国務院副総理の李克強は8月16~18日香港を訪問、メインの目的は“両地経貿金融合作論壇”(中国・香港経済金融協力フォーラム)への出席と香港大学開校百周年記念行事への出席ですが、それに先立ち、16日午後、香港の一般庶民、それも公営住宅に住む家庭を訪問しました。
■[1]
( ↓ クリックしてください。中国語原文が表示されます)
・拉家常 la1 jia1chang2 [口語]世間話をする。雑談をする。
・社工 she4gong1 英語のSocial Workerを訳したもので、社会福祉従事者の意味。ここでは、“医院社工”なので、介護士のことだろう。
・融融 rong2rong2 打ち解けて楽しい。暖かいさま。
・安居楽業 an1ju1 le4ye4 [成語]落ち着いて生活し、愉快に働く。安穏に暮らす。
□ 李克強は香港の公営団地を視察、市民と親しく交流
人民網香港8月16日電(記者:張毅、李海元、尹世昌)16日午後、国務院副総理、李克強は香港特別行政区行政長官、曾蔭権(ドナルド・ツァン)等の案内で、高齢者地区センター、養老院、住民の家庭を訪問、親しく香港市民と交流し、香港住居委員会展示センターを見学、香港の公共住宅の計画と建設状況を理解し、香港の商工業、業界団体の代表と座談会を行い、彼らの中国・香港の経済協力についての提案を聞いた。
「皆さん方のお宅におじゃまできて、たいへんうれしく思います。」九龍・観塘、平田村の退職労働者、楊修挙の家の玄関に足を踏み入れ、李克強は彼ら一家に心の籠った挨拶をした。香港の市民生活を理解するため、李克強は特に要望して訪問した。「お宅は何人家族ですか?」「家賃は高くないですか?」「住宅の付帯施設の使い勝手は悪くないですか?」…… 李克強は彼ら一家三世帯と客間で席を共にし、愉快そうに雑談をした。楊修挙は李克強に孫達が心を込めて作った二つの手製の作品を贈った。家族は更に普通話でこう言った。「香港がよくなりますように、中国がよくなりますように、皆が幸せになれますように!」一家の生活が快適で、子供たちが良好な教育を受けているのを見て、李克強は安堵した。「お家は広くはないが、全てが合理的に配置され、きちんとしていて、温かみがありますね。」李克強は言った:「経済発展と皆の努力で、生活は徐々に改善し、生活は益々良くなります。」
楊家を後にし、李克強は次に九龍藍田の麗港城を訪問した。郭桂明は渠務局(Drainage Service Department。香港政府の下水や排水処理を担当する部署)の公務員で、妻は病院の介護士で、李克強が到着したのを知ると、夫婦と11歳の娘はたいへん喜んだ。李克強はこの家の主人の仕事と生活面の状況について、細かく尋ねた。郭桂明はこう言った:公務員の仕事はたいへんだが、達成感があると。李克強は言った:香港の公務員の皆さんは優秀で、本業の職場では勤勉で職務を重んじ、たいへん尊敬できると。彼ら一家が楽しく打ち解け合い、安穏に暮らしているのを見て、李克強はこう言った:「皆さん方は幸福で仲睦まじい家庭で、うれしく思います。中国のことわざで「家庭が円満であれば、万事がうまくいく」と言います。皆さん方が引き続き老いを敬い幼きを愛し、長所を発揮し、より良い生活を作られることを希望します。」郭桂明の娘は、中国の歴史が一番好きで、北京へ行ってみたいと言った。李克強はやさしく「どうぞ首都・北京にいらしてください」と言った。彼女は更に来訪者のためにピアノを演奏し、客間は拍手と笑い声であふれた。出発の前に、李克強と郭桂明の一家全員は記念撮影をした。
ここで、李克強は、“家和万事興”ということわざを引用しています。
【家和万事興】 jia1 he2 wan4shi4 xing1
ことわざ。“一家和睦,万事就能興旺”「家庭が円満であれば、万事がうまくいく」の意味。
この語句は、既に清末には使われていたようで、《百度百科》によれば、清末の呉沃堯の小説《二十年目睹之怪現状》を例に挙げている。しかし、このことばの原型は、やや視点が異なるが、《論語》の“礼之用,和為貴”であると思われる。
