創作日記&作品集

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連載小説「Q」15

2020-04-23 06:47:24 | 小説
連載小説「Q」15
明生団地は1970年に湿地帯(沼)を埋め立てて市街化調整区域として造成された。
最初は、モデル住宅が一軒と『明生団地分譲中』の幟がはためいていた。
テントがあり、事務机が置かれており、中年の痩せた女性が一人で店番をしていた。
家は三、四軒で、他は六十坪程度に区画された空き地だった。
それがポツポツと売れ始めた。
そして、七十年代半ば第二次ベビーブームの訪れと共に、雨後の筍のように一気に増えた。
三十歳過ぎになり、仕事も家庭も安定してきた。
そろそろ賃貸マンションを飛び出す時期になった。
家賃の分をローンに回せばなんとかなる。
通勤時間が1時間以内の土地はとても手が出ない。
通勤時間はギリギリ一時間三十分以内で妥協しよう。
働き盛りのサラリーマンはマイホームを目指した。かくして、土地に縁もゆかりもないサラリーマン達の新興団地が出現した。
彼らは子供を二、三人つくり、中流意識が強く、マイホーム主義だった。
そして、殆どが戦争を知らない世代だった。
連載小説「Q」#1-#10をまとめました。



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