作業に関する若干の意見》を発布し、一連の新たな行動の創造を推進し、外資利用の構造を最適化し、開放領域を拡大し、外資利用方式の多様化を促進した。例えば、外資が先端の製造業、ハイテク技術産業、現代サービス業、新エネルギー、省エネ、環境保護等の産業に投資するのを奨励する。外資が中西部地区に移転し、投資を増加するよう誘導し、外資が中西部地区で環境要求に符合する労働集約型産業を展開することを奨励する。外資が株式への出資、購入等の方式で中国国内企業の改組、改造、合併等による組織変更に参与することを奨励し、外商投資企業の域内融資チャンネルを拡げ、外資を利用し、科学技術創造、産業のレベルアップ、地域協調発展等の面への積極作用をより良く発揮させる。

 第二に、公平な競争の市場環境の造営に引き続き努力する。発展は競争と離れられず、競争は公平でなければならない。中国政府の自主創造奨励の政策は中国域内の全ての企業が対象であり、合法的に中国に設立された全ての外商投資企業も対象である。これは、広範囲に国際協力を展開する条件下の開放型の創造であると言うことができる。今年4月、中国は国内外の投資者に公開で意見を求めることを通じ、「自主創造」製品の認定基準に対して調整を行い、外商投資企業は「中国製造」を構成する一部であり、中国本土資本の投資企業と同様の原産地規則を適用し、一視同仁の平等の国民待遇を享受することを確認した。現在、中国政府は真面目に責任をとる態度でWTOの《政府購入協定》加入の交渉を進めている。政府資金に関わる購入、建設プロジェクトに対し、中国政府は公開、透明の方法を採り、内資、外資企業とその製品が平等な待遇を享受できるようにする。2009年、1.2万個の機電製品の購入プロジェクトで国際入札を行い、外商投資企業が落札した項目総数は55.4%を占める。

 第三に、安定した秩序ある経営環境の造営に引き続き努める。中国政府は知的財産権の保護を高度に重視し、この20年あまりにわたり、比較的完全な知的財産権保護の体系を建設してきた。2008年、中国は《国家知的財産権戦略綱要》を制定し、知的財産権の保護を国家戦略に昇格させた。2006年から2010年にかけ、中国は連続5年、知的財産権保護の行動計画を実施した。中国政府は絶えず知的財産権の行政と法律執行への力を強化し、ネットによる権利侵害や違法コピーの取り締まり等の専門の管理行動を展開してきた。今後、中国政府は市場体系を引き続き完全なものにし、市場障壁を取り除き、市場秩序を維持し、投資者の利益を保護し、外商投資企業を含む各種の市場主体者が強くなり、大きくなり、実力を発揮する機会があり、経営発展に後顧の憂いが無いようにする。同時に、中国は知的財産権の保護の体制、メカニズム、法律法規をより一層完全なものにし、広大な投資者と権利人の為により有力で有効な保護を加える。外商投資企業が、中国の知的財産権侵犯への取り締まりの行動や成果に対し、引き続き歩調を合わせ、監督されることを歓迎する。

 中国は絶えず投資環境を最適化し、絶えず外資利用の質を向上させ、幅広い領域で、様々なランクに亘り、全方位の対外開放構造を形成し、製造業、農業の大部分の領域と、100のサービス、貿易部門を既に対外開放し、中国は引続きグローバルで最も吸収力のある投資主催国になるよう努力する。これらの事実から明らかなのは、中国の優位性は尚失われておらず、投資環境は依然として多くの外商投資企業にとって好ましいものだということである。改革開放の新しい段階に入った中国は、正に対外経済発展方式の転換を、国内経済発展方式の転換と結びつけ、経済のグローバル化の条件下での国際経済協力への参与と競争での新たな優位性を速やかに形成しようとしている。

皆さん、

 現在、世界は開放された世界であり、グローバル経済は開放された経済である。このような大きな背景の下、一つの国家が速やかに発展するには、開放型経済を大いに発展させなければならない。開放の程度は、開放型経済の発展速度で決められ、開放のレベルは開放型経済の発展の見通しで決められる。中国は対外開放の広さ、深さを開拓し、引続き沿海地域開放を深化し、内地開放を加速し、辺境開発のレベルを上げ、開放により改革を促し、開放により発展を促し、開放によって民生を豊かにし、世界経済が強靭で、持続可能で、バランスが強化され、経済のグローバル化が均衡、互助、WIN-WINの方向に向け発展することを推進するため、新たな貢献を行っていく。

