前回は、動賓述語に於ける動詞と賓語の特徴について取り上げましたが、今回は、動補述語、特にその中での補語の特徴について、取り上げます。
二 動補述語(“動補謂語”)
動詞性述語の中で、最もよく見かけるのは動賓述語で、それに次ぐのが動補述語である。動賓述語の賓語は、いくつか異なる種類があるだけでなく、置かれる位置も異なる。それに対し、動補述語の補語は、必ず決まった位置に置かれるが、いくつか異なる種類が存在する。
動補述語には三つの種類がある:“得”を用いることのできないもの。“得”を用いなければならないもの。“得”(或いは“不”)を用いるものと“得”(“不”)を用いないものの両方があるもの(“平行格式”)である。
“得”を用いることのできない補語は、主に数量補語である。①
[注①] 程度補語にも“得”を用いることのできないものがあり、それは形容詞の補語である。例:熱極了、糟透了
数量補語は、一般に動作の頻度や動作の持続する時間を表す。例えば:
(1)他用手把門敲了三下。
(2)我昨晩足足睡了八小時。
“得”を用いなければならない補語は、“情態補語”である。情態補語とは、動作と関係のある事物の状態を説明するものである。例えば:
(3)他洗了許多件衣服,洗得満頭大汗。
(4)他把衣服洗得干干浄浄。
(5)他洗得遍地是水。
例(3)の“満頭大汗”は“他”を説明しており、例(4)の“干干浄浄”は“衣服”の説明、例(5)の“遍地是水”は周囲の状態の説明である。
“得”(或いは“不”)を用いるものと“得”(“不”)を用いないものの両方のある形式(“平行格式”)の補語には、結果補語と方向補語(“趨向補語”)が含まれる。ここでは、“得”(“不”)を用いない形式を“基本式”と呼び、“得”(“不”)を用いる形式を“可能式”と呼ぶことにする。これらの関係を、以下に説明する。
基本式 可能式
■ 結果補語 聴憧 聴得憧 聴不憧
做到 做得到 做不到
―― 解決得了 解決不了
―― 吃得 吃不得
■ 方向補語 上来 上得来 上不来
走回去 走得回去 走不回去
注意すべき点が二つある。第一、いくつかの言語単位、例えば“説明”、“改進”、“認定”などは、“得”(或いは“不”)を使わない可能式であり、これらは詞である。また、“巴不得”なども詞であるが、可能式の詞組ではない。
・巴不得 ba1bude :~したくてたまらない。切望する
第二、表中の“解決得了”、“吃不得”は可能式のみがあり、基本式が無い。“吃得”は“吃得得”のことばが合わさった結果である。今も江蘇省南通の方言に“吃得得”という言い方が残っている。
“情態補語”は“得”を用いなければならず、その結果、補語の可能式の肯定形も“得”を用いるが、これらの否定型は異なる。例えば:
■ 情態を表す 跑得快 “跑得快不快?”の回答
跑得不快
■ 可能を表す 跑得快 “跑得快跑不快?”の回答
跑不快
ここで、情態を表すものと可能を表すものの肯定形は同じであるが、ある上下の文の関係の中では(例えば問いかけに対する回答)、そのうちどちらか一方の理解しかできない。
動詞や形容詞の後ろに補語を伴うことができるが、形容詞は賓語を伴うことができないので、形容詞述語文では賓語と補語のもつれ(“糾纏”)の問題は生じない。動詞の後ろに来るのが賓語であるか補語であるかは、一般に区別は容易である。名詞、或いは名詞性の詞組は賓語になるが、補語にならない。動作の量を表す(動量詞になる)数量詞組は補語になるが、賓語にならない。物量を表す(名量詞になる)数量詞組は賓語になるが、補語にならない。時間を表す数量詞組は賓語にもなるし、補語にもなる。例えば:
(6)時間已経過去了両三年了。
(7)這個小組成立了両三年了。
例(6)の“過去了両三年了”は“両三年過去了”と言い換えることができ、“両三年”は賓語である。例(7)はこのように言い換えることはできず、“両三年”は補語である。
“我笑痛了肚皮”、“他找到了多年不見的朋友”は、述語の構造が「(動+補)+賓」であるので、動賓述語である。“他找了我三次”、“我看了他一眼”は、述語の構造が「(動+賓)+補」であるので、動補述語である。
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年