《論語・学而第一》 有子曰:“礼之用,和為貴。先王之道,斯為美。小大由之,有所不行。知和而和,不以礼節之,亦不可行也。”
(有子が言った:礼儀が用いられる時には、調和を以て貴しとする。古代の君主の国を治める方法で、尊ぶべきは、この点である。けれども、大事であれ小事であれ、ただ調和によってのみ事を行うのでは、うまくいかない場合がある。なぜなら、調和の為に調和し、礼儀によって節度を加えた調和でなければ、うまくいかないのである。)
李克強がここで“家和万事興”と言ったのは、しかしそんな深い意味ではなく、「狭いながらも、楽しい我が家」くらいの意味だと思います。香港とはいささか異なりますが、中国内の“保障性住宅”建設推進と並べ併せ、香港の公共住宅政策を見ているのだと思われます。
最初の観塘は、昔の啓徳空港の近くの、比較的低所得の人々が居住する地域で、退職工員の一家で息子夫婦、その子供の3世帯が狭い公団住宅に同居しているという、かなり下層の人々です。次の麗港城は、昔のKCR線の近くの、電車の車窓から見える公団の分譲マンションで、客間にピアノがある、中レベルの家庭でしょう。
こうした庶民の家庭を実地に見た後、香港の公共住宅についての説明を受けています。
■[2]
・専程 zhuan1cheng2 わざわざ出かけていく。
・滙報 hui4bao4 資料や情報をまとめて、上司、或いは大衆に向け、報告する。
□ 香港の住宅市場は、主に完全に市場化した民間の家屋と、政府が提供する賃貸の公営住宅と政府が一部の資金を補助する分譲住宅等から成る。李克強は次に香港住宅委員会展示センターを見学した。香港特別行政区政府の運輸・住宅局局長、鄭汝樺の説明によれば、香港の公営住宅と分譲住宅制度は長年運用され、次第に健全化し、現在香港では74.7万戸の公営住宅と39.1万戸の分譲住宅があり、居住人口はそれぞれ総人口の30%、18%を占める。李克強は展示を見学しながら、紹介を聞き、随時に質問をし、香港の公営住宅、分譲住宅の建設、運営、資金保障等の状況について、細かく理解をした。李克強は言った:公営住宅の建設では、香港は多くの経験を積んでいる。現在、我々は大規模に低所得者向け住宅の建設を展開しているが、中国本土と香港はより一層交流を強める必要があると。
この説明で、私たちにも香港の住宅制度の概略が理解できます。民間デベロッパーの分譲住宅がべらぼうに高い香港では、狭い公団住宅に親と同居という人たちが多いのでしょう。
さて、以上で香港の一般庶民の生活の視察が終わり、次は商工業、業界団体の代表との座談会です。ここで、“茶叙”cha2xu4という聞き慣れない言葉が出てきます。百度で検索してみましたが、《百度百科》にはこの言葉はありませんでした。しかし、‘警方“周末茶叙”聴民声’などという見出しがあるので、「茶話会」、公式会議ではなく、お茶を飲みながら意見交換する場、という意味で使われているようです。
■[3]
□ その日の午後、李克強は宿泊ホテルで、香港商工業及び業界団体の代表と茶話会を行った。香港総商会、香港英国商会、香港中華総商会、香港業界団体及び上級管理職協会、香港中国商会等の団体の代表が、中国・香港の経済協力等の問題について、次々と発言した。李克強は彼らの意見や提案を真剣に聞き、メモをとった。李克強は言った:商工業や業界団体の皆さんは香港の発展の中で掛替えの無い役割を果たし、皆さん方が代表を務める団体は商工業や業界団体の関係者を固く団結させ、積極的に架け橋を架け、誠心誠意サービスを提供する、香港社会の重要なグループである。在席の大部分の方はサービス業関係の団体の代表だが、中国本土はより一層香港のサービス業に市場を開放し、香港・本土両方のサービス業の協力発展のレベルを向上させる。皆さん方は必ずやこのチャンスを活かし、中国本土といっしょにより大きな発展を実現されるものと信じている。
にほんブログ村
人気ブログランキングへ