 最後に、私は「国連貿易発展会議第二回世界投資フォーラム」の円満成功を心からお祈りする。
皆さん、ありがとう。

【注】・習近平:1953年生まれの57歳。中華人民共和国副主席、中央政治局常務委員。中国共産党中央書記処第一書記。中国共産党中央党学校校長。党内序列第六位。父親は元国務院副総理・習仲勲。ポスト胡錦涛の最有力候補とされている。  

 このスピーチで注目されるのは、中国への投資が依然魅力あるものであることを強調する一方、中国企業が海外に打って出ることを強調し、2009年末までの対外投資の累計を紹介していることで、世界の177の国と地域に投資し、投資残高は2457億米ドルに達するとのことです。過去、あまり中国の対外投資の実績は、紹介されることがなかったと思います。

 もうひとつは、外資企業に対し、内国民待遇を約束するとともに、ハイテク、先端技術投資、中西部への投資を促していることで、経済政策の転換を明確に打ち出しています。

 今後も、このような国際会議での中国政府要人のスピーチ内容は、目が離せません。

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詞の分類から見る中国語文法(1)

2010年09月06日 | 中国語
  これまで、語彙学の領域について説明してきましたが、ここからは語法、つまり文法の領域に入ります。文法についても、その基本単位である詞を中心に見ていきます。先ず、詞を文法上の機能に基づき分類します。

                       詞の分類
                   一 詞の文法上の機能

 詞を分類するには、異なった基準を用いることができる。基準の違いは、目的の違いにより決定される。例えば、カテゴリー別に編集するなら、詞の意味により、例えば、天文、地理、動物、植物といったカテゴリーに分ければよい。語彙を研究するなら、詞の語源に基づき、詞を外来詞、方言詞、古語詞などに分ければよい。文法上の詞の分類は、明らかにこれらと異なり、詞が言語構造の中で表わされる類別を指す。文法上で詞の種類を区分する目的は、詞の外部構造との関係を明らかにし、言語の組織的な規律を説明するためである。したがって、分類の基本は、詞の文法上の機能に基づく。

 詞の文法上の機能は、先ず単独で構文(句法)の成分に当てることができるかどうかで表現できる。単独で構文成分に当てることができるのが実詞であり、単独で構文成分に当てることができないのが虚詞である。中国語の中の大部分の詞、例えば“山”、“水”、“工人”、“学生”、“走”、“看”、“討論”、“考慮”、“長久”、“生動”、“整斉”などは実詞であり、“的”、“了”、“嗎”、“吧”、“雖然”、“但是”などは虚詞である。実詞と虚詞は、詞の基本的な類別である。

 詞があることで、私たちは簡単な文を作ることができる。虚詞単独では文を作ることができず、虚詞は実詞に付いてはじめて語句構造の中に入ることができる。例えば、“他認識你”、“你不認識他”は実詞を用いて作った文で、この中には虚詞は含まれていない。虚詞があれば、私たちはこの文の基礎の上に、より多くの意味を表現することができる。一つ目の文に虚詞を加えると、“他認識你的”、“他認識你了”、“他認識你嗎”、“他認識你吧”と言うことができ、意味はそれぞれ異なる。虚詞があると、私たちは二つの文をつなぎ合わして、これに特定の関係を発生させることができる。例えば、“他雖然認識你,但是你不認識他。”まとめると、虚詞を使うと、文の変化は多くなり、表現できる意味もより豊富になるのである。

 実詞の文法上の機能の差異は、詞と詞の組合せ能力の上に現れる。どの詞がどの詞と組み合わすことができ、どのように組み合わさり、組み合わすことでどのような関係を表すのか。どの詞とどの詞は組み合わせることができないのか。ここに、実詞の類別の違いが現れる。

 虚詞の文法上の機能の差異は、その実詞や詞組との関係の上に現れる。どの実詞や詞組と関係を生じることができ、どのような関係が発生するのか。ここに、虚子の類別の違いが現れる。