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二 動補述語(“動補謂語”)
動詞性述語の中で、最もよく見かけるのは動賓述語で、それに次ぐのが動補述語である。動賓述語の賓語は、いくつか異なる種類があるだけでなく、置かれる位置も異なる。それに対し、動補述語の補語は、必ず決まった位置に置かれるが、いくつか異なる種類が存在する。
動補述語には三つの種類がある:“得”を用いることのできないもの。“得”を用いなければならないもの。“得”(或いは“不”)を用いるものと“得”(“不”)を用いないものの両方があるもの(“平行格式”)である。
“得”を用いることのできない補語は、主に数量補語である。①
[注①] 程度補語にも“得”を用いることのできないものがあり、それは形容詞の補語である。例:熱極了、糟透了
数量補語は、一般に動作の頻度や動作の持続する時間を表す。例えば:
(1)他用手把門敲了三下。
(2)我昨晩足足睡了八小時。
“得”を用いなければならない補語は、“情態補語”である。情態補語とは、動作と関係のある事物の状態を説明するものである。例えば:
(3)他洗了許多件衣服,洗得満頭大汗。
(4)他把衣服洗得干干浄浄。
(5)他洗得遍地是水。
例(3)の“満頭大汗”は“他”を説明しており、例(4)の“干干浄浄”は“衣服”の説明、例(5)の“遍地是水”は周囲の状態の説明である。
“得”(或いは“不”)を用いるものと“得”(“不”)を用いないものの両方のある形式(“平行格式”)の補語には、結果補語と方向補語(“趨向補語”)が含まれる。ここでは、“得”(“不”)を用いない形式を“基本式”と呼び、“得”(“不”)を用いる形式を“可能式”と呼ぶことにする。これらの関係を、以下に説明する。
基本式 可能式
■ 結果補語 聴憧 聴得憧 聴不憧
做到 做得到 做不到
―― 解決得了 解決不了
―― 吃得 吃不得
■ 方向補語 上来 上得来 上不来
走回去 走得回去 走不回去
注意すべき点が二つある。第一、いくつかの言語単位、例えば“説明”、“改進”、“認定”などは、“得”(或いは“不”)を使わない可能式であり、これらは詞である。また、“巴不得”なども詞であるが、可能式の詞組ではない。
・巴不得 ba1bude :~したくてたまらない。切望する
第二、表中の“解決得了”、“吃不得”は可能式のみがあり、基本式が無い。“吃得”は“吃得得”のことばが合わさった結果である。今も江蘇省南通の方言に“吃得得”という言い方が残っている。
“情態補語”は“得”を用いなければならず、その結果、補語の可能式の肯定形も“得”を用いるが、これらの否定型は異なる。例えば:
■ 情態を表す 跑得快 “跑得快不快?”の回答
跑得不快
■ 可能を表す 跑得快 “跑得快跑不快?”の回答
跑不快
ここで、情態を表すものと可能を表すものの肯定形は同じであるが、ある上下の文の関係の中では(例えば問いかけに対する回答)、そのうちどちらか一方の理解しかできない。
動詞や形容詞の後ろに補語を伴うことができるが、形容詞は賓語を伴うことができないので、形容詞述語文では賓語と補語のもつれ(“糾纏”)の問題は生じない。動詞の後ろに来るのが賓語であるか補語であるかは、一般に区別は容易である。名詞、或いは名詞性の詞組は賓語になるが、補語にならない。動作の量を表す(動量詞になる)数量詞組は補語になるが、賓語にならない。物量を表す(名量詞になる)数量詞組は賓語になるが、補語にならない。時間を表す数量詞組は賓語にもなるし、補語にもなる。例えば:
(6)時間已経過去了両三年了。
(7)這個小組成立了両三年了。
例(6)の“過去了両三年了”は“両三年過去了”と言い換えることができ、“両三年”は賓語である。例(7)はこのように言い換えることはできず、“両三年”は補語である。
“我笑痛了肚皮”、“他找到了多年不見的朋友”は、述語の構造が「(動+補)+賓」であるので、動賓述語である。“他找了我三次”、“我看了他一眼”は、述語の構造が「(動+賓)+補」であるので、動補述語である。
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年
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