中国語学習者のブログ

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中国赤十字と“塔西佗陥穽”「タキトゥスの罠」?

2011年08月06日 | 中国生活

 “塔西佗”とは、古代ローマの政治家、歴史家であるタキトゥス(Publius Cornelius Tacitus、55年頃~120年頃)のことで、著作に《ゲルマニア》、《年代記》があります。「タキトゥスの罠」とは、あまり耳にしない言葉ですが、どういうことでしょうか?これが中国赤十字とどのような関係があるのでしょうか?以下の記事を読んでみましょう。

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 ( ↓ クリックしてください。中国語原文が表示されます)


・捐贈 juan1zeng4 (物品を国や団体に)寄贈する。
・重重 chong2chong2 幾重にも重なり合うさま。

□              論議の的の「赤十字の寄付の公開」について
     信用危機に取り巻かれ、中国赤十字は如何に「タキトゥスの罠」を抜け出すのか?

 「タキトゥスの罠」とはどういうことか?これは古代ローマの歴史家、タキトゥスがその政治に従事した経験から得た一つの結論で、「政府が支持を得られていない時には、良い政策であれ悪い政策であれ、同様に人民の恨みを買う」というものだ。俗な言い方をすると、このようにも解釈できる:「ある部門が公の信用力を失うと、本当のことを言っても嘘をついても、良い事をしても悪い事をしても、何れでも嘘をついている、悪い事をしていると思われる」と。

■[2]


・郭美美事件:今年6月、“郭美美”という名の20歳の女性からのツイッターの投稿が話題になった。彼女は大きな別荘に住み、高級イタリア製スポーツカーのマサラティに乗っているという。自分は「中国赤十字社商業総経理」で、中国赤十字社副会長の郭長江の娘であるという。実は、後の調査でこの話は真っ赤な嘘であることが分かったのだが、慈善活動をしているはずの赤十字の幹部の家族が贅沢三昧な暮らしをしているということで、赤十字への寄付の使途に不正があるのではないかと疑いがもたれた。その後の調査で、郭美美は赤十字と全く関係がないことが分かったが、彼女のボーイフレンドの王軍が中紅博愛資産管理有限公司という、赤十字の関連企業で、赤十字の公益事業の資産管理をする会社の董事(取締役)で、王が郭に実際にスポーツカーなどをプレゼントしていたことが明るみになり、親会社の赤十字の慈善基金の使途に対し、世間の批判が集中することとなった。

・紕漏 pi1lou4 (不注意による)誤り。
・抹黒 mo3hei1 顔をつぶす。恥をかかせる。

□ 赤十字社の公開・透明化はずっと民衆が強く関心を寄せている話題であった。とりわけ、「郭美美事件」以降、赤十字社の一挙手一投足が注目を集めた。最近、中国赤十字社は寄付情報公表のプラットフォームをインターネットに立ち上げたが、注意深い読者により多くの誤りが発見された。公開すればするほど、誤りがますます多くなり、言い訳をすればするほど、益々メンツをつぶされ、赤十字社は「タキトゥスの罠」にはまってしまったかのようである。ある部門が公の信用力を失うと、本当の事を言おうと嘘をつこうと、良い事をしようと悪い事をしようと、何れも嘘をついた、悪い事をしたと思われてしまう。中国赤十字社はどのようにして公衆の信頼を再び取り戻し、「タキトゥスの罠」を抜け出すべきなのか。

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・挑剔 tiao1ti あらを捜す。けちをつける。文句をつける。
・搪塞 tang2se4 言い逃れをする。その場を取り繕う。

□ 寄付データの変動は、たとえ記録に間違いがあるにせよ、慈善団体の公的な信用力に容易に影響を与える。慈善団体は責任感を備えていなければならないだけでなく、プロフェッショナルでなければならない。

 著明な時事評論家、曹林は《新京報》での投稿でこう語った:赤十字社のこの問い合わせのプラットフォームは、今のところまだこのことができていない。例えば、明らかに統計されているのは玉樹地震への寄付であるのに、ホームページを開いてみると、寄付の中にはその時期が地震よりも早いものが見つかる。この他、寄付の使用状況の説明も簡単過ぎ、いくつかの民間の慈善団体と比べ、専門性が明らかに不足している。赤十字社本部は良く分かっているはずだが、慈善団体に身を置き、公衆からの「あら捜し」の視線を目の当たりにすることが常態化している中、最も良い対処方法は最大の責任を以て改善、改革を行うことである。寄付情報発信のプラットフォームは、公衆に寄付の行き先を見えるようにするだけでなく、赤十字の責任感と専門レベルを示すことである。

 《深セン特区報》が出版した廖保平の論評ではこう見解を述べている:このプラットフォームは「欠陥を残したまま公開」されていて、データは混乱し、漏れが多く、おそらく簡単に「技術上の問題」と結論付けることはできないし、「間違いは不可避である」、「公表プラットフォームはまだ最善のものになっていない」などと言ってその場を取り繕えるものでは尚更無く、赤十字社がどのような態度で慈善事業に取り組んでいるかという問題であると。彼はこう考えている:善意の人、善意の気持ち、善意の行動、善意の寄付そのものに敬意を表し、感謝してこそ、「真心が通い合い、黄金のように尊い」ものとなり、心から正確で間違いなく真心を伝える慈善活動の伝道者となることができると。