                  二 各種の実詞とその特徴

(一)名詞
     例:人  山  報紙  文章 同志  理由  和平  任務  積極性

 名詞には、次のような文法上の特徴がある。
1.数量詞を用いて修飾することができる。
 名詞の中には、計量のできる名詞と、計量のできない名詞があり、両者は何れも数量詞を用いて修飾することができる。前者は通常、定量の数量詞で修飾する。例えば、“五架飛机”、“一位工人”のようになる。後者は通常、不定量の数量詞で修飾する。例えば、“一些紙張”、“一種理想”、“一点積極性”のようになる。

2.“不”を用いて修飾することができない

3.介詞の後ろで用いて、介詞構造を作る。
 例えば、“在上海”、“対于同志”、“関于和平”のようになる。

4.通常、主語、賓語(目的語)になる。

 名詞の中で比較的特殊なものは、時間、場所、方位を表す名詞である。
   時間名詞は、例えば、“今天”、“去年”、“従前”。
   場所名詞は、例えば、“近郊”、“北京”、“両側”。

 方位詞には、単純詞と合成詞が含まれる。単純方位詞には、“上、下、前、后、東、西、南、北、左、右、里、外、中、内、間、旁”がある。単純方位詞の前に“以”(以上、以下)を加えたり、“之”(之前、之后)を加えることで、合成方位詞が形成される。方位詞が別の語句の後ろに付く時は、間に“的”を挿入することができない。場所名詞と別の語句が“偏正詞組”、つまり修飾構造を形成する時は、間に“的”を挿入することができる。例えば、“陣地(的)前辺”、“屋子(的)南面”、“上海(的)近郊”のようになる。

 時間名詞、場所名詞、方位詞は、名詞の特徴(例えば、介詞といっしょに介詞構造を形成する、等)を持っているが、これらは通常、動詞を修飾する。このことは、これらが一般の名詞と異なるところである。方位詞はまた、通常、別の詞や詞組の上に付き、時間や場所を表す名詞や詞組を形成する。例えば、“屋里”、“国外”、“長江辺”、“開会前”、“假期当中”、“太平洋以東”、“長江与黄河之間”、“他出国以后”、がそうである。

(二)動詞
     例:走  跑  読  想  研究  完成  保衛  実現  有  是

 動詞には、次のような文法上の特徴がある。
1.副詞“不”或いは“没有(没)”で修飾することができる。
 例えば、“不研究問題”、“没有来”という形で使われる。

2.大部分の動詞は賓語、つまり目的語を伴うことができる。
 例えば、“挑重担”、“幇別人”、“樹立典型”、“発揚民主”という形で使われる。少数の動詞は賓語を伴うことができないが、名詞の後ろで用いて、“主謂詞組”、すなわち主述連語を構成することができる。例えば、“幹部帯頭”、“全廠動手”、“病号休息”のような形である。

3.動詞はしばしば了、着、過、起来、下去を加えたり、その動詞を重ねる(重畳)ことで、“時態”、つまり時制を表す。
 “説了”は完成態(完了相)、“説着”は進行態(進行相)、“説過”は経験態(経験相)、“説起来”は開始態(開始相)、“説下去”は継続態(継続相)、“説説”は嘗試態(試してみること)である。

 重畳方式で嘗試態を表す動詞は、単音の重畳の後、二つ目の音節は軽声で読む。二音の詞をABABの方式で重ねる。例えば、“鍛煉鍛煉”、“研究研究”というようになる。嘗試態は時には時間が短い(一時的、とりあえず)という意味を派生することがあり、本によっては“短時態”と呼んでいる。

4.通常、謂語、つまり述語になる。  

 動詞のうち、比較的特殊なものは、趨勢を表し、可能を表す動詞、及び判断を表す動詞である。趨勢を表す動詞は、“趨向動詞”と略称される。例えば:
     第一組: 来  去
     第二組: 上  下  進  出  過  回  開  起
     第三組: 上来  下去  進来  出去  過来  回去

 第一組では、単独で用いる時は人の位置が着眼点になる。第二組では、人以外の事物や位置が着眼点になる。第三組は、第一、第二組の特徴を兼ね備えている。例えば、単に“来”と言うのは、相手を、話をしている人の位置へ移動させることである。“進来”と言うのは、移動の方向が話をしている人に向っていることを表す以外に、相手を、ある特定の場所に入らせるという意味を含む。趨向動詞の派生義の用法では、このような意味は含まれない。

 趨向動詞は、一般の動詞の特徴を持つ以外に、それらは常に別の動詞や形容詞の後ろで用いられ、この動詞や形容詞の補語に当てられる。例えば、“寄来”、“脱下”、“説出”、“拿過来”、“熱起来”、“暗下去”がそうである。

