「わたしなりの枕草子」#284 2012-01-13 08:35:08 | 読書 【本文】 二百四十三段 ことに人に知られぬるもの ことに人に知られぬるもの 凶会日(くゑにち)。人の女親(めおや)の老いにたる。 【読書ノート】 ことに=とりわけ。ことに人に知られぬるもの=うっかりしていると人が忘れているもの。→萩谷朴校注。わざわざ人が知ろうとしないもの。→桃尻語訳。おなじことかなあ。? ? ? ちがうなやっぱり。
「わたしなりの枕草子」#283 2012-01-12 10:59:00 | 読書 【本文】 二百四十二段 ただ過ぎに過ぐるもの ただ過ぎに過ぐるもの 帆かけたる舟。人の齢(よはひ)。春、夏、秋、冬。 【読書ノート】 実は私はこの一節が一番好きです。枕の草子を全部読んでみたいと思ったきっかけになったように思います。船旅は実体験だったと、どこかで読んだ気がします。聖子(田辺)ちゃんかなあ。今度確かめよっと。
「わたしなりの枕草子」#282 2012-01-11 08:23:53 | 読書 【本文】 二百四十一段 さかしきもの さかしきもの 今様の三歳児(みとせご)。ちごの祈りし、腹などとる女。ものの具ども請ひ出でて、祈り物作る、紙をあまたおし重ねて、いと鈍き刀して切るさまは、一重だに断つべくもあらぬに、さるものの具となりにければ、おのが口をさへ引きゆがめておし切り、目多かるものどもして、かけ竹うち割りなどして、いと神々しうしたてて、うち振るひ祈ることども、いとさかし。かつは、「なにの宮・その殿の若君、いみじうおはせしを、掻い拭(のご)ひたるやうにやめ(=治し)奉りたりしかば、禄を多く賜りしこと。その人かの人召したりけれど、験(しるし)なかりければ、今に嫗(おんな=私)をなむ召す。御徳をなむ見る」など語りをる顔もあやし。 下衆の家の女主(あるじ)。痴れたる者、それしもさかしうて、まことにさかしき人を教へなどすかし。 【読書ノート】 さかしきもの=小賢しく、口達者なもの。腹などとる女=「あん‐ぷく【按腹】:腹をもみさする按摩術。血行・胃腸機能・吸収排泄を盛んにするという。」と祈祷を行い病気を治す巫女。第二十二段「すさまじきもの」の験者もそうですが、インチキなものが多かったのでしょう。清少納言も懐疑的です。今回やり玉にあがっているのは口先人間です。今の政治家もつけ加えましょう。いみじう=よい場合も悪い場合も用いる。ここは悪い場合。その人かの人=あの人この人と。験(しるし)=効き目。嫗=婆。御徳=ごひいき。それしも=それ(痴れたる者)がまた。さかしき人=賢い人。その通りと叫びたくなります。
「わたしなりの枕草子」#281 2012-01-10 08:46:55 | 読書 【本文】 二百四十段 ことばなめげなるもの ことばなめげなるもの 宮の部(べ)の祭文(さいもん)読む人。舟漕ぐ者ども。雷鳴の陣の舎人。相撲(すまひ)。 【読書ノート】 なめげなる=失礼な様。無作法。言葉づかいのきたないもの。→萩谷朴校注。言葉づかいの乱暴なもの。→枕草子・小学館。微妙に違いますね。
「わたしなりの枕草子」#280 2012-01-09 08:35:33 | 読書 【本文】 二百三十九段 ないがしろなるもの ないがしろなるもの 女官どもの髪上げ姿。唐絵の革の帯の後ろ。聖のふるまひ。 【読書ノート】 ないがしろなるもの=侮り軽んずもの。いいかげんなもの。→萩谷朴校注。だらしのないもの。→枕草子・小学館。
「わたしなりの枕草子」#279 2012-01-08 08:23:59 | 読書 【本文】 二百三十八段 さわがしきもの さわがしきもの 走り火。板屋の上にて烏の斎(とき)の生飯(さば)食ふ。十八日に、清水にこもりあひたる。 暗うなりて、まだ火もともさぬほどに、ほかより人の来あひたる。まいて、遠き所の人の国などより、家の主(あるじ)の上りたる、いとさわがし。 近きほどに火出で来ぬといふ。されど、燃えはつかざりけり。 【読書ノート】 走り火=パチパチとはね飛ぶ火の粉。斎(とき)の生飯(さば)=仏家では飯の一部を鬼界の衆生にと屋根にまいた。十八日=縁日。燃えはつかざりけり=延焼はなかった。
「わたしなりの枕草子」#278 2012-01-07 08:35:11 | 読書 【本文】 二百三十七段 雲は 雲は 白き。紫。黒きもをかし。風吹くをりの雨雲。 明け離るるほどの黒き雲の、やうやう消えて、白うなりゆくも、いとをかし。「朝(あした)にさる色」とかや、書(ふみ)にも作りたなる。 月のいと明かき面(おもて)に薄き雲、あはれなり。 【読書ノート】 やうやう=しだいに。さる=去る。見事な表現に圧倒されます。月の明るい面に薄い雲。
「わたしなりの枕草子」#277 2012-01-06 09:11:34 | 読書 【本文】 二百三十六段 星は 星は すばる。牽牛(ひこぼし)。夕づつ。よばひ星、少しをかし。尾だになからましかば、まいて。 【読書ノート】 よばひ星が不明か。
「わたしなりの枕草子」#275 2012-01-04 08:36:42 | 読書 【本文】 二百三十四段 日は 日は 入日。入り果てぬる山の端に、光のなほとまりて赤う見ゆるに、薄黄ばみたる雲のたなびきわたりたる、いとあはれなり。 【読書ノート】 昔の人は自然をよく観察しています。現代人は空をゆっくりと見る余裕もないのでしょうか。