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・検討 jian3tao3 個人や団体の思想、活動上の欠点、過ちを調べ、その原因を追究し、自己批判すること。(重々しい感じのすることば)
・説辞 shuo1ci2 言い訳。言い逃れ。口実。
・消解 xiao1jie3 疑いや懸念が氷解する、消えてなくなること。
・充其量 chong1qi2liang4 多く見積もっても。せいぜい。
・資深 zi1shen1 古参の。先輩の。
・筹款 chou2kuan3 募金する
・走形式 zou3 xing2shi4 うわべだけを飾る。形だけである。

□ ネット読者達が提起した避けることのできなかった誤りに対して、赤十字社が「業務量が多くなり過ぎる」、「コストがかかり過ぎる」というのを言い逃れにした時、このことは無意識のうちに、自らの存在価値の根本が消えて無くなったことになるのかもしれない。

 「正確な路線に正しい態度を組み合わせれば、尚公衆の信頼をつなぎとめる一縷の望みがあるかもしれない。」《南方都市報》の社説はこのように述べた。「郭美美事件」の後、赤十字社は社会に対し、次のように承諾した:「二つの公開と二つのガラス張り」を必ずやる。すなわち、寄付の金、物を公開し、財務管理をガラス張りにし、入札による買い付け内容を公開し、分配、使用内容をガラス張りにすると。現在の寄付情報発表プラットフォームは、多く見積もっても、せいぜい一番目の「公開」でようやく小さな一歩を踏み出したところであるに過ぎない。それが赤十字社が苦労して開発した情報公開プラットフォームであるからには、負荷された機能があまりに金の無駄遣いであることは否めないにせよ、本当に心から公衆の信頼を取り戻したいと思うなら、詳細明快な寄付情報の提供の他、赤十字社の財務収支、入札買い入れ等の状況も全面的に公開すべきである。

 中国全土で、また国際的にも影響力のある公益団体に対して言えば、ただ重大な自然災害への寄付の情報と寄付金の使用状況のみ公開するのでは、公衆の期待、及び法律との格差が大きすぎる。《第一財経日報》刊行の先輩の公益事業家の評論でも述べられているように、赤十字社がやらないといけないのは、全ての寄付情報と寄付金の使用状況を公表することで、ただ単に重大な自然災害だけではない。公開してはじめて価値があり、ガラス張りにしてはじめて意義がある。ガラス張りは対外的に募金活動を行う公益団体の必修科目であり、選択科目ではない。

  《中国青年報》が刊行した胡印斌の評論では、更に次のように強調している:公衆は赤十字社の今般の寄付公開に対してたいへん大きな期待をしており、形式だけ整えるのでは決して許されない。実際、これも赤十字がその公衆へのイメージを転換させる良い契機であるので、もっと開放し、もっとオープンな姿勢で公衆の疑問に応対する、このようにしてはじめて危機を乗り越え、再び公衆のイメージを形作ることができる。

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・発酵 fa1jiao4 発酵する。
・淋漓尽致 lin2li2 jin4zhi4 [成語]文章や話が詳しく、徹底しているさま。
・情何以堪 qing2 he2yi3 kan1 この打撃に対し、気持をどのように持って耐え忍ぼうか。“情”という賓語を前に置くことによる強調表現。出典は《世説新語》。
・救贖 jiu4shu2 危険な状態から救い出すこと。本来の意味は、質受けすること。

□ 赤十字社の関連する問題は引き続き発酵を続け、「タキトゥスの罠」という政治に関する学術語が解説をされるかのように微に入り細に入り述べられ、本当に「この屈辱を如何に耐え忍ぼうか、如何ともし難い!」

 信頼のひび割れを覆い隠しても、最終的には信頼の溝が拡がっている。このことは赤十字社の災難であるだけなく、中国の慈善事業の災難である。《重慶時報》論説委員・時言平は赤十字社に次のように指摘した:傲慢と自負を捨て去り、閉鎖された砦を出て、太陽の光を受けなさい。そうしてはじめて、赤十字は中国の慈善事業の行き詰った現状を救い出すことができ、信頼の溝を埋めることができ、真心を伝えるプラットフォームになるだろう。情報公表のプラットフォームの開設は、慈善活動の公開、透明化の始まりに過ぎず、決して赤十字の信用の危機が終わったわけではない。

 不公開、不透明、低効率である為、公共の信用力が散逸し、サービスの質が損なわれてきた。赤十字社はこのような巨大な圧力の下、心から決心を固め、適切に改革をせざるを得なくなった。著名な時事評論家の肖余恨は、《現代金融報》紙上に赤十字社が「タキトゥスの罠」を抜け出すための処方箋を書いた:先ず、このプラットフォーム自身について公衆に解説、説明をすること。次に、マンパワーを投入し、プラットフォームの情報公開の仕組みを完全なものにする。更に重要なことは、「公開、透明、高効率」を赤十字のモットーとし、一つ一つをちゃんと行い、如何なる疑義に対しても、「課題があればそれを改め、無ければそう説明する」という態度で、自らの行動で民衆の信頼を勝ち取り、見失った公共の信頼を回復しなければならない。彼は同時にこう呼びかけた:民衆は赤十字社に対してできるだけの信頼と忍耐を持ち、監督することで赤十字社を成熟させよう。


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