 可能を表す動詞を助動詞と呼ぶ。例えば:
     第一組: 能  能够gou4  可  可能  可以  会
     第二組: 該  応該  応当  要  敢  肯

 第一組は可能の意味を表し、第二組は義務、願望などの意味を表す。 助動詞は通常、それを用いることで動詞や形容詞を修飾し(この点は副詞と同じ)、時には単独で述語に当てられる(この点は副詞とは異なる)。

 助動詞は“不”を用いて否定することができる(この点は動詞と同じ)。大部分は“不×不”という文型の中で用いて、強調或いは婉曲の語気を表す。第二組の助動詞はこの文型の中で用いて強調の意味を表す。例えば、“你不応該不去”は“你応該去”に比べ、より強調されている。第一組の助動詞はこの文型の中で用いて婉曲の意味を表す。例えば、“不能不相信”は、“能相信”ではなく“応該相信”の意味であるが、語気はやや婉曲的である。“不可不注意”も、“可以注意”ではなく“応該注意”の意味で、これも語気はやや婉曲的である。

 判断を表す“是”は判断動詞と呼ばれる。

(三)形容詞
     例:大  小  高  低  正確  偉大  仔細  生動  艱巨  厳格

 形容詞には次のような文法上の特徴がある。
1.一般に副詞“不”、“很”を用いて修飾することができる。
 例えば、“不冷”、“不驕傲”、“不馬虎”、“很虚心”、“很認真”がそうである。少数の形容詞、例えば“雪白”、“冰涼”、“緑油油”などは、“不”、“很”で修飾することができない。

 いくつかの形容詞は重ねて(“重畳”)使うことができる。形容詞を重ねて使って動詞を修飾する時は、程度を強めることを表す。例えば、“高高地挙了起来”、“細細地看了一遍”がそうである。名詞を修飾する時には、強めや強調の意味が無いだけでなく、却って程度がわずかであることを表す。例えば、“短短的頭髪”、“大大的眼睛”がそうである。

 単音節の形容詞は、重ねて用いる時、二番目の字は軽声にならない。二音節の形容詞が重ねられる形式は、一般にAABB、例えば“干干浄浄”、“仔仔細細”となる。

2.名詞を修飾することができる。
 例えば、“新書”、“大個子”、“虚心的人”というように使うことができる。

3.いくつかの形容詞は、動詞を修飾することができる。 
 例えば、“大嚷大叫”、“快装快卸”と言う。

 形容詞と動詞は、文法上、多くの共通点を持つ。特に直接文を作る述語になることができる。しかし、一部の形容詞は述語になることができず、非述形容詞(“非謂形容詞”)とでも呼ぶことができる。例えば:
     大型  初級  多項  巨額  特等  慢性
     共同  個別  主要  多年生  無記名

 これらの形容詞は“不”を使って否定することができず、あるものは“非”で否定することができる。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年

 先ずは実詞の名詞、動詞、形容詞を見てきました。次回は、引き続き、実詞で残る数詞、量詞、副詞、代詞を見ていきたいと思います。

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中国の伝統菓子・薩其馬(サチマ)

2010年09月04日 | 中国グルメ(美食)

  前回、月餅のことを書いた時、薩其馬(サチマ)のことが出てきました。この不思議な名前の由来は、この後に出てきますが、見た目、日本の粟おこしのような感じですが、材料が言わばドーナツの生地のようなものを一旦油で揚げてから蜜で固めたものなので、食感はふわふわ、サクサクで、しっとりしています。中国のスーパーのお菓子売り場の隅にパックされたものが売っているので、一度お試しを。もっとも、今は大量生産品しか見たことがありませんが、昔は手作りで、バターや蜂蜜を贅沢に使ったものは、高級菓子であったのだろうと思います。

 今回紹介する文を書いた雲郷(1924-1999)氏は山西省生まれ。北京大学中文系を卒業し、1956年より1993年まで上海電力学院教授を務められ、紅楼夢研究の第一人者でしたが、歴史、民俗学にも深い造詣を持っておられました。《雲郷話食》は、専門の《紅楼夢》にまつわる食べ物の話、昔の北京の伝統的な食べ物の話などがまとめられていて、歴史好き、食べ物好きの私にとっては、美味しい、お気に入りの本です。

