創作日記&作品集

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世阿弥 私説4「児姿幽風(こしゆうふう)」

2013-08-19 08:02:36 | 創作日記
言葉を分解します。児(ちご)はデジタル大辞泉によると
ち‐ご【稚児/▽児】.
《「乳子(ちご)」の意》
1 ちのみご。赤ん坊。
「―を背に負った親子三人連(づれ)の」〈花袋・田舎教師〉
2 幼い子。幼児。
「其の時某(それがし)は尚(なお)八歳の―にして」〈竜渓・経国美談〉
3 祭礼や寺院の法楽などの行列に、美しく装って練り歩く児童。「―行列」
4 寺院や、公家(くげ)・武家で召し使われた少年。男色の対象となることもあった。
「是も今は昔、比叡の山に―ありけり」〈宇治拾遺・一〉

4の意味が近いと思います。次は幽風です。

           二曲三体人形図
はっきりしませんが、眉は八の字の作り眉です。小柄なのも分かります。これが当時の美少年?      
幽風とは能楽論で,幽玄な風情。幽玄とは、広辞苑を引きます。「能楽論で、強さ・硬さなどに対して、優雅で柔和典麗な美しさ。美女・美少年などに自然に備わっている幽玄も、卑賤な人物や鬼などを演じてさえ備わる高い幽玄もある。風姿花伝「童形なれば、何としたるも―なり」。花鏡「ただ美しく柔和なる体、―の本体なり」 辞書引きぱなし! でも分かりやすいですね。さすが広辞苑。
「児姿幽風(こしゆうふう)」には世阿弥の美学の根源があるようです。とりもなおさず世阿弥がそのものでした。世阿弥は猿楽の血筋と、美少年を兼ね備えた人でした。これが、3代将軍足利義満に見初められた由縁です。どちらかが欠けていたら、私たちは、世阿弥を知ることも、今の能を観ることもなかったでしょう。運命を感じます。つけ加えるに、父親は大柄だったようです。児(ちご)は貴人のそばに侍ります。貴と賤が接近します。もっと、もっと……。


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