習近平がチベット解放60周年の祝賀行事開催の為、中央政府の代表団の団長としてチベットに乗りこみました。期間中、習近平はネパールとの国境近く、ヒマラヤの最高峰、珠穆朗瑪峰(チョモランマ峰)の麓の地である日喀則ri4ka1ze2地区を訪問、この地のシンボルである扎什倫布寺zha1shi2lun2bu4 si4を訪れました。この記事で、チベット仏教の風習や関連する用語が出てきます。チベットを知る、という意味から、取り上げたいと思います。尚、日喀則のチベットの中での位置関係は、前回の「チベットの地理について」をご覧ください。
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( ↓ クリックしてください。中国語原文が表示されます。)
・看望 kan4wang4 訪問する。見舞う。
・慰問 wei4wen4 慰問する。見舞う。(通常、“慰問”は病気、怪我、その他不幸な目に遭った人を慰め、いたわること)
・格魯派 ge2lu3 pai4 “格魯”はチベット語で“善律”、つまり戒律を正しく守って行うこと。この宗派は戒律を厳しく守ることを重んじることからこの名がある。格魯派の僧は黄色の僧帽をかぶることから、“黄教”とも呼ばれる。創始者は宗喀巴zong1ka1ba1(1357-1419)で、彼は元々ga2(口偏に葛)当派の僧であったので、新ga2当派とも呼ばれる。
・全国第一批重点文物保護単位:“全国重点文物保護単位”は、中国政府が建物など移動不可能な文化財に対して指定する最高の保護区分。日本の国宝に相当。その“第一批”、つまり第一次の指定は1961年3月、180か所に対して行われた。
・経筒 jing1tong3経筒(仏教大詞典)、また“如法経筒”ともいう。本来は仏教経典を入れる容器で、木をくり抜いて筒型や八角形をしていて、金泥や銀泥で花紋が描かれたもの。後に、仏教経典をいつも持ち歩いて、仏教に帰依することが象徴化し、筒型の装飾品として、それを回すことで、経典を読むのと同じ効果があることとされるようになり、棒の先に筒型の装飾品を付けたものや、寺院の入口に筒型の装飾品を置くようになった。
(経筒)
・経幡 jing1fan1 仏教経典の図案の描かれた旗のこと。“風馬旗”と呼ばれる街中や樹木や家の門など、様々な場所につり下げられる、方形や三角形などの、布に仏教の経典にまつわる図案を印刷した小旗のことも“経幡”というが、ここでは僧が手に持っているので、もう少しちゃんとした幟(のぼり)のことだろう。
(経幡)
・哈達 ha3da2 チベット族が仏に備えたり、尊敬のしるしとして人に贈る、赤、白、黄、藍色などの帯状の絹布。
(注:最初の写真で、習近平が手にしている白い布が“哈達”)
□ 習近平が扎什倫布寺を視察
人民網チベット・日喀則7月22日電(記者・李章軍)中国共産党中央政治局常務委員、国家副主席、中央軍事委員会副主席、中央代表団団長・習近平は、22日中央代表団の一部のメンバーを連れて扎什倫布寺を視察、宗教界の人々を訪問、慰問した。
チベットの日喀則地区に位置する扎什倫布寺は1477年に創建され、チベット伝統仏教格魯派の六大寺院の一つで、全国第1期重点文物保護単位(日本の国宝に相当)である。
今日、扎什倫布寺の僧は角笛を吹き鳴らし、手には吉祥を象徴する経筒を持ち、経幡を持った隊列が両側に並び、純白の哈達を献上し、習近平の来訪に対し、歓迎の意を表した。
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・十世班禅霊塔 shi2shi4 ban1chan2 ling2ta3 1989年に亡くなったバンチェンラマ10世(1938-1989)の遺体は扎什倫布寺に納められ、遺体を納めるために、高さ35mの霊塔が扎什倫布寺内に建てられ、1993年に竣工した。
(写真は十世班禅霊塔)
・賀幛 he4zhang4 お祝いに贈る掛け物。10尺(3.3メートル)前後の緞子で作り、其の上に金文字でお祝いの言葉を刺繍する。
(僧侶が掲げ持っているのが、“賀幛”)
・駐錫地 zhu4xi1 di4 僧侶が住む所の意味。“駐錫”とは、僧侶が外出する時、“錫杖”xi1zhang4(しゃくじょう)、つまり上端に錫でできた輪の飾りが付いた杖を持つことから、「錫杖を留める所」ということである。
・秉承 bing3cheng2 他人の意図、指示を受けて、その通りにすること。
・典範 dian3fan4 模範。手本。
・扎西徳勒 zha1xi1de2le4 チベット語で“歓迎”、“祝福吉祥”、“吉祥如意”の意味。
□ 習近平はバンチェンラマ10世の霊塔に哈达を供えた。霊塔のお堂の中で、習近平は扎什倫布寺に対し胡錦涛総書記が自ら書いた「チベット平和解放60周年祝賀」のお祝いの掛け物と《中華大蔵経(チベット語版)》を贈り、また僧侶に対してお布施をした。
習近平は参観時に語った:扎什倫布寺は歴代のバンチェン大師の住まわれた所で、悠久の歴史とすばらしい伝統を持っている。長年、扎什倫布寺はバンチェンラマ10世大師の意志を受け、愛国愛教、護国利民の模範となったと。習近平は、幅広い宗教界の人々がチベット伝統の仏教の愛国主義のすばらしい伝統を発揚させ、引き続き自分自身の修行に励み、積極的に社会責任を担い、自ら進んで祖国統一と民族団結を維持し、チベットと中国全体がいっしょに全面的に小康社会を実現するという目標の実現の為、積極的に貢献することを希望した。
チベット自治区政治協商会議副主席で、扎什倫布寺民主管理委員会主任のサロン・ピンラは中央代表団の慰問に心からの感謝を表し、代表団に返礼に記念品を贈った。
習近平が扎什倫布寺を離れる時、日喀則の群衆は争うように集まってきて見送り、道路の両側の人の群れは哈達を振り、次々に中央代表団に挨拶をした。習近平は嬉しそうに群衆の中に歩み寄ると、皆と心のこもった握手をし、チベット語で“扎西徳勒”と互いに挨拶を交わした。
中央代表団副団長・パバラ・ガラランジェと中央代表団の一部のメンバーがいっしょに参観した。
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