                      薩其馬

 ある友人が北京から一箱のお菓子を持って来てくれた。箱を開けひとつ取り出してみると、黄色くて、一本一本がくっつき合い、上を青や赤の糸で覆われている。その名を“薩其馬”という。これは北京の薩其馬であり、上海の薩其馬ではない。

 薩其馬は、“沙其馬”、“賽利馬”とも書き、要するに音訳の書き方であり、翻訳した言葉のように、決して一致しない。この奇妙な名前はどこから来たのだろう?《光緒順天府志》に簡単な記載がある。

 賽利馬はラマ教の菓子(点心)であり、今は店で商う。小麦粉を木の実と混ぜ、砂糖とラードを加えて蒸しあげたもので、味はすこぶる良い。

 富察敦崇《燕京歳時記》に言う。

 薩其馬はすなわち満州族の菓子(満州餑餑bo1bo)であり、氷砂糖、バターをメリケン粉と混ぜ合わせ、形をもちのようにし、灰の出ないオーブンでよく焼き、四角く切れば、甘くておいしい。芙蓉糕は薩其馬と同じだが、小麦粉に赤砂糖を加え、色艶がハスの花のようであるだけである。

 このふたつの記事は、大同小異で、どちらも簡単に書いてあり、その作り方は、あまりはっきりしない。しかしこの名前が音訳であること、モンゴル語でなく満州語であるので、書き方は人により異なる。ラマ教の菓子と言うなら、モンゴル語である。満州族の菓子なら、満州語である。かつて上海では、人々は薩其馬を広東のお菓子だとばかり思っていたが、それはその本源を知らない人が誤って伝えたからである。

 薩其馬の作り方は、卵白と牛乳、砂糖、小麦粉を混ぜて糊状にし、じょうごを揚げもの鍋の上に渡しかけ、糊状の小麦粉を揚げてはるさめのようなものにし、それを型の中に入れて蜂蜜でくっつけて押し固め、ちょっと蒸してから、上に煎ったゴマや、瓜(西瓜や南瓜)の種の仁、青や赤の糸状の飴をまぶし、長方形に切れば完成する。製造する時に蜂蜜を調合するのは、主に湿り気を与えるためで、日が経っても乾燥しない。また小麦粉の中に卵白を加えるので、油で少し揚げると中が中空で外側がまっすぐな細い棒状になる。食べる時、口に入れると溶け、ほとんど咬む必要が無い。その中には卵の味、牛乳の味、蜂蜜の味があり、三者が小麦粉、油と混ざり合い、他に無い美味しさを形成し、他の如何なるケーキやクッキーもそれに及ばない。

 薩其馬の表面に、一層のピンク色に染めた綿砂糖を敷いたなら、見た感じが一層きれいで、つけた名前がとりわけ耳に快く、これを芙蓉糕と言う。実際は薩其馬のようにおいしくなく、一に甘すぎ、二に綿砂糖を固めてあるので、食べてもさくっとした柔らかさが無い。薩其馬と芙蓉糕は何れも冬のお菓子であり、だいたい冬に入ると売り出し、春先まで売っているだろう。良い薩其馬は高さは1寸(3.3センチ)もなく、2寸余りの長さの長方形のぺしゃんこの固まりで、底は一面によく煎ったゴマが貼り付けられ、お菓子箱に入れられても、一層一層がお互いにくっつきあうことがない。

 北京の昔のお菓子屋は、おおよそ三種類に分かれ、ひとつは満州餑餑舗で、多くは内城に店を開いた。ひとつは南果舗で、多くは南城に店を開いた。後になってもうひとつ、西洋式の菓子店が現れ、麺包房(パン屋)とも呼ばれ、東安市場の国強、西単の濱来香等で、西洋式のケーキやお菓子を専門に売り、北京では洋点心と呼ばれた。この三種のお菓子屋の中で、前の二種類の店の看板には“満漢餑餑”等の文字が書かれ、何れもたいへん良い薩其馬を売った。例えば前門大街の正明斎、西単北の毓美斎、蘭英斎等で、それ以外にも庚子前の旧店があった。

 薩其馬は季節の食べ物で、一般には冬だけあり、夏は暑いので、粘り気のあるお菓子を作るのは当然困難であった。良い薩其馬はたいへんきめ細やかで、サクサクして、柔らかく、相当の技術を持っている必要がある。薩其馬がお菓子屋で価格が比較的高い理由は、バター、蜂蜜といった原料が何れも高級なものだからである。曾てのような品質の薩其馬は、現在は中国各地どこへ行っても見ることができないが、このことは製作技術とたいへん大きな関係がある。民間の伝統食品の製作技術は、しっかり発掘、継承していかなければならないようだ。

 薩其馬と似たものには、他にも年越しに仏様にお供えする“蜜供”があり、小麦粉を練って小さな棒状に切ったものを油で揚げてから一本一本を蜂蜜で貼りあわせ、積み上げて方形の塔状にし、高さは様々で、仏前に一対、左右各一個お供えし、終わったら子供達に食べさせるので、「蜜供尖」と呼ばれ、もっとも良いのは新街口の聚声斎、地安門外の増慶斎のもので、看板には桂花蜜供と書かれた。これは北京の昔の特別な食品で、江南には無く、想像の難しいものである。

(〈甜品集錦〉より)
【出典】雲郷《雲郷話食》河北教育出版社 2004年

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同音詞と多義詞の境界

2010年09月04日 | 中国語

 多義詞の次は、同音詞ですが、これについては既に、8月5日に《同音語の形成理由と文章中での効用、及びその分別方法》で説明しているので、そちらを参照してください。今回は、多義詞と同音詞の共通点、及び相違点について、説明します。

                   同音詞と多義詞の境界

 多義詞と同音詞は、何れも同一の語音形式を用いて異なる意味、内容を表す言語現象であり、これらは性質上、一定の共通点があるが、一方、相互間には大きな違いもある。
 これはつまり、多義詞が指すのは一つの詞が異なる意味を備えているということに対し、同音詞はいくつかの詞が同じ語音形式を備えているということである。したがって、多義詞のいくつかの意味の間には明確な、必然としてのつながりがある。それらは何れも、一つの基本意義から派生したもので、共同の基礎がある。一方、同音詞はそうではなく、それら相互の間には、語音形式は同じであるが、意味の上のつながりが欠けており、共同の基礎が欠けている。
 例えば、“打人”、“打水”、“打井”、“打草鞋”といった言語構造の中の“打”は、そのいくつかは異なる意味を表すが、これらの意味の間にはつながりがあり、これらは皆、“打撃”という基本意義から派生したもので、したがって、多義詞である。
 一方、“打今儿起”という構造の中の“打”は、上で挙げた打とは、語音形式上は同じだが、意味の上ではつながりが無く、これらは一つの詞ではなく、二つの同音詞である。

 もちろん、これら二つの言語現象は全くつながりがないという訳ではない。これらは皆、同じ音で異なる意味を表しており、言語の歴史発展の過程で、これら相互間で転化が起こった可能性がある。然るに前述のように、いくつかの同音詞は、多義詞の解体の結果生まれたものである。多義詞がより一層発展すると、しばしば同音詞が生み出される。したがって、歴史的な観点から、これら二つの現象を見なければならない。

 また、以上で述べた同音詞は、何れも音声形式で類似しているが、内容や意味は全く似ておらず、つながりがなく、これは純粋な同音詞である。

 中国語の語彙の中で、もうひとつ、音声形式が類似し、同時に語句の意味の上でも類似し、互いにつながりのある詞があり、このような「音が似て意味も相通じる」詞のことを、言語学では“同源詞”と呼ぶ。なぜなら、それら相互の間には同源関係があると思われるからである。すなわち、同一の語源(関連する意味を代表する語素)から派生したものと考えられる。例えば:
     空―孔  框―筺  糠―殻  広―曠
     寛―闊  挟―夾  満―漫  朦―盲
     溟―濛―茫  合―盍―闔

 これらの詞や語素は、現代漢語の中で互いに発音が類似しており、類似したり関連する意味を表すのに用いられることから、これら相互間には同源関係があることが証明できる。こうした現象は、中国語の語彙の発展の歴史において研究を加えなければならないものであり、現在の同音詞の種類を述べる時にも、分析を加えなければならない。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年

 民国以降の白話運動に始まる中国語の近代化の動きから、現代漢語が体系として形成される歴史の中で、複雑化する社会での情報伝達の必要から、語彙は益々質量共に豊かになっていきます。正にそういう環境の中で多義詞、同音詞というものが生まれてきた、ということが言えると思